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日本共産党

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赤旗

15、子どもの貧困

子どもの貧困の解決に力を合わせてとりくみます

2022年6月

 貧困は、一人ひとりの子どもの成長の可能性を阻むだけでなく、貧困が次の世代に引き継がれる危険をつくりだしているという点でも、日本の未来にとって重大な問題です。

 親などが貧困の状態にある家庭で育つ18歳未満の子の割合をしめす日本の子どもの貧困率は13.5%、約7人に1人の子どもが「貧困ライン」(その国の平均的所得の半分以下の所得しかない家庭の子どもの割合)を下回っています。なかでも深刻なのがひとり親世帯です。貧困率は48.1%、ひとり親家庭の半数の子どもたちが貧困状態にあることを示しています。主要国36カ国中24位と最悪の水準です。内閣府が2021年におこなった「子どもの貧困調査」の分析結果では、世帯収入の水準や親の婚姻状況によって、子どもの学習・生活・心理など様々な面が影響を受けていること、収入のより低い世帯やひとり親世帯が親子ともに多くの困難に直面していること、その世帯が新型コロナウイルス感染症の影響でより大きな経済的打撃を受け、生活状況がさらに厳しくなっている可能性があることを明らかにしています。

 深刻な「貧困と格差の拡大」を生み出し、広げたのは、自己責任論をふりまき、働くルールを壊し、低賃金で働く非正規雇用の労働者を増やし、軍事費を増大させる一方で社会保障を削減してきた政府の施策にあります。日本の家族分野への社会支出は、対GDP(国内総生産)比で1.73%(2019年度)、イギリス3.24%、スウェーデン3.40%、フランス2.88%、ドイツ2.39%(いずれも2017年度)に比べて、極めて低い水準です(国立社会保障・人口問題研究所「社会保障費用統計」)。

 憲法25条で、すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すること、国は社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上と増進に努めなければならないとうたっています。子どもの権利条約は、「子どもの最善の利益を主として考慮すること」(第3条)を基本とし、子どもの生存権・発達の権利を保障したうえで(第6条)、子どもの身体的・精神的・道徳的・社会的な発達のために相当な生活水準についての権利(第27条)を規定しています。

 日本共産党は、憲法と国連子どもの権利条約にもとづき、子ともに健康で文化的な生活と明日への希望をもてる政治への転換をはかります。子育て世帯の困窮を解決し、くらしと育児を応援する総合的な対策をすすめます。

子どもの貧困を解決・改善するための経済的支援、社会的支援を強めます

 国と自治体の責任で小中学校給食の実施・無償化、児童手当の拡充、「高校生等奨学給付金」(年額数万円~十数万円程度)の拡充、大学・短大・専門学校の学費の段階的無償化、給付奨学金の抜本的拡充をすすめます。お金の心配なく誰もが学べる教育の実現は、「貧困の連鎖」を断ち切るためにも、政治の重要課題です。子ども医療費を無料化し、すべての子どもたちの命と健康を守り、健やかな成長を保障することは子どもの貧困解決のためにも重要です。そのうえにたって、子どもの貧困の解決にむけ、経済的支援、社会的支援を強めます。

就学援助を拡充します

 義務教育の子どもの給食費・学用品代・修学旅行費などを援助する就学援助制度は経済的な困難をかかえる子どもに義務教育を保障するための命綱です。就学援助利用者の割合は小中学生全体の14.72%(2018年度)、6人から7人に1人の子どもが利用しています。ところが、「子どもの貧困」が深刻な問題になっているときに、自公政権が制度への国庫負担を廃止し、各地で就学援助の縮小を引きおこしました。

 国庫負担制度をもとに戻し、対象を生活保護基準×1.5倍まで広げ、支給額も増額するとともに、利用しやすい制度にします。

生活保護を拡充します

 2018年に削減された、母子加算、児童養育加算、学習支援費を復活・拡充させます。

児童扶養手当を拡充し、ひとり親家庭への支援を強めます

 ひとり親世帯は142万世帯にのぼっています。先の内閣府の子どもの貧困調査で現在の暮らしについて「苦しい」「大変苦しい」と合わせたひとり親世帯は51.8%、母子世帯の割合は53.3%にのぼります。「食料が買えなかった経験」があったとする割合は、ひとり親世帯は30.3%、母子世帯では32.1%です。物価高が押し寄せ、さらなる暮らしを圧迫する事態が起きており、困窮世帯への支援の拡充が必要です。児童扶養手当の所得制限を緩和し第1子から拡充します。第2子、第3子以降への加算額についても大幅に引き上げが必要です。年3回だった支払回数が6回になりましたが、毎月支給へさらに改善をすすめます。現行18歳までの支給を20歳未満にします。

