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赤旗

介護保険10年目を迎えるにあたっての提言

誰もが安心して利用でき、安心して働ける介護制度へ抜本的見直しを求めます

2009年2月9日 日本共産党


 介護保険制度は今年4月に2000年の制度開始から10年目を迎えます。この間、介護サービスの総量は増えましたが、社会保障きりすての「構造改革」のもとで負担増や「介護とりあげ」がすすみ、家族介護の負担はいまも重く、1年間に14万人が家族の介護などのために仕事をやめています。高い保険料・利用料を負担できず、制度を利用できない低所得者も少なくありません。介護を苦にした痛ましい事件も続いています。

 介護現場の劣悪な労働条件の改善も急がれます。いま介護は「派遣切り」などで仕事を失った人の就労の場として、あらためて注目されています。しかし、たびかさなる介護報酬引き下げにより、介護現場の労働条件は非常に劣悪です。介護現場の危機を打開し利用者の生活と権利をまもるためにも、社会保障の充実で雇用を増やすためにも、生活できる賃金、誇りとやりがいを感じられる労働環境の整備などが不可欠です。

 ところが、現在の介護保険は、利用が増えたり、労働条件を改善すれば、ただちに低所得者までふくめて保険料・利用料が連動して値上げされるという根本矛盾をかかえています。3年ごとに保険料は値上げされ、すでに平均で月4000円以上の高額です。そのため、政府自身も、人材不足の改善のため4月から介護報酬を引きあげるにあたり、保険料値上げを抑えるため、これまで自治体にはきびしく禁じてきた、介護保険会計への一般財源(1154億円)のくりいれを決めました。従来の枠組みの破たんは明らかです。

 日本共産党は、誰もが安心して利用でき、安心して働ける公的介護制度の実現のために、以下のような見直しを提案し、これまでの立場のちがいをこえた共同をよびかけます。

 

1、保険料・利用料を減免して、経済的理由で介護を受けられない人をなくす

 「夫を週二回お風呂に入れる介護を受けるお金のために、妻は夕食を食べない」(NHK「福祉ネットワーク」、1月19日放送)など、少ない年金で暮らしてきた高齢者が、介護が必要になると利用料などが重くのしかかり、生活を壊される事態が広がっています。介護のために身を削るような思いで生活していたり、介護保険を使うお金さえなく老老介護で耐えていたり、保険料が払えずに介護を受けられない高齢者も増えています。

 所得の少ない人ほど、高齢期に介護が必要になることは、研究者の調査などで明らかになっています。ところが現在の介護保険では、その所得の少ない人が、事実上、公的介護から排除され、きびしい生活に陥ってしまうのです。京都地裁の裁判官も「介護殺人」を裁く法廷で、"裁かれるべきは介護や福祉の制度"と指摘したほどです。いまこそ、高齢者の生存権の保障を公的介護制度の理念としてかかげ、悲惨な状況を改善するために、次のような見直しをおこなうべきです。

 ●経済的にたえられない人には負担を求めない――介護をもっとも必要とする所得の少ない人たちが介護を利用できないのでは、公的介護制度の存在意義にかかわります。所得の少ない高齢者は、原則として介護保険料・利用料を免除して、お金の心配をせずに介護が受けられるしくみを緊急につくるべきです。

 ●保険料などは応能負担にあらためる――今年4月からの保険料は「介護とりあげ」で自治体がためこんだ基金をとりくずすなどの措置によって、値下げを求めます。そして、所得の少ない人ほど負担割合が重い高齢者の介護保険料を、支払い能力に応じた負担を原則とするように改めます。また、当面、保険料の減免を国の制度としてつくるとともに、将来は、保険料引き上げか、制度の改悪か、つねに二者択一がせまられる矛盾をなくすため、高齢者の保険料率も全国単一の所得に応じた定率制などをめざします。保険料滞納者への給付停止など、他の社会保障制度にない、きびしい制裁は廃止します。

 利用料は、将来は無料(十割給付)をめざし、当面は減免制度を抜本的に充実させます。

 これらの保険料・利用料の減免が他の利用者の負担増にしわよせされないよう、減免分は全額国庫負担とします。

 

