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日本共産党

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赤旗

新卒者の就職難打開へ――社会への第一歩を応援する政治に

 いまこそ、国、自治体、教育者、そして企業と経済界が真摯な取り組みを

2010年4月21日 日本共産党



 学生、高校生に"氷河期の再来"という深刻な就職難が襲いかかっています。今春卒業の学生の就職内定率は史上最悪となり、来年3月卒業予定の就職活動も厳しさを増しています。

 就職難と厳しい就職活動は学生の責任ではありませんが、「何十社も面接に行ったけど全部ダメだった。自分は社会に必要ない人間なのか」という深刻な訴えも少なくありません。就職活動は、一人一人バラバラで、就職先が決まるかどうかは、すべて「自分の責任」と思い込みがちです。しかし、"就職氷河期"が繰り返される経済社会の方にこそ、深刻で重大な問題があります。

 日本共産党は、就職難を打開するために政治が取り組む課題として、以下の提案を行うとともに、多くの学生のみなさんが"被害者"にとどまるのではなく、就職難をもたらした経済のあり方と政治を変え、若者が人間としてもっと尊重される働き方にしていくために、ともに考え、ともに力をあわせることを心から呼びかけます。

1、新卒者の求人と採用を増やすために

(1)非正規から正規雇用への転換をすすめ、新規採用を増やす

 新卒者の求人が減少しているのは、景気の悪化だけでなく、派遣や請負などの非正規雇用の拡大が根本にあります。製造業の大企業(従業員500人以上)が雇用している労働者は、1994年の269万人から187万人へと82万人、30%も減っています。

 一方で、日本の大企業は、この10年間に内部留保を142兆円から229兆円にも増やしています。急激な生産調整も終わり、アジアなどへの輸出やエコカー減税などの効果もあって、自動車、電機をはじめ大企業の生産も収益も回復しつつあります。ところが、生産が回復しても、「使い捨て」できる派遣や期間社員などの非正規雇用の復活で対応し、正社員を増やそうとはしていません。こんなことが続くかぎり、新卒者の就職難も解決しません。

 新卒者の就職難打開のためにも、非正規雇用を拡大した労働法制の規制緩和を抜本的に見直し、日本の雇用のあり方を、非正規雇用から正規へと転換することがどうしても必要です。今国会に、その中心となる労働者派遣法の改定案が提出されましたが、製造業派遣、登録型派遣を「原則禁止する」と言いながら、「常用型」とか「専門業務」などの名前をつければ実態は同じでも容認するなどの「大穴」が空いています。派遣から正社員への道を開く抜本改正の実現に力を尽くします。

 また、契約社員、期間社員を増大させた労働基準法の改悪を見直し、期限付きの雇用契約は、合理的な理由がある場合に限定し、数か月の雇用契約を繰り返す短期・反復雇用を規制します。

(2)サービス残業の根絶など、異常な長時間労働を是正して、雇用を増やす

 就職難や失業が深刻になる一方で、"一人で二人分働かせる"異常な長時間労働が横行し、過労死や過労自殺が後を絶ちません。違法なサービス残業をなくすだけで、新たに100万人以上の雇用が生まれるとされています。

(3)公務・公共分野での非正規化をストップし、正規雇用への流れをつくる

 派遣や請負は、公務・公共部門でも急速に広がっています。総務省の調査でも自治体で「週20時間以上で6カ月以上雇用されている非正規雇用労働者」は約50万人にのぼっています。保育士では8万9千人と半分近く、公立図書館では6割が非正規雇用です。その多くが、恒常的な業務にたずさわっていながら、6カ月や1年の有期雇用や派遣です。大学を出て、公立の学童クラブの非常勤指導員になったが雇用期間は最長3年、その後は「フリーター」などという例もあります。

 国でも、多くの分野に非正規雇用が広がっています。厚生労働省が、若者や新卒の学生・高校生の就職支援のために導入したジョブサポーターも1年の有期雇用です。「来年は自分自身の仕事があるか不安」というのは「笑い話」ではすまされません。

