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赤旗

労働者派遣法改正にあたっての修正提案

派遣から正規雇用への道を開き、派遣労働者を守る改正に

                        2010年3月3日  日本共産党



 労働者派遣法の「改正案」が、今国会に提出されようとしています。しかし、政府が発表した派遣法「改正案」は、「製造業派遣や登録型派遣の原則禁止」を言いながら、「例外」という形で「大穴」をあけ、実際には「原則容認」にするなど、重大かつ深刻な問題点があります。この「改正案」のままでは、派遣労働の現場は、これまでと同じような「使い捨て」がまかり通り、低賃金で劣悪な労働条件も改善されません。

 "非人道的な「派遣切り」を再び起こさない""「派遣だから」と安い時給で働かせ、いらなくなったら「使い捨て」、こんな働かせ方はおかしい""いつまでも派遣でなく正社員になりたい"......こんな思いが労働者派遣法の改正への大きな世論になり、政治を動かしてきました。これを裏切るようなことがあってはなりません。

 雇用は、期限の定めのない直接雇用――正社員が当たり前であり、労働者派遣は、臨時的・一時的な業務に限定し、本来、正社員として直接雇用すべき労働者を派遣に置き換える常用代替にしてはならないという原則にたった派遣法改正が求められています。

 日本共産党は、今国会での労働者派遣法改正を、派遣から正規雇用への道を開く、派遣労働者の雇用と権利、生活を守る保護法に変えていく、この二つの要の問題で、労働者の願いにそくしたものとする立場から、以下の修正を提案します。

1、「使い捨て」雇用が深刻な製造業派遣はきっぱり禁止にする
  ――「常用型派遣」を「禁止の例外」とする規定の撤回を

 鳩山首相は、今国会の施政方針演説で「製造業への派遣を原則禁止する」としました。ところが「改正案」では、「常用型派遣」(派遣会社に「常時雇用されている労働者」を派遣する)を「禁止の例外」にしてしまいました。「雇用の安定性が比較的高い」からというのがその「理由」です。

 しかし、製造業における労働者派遣の実態は、「常用型」でも、「登録型」でも、派遣先企業が派遣契約を解除すれば解雇されるという不安定さは同じです。厚生労働省の調査でも、派遣先企業が派遣契約を中途解除した場合に、解雇された派遣労働者は、「常用型」で76.7%、「登録型」で75.8%と変わりません(調査対象の約9割が製造業派遣)。「常用型」にすれば「雇用が安定する」などという根拠はどこにもありません。

 大きな社会的批判をあびた「派遣切り」を全国各地で引き起こしたのも自動車や電機などの製造業です。この反省もなく、製造業の大企業は、生産が回復し始めた昨年秋ころから、派遣を復活させています。低賃金で社会保険にもまともに加入できないという劣悪な労働条件も、そのままです。

 どんな形であっても製造業での派遣を存続させれば、生産の変動が、生身の人間の「首切り」に直結します。製造業では、派遣労働者を寮などに住まわせて働かせることが常態化していますから、"仕事を奪われただけでなく、住居からも追い出される"という非人道的な事態も繰り返されます。さらに、製造業派遣を容認・存続させれば、生産が回復しても、派遣労働が「復活」するだけで、非正規から正規雇用へという流れの障害にしかなりません。

 現在でも、製造業で働く56万人の派遣労働者のうち、63%は「常用型」派遣です。「製造業への派遣の原則禁止」をいいながら、「常用型」を禁止の例外とすれば、「原則容認」となってしまいます。「常用型」派遣を禁止の例外とする規定を撤回し、製造業への派遣は例外なしに禁止すべきです。

2、「専門26業務」を見直し、派遣のまま使い続けるだけでなく、正社員を派遣に置き換える「抜け道」にさせない

 政府は、「登録型派遣の禁止」と言いますが、ここでも「雇用の安定等の観点から問題が少ない」などとして、「専門26業務」を「禁止の例外」としています。

 「専門26業務」で働いている派遣労働者は100万人にのぼります。専門性が高い職種だから派遣であっても雇用は安定するし、給料も高く、派遣先企業との交渉力もあるなどという理由で、派遣の上限期間(原則1年、最長3年)も適用されず、何年働いても、派遣先企業の直接雇用になることもできません。

 しかし、「専門26業務」の中には、通訳など専門性が高い業務もありますが、建築物の清掃、ビルの受付なども含まれています。とくに、45万人の派遣労働者が対象となっている「事務用機器の操作業務」は、1985年に定められた「電子計算機、タイプライター、テレックスほか、これらに準じるワードプロセッサー、テレタイプ等の事務用機器についての操作の業務」という基準が一字一句変わっていません。そのためにパソコンを使う仕事ならなんでも「専門業務」として例外扱いにされてしまうのです。

 「専門業務」という看板があれば、いつまでも派遣で使い続けることが許されることが、直接雇用から派遣社員への置き換えをすすめる、大きな「抜け道」にもなっています。今年1月にNTTは、北海道で直接雇用の契約社員約700人を解雇して、子会社の派遣会社に転籍させ、派遣社員として同じ仕事をさせるという「派遣化」を強行しましたが、この「手口」となったのが「専門業務」です。

 厚生労働省は、2月8日にあわてて「専門業務適正化」の通達を出し、手直しをはかっていますが、根本にある法律や政省令が25年前のままでは、問題は解決しません。「専門26業務」は抜本的に見直し、専門性が高く、そのために派遣労働者に交渉力がある業務に限定すべきです。