2、「介護とりあげ」、「保険あって介護なし」をただす

 必要な介護が利用できずに苦しんでいるのは低所得者だけではありません。「家族介護から社会で支える介護へ」(「介護の社会化」)という当初の看板に反して、介護保険はくりかえし改悪され、負担増や「介護とりあげ」がすすめられてきました。在宅での生活はますます難しくなり、施設の順番待ちも深刻です。介護保険は当初、「サービスを選択できる制度」と宣伝されましたが、現実は「保険あって介護なし」という状況です。

 ほんらい介護とは、高齢期をむかえた人の、その人らしい、人間らしい生活と発達をささえ、保障するものです。現在の介護保険法にも掲げられている高齢者の「尊厳の保持」の実現をめざし、以下のような見直しを求めます。

 ●在宅生活を制限する要介護認定制度を廃止し、現場の専門家の判断による適正な介護の提供をめざす――現在の介護保険は、「在宅重視」と言いながら、コンピューターによる判定が中心の要介護認定は高齢者に必要な介護を正しく反映できず、また、要介護度ごとに低い利用限度額があるために、介護保険だけで在宅生活を送ることは困難です。しかも、今年4月から厚生労働省は要介護認定のシステムをさらに改悪しようとしています。これらの機械的な利用制限のしくみは廃止して、ケアマネジャー(介護支援専門員)など現場の専門家の判断で、適正な介護を提供する制度をめざします。

 ●身近な相談相手・専門家としてケアマネジャーを支援・育成する――ケアマネジャーは高齢者の身近な相談相手として大切な役割を果たしています。しかし、介護報酬が低いために平均でも収入に対して支出が17%も多い赤字となっており、独立した経営もきびしいのが実態です。自治体からも財政の論理で締め付けられています。ケアマネジャーが中立・公正な専門家として利用者の声を代弁して活躍できるように、独立性・専門性の向上をはかります。それにふさわしい介護報酬や研修などを保障すべきです。

 2005年の法改悪で、ケアプランの作成責任は要介護度別に地域包括支援センターとケアマネジャーに分割されましたが、予防プランの作成もケアマネジャーの担当にもどし、高齢者が、自分の担当ケアマネジャーから一貫した支援を受けられるようにします。

 ●軽度者からの「介護とりあげ」をやめる――05年の法改悪で導入された、軽度者にたいする訪問介護、通所介護、福祉用具などのきびしい利用制限、「介護とりあげ」はやめさせます。「給付適正化」に名を借りて国と自治体がすすめている利用抑制、国の基準にてらしてもいきすぎた自治体による給付制限はただちにやめさせます。

 ●特養ホームの待機者解消へ、緊急の基盤整備5カ年計画をすすめる――38万人をこえる人が特養ホームへの入居を待っているのに、国が低い施設整備の目標を自治体におしつけ、基盤整備の予算も削減していることは重大です。待機者の解消をめざし、まちなかの特養ホーム、宅老所、小規模多機能型施設、グループホーム、生活支援ハウスなど、住みなれた地域でくらせる多様な施設の整備をすすめます。

 特養ホームなどの整備にたいする国の補助金の復活、都市部での用地取得への支援など、国の財政支援を拡充し、戦後ベビーブーム世代が高齢になる2015年に間に合うような緊急5カ年計画を自治体ごとにつくり、待機者の解消をはかります。

 ●どこでも必要な医療・介護を受けられるようにする――介護施設では介護報酬の制限などにより医療が十分に提供できないため、医療を多く必要とする高齢者は利用できず、悲鳴があがっています。介護施設でも、医療行為は医療保険の適用を認めるなど、医療と介護の連携を強め、どこでも必要な医療・介護が受けられるようにすべきです。高齢者の追い出しをすすめる介護型医療施設の2011年度末での廃止は撤回し、地域における慢性期医療を充実します。

 ●食費・居住費の全額自己負担をやめる――食費・居住費の全額自己負担は重く、施設利用を困難にしています。ふたたび公的介護制度の対象とし、利用者負担を軽減します。

 ●事前規制で「もうけ本位」の不正や乱脈経営による廃業などをなくす――介護保険の導入で営利企業の参入が自由に認められた結果、「コムスン事件」のような"もうけ本位"の事業所の不正、廃業などが相次ぎ、そのたびに利用者が犠牲になっています。非営利の介護提供者を支援するとともに、問題が起きた後に事業者を処分するだけの現在の「事後規制」のしくみは、適切な介護を提供できるか事前に審査する「事前規制」へとただちに改めます。特養ホームへの営利企業の参入に反対します。