 国や自治体が、"官製ワーキングプア"などと呼ばれる不安定で低賃金の雇用を広げ、若者を「使い捨て」にするようなことはただちにやめるべきです。

(4)社会保障の削減から拡充への転換、環境重視への政治の転換で新規雇用を創出する

 介護や保育などの福祉分野、環境でのニュービジネスなどは、前の自公政権も、今の民主党政権も、雇用対策の柱にしてきましたが、"看板だおれ"に終わっています。これらの分野で、本当に新しい仕事と雇用を創出するには、政治を変えなければなりません。

 介護では、深刻な人手不足が続いています。その原因は、引き下げられてきた介護報酬や人員配置基準などによる低賃金で過酷な労働条件にあります。介護保険への国庫負担を増額するなど、社会保障削減の政治を転換しなければ、雇用創出にはなりません。42万人の特養ホーム待機者を解消することは、職員配置を3対1としても14万人の雇用に相当します。保育園の待機児童が増え続けているにもかかわらず、保育園の新増設ではなく、子どもの詰め込み(定員の規制緩和)で「乗り切ろう」とするなどの政治では新規雇用創出も望めません。環境でも、ヨーロッパ諸国のように、産業界と温室効果ガス削減の拘束力を持った協定を結び、環境への政治の取り組みを抜本的に強化することが、新しい仕事と雇用につながります。

2、就職活動を改善する――"就活ルール"の確立と学生への支援を

(1)学業と両立でき、学生の負担を軽減する就職活動のルールをつくる

  "3年生から就活に追われる""面接とぶつかり教育実習も受けられない"など、就職活動の早期化、長期化は、学生の大きな負担になっているだけでなく、大学教育にも大きな支障が出ています。専攻や卒論・卒研のテーマも決まらない時期に「内々定」を出すなど、専門性も活かせない就活は、学生を受け入れる企業にとっても大きなリスクがあります。

 多くの大学・教育関係者から、就職活動の開始時期を定めるなどのルールを求める声があがり、文部科学省も「大変憂慮している」としています。日本経団連などの経済界が「ルールを作っても破る企業が出てくる」などと言って反対していますが、企業にとっても、社会にとっても、損失が大きい今の就職活動を改めることに後ろ向きでは、企業の発展も望めません。

 就職活動が学業をさまたげることのないように、会社説明会やエントリーシートの受付、面接の開始日などで社会的なルールを確立します。違反した企業には、企業名の公表などのペナルティを科すようにします。経営者団体、大学当局、学生・教職員代表など関係者で構成する機関を設置し、運用状況を監視するようにします。

 いったん卒業したら、翌年度の卒業予定者を対象とした採用に応募することもできないという、企業の募集のやり方も問題を深刻にしています。新卒時に正社員になれないと"自分の人生が閉ざされてしまう"という焦燥感に追い立てられ、就職活動がいっそう重く苦しくのしかかっています。高い学費を払って、就職のためだけに留年する学生も増えています。「生まれた時が悪かった」ではすまされません。少なくとも、卒業後3年間は「新卒扱い」として就職あっせんの対象とし、就職活動でも差別しないようにするよう、政府が企業や大学を指導することが求められています。

(2)奨学金の返済猶予の拡充はじめ、就活する学生への支援を

  "いつ面接が入るかわからないのでバイトができない""就活中のバイトは面接がない深夜だけに"など、激しくなる就職活動は、学生の経済的な負担も重くしています。地方大学では、面接の度に夜行バスで上京する交通費や宿泊費も重い負担になっています。大学でバスを手配するなどの例もあります。こうした各大学の学生への経済的支援をする取り組みを拡充し、国が補助する制度をつくります。また、就職活動中の生活費や交通費などへの臨時の貸付制度を創設するなど、就活する学生への経済的な支援も行うようにします。

 同時に、奨学金の返済が困難な場合の返済猶予制度を拡充します。現行の返済猶予制度は、戦前に作られたもので、返済猶予期間を最長5年間としたのは「兵役を想定した」ものとされるなど、実態とはかけ離れています。返済猶予期間の延長や所得制限の緩和、相談体制の強化、滞納者のブラックリスト化の中止、卒業後にも有利子から無利子に転換できる制度の創設などを行います。さらに、貸与制で利子付きが7割も占め、社会人になった途端に数百万円の借金を背負うなど、給費制が主流の欧米からみれば異常な日本の奨学金制度を見直し、給付制奨学金の創設と有利子奨学金の無利子化をすすめます。