3、事前面接の解禁など規制緩和をすすめる改悪部分を撤回する

 政府の「改正案」には、自公政権が、派遣先企業の要求を受けてつくった規制緩和案をそのまま踏襲した改悪が含まれています。

 その一つが、派遣先企業による事前面接を解禁することです。事前面接の解禁は、派遣先企業に労働者の採用権限を与えながら、雇用責任は免除することになります。これでは禁止されている労働者供給事業(いわゆる「口入稼業」)と変わりません。労働者派遣の根本原則をなし崩し的に変えてしまう重大問題です。現実には、事務系の派遣を中心に、「事前面接」という違法行為が当たり前のように行われていますが、「改正案」は違法行為をなくすのではなく、違法を合法化するものです。これは、「派遣は40歳になったら定年」「子どもがいると不採用」など年齢や容姿、家族構成などによる不当な差別をさらに助長することになります。

 また、現行法では、専門業務の派遣労働者を受け入れている企業が、同じ業務に正社員を採用する場合は、そこで働いている派遣労働者に優先的に直接雇用を申し込む義務があります。ところが「改正案」では、この派遣先企業の義務を削除し、正社員への道を閉ざしてしまいました。

 派遣法の「改正」を言いながら、いっそうの規制緩和をすすめる改悪を潜り込ませることは許されません。

4、派遣労働者の雇用と権利を守るうえで、実効ある改正案に

 名ばかり「常時雇用」でなく期限の定めのない雇用に......政府は、「派遣労働者の雇用の安定を図る」ために「登録型派遣を  原則禁止」し、労働者派遣は、派遣会社に「常時雇用」されている労働者だけにするとしています。

 しかし、この「常時雇用」について厚労省は、「1年以上、雇用されているか、雇用される見通し」であれば、短期の雇用契約を反復していても「常時雇用」だとしています。これでは雇用契約は3カ月だけど、派遣会社が「1年以上働いてもらうつもり」といえば、派遣が可能になり、いつ「雇い止め」されるのかわからない、という不安定な派遣労働の実態は変わりません。

 名ばかり「常時雇用」で不安定な派遣労働を許容しつづけることは、許されません。労働者派遣は、期限の定めのない雇用の労働者だけにするべきです。

 実効ある「みなし雇用」規定に......偽装請負や期間制限違反などの違法派遣の場合は、派遣先企業が直接雇用をしていたものとする「みなし雇用」の規定が盛り込まれました。しかし、その労働条件は「派遣元と同一」とされているために、偽装請負を告発した労働者を、6か月契約などという名ばかりの直接雇用にして、「契約満了」を理由に解雇できるようになっています。半年先に解雇されるのがわかっていて、誰が違法行為を告発できるでしょうか。「みなし雇用」は、期限の定めのない雇用にすべきです。また、派遣先企業が「違法だとは知らなかった」などとして適用を逃れる道を残さないことが必要です。

 派遣労働者への不当な差別や格差を是正するために均等待遇原則の明記を......「改正案」では、派遣元に「均衡を考慮した待遇」を「配慮」するよう求めているだけです。派遣労働者への差別が起きるのは派遣先企業の職場であり、賃金などの労働条件も派遣先企業が支払う派遣料金が基本にあります。派遣元に「均衡」の「配慮」にとどまる「改正案」では極めて不十分です。派遣先企業の責任を明確にした均等待遇原則を明記すべきです。

5、3年~5年先への「先送り」をしない

 製造業派遣と登録型派遣の規制に「大穴」を空けたうえに、その施行は、法律の公布後3年間も「先送り」されます。さらに、「登録型派遣の原則禁止」は、今後検討して「比較的問題が少ない」などとされた業務は、あと2年間、合計5年間も「先送り」するのです。

 政府が派遣法の改正、規制強化に、2重3重の「及び腰」になっている姿が、この「先送り」に示されています。公布後、すみやかに施行すべきです。

≪「使い捨て」労働をなくすため、国民的なたたかいを≫

 国民の大きな世論と運動が、派遣法の規制緩和から労働者保護の規制強化へと「潮目の変化」を作り出しました。日本有数の大企業が、体力も財力も十分あるにもかかわらず、非道な「派遣切り」を大規模に行ったことへの社会的批判と、その中で、多くの派遣労働者がたたかいに立ち上がり、労働組合をはじめ社会的な連帯が広がったことが、政治を動かしてきたのです。

 このたたかいの中で、政治的な立場や労働組合のナショナルセンターの違いを乗りこえた共同が広がりました。その大きな一致点が、労働者派遣を原則自由化した"1999年の改悪前に戻せ"ということでした。しかし、政府の「改正案」が現状のまま成立すれば、製造業派遣も、登録型派遣も、「原則禁止」は言葉だけで、派遣労働の実態は、今と変わらないという事態になってしまいます。「使い捨て」できる派遣労働を手放したくない財界・大企業の「抵抗と圧力」に屈するなら、重大な汚点となるでしょう。

 この間の労働者と国民の運動の成果が結実するのかどうか、重要な局面を迎えています。「使い捨て」の働かせ方をやめさせ、派遣法を労働者保護法へと前進させるために、対話と共同を広げ、一致点での国民的なたたかいを広げようではありませんか。日本共産党は、その立場で奮闘するものです。

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