 

3、労働条件の改善で、人材不足の解消、雇用創出をはかる

 いま、介護現場は深刻な人材不足に襲われており、介護制度の存続に関わる事態です。

 介護現場の人材不足が深刻なのは、低すぎる賃金、労働基準法さえ守られない雇用条件、高齢者の尊厳を大切にしたいという初心を生かせない労働環境など、労働条件が劣悪だからです。この問題を放置しては、いくら人材不足でも、介護は雇用を生み出す場にはなりません。また、これからの高齢社会をささえる介護労働者の確保は、劣悪な条件をそのままに、外国から労働者をつれてくればよいという問題でもありません。

 介護労働者の労働条件の改善は、介護を利用している人の生活と人権を守るためにもきわめて重要です。福祉の志をもって介護の現場で働く人たちが次々と「燃えつき」ていく現状を変え、正当な社会的評価を受けて働けるように、以下のような見直しをすすめます。

 ●介護報酬を底上げする――劣悪な労働条件の根本原因は、介護の提供者に支払われる介護報酬が低すぎることです。これまでの介護報酬の削減が事業所の経営難の原因であることは国も認めています。世論と運動におされ、政府も今年4月に介護報酬を初めて3%引きあげようとしていますが、それだけでは「焼け石に水」です。介護報酬とは別枠での公費投入による賃金の月3万円引き上げの実現とともに、介護報酬の大幅な底上げ、当面、5%以上の引き上げを求めます。その際、国庫負担割合の引き上げ、利用料の減額・免除などにより、保険料や利用料の値上げにつながらないようにすべきです。

 ●人員の配置基準を改善する――高齢者の尊厳を大切にした介護ができるように、人員の配置基準を改善し、介護報酬で評価することも必要です。たとえば、特養ホームは現在の利用者3人につき職員1人(3対1)の基準を実態におうじた原則2対1に改善したり、24時間365日の介護体制をつくるために、夜間の訪問介護は労働者が安心して働ける2人体制とするなど、ただちに改善をはかります。

 介護保険の開始以前にいくつかの自治体が行っていたような、施設や事業所の職員確保、人員配置にたいする公的な助成制度をつくり、労働環境の改善を支援することも重要です。

 ●介護労働者の権利をまもり、常用雇用を主流にしていく――介護保険の開始いらい、「もうけ本位」の企業の参入にくわえ、良心的な事業所でも深刻な経営難のため、低賃金の非正規雇用が主流になっています。介護の質を維持・改善するためにも、直行直帰の登録ヘルパーなどはなくし、労働者の権利が守られ、常用雇用が主流の職場へと改善が必要です。介護報酬を引き上げながら、事業所の雇用管理、法令遵守などをはかります。

 ●研修の機会などを保障する――現在の自治体の研修事業は貧弱です。国の責任で自己研鑽や資格取得のための研修事業などを充実し、介護労働者にその機会を保障します。

 

4、高齢者の生活支援や健康づくりに、自治体が責任をはたす

 福祉事務所、保健所など、高齢者の生活をささえ、健康づくりをすすめる自治体の事業が縮小され、高齢者虐待や介護予防をはじめ、何もかもが介護保険の枠内に押し込まれていることも重大です。高齢者が抱える問題を「丸投げ」されたケアマネジャーらは悩みも多く、その結果、高齢者が深刻な問題をかかえながら、地域のなかで孤立して暮らすことも少なくありません。

 貧困と格差が広がり、多重債務をかかえる子、親の年金だけが頼りの子、精神疾患を抱える家族の存在など、介護を受ける高齢者が抱える問題も複雑・深刻になっています。これらの解決に自治体の役割は不可欠であり、国もそのとりくみを保障すべきです。

 ●保健・福祉・公衆衛生などの自治体のとりくみを再構築する――虐待や介護予防など、高齢者の生活や健康を守ることは、ほんらいは"住民福祉の増進"という自治体の一番のしごとです。ケアマネジャーや地域包括支援センターを支える自治体の保健・福祉・公衆衛生などの体制を充実し、自治体独自のとりくみも強化します。

 とくに06年度からはじまった地域包括支援センターは予防プランの作成などに忙殺され、多くが十分に活動できていません。予防プランの作成はケアマネジャーの仕事にもどし、地域包括支援センターは介護保険法ではなく老人福祉法に位置づけるべきです。国と自治体の一般財源で運営し、自治体の責任のもと、医療・介護・福祉などの連携を強め、高齢者の生活と権利を総合的に支えるセンターとして、その活動を発展させます。