(3)新卒未就職者への職業訓練の提供などの対策を強化する

 政府の新卒未就職者の職業訓練は、パソコン教室などの民間業者への委託が中心で、民間依存の緊急避難的なものが主流になっています。その一方で、国や自治体が責任を持っている公共職業訓練は、各分野のエキスパートとして技能・資格取得が可能な長期訓練ができ、就職率も高いのですが、統廃合や民間委託など、大きく後退しています。

 厚生労働省が所管する独立行政法人雇用・能力開発機構と都道府県が運営する公共職業訓練所は、この10年間に、300か所から251か所に削減されました。さらに、「事業仕分け」によって、雇用・能力開発機構が自治体などに運営を委託している全国83か所の地域職業訓練センターや全国11か所のコンピューター・カレッジが廃止されようとしています。「天下り」や無駄の排除は当然ですが、国や自治体の公共職業訓練の切り捨ては許されません。国が直接責任を持つ公共職業訓練を拡充するとともに、自治体の公共職業訓練も国からの助成を拡充します。

3、地方での求人開拓などの取り組みを支援する

 高卒者をはじめ、地元での就職を希望する若者も増えています。家計を支えるために地元から離れられないという事情もあります。地場産業の育成など地域経済の活性化という視点から、地元での雇用創出を重視し、新卒者の就職難を打開する施策の実現が必要です。

 いくつかの自治体で積極的なとりくみが始まっています。今春に就職できなかった高卒者に対し、専修学校や企業などでスキルアップできるように学費や受託した企業に賃金助成(秋田県)、新規高卒者を採用した事業主に1人当たり10万円~30万円の助成(宮城県)、新規高卒者100人を対象に中小企業への半年間のインターンシップを仲介する事業(仙台市)、今春卒業の未就職の高校生100人を対象に、府が4ヵ月間雇用し、月8万円の賃金を支給しながら、介護・農林業などの人材育成プログラムを受ける事業(京都府)、今春卒業の高校生を臨時雇用(原則6ヵ月、最長1年)し、働きながら就職活動をおこなえるよう配慮する(和歌山県)などです。こうした自治体のとりくみに国が財政支援することが求められます。

 学校と自治体、ハローワーク、地方経済界が連携し、産業振興にとりくむ体制をつくることや、積極的な求人開拓をおこなうために、各地のハローワークの体制を強化します。

4、「新卒者雇用確保・促進法」を制定し、採用計画の策定、内定取消の防止など、企業の社会的責任を明確にする

 雇用対策法の第7条は、「事業主は、青少年が将来の産業及び社会を担う者であることにかんがみ......その雇用機会の確保等が図られるように努めなければならない」とし、厚生労働省は、この法律に基づいて「新規学校卒業者の採用に関する指針」を定め、「適正な募集・採用計画の立案」を求め、「中長期的な人事計画等の下...募集・採用計画数を決定するよう努める」などとしています。また、「事業主は、採用内定を取り消さないものとする」ともしています。

 実際には、この「指針」は守られず、正反対のことが行われています。「指針」を法律に格上げして、一定規模以上の企業は、中長期的な視野にたった採用計画を策定するとともに、公表するようにします。内定取消は整理解雇と同様に、企業の存続が危ぶまれるなどの合理的理由がない限りできないようにします。同時に、新規採用に積極的に取り組む企業を顕彰し、支援するようにします。

 学び、卒業して、社会人としての第一歩が失業者というのは、特別に深刻な事態です。こんな日本社会でいいはずがありません。"就職氷河期"が繰り返されることは、企業や産業、日本の経済と社会の全体にとっても大きな打撃です。

 いまこそ、国も、自治体も、教育者も、そして、何より、企業と経済界が、この危機を打開するために、真摯な取り組みを行う時ではないでしょうか。日本共産党は、提案している就職難打開のための政策を実現するために全力をあげるとともに、各界のみなさんが、それぞれの立場で、社会的な責任をはたすべき知恵と力を尽くされることを呼びかけるものです。

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