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日本共産党

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赤旗

年の瀬を迎え雇用と中小企業を守る緊急対策を

麻生首相への志位委員長の申し入れ


 日本共産党の志位和夫委員長が四日、麻生太郎首相に申し入れた「年の瀬を迎え雇用と中小企業を守る緊急対策を」は次の通りです。


 アメリカの金融危機に端を発した急速な景気悪化が、労働者と中小零細企業に深刻かつ重大な打撃を与えている。日本共産党は、十一月十一日に「大企業・大銀行応援か、国民のくらし応援か――景気悪化から国民生活を守る日本共産党の緊急経済提言」を発表し、「ばくち経済」(カジノ資本主義)破たんのツケを国民に回さないために全力をつくすことが政治の責任であるという立場から、具体的な対策を政府に求めてきた。

 年の瀬をむかえ、大量の失業と中小企業の倒産の危険が現実化しつつあるなかで、雇用と中小企業を守るために、政府がその気になれば、ただちに実行できる対策として、以下の措置をとることを緊急に求める。

1、大量の失業者が年末・年始の路頭に迷う事態を引き起こしてはならない

 いま自動車産業をはじめとして大企業が、派遣社員や期間社員などの非正規雇用の労働者を大量に解雇する計画を次々に発表し、「派遣切り」「雇い止め」の嵐が吹き荒れている。突然の通告によって職を失い、住む場所さえ奪われ、寒風の中に放り出される事例が続出している。政府の調査でも、非正規労働者の解雇は三万人を超えているが、その実態ははるかに上回り、深刻な社会問題になっている。この大量解雇の動きは、以下の点からみてまったく不当なものである。

非正規労働者にも適用されるべき雇用のルールを破壊するもの

 第一に、労働者を景気の「調整弁」として、モノのように使い捨てることは、非正規労働者にも適用されるべき雇用のルールを破壊するものである。いま首切りの対象になっている派遣社員や期間社員は、その多くが長期間にわたって正社員と同じ仕事をしてきた労働者であり、「非正規」という理由だけで切り捨てることは許されるものではない。くわえて、大量解雇をすすめている大企業のほとんどは、「減益見通し」というだけで、利益もあげ、株主への配当も減らさず、巨額の内部留保も持っており、大量の失業者を路頭に迷わせるような人員削減を強行する根拠はまったくない。

 整理解雇による人員削減は、企業の維持・存続ができないほどのさしせまった必要性がない限りやってはならない――これは「整理解雇の四要件」として判例でも確立している雇用のルールであり、このルールは派遣・期間社員などの非正規労働者にも当然適用されなければならず、一方的な解雇・「雇い止め」は労働関係における公序を根底から破壊するものである。

雇用破壊と景気悪化の悪循環をもたらす

 第二に、大量解雇は、雇用破壊と景気悪化の悪循環をもたらす。数千人、数百人の規模での大量解雇を発表する企業が相次ぐというのは、かつてなかった雇用危機である。リストラの嵐は、正社員にも及び始めている。これを放置するなら、景気悪化の歯止めをなくし、日本経済を土台から破壊してしまう。個々の企業にとっても、短期的な利益を確保したとしても、中長期的には自らの存立の基盤を崩し、先がなくなってしまう。安定した雇用の確保こそ、最大の景気対策である。

「政治災害」――労働者の生活と雇用を守ることは政府の重大な責任

 第三に、今日の事態を引き起こした大本には、大企業・財界の要求にこたえた労働法制の規制緩和、派遣労働の野放図な拡大がある。いま引き起こされていることは、まさに「政治災害」であり、政治が責任をもってその解決にあたる必要がある。労働者派遣法の抜本改正は急務であるが、法改正の以前にも、職を奪われようとしている労働者の生活と雇用の緊急の保障をはかることは、政府の重大な責任である。

(1)大企業・経済団体に対し、以下の強力な指導と監督を行う

 ――大量解雇の中止を求め、雇用を守る社会的責任を果たさせる。

 ――必要な場合には、雇用調整助成金を活用して雇用を維持するよう指導するとともに、派遣社員、期間社員など非正規労働者を同制度の対象にするなど、制度の拡充をはかる。

 ――離職に際しては、「本人同意」を原則とし、再就職先のあっせんと、再就職までの生活資金や住居の保障など、労働者の生活と再就職への責任を果たさせる。

 ――一方的な「内定取り消し」は、事実上の違法解雇であり、やめさせる。

(2)政府としての失業者対策を抜本的に拡充する

 雇用保険の特別会計の六兆円の「積立金」を活用することも含めて、かつてない規模の解雇、雇い止めによるリストラ被害者を救済する以下の施策を緊急に講じる。

 ――雇用保険から排除され未加入者だった労働者も含めて、「積立金」のうちの一兆円程度をあてて、失業者、求職者への生活援助制度、住宅援助制度をつくり、職業訓練への支援を抜本的に拡充する。