 ●民間での対応がむずかしい人には自治体が介護を提供する――介護の苦労や現場の困難を理解するためにも、自治体自身が、訪問介護、介護施設などの事業にとりくむことは欠かせません。とくに、民間の事業所では対応しきれない困難を抱えた人には、自治体が介護を提供するなど、積極的な役割をはたすべきです。

 客観的に介護が必要な高齢者への自治体の判断によるサービス提供も充実させます。

 ●家族介護者への支援を充実する――家族を介護する人たちには、悩みや苦労を一身に抱える人が少なくありません。これまでの介護保険の枠組みにとらわれず、経済面や仕事との両立、精神面、介護技術の面などから家族介護者への支援体制を充実すべきです。

 

<公的介護制度の改善は安心と雇用をうみ、経済も発展させる>

 介護保険制度で国民の負担が重い最大の原因は、介護保険制度がはじまったときに、それまで介護費用の50%だった国庫負担割合が25%とされ、「三位一体改革」により22.8%(09年度予算)まで引き下げられているからです。日本共産党は、国庫負担割合を、全国市長会と全国町村会も要求しているようにただちに5%引き上げ、さらに給付費の50%まで計画的に引きあげることを求めます。保険料の負担割合を縮小することで、保険料をおさえながら、誰もが安心して利用できる介護制度に改善することができます。

 公的介護制度の抜本的な見直しも、消費税の増税ではなく、生存権の保障、所得の再分配、「負担は能力に応じて、給付は平等に」といった、社会保障の財政論の基本をふまえてすすめます。

 いま、誰もが安心できる介護制度に見直すことは、高齢者の生活と権利を守るだけでなく、介護分野に新たな雇用を生みだし、介護を理由とした離職者をへらすなど、内需を基調とした、わが国経済の民主的発展にとっても重要な効果があります。すべての高齢者の権利と生活をまもり、貧困をなくすことで、仕事と雇用をうみだし、経済も発展させていく――これこそ、憲法25条をもつわが国が21世紀にめざすべき道です。

 

 

介護保険10年目を迎えるにあたっての提言

誰もが安心して利用でき、安心して働ける介護制度へ抜本的見直しを求めます

2009年2月9日 日本共産党


 介護保険制度は今年4月に2000年の制度開始から10年目を迎えます。この間、介護サービスの総量は増えましたが、社会保障きりすての「構造改革」のもとで負担増や「介護とりあげ」がすすみ、家族介護の負担はいまも重く、1年間に14万人が家族の介護などのために仕事をやめています。高い保険料・利用料を負担できず、制度を利用できない低所得者も少なくありません。介護を苦にした痛ましい事件も続いています。

 介護現場の劣悪な労働条件の改善も急がれます。いま介護は「派遣切り」などで仕事を失った人の就労の場として、あらためて注目されています。しかし、たびかさなる介護報酬引き下げにより、介護現場の労働条件は非常に劣悪です。介護現場の危機を打開し利用者の生活と権利をまもるためにも、社会保障の充実で雇用を増やすためにも、生活できる賃金、誇りとやりがいを感じられる労働環境の整備などが不可欠です。

 ところが、現在の介護保険は、利用が増えたり、労働条件を改善すれば、ただちに低所得者までふくめて保険料・利用料が連動して値上げされるという根本矛盾をかかえています。3年ごとに保険料は値上げされ、すでに平均で月4000円以上の高額です。そのため、政府自身も、人材不足の改善のため4月から介護報酬を引きあげるにあたり、保険料値上げを抑えるため、これまで自治体にはきびしく禁じてきた、介護保険会計への一般財源(1154億円)のくりいれを決めました。従来の枠組みの破たんは明らかです。

 日本共産党は、誰もが安心して利用でき、安心して働ける公的介護制度の実現のために、以下のような見直しを提案し、これまでの立場のちがいをこえた共同をよびかけます。

 

1、保険料・利用料を減免して、経済的理由で介護を受けられない人をなくす

 「夫を週二回お風呂に入れる介護を受けるお金のために、妻は夕食を食べない」(NHK「福祉ネットワーク」、1月19日放送)など、少ない年金で暮らしてきた高齢者が、介護が必要になると利用料などが重くのしかかり、生活を壊される事態が広がっています。介護のために身を削るような思いで生活していたり、介護保険を使うお金さえなく老老介護で耐えていたり、保険料が払えずに介護を受けられない高齢者も増えています。

