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日本共産党

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赤旗


子どもの権利条約 国連採択から10年を迎えて

1999年11月21日


 子どもの権利条約が国連総会で採択されて、この二十日で十周年をむかえました。

 この条約は、子どもたちを人間の尊厳をもった主体としてとらえて、子どもの生存権、意見表明権、成長・発達権、保護される権利、市民的自由などを保障していこうというものです。この条約の採択は「子どもはおとなのいうことを聞くべき存在」であるという従来の子ども観の見直しを迫る画期的な出来事でした。

子どもの最善の利益を考慮

 条約は、「児童に関するすべての措置をとるに当たっては……児童の最善の利益が主として考慮されるものとする」と明記しています。国をはじめ地方自治体、子どもにかんする諸機関などが子どもにかかわる施策をおこなう場合は子どもの「最善の利益を主として考慮」することを求めているのです。

 「最善の利益を主として考慮する」ためには、当然、子どもの意見を聞くことは不可欠の条件です。そのために条約は、子どもの意見表明権を保障しています。

 子どもにとって何が「最善の利益」であるかをさまざまな形で子どもたちの意見を直接聞き、それをあらゆる場で生かしていく努力が求められています。その努力は、国だけでなく、親をはじめ学校にも、テレビなどのマスメディアにも、社会全体にも求められます。

 国は、そのためにも、まず条約とはそうした内容をもったものであることをすべての子どもたちや国民にわかるように知らせ、徹底し、定着させていく責務をもっています。

 ところが、批准してから五年も経つというのに、いまだ子どもの権利条約の全面実施を拒んでいます。そのためもあって、わが国では、子どもたちが人間として成長していくに必要な社会的環境、とくに学校、地域、家庭などの環境は悪化の一途です。児童虐待も増えています。

 学校では、わが国の子どもたちは「高度に競争的な教育制度のストレスにさらされていること及びその結果として余暇、運動、休息の時間が欠如していることにより、発達障害にさらされている」(九八年六月、国連・子どもの権利委員会の懸念・勧告)状態です。

 このような懸念・勧告を受けた国はサミット参加国では日本だけです。この是正がいそがれます。

 そのうえに、国旗・国歌の法制化で教育現場への強制がおこなわれようとしています。条約にもとづけば、「日の丸・君が代」問題は良心の自由、内心の自由にかかわる問題であって、その強制は許されません。

 わが国では、条約批准後、各地で子どもの意見を取り入れたさまざまなとりくみがおこなわれています。そのよりどころこそ、子どもの権利条約です。最近でも、たとえば、小学校の建て替えに子どもの意見を反映して改善する(東京三鷹市)、市に子ども委員会をつくり「子ども権利条例」づくりにとりくむ(川崎市)、二年間かけて「子ども人権宣言」をつくる(福岡県)などのとりくみがおこなわれています。

子どもの意見を聞こう

 子どもたちは「わたしたちの意見を聞いてほしい」と訴えています。おとなも社会も政治もこの訴えにともに耳を傾けていこうではありませんか。そして、国連での採択十周年を機に社会のすみずみに子どもの権利条約を生かすあらゆる活動を強め、子どもたちにとっての「最善の利益」を保障していきましょう。

 日本共産党は、国連での採択十周年にあたり、ひきつづき国民のみなさんとともに子どもの権利条約の普及、徹底のために努力するとともに、二十一世紀に向けて「子どもの権利条約の完全な実施」(党綱領)のため奮闘します。


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