ヤングケアラーの支援を強めます

 大人に代わり家族の世話や介護を担う子どもたちが、小学6年生を調査した結果6.5%いることが明らかになりました。年齢や成長の度合い以上に重い責任を負わされ、生活や学業、進学にも大きな影響を与え、ひとり親家庭では経済的な苦しさも重なります。子どもの状況を的確につかめるよう、相談・支援体制を強化します。家族のケアを家庭内の責任・自己責任として子どもを追い詰める政治を改め、医療・介護・福祉行政を拡充し、子どもたちがケアの責任から軽減できる支援を強めます。

離婚後の養育費問題の解決をはかります

 離婚後の子の養育費問題の解決はひとり親家庭の子の暮らしを改善するうえでも重要です。日本では、養育費の取決めそのもの自体が43%、取決めどおりに支払われているのは30%です(相談支援センターの電話調査結果)。スウェーデン、ドイツ、フランスなどで行われている国による養育費の立替え払い制度、養育費取り立てを援助制度などの確立をすすめます。

子育て世代向けの公共住宅の建設など子育て世代の支援を強めます

 日本の公的な住宅はわずか5.3%に過ぎません。子育て世代向けの公共住宅の建設や「借り上げ」公営住宅制度、家賃補助制度、生活資金貸与制度などの支援を特別に強め、子育て世代を支援します。

貧困問題の根本解決のためにも、安定した雇用と賃金を保障する労働のルールを確立します

 日本社会に貧困が広がった大きな要因の一つは、低賃金で不安定な非正規雇用が拡大していることです。労働者派遣法の改悪など労働法制の規制緩和が拍車をかけ、子育て世代の生活に深刻な影響を与えています。異常な長時間労働は、子育てを困難にし、子どもが安心して暮らすことができる権利を奪っています。ひとり親家庭の子どもの貧困がとくに深刻なのは、「正社員なら長時間労働は当たり前」とする働かせ方が横行し、子どもを育てるためには低賃金労働しかない、という状況が広がっていることにあります。政府が児童扶養手当などの経済的支援は削減し、一方でますます低賃金で働かせ続ける社会をつくってきたことが、貧困を拡大し、深刻化させたことは明らかです。

 子どもの貧困問題の解決のためにも、賃上げ、長時間労働の解消など、人間らしく働くルールをつくり、低賃金・不安定雇用をなくします。

長時間労働を是正し、子どもたちが安心して過ごせる社会をつくります

 子どもを持つ労働者が、仕事と子育てを両立でき、子どもと向き合う時間をもてる働き方のルールをつくることは、子どもたちが安心して、生き、成長できる何よりの保障です。男女を問わず、単身赴任や長時間通勤を伴う転勤を原則禁止し、看護休暇や育児介護休業制度を拡充します。残業は本人同意を原則とします。

非正規から正社員への流れをつくるとともに、非正規雇用の労働条件改善と均等待遇を進めます

 労働法制の規制緩和によって、女性の非正規雇用化が進み、働く女性の56%がパート、派遣、契約などの非正規雇用です。非正規から正社員への流れをつくります。労働者派遣法を抜本改正し、派遣は一時的・臨時的なものに限定し、常用雇用の代替を防止する、正社員との均等待遇など、派遣労働者の権利を守る派遣労働者保護法をつくります。最低賃金を1,500円に引き上げます。そのために、社会保険料の減免や賃金助成など中小企業への支援を抜本的に強化します。

社会の連帯と共同のとりくみを支援します

 子どもたちに食事を無料・低額で提供する子ども食堂や、生活保護世帯の子どもたちの学習を支援する無料塾の取り組み、食料支援やフードバンクの取り組みが広がってきました。コロナ禍で一層貧困化が進む事態にもなり、困窮する子どもや学生たちを見捨てられないと、感染対策を徹底し工夫をして取り組みを広げています。コロナ禍で、家庭に居場所を失った子どもたちからの相談が急増しています。子どもたちが、性的搾取の被害に遭うことを防ぐために、民間団体が必死の努力をしています。

―――フードバンク、子ども食堂など民間の食料支援の取り組みに、助成や場所の提供など公的な支援を行います。

―――生活保護世帯などの学習支援(無料塾)は、2015年度から生活困窮者自立支援法の任意事業となり自治体が費用の2分の1を負担するしくみになりました。しかし、その費用負担のために実施をためらう自治体も少なくありません。国とともに、企業が社会的責任をはたすとりくみとして負担するしくみをつくります。

―――若年女性への支援を強化します。民間の被害者支援団体、婦人保護施設、児童相談所や一時保護施設などの公的支援サービスへの予算を拡充します。

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