 所得の少ない人ほど、高齢期に介護が必要になることは、研究者の調査などで明らかになっています。ところが現在の介護保険では、その所得の少ない人が、事実上、公的介護から排除され、きびしい生活に陥ってしまうのです。京都地裁の裁判官も「介護殺人」を裁く法廷で、"裁かれるべきは介護や福祉の制度"と指摘したほどです。いまこそ、高齢者の生存権の保障を公的介護制度の理念としてかかげ、悲惨な状況を改善するために、次のような見直しをおこなうべきです。

 ●経済的にたえられない人には負担を求めない――介護をもっとも必要とする所得の少ない人たちが介護を利用できないのでは、公的介護制度の存在意義にかかわります。所得の少ない高齢者は、原則として介護保険料・利用料を免除して、お金の心配をせずに介護が受けられるしくみを緊急につくるべきです。

 ●保険料などは応能負担にあらためる――今年4月からの保険料は「介護とりあげ」で自治体がためこんだ基金をとりくずすなどの措置によって、値下げを求めます。そして、所得の少ない人ほど負担割合が重い高齢者の介護保険料を、支払い能力に応じた負担を原則とするように改めます。また、当面、保険料の減免を国の制度としてつくるとともに、将来は、保険料引き上げか、制度の改悪か、つねに二者択一がせまられる矛盾をなくすため、高齢者の保険料率も全国単一の所得に応じた定率制などをめざします。保険料滞納者への給付停止など、他の社会保障制度にない、きびしい制裁は廃止します。

 利用料は、将来は無料(十割給付)をめざし、当面は減免制度を抜本的に充実させます。

 これらの保険料・利用料の減免が他の利用者の負担増にしわよせされないよう、減免分は全額国庫負担とします。

 

2、「介護とりあげ」、「保険あって介護なし」をただす

 必要な介護が利用できずに苦しんでいるのは低所得者だけではありません。「家族介護から社会で支える介護へ」(「介護の社会化」)という当初の看板に反して、介護保険はくりかえし改悪され、負担増や「介護とりあげ」がすすめられてきました。在宅での生活はますます難しくなり、施設の順番待ちも深刻です。介護保険は当初、「サービスを選択できる制度」と宣伝されましたが、現実は「保険あって介護なし」という状況です。

 ほんらい介護とは、高齢期をむかえた人の、その人らしい、人間らしい生活と発達をささえ、保障するものです。現在の介護保険法にも掲げられている高齢者の「尊厳の保持」の実現をめざし、以下のような見直しを求めます。

 ●在宅生活を制限する要介護認定制度を廃止し、現場の専門家の判断による適正な介護の提供をめざす――現在の介護保険は、「在宅重視」と言いながら、コンピューターによる判定が中心の要介護認定は高齢者に必要な介護を正しく反映できず、また、要介護度ごとに低い利用限度額があるために、介護保険だけで在宅生活を送ることは困難です。しかも、今年4月から厚生労働省は要介護認定のシステムをさらに改悪しようとしています。これらの機械的な利用制限のしくみは廃止して、ケアマネジャー(介護支援専門員)など現場の専門家の判断で、適正な介護を提供する制度をめざします。

 ●身近な相談相手・専門家としてケアマネジャーを支援・育成する――ケアマネジャーは高齢者の身近な相談相手として大切な役割を果たしています。しかし、介護報酬が低いために平均でも収入に対して支出が17%も多い赤字となっており、独立した経営もきびしいのが実態です。自治体からも財政の論理で締め付けられています。ケアマネジャーが中立・公正な専門家として利用者の声を代弁して活躍できるように、独立性・専門性の向上をはかります。それにふさわしい介護報酬や研修などを保障すべきです。

 2005年の法改悪で、ケアプランの作成責任は要介護度別に地域包括支援センターとケアマネジャーに分割されましたが、予防プランの作成もケアマネジャーの担当にもどし、高齢者が、自分の担当ケアマネジャーから一貫した支援を受けられるようにします。

