2026年衆議院選挙各分野別政策
36、コメ問題
農業者が安心して米づくりを続けられ、すべての国民が手ごろな価格で国産米を食べられる日本に
2026年1月
一昨年来の「令和の米騒動」は日本社会を大きく揺るがし、国民の主食をまともに供給できない政府の姿をあらわにしました。農家が安心して米を作り続けたい、消費者が手ごろな価格でお米を買いたい、この願いにこたえるのは国政の緊急かつ重大な責務です。
自民党農政の明確な失政
この間の米不足と米価高騰は、需要量に対して供給量が大幅に不足していたことで起きたものです。政府は猛暑による生産減、インバウンドによる需要増などを要因に上げますが、わずかの需給変動で店頭から米が消え、国民の手に入らない事態を生み出したのは政府の明確な失政といわなければなりません。問われるべきは、需要が毎年減ることを前提に生産量をぎりぎりに抑える余裕のない需給計画であり、それにもとづく生産調整の押しつけです。
より根本的には、この30年、自民党政府が市場まかせの米政策で米作りの基盤を著しく弱めてきたことです。生産者米価は60㎏2万2,000円台から1万2,000円前後に下落し、民主党政権が始めた米に対する支援(10㌃1万5,000円)も打ち切られて大多数の米農家が成り立たなくされました。その結果、2000年に175万戸あった米農家は2024年には53万戸に減少、その6割近くが70歳以上という事態です。このままでは、国民の需要を国内産で確保できず、今回のような「米騒動」が恒常化することになりかねません。
市場まかせの米政策をいっそう推進
石破前政権は、昨年8月になってようやく米不足を認め、「増産への転換」を打ち出しました。しかし、増産による価格下落への対策はなく、農業者が安心して増産に踏み出せる展望は示せませんでした。
高市政権になって鈴木農水大臣はその「増産」をも否定し、「需要に応じた生産」を強調、「価格は市場にまかせる」と繰り返しています。米不足を引き起こした自らの農政に何の反省なく、今後も徹底するというのです。
いま、昨年来の米不足の影響をひきずり店頭価格は高止まりしていますが、一方で、2026年6月末の民間在庫が過去最大になるとの予測から生産者・流通業者の間に米価暴落の不安も広がっています。この不安にも鈴木農相は、生産者の責任による「需要に応じた生産」を繰り返すだけで何もしようとしません。
しかし、民間在庫の増大は、25年産の米価高騰による加工・飼料用米からの転換もありますが、政府が備蓄米を “じゃぶじゃぶ”放出したことや、2025年産の備蓄米の買い入れを中止した結果でもあります。いま求められているのは、空っぽに近い政府備蓄米の早急な回復であり、ゆとりある需給計画にもとづく米の増産です。それが念頭にない高市政権のもとでは、米の安定供給はとうてい望めません。
高市政権は米の備蓄制度についても、民間備蓄の導入や輸入米の活用なども検討するとしています。政府による本来の備蓄の機能を失わせ、食料の安全保障を大きく損なう無責任な対応といわなければなりません。
「需要に応じた生産」は生産者のためか
「需要に応じた生産」は米価を維持し、生産者を守るためとの理解がありますが、事実と違います。米の生産は気象等の影響で豊作や不作になることは避けられません。作付け段階で需要にあわせて生産を調整しても収穫後にギャップが生まれるのはしばしばです。そして豊作になった場合の米価の暴落は何度も経験しています。
また仮に、収穫後に需要と供給が一致したとしても、そこで形成される米価が農家に再生産を保障する水準になることはまれです。国民の実質所得が低下してきたことを背景に大手スーパーや外食産業による買いたたきが横行しているからです。この30年、「需要に応じた生産」の名による生産調整が農業者や農村社会の多大な負担を伴いながら実施されてきたにもかかわらず米価が長期低落を続けたのは、その表れにほかなりません。
自民党政府は2026年の国会に食糧法改定案を提案し、「需要に応じた生産」を法律に書き込む構えです。その一方で、2026年の夏までに水田政策を見直し、水田における主食用以外の作付けを支援してきた交付金を廃止するといいます。これは政府の転作政策からの撤退を意味し、「需要に応じた生産」は農業者の自己責任による生産調整のいっそうの押し付けにならざるをえません。
米の需給や価格の安定に政府が責任をもつ
米は主食です。すべての国民に年間を通じて安定した価格での供給が求められます。そのことは国民の暮らし、社会の安定に不可欠であり、公的性格をもつ極めて需要な課題です。だからこそ、米の需給と価格の安定に政府が責任を持ち、一定のコントロールを行うべきです。
日本共産党は、市場まかせ、農家の自己責任まかせの農政を大本から転換し、米の増産による安定供給をはかり、異常な米価高騰を抑えます。そのために生産者・農家への支援を抜本的に強化します。
ゆとりある需給計画のもと米の生産、備蓄を拡大する
――政府の米需給計画は、気候や経済変動などで多少の需給ギャップが生じても米不足にならないよう、ゆとりある計画にし、生産、備蓄を拡大する。
