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日本共産党

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赤旗

学級規模引き下げを来年度予算編成にもりこむことを強く求める

「30人学級」実施の緊急提案

2010年8月4日 日本共産党国会議員団


 7月26日、文部科学省の中央教育審議会分科会が「学級規模の引き下げ」を求める提言を発表しました。これは国民が長年にわたり粘り強く求めてきた「30人学級」の要求と基本的に合致するものです。日本共産党は、政府が提言を受けとめ、来年度予算編成に学級規模のひき下げを盛り込むことを強く求めるとともに、その具体的方向として「30人学級」への移行を提案します。

「30人学級」は一人ひとりを大切に育てるために必要な条件  

 文科省の意見募集でも8割以上の人が望ましい学級規模を30人以下とするなど、「30人学級」は国民のつよい教育要求です。

 学習の面からみれば、40人やそれに近い学級では「落ちこぼし」が生まれやすくなります。学級規模が小さくなれば、子ども一人ひとりの学習のつまずきをていねいに指導することができ、一人ひとりの授業中の発言の機会も多くなります。また、討論や実験などをつうじて物事を深く理解するという、今日求められている学習をすすめるうえでも、少人数学級は欠かせない条件です。

 生活の面からみても、「30人学級」は切実です。貧困の広がりや社会の変容のなかで、深刻な悩みをかかえる子どもが増えています。また、発達障害や外国人の子どもなどへの特別な支援の必要も増しています。40人やそれに近い学級では指導に限界があり、子ども一人ひとりへのていねいなケアができるように学級規模を縮小すべきです。

 学校現場では、定数が増えないなかで「多忙で授業準備ができない」という教員の長時間労働が常態化しています。また、定数増のめどがたたずに正規雇用を手控え、教員の非正規率は9人に1人の割合に達しています。地方独自の少人数学級の試みも、国の教員定数がふえないため不十分なものに終わっています。「30人学級」による定数増は、これらの問題の解決にとっても重要です。

欧米の学級規模は30人以下が当たり前

 欧米では1学級30人以下が当たり前です。アメリカは小学校低学年で24人、イギリスは小学校低学年で30人、フィンランドは全学年で基本的に24人以下とされています。子ども1000人当たりの教職員数は、EU平均は125人で、日本の約85人の1・5倍近くあります。

この問題での逆流を許さず、未来志向の教育条件向上を

 自公政権の時代、文部科学省に少人数学級の動きがあったとき、財界とその意向を受けた政府・財務省が「予算がない」とよってたかってつぶしたことがあります(2005年)。こうしたことを繰り返してはなりません。

 私たちの提案にかかる経費は、初年度で国と地方合わせて2000億円程度であり、政府は予算のムダづかいなどにメスをいれて財源を確保し、進めるべきです。

 しかも「30人学級」は、若者の雇用をふやし、景気対策としてもきわめて有効な政策です。

 子どもは社会の宝です。豊かな教育条件を準備することは、未来をきずくことです。

 日本共産党は、国民のみなさんに少人数学級の実現にむけて力をあわせることを心からよびかけます。また、すべての政党に、立場の違いをこえて、今回の少人数学級移行の流れを促進する立場にたって建設的な話し合いをおこなうことを心から呼びかけます。

一、国の小中学校の学級編制基準を30人とし、段階的に実施する

 6年間で「30人学級」に段階的に移行します。実施にあたって、小学校低学年を比較的手厚くするなどについては地方の裁量にゆだねます。(初年度約1400億円)

二、その他の改善計画をすすめる

 (1)担任以外の教職員をふやす定数改善をすすめます。(2)「子どもの貧困」などに対応してスクールソーシャルワーカーなどの専門職員を増員します。(3)特別支援学校・特別支援学級、高校も定数改善をすすめるとともに、学級編制基準の引き下げを検討します。(初年度約600億円)

三、義務教育国庫負担金を2分の1に戻す

 「構造改革」により教員給与の国負担率が2分の1から3分の1に減ったため、ほんらい教員給与とすべき分を他にまわし、定数どおり教員を確保しない状況も生まれています。義務教育の条件整備は国の重い責任であり、負担率を2分の1に戻すべきです。(国庫負担金の減額分は、使途が自由な交付税交付金として積算されているため、予算増は必要ない)

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