 ●軽度者からの「介護とりあげ」をやめる――05年の法改悪で導入された、軽度者にたいする訪問介護、通所介護、福祉用具などのきびしい利用制限、「介護とりあげ」はやめさせます。「給付適正化」に名を借りて国と自治体がすすめている利用抑制、国の基準にてらしてもいきすぎた自治体による給付制限はただちにやめさせます。

 ●特養ホームの待機者解消へ、緊急の基盤整備5カ年計画をすすめる――38万人をこえる人が特養ホームへの入居を待っているのに、国が低い施設整備の目標を自治体におしつけ、基盤整備の予算も削減していることは重大です。待機者の解消をめざし、まちなかの特養ホーム、宅老所、小規模多機能型施設、グループホーム、生活支援ハウスなど、住みなれた地域でくらせる多様な施設の整備をすすめます。

 特養ホームなどの整備にたいする国の補助金の復活、都市部での用地取得への支援など、国の財政支援を拡充し、戦後ベビーブーム世代が高齢になる2015年に間に合うような緊急5カ年計画を自治体ごとにつくり、待機者の解消をはかります。

 ●どこでも必要な医療・介護を受けられるようにする――介護施設では介護報酬の制限などにより医療が十分に提供できないため、医療を多く必要とする高齢者は利用できず、悲鳴があがっています。介護施設でも、医療行為は医療保険の適用を認めるなど、医療と介護の連携を強め、どこでも必要な医療・介護が受けられるようにすべきです。高齢者の追い出しをすすめる介護型医療施設の2011年度末での廃止は撤回し、地域における慢性期医療を充実します。

 ●食費・居住費の全額自己負担をやめる――食費・居住費の全額自己負担は重く、施設利用を困難にしています。ふたたび公的介護制度の対象とし、利用者負担を軽減します。

 ●事前規制で「もうけ本位」の不正や乱脈経営による廃業などをなくす――介護保険の導入で営利企業の参入が自由に認められた結果、「コムスン事件」のような"もうけ本位"の事業所の不正、廃業などが相次ぎ、そのたびに利用者が犠牲になっています。非営利の介護提供者を支援するとともに、問題が起きた後に事業者を処分するだけの現在の「事後規制」のしくみは、適切な介護を提供できるか事前に審査する「事前規制」へとただちに改めます。特養ホームへの営利企業の参入に反対します。

 

3、労働条件の改善で、人材不足の解消、雇用創出をはかる

 いま、介護現場は深刻な人材不足に襲われており、介護制度の存続に関わる事態です。

 介護現場の人材不足が深刻なのは、低すぎる賃金、労働基準法さえ守られない雇用条件、高齢者の尊厳を大切にしたいという初心を生かせない労働環境など、労働条件が劣悪だからです。この問題を放置しては、いくら人材不足でも、介護は雇用を生み出す場にはなりません。また、これからの高齢社会をささえる介護労働者の確保は、劣悪な条件をそのままに、外国から労働者をつれてくればよいという問題でもありません。

 介護労働者の労働条件の改善は、介護を利用している人の生活と人権を守るためにもきわめて重要です。福祉の志をもって介護の現場で働く人たちが次々と「燃えつき」ていく現状を変え、正当な社会的評価を受けて働けるように、以下のような見直しをすすめます。

 ●介護報酬を底上げする――劣悪な労働条件の根本原因は、介護の提供者に支払われる介護報酬が低すぎることです。これまでの介護報酬の削減が事業所の経営難の原因であることは国も認めています。世論と運動におされ、政府も今年4月に介護報酬を初めて3%引きあげようとしていますが、それだけでは「焼け石に水」です。介護報酬とは別枠での公費投入による賃金の月3万円引き上げの実現とともに、介護報酬の大幅な底上げ、当面、5%以上の引き上げを求めます。その際、国庫負担割合の引き上げ、利用料の減額・免除などにより、保険料や利用料の値上げにつながらないようにすべきです。

 ●人員の配置基準を改善する――高齢者の尊厳を大切にした介護ができるように、人員の配置基準を改善し、介護報酬で評価することも必要です。たとえば、特養ホームは現在の利用者3人につき職員1人(3対1)の基準を実態におうじた原則2対1に改善したり、24時間365日の介護体制をつくるために、夜間の訪問介護は労働者が安心して働ける2人体制とするなど、ただちに改善をはかります。

 介護保険の開始以前にいくつかの自治体が行っていたような、施設や事業所の職員確保、人員配置にたいする公的な助成制度をつくり、労働環境の改善を支援することも重要です。