 ――雇用保険の失業給付を改善する。受給資格を六カ月に戻し、給付期間を緊急に延長する。「雇い止め」の場合も、「会社都合」の離職者として給付する。離職者が雇用保険未加入であった場合は、「遡及(そきゅう)加入」の手続きをとるように企業を指導する。

 ――失業者の生活と再就職支援のための総合的な相談窓口を、全国のハローワークに緊急に設置する。

 ――「緊急地域雇用特別交付金」を復活、拡充させる、自治体の雇用創出の取り組みを支援するなど、国と自治体が協力して失業者などへの仕事づくりをすすめる。

2、資金繰りの困難から中小企業の倒産を増大させる事態を引き起こしてはならない

 中小企業・中小業者の景況は急速に悪化、十月の倒産は六年ぶりの高水準となっている。民間調査機関によれば、中小企業の三社に一社が年末に向けて資金繰りが「いっそう厳しくなる」と回答するなど、年末に向けて事態はさらに深刻化しようとしている。事態を放置すれば、年末に向けて膨大な中小企業が倒産の危機に直面することになる。中小企業を苦境に追い込んでいる直接の責任として、三つの問題を指摘しなければならない。

中小企業を苦境に追い込んでいる三つの問題

 第一に、資金供給に最大の責任を負うべき大銀行が率先して貸し渋り・貸しはがしを行っていることである。三大メガバンク(みずほ、三菱UFJ、三井住友)は、わずか一年半の間に、中小企業向け貸し出しを五兆円以上も減らしている。その一方で、三大メガバンクは、カジノ経済の張本人であるアメリカなどの投資銀行に相次いで出資している。経済に資金を供給するという金融機関としての責任を放棄していることは重大である。

 第二に、大企業が、景気悪化を口実にして、単価たたきなど下請代金支払遅延等防止法や下請中小企業振興法にも違反する下請けいじめを激化させていることである。今年の上半期に、公正取引委員会が、下請けへの支払いを不当に減額しているとして指導した減額分だけでも、二十三億五千万円にのぼっている。大企業の下請けいじめをやめさせることは、中小企業の経営を守るうえでも緊急の課題である。

 第三に、政府は、中小企業の資金繰りへの対応は「年内は十分」だとし、三大メガバンクをはじめとする銀行が行っている貸し渋り・貸しはがしを事実上放置している。さらに政府が、昨年十月に導入した部分保証制度で、信用保証協会による保証を100%から80%に引き下げたことが、貸し渋り・貸しはがしに拍車をかけている。中小企業などの強い批判を受け、新たに創設した「原材料価格高騰対応等緊急保証制度」では、「全額保証」をするとしているが、このこと自体が部分保証制度という政府の失政を自らが認めたことになる。しかし、この新制度も期限一年半の時限措置であり、対象業種が六割程度に限定されている。

(1)大銀行・大企業に中小企業の経営を守る社会的責任を果たさせる

 ――大銀行による貸し渋り・貸しはがしをやめさせ、中小企業への資金供給への責任を果たさせる。各銀行に、中小企業への貸し出し目標と計画を明確にさせ、その達成に向けた指導・監督を強化する。金融検査マニュアルの改善、機械的な自己資本比率の規制を取りやめるなどの措置を緊急に行う。

 ――下請けいじめを厳しく取り締まる。「下請かけこみ寺」などの相談体制を強化するとともに、事例と企業名の公表、被害補償などの是正措置を迅速に行う。下請け企業への発注の「安定化及び平準化」など、中小企業の経営安定に大企業が責任を果たすように指導する。

(2)政府として、中小企業の経営を支援する緊急の手だてをとる

 ――中小企業への信用保証は、部分保証への改悪を元にもどし100%保証にする。現在実施されている100%保証の「原材料価格高騰対応等緊急保証制度」については、業種指定をとりやめ全業種に適用する。六兆円規模の信用保証が、切迫する年末のつなぎ資金として確実に執行されるよう、審査の迅速化、簡素化をはかる。日本政策金融公庫などの中小企業向け融資を増やす。

 ――中小企業の仕事確保のために、国と自治体の官公需を前倒し発注するとともに、中小企業むけ発注を引き上げる。地方自治体が、中小企業向けの仕事おこしとして取り組んでいる、住宅の耐震補強、学校・保育所・地域施設等の改修など小規模修繕工事の発注、商店街振興のための「地域買い物券」の発行などを促進するため、国としての支援を強化する。

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