――国内外の不測の事態に十分対応できるよう政府の備蓄米を現状の2倍、200万㌧以上に増やす
――空に近い政府の備蓄米の早急な回復のために2026年産以降の備蓄米の買い入れ量を計画的に増やす
――備蓄米の役割を見直し、豊作などで民間在庫がだぶつき、大幅な価格下落が予測される場合は国が備蓄米の買い増しを行い、逆に米不足、流通の混乱が懸念される場合は放出するなど柔軟な運用を行う
農業者が安心しに増産できる価格や所得を保障する
生産者米価が2万円台~3万円台に回復したとはいえ、農機具等の資材費も高騰し、多くの農家にとっては長年の赤字の一部を埋める程度に過ぎません。当面の米の増産でも、将来にわたる米生産の維持・安定にとっても、大多数の農家が安心して生産に励める米価と所得の実現は最低限の条件です。
――米の販売価格が下落して生産コスト(勤労者並みの労働報酬を含む)を下回った場合、生産者にその差額を補てんする制度を創設する。当面、60㎏あたり2万円~2万数千円を保障し、条件不利地域などには加算する。
――水田のはたす環境・国土の保全など多面的機能が農業者の無償の労働によって支えられていることを考慮し、そこに着目した所得補償を実施する。
大小多様な稲作経営を支援する
自民党政府は米農家の激減を前提にして経営の大規模化、効率化、スマート化などを重点的に支援しています。しかし、それが可能なのは一部の恵まれた地域です。大規模経営が“ポツン”と残っても、畦草刈りや水路整備などはできなくなり、コミュニティも維持できず、環境や生物多様性も守れません。
――大規模経営とともに中小農家、兼業農家、新規参入者なども含めて大事な担い手に位置づけ、その経営が維持できるよう支援する。
――米作りの新たな担い手を確保するために、国、自治体、関係団体が連携し、農地や機械などの無償貸し出しなどを含め、思い切った支援を行う。
米の輸入拡大は許さない
自民党政府はトランプ米政権の不当な関税要求に屈して、ミニマムアクセス米の米国枠75%拡大を受け入れ、SBS米の輸入の前倒し、輸入米の備蓄米への活用などを狙っています。財務省の財政審議会も、米不足を口実にミニマムアクセス米の主食枠の拡大を提言しています。
――米の生産基盤をいっそう弱体化させる米の輸入拡大には断固反対する。
――ミニマムアクセス米の削減・廃止をめざす。当面、輸入機会の提供に過ぎないミニマムアクセス米の義務輸入は中止する。
輸出拡大より国内需要を重点に
政府は人口減少で米の国内需要が減少するので輸出拡大に力を入れるとして2030年には現状の8倍に増やす目標を立てています。個々の生産者や産地が輸出に活路を見出すのはあっても、米不足が深刻な日本で政府が力を入れるべきは足元の国内需要を満たすことです。
――主食用に限らず加工用、酒造用、飼料用を含めれば国内の米需要の伸びしろは大きいものがあり、その生産拡大にこそ農政の力を集中する。
水田のもつ豊かな生産力を生かし、総合的な利用を推進する
政府は、財政負担軽減を優先する立場から、水田の畑地化など水田つぶしを推進してきました。さらに2027年度から水田活用直接支払い交付金を廃止し、水田・畑にかかわらず作物別に支援する方向で見直すといいます。水田における麦・大豆、飼料用米の生産が大幅に縮小され、災害防止、水源涵養など水田のもつ多面的機能が失われのは必至です。
――食料自給率の向上という点からも、可能な限り水田を維持する。
――主食用米も、加工用・飼料用米、麦・大豆・飼料作物なども、地域の条件に応じて増産できるよう支援する。
――財政支出削減の最優先する水田の畑地化や水田活用交付金制度の見直しは中止する。畜産農家と結びついている飼料用米への支援は継続する。
――水田における主食用以外の作物への支援については、主食米と他作物との収益性の格差を是正することを基本に維持・拡充する。
――畑作物等の作付けが長期化し、実質的に畑地化している場合でも、麦・大豆・飼料作物の生産が維持できるよう手厚い支援を行う。
低所得者などへの食料支援を抜本的に強化する
米を食べたくても食べられない生活困窮者が増えています。米国では農務省予算の7割以上(約23兆円)を国民への食料支援に充て、国内の農産物の需要を喚起しています。
――学校給食、医療・福祉施設などに備蓄米が直接届くようにする。子ども食堂やフードバンクへの無償交付を大幅に増やすなど低所得者への食料支援を抜本的に強める。
――米不足、米価の乱高下の影響で資金繰りで苦境に陥る零細米小売業者への支援を強める。
米・水田にかかわる予算を1兆円増額する
農林水産予算は年々減り続け、異常突出を続ける軍事費の4分の1にすぎません。自民党政権は軍事費を毎年1兆円増やしていますが、国民の命、国土を守るというなら食料・農業予算こそ抜本的に増額すべきです。
――米にかかわる予算を1兆円増やして価格保障や所得補償の抜本的な充実、備蓄米の増加、新規就農者の本格的な確保など米の生産と安定供給に責任を持つ政治を進める。