 ●介護労働者の権利をまもり、常用雇用を主流にしていく――介護保険の開始いらい、「もうけ本位」の企業の参入にくわえ、良心的な事業所でも深刻な経営難のため、低賃金の非正規雇用が主流になっています。介護の質を維持・改善するためにも、直行直帰の登録ヘルパーなどはなくし、労働者の権利が守られ、常用雇用が主流の職場へと改善が必要です。介護報酬を引き上げながら、事業所の雇用管理、法令遵守などをはかります。

 ●研修の機会などを保障する――現在の自治体の研修事業は貧弱です。国の責任で自己研鑽や資格取得のための研修事業などを充実し、介護労働者にその機会を保障します。

 

4、高齢者の生活支援や健康づくりに、自治体が責任をはたす

 福祉事務所、保健所など、高齢者の生活をささえ、健康づくりをすすめる自治体の事業が縮小され、高齢者虐待や介護予防をはじめ、何もかもが介護保険の枠内に押し込まれていることも重大です。高齢者が抱える問題を「丸投げ」されたケアマネジャーらは悩みも多く、その結果、高齢者が深刻な問題をかかえながら、地域のなかで孤立して暮らすことも少なくありません。

 貧困と格差が広がり、多重債務をかかえる子、親の年金だけが頼りの子、精神疾患を抱える家族の存在など、介護を受ける高齢者が抱える問題も複雑・深刻になっています。これらの解決に自治体の役割は不可欠であり、国もそのとりくみを保障すべきです。

 ●保健・福祉・公衆衛生などの自治体のとりくみを再構築する――虐待や介護予防など、高齢者の生活や健康を守ることは、ほんらいは"住民福祉の増進"という自治体の一番のしごとです。ケアマネジャーや地域包括支援センターを支える自治体の保健・福祉・公衆衛生などの体制を充実し、自治体独自のとりくみも強化します。

 とくに06年度からはじまった地域包括支援センターは予防プランの作成などに忙殺され、多くが十分に活動できていません。予防プランの作成はケアマネジャーの仕事にもどし、地域包括支援センターは介護保険法ではなく老人福祉法に位置づけるべきです。国と自治体の一般財源で運営し、自治体の責任のもと、医療・介護・福祉などの連携を強め、高齢者の生活と権利を総合的に支えるセンターとして、その活動を発展させます。

 ●民間での対応がむずかしい人には自治体が介護を提供する――介護の苦労や現場の困難を理解するためにも、自治体自身が、訪問介護、介護施設などの事業にとりくむことは欠かせません。とくに、民間の事業所では対応しきれない困難を抱えた人には、自治体が介護を提供するなど、積極的な役割をはたすべきです。

 客観的に介護が必要な高齢者への自治体の判断によるサービス提供も充実させます。

 ●家族介護者への支援を充実する――家族を介護する人たちには、悩みや苦労を一身に抱える人が少なくありません。これまでの介護保険の枠組みにとらわれず、経済面や仕事との両立、精神面、介護技術の面などから家族介護者への支援体制を充実すべきです。

 

<公的介護制度の改善は安心と雇用をうみ、経済も発展させる>

 介護保険制度で国民の負担が重い最大の原因は、介護保険制度がはじまったときに、それまで介護費用の50%だった国庫負担割合が25%とされ、「三位一体改革」により22.8%(09年度予算)まで引き下げられているからです。日本共産党は、国庫負担割合を、全国市長会と全国町村会も要求しているようにただちに5%引き上げ、さらに給付費の50%まで計画的に引きあげることを求めます。保険料の負担割合を縮小することで、保険料をおさえながら、誰もが安心して利用できる介護制度に改善することができます。

 公的介護制度の抜本的な見直しも、消費税の増税ではなく、生存権の保障、所得の再分配、「負担は能力に応じて、給付は平等に」といった、社会保障の財政論の基本をふまえてすすめます。

 いま、誰もが安心できる介護制度に見直すことは、高齢者の生活と権利を守るだけでなく、介護分野に新たな雇用を生みだし、介護を理由とした離職者をへらすなど、内需を基調とした、わが国経済の民主的発展にとっても重要な効果があります。すべての高齢者の権利と生活をまもり、貧困をなくすことで、仕事と雇用をうみだし、経済も発展させていく――これこそ、憲法25条をもつわが国が21世紀にめざすべき道です。

 

 

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