2026年衆議院選挙各分野政策
60、「国会改革」と議会制民主主義
行政監視機能、国政調査権、徹底審議、開かれた国会
2026年1月
国会の行政監視機能を強め、民意を反映した「徹底審議」の国会に改革します
国民を代表する国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会の重要な役割は、政府行政を監視監督することです。
第2次安倍政権以降、自民党政権は、森友学園問題での財務省の公文書改ざん、加計学園の獣医学部新設への総理の関与、陸上自衛隊の日報隠ぺい、厚生労働省の裁量労働制のデータねつ造問題、「桜を見る会」の招待者名簿破棄、厚生労働省・国土交通省による基幹統計の不正問題など、民主主義の根幹を揺るがす大問題を引き起こしてきました。
これに対して、国会の役割は、国政調査権を行使し、その真相を徹底解明することです。国会が政府行政を監視監督する責務を十分に果たし、国民の負託に応えることが、与野党を超えて求められたのです。ところが政府・与党は、国会に対して正確な情報や資料を提出することを拒みつづけてきました。
また、安倍・菅政権は、野党が新型コロナ対策等を議論するため要求した、憲法53条に基づく臨時国会召集要求を無視したうえ、安倍、菅両総理の政権投げ出しによる総理指名選挙を行う目的の臨時国会にすり替えました。さらに、岸田政権と石破政権は総選挙の争点を明らかにするための予算委員会の開催そのものを拒否しました。議会制民主主義を根底から壊すものです。
国民は、2024年の衆議院選挙に続き、25年の参議院選挙でも「与党過半数割れ」という厳しい審判を自民党につきつけました。石破首相は選挙後も続投しながら1か月後に退陣を表明し、自民党は総裁選挙で高市早苗氏を新総裁に選出しました。その直後に公明党が政権を離脱し、危機に陥った自民党は、日本維新の会との連立政権に舵を切りました。参議院選挙後の約3か月間、国会で実質審議を行わず、物価対策など喫緊の課題をないがしろにした自民党の責任は重大です。
その上、高市首相は「解散を考えている暇はない」と繰り返し言明しながら一転し、今年に入って、官邸主導で“解散風”を吹かせ、1月19日の会見で「通常国会冒頭で衆議院を解散し総選挙を2月8日投開票で行う」と表明し、23日に「大義なき党略解散」の挙にでました。解散から投票までは史上最短のわずか16日間です。
自民党は「解散は首相の専権事項」と言いますが、そのようなことは憲法のどこにも書いてありません。首相の勝手な都合で衆議院を解散することは憲法を無視した解散権の乱用です。
日本国憲法は、国民主権のもとで国会を国権の最高機関と位置づけて、権力を統制することを要請しています。衆議院に内閣に対する不信任決議権を与えているのも、国会が内閣の横暴を統制することを求めているからです。衆議院議員の任期は4年と明記しており、議員は4年の任期を通じて国民の負託に応え、その職責を果たすことが責務です。そのうえで、憲法が不信任決議に対する内閣の解散権を規定しているのは、国会や内閣が民意を反映しているのかどうかの最終的な審判は、選挙によって主権者・国民が判断を下すことを明確にしたものです。選挙で示された民意に基づき国会が首相を指名し、そのもとで内閣を組織し国政を進めることで、国民主権と民主主義を徹底しようというものに他なりません。こうした憲法の精神を踏まえれば、多くの憲法学者が述べているように、内閣による衆議院の解散は無制限ではなく、内閣不信任決議の可決に相当するような場合(予算案や内閣の重要法案の否決等)に限定されるべきです。ましてや党利党略による大義なき解散は認められません。
1年3か月前(2024年10月)の衆議院選挙と昨年7月の参議院選挙で自民党政権与党に過半数議席を許さなかった主権者・国民の審判に従って国政を運営するのが高市首相の責任です。「私が首相でいいのか問いたい」などと言って、与党を多数にして政権への白紙委任を得るために解散するなどという、主権者・国民の審判を踏みにじる横暴は、到底許されません。
通常国会の冒頭解散はかつてない暴挙です。憲法・国会法によって、通常国会は、年1回、1月召集、会期150日間と定められ、施政方針や予算案の審議を行うことを任務としています。国政で最も重要な予算審議を放棄して解散・総選挙を行うことは首相の責任放棄です。内閣の施政方針に対する代表質問や予算案の審議をいっさい行わず、国政の争点を明らかにしないで、しかも短期間の選挙で実務的にも困難を伴うもとで、どうして国民の選挙権・参政権を保障できるでしょうか。高市首相による解散権の乱用は、憲法を踏みにじり、国民主権・議会制民主主義の根幹をなす国民の選挙権・参政権を侵害するものであり、断じて許されません。
国会改革の基本は、国会の政府行政監視機能の強化です
議会制民主主義の危機的な状況のもとで、国会のあり方が問われています。「国会改革」で問われているのは、国会の立法機能、行政監視機能を充実し強化していくことです。
国民の意見を反映し、政府行政を監視監督するための国会の機能を強化し、「徹底審議」の国会に改革することが求められています。自民党などが主張する「国会改革」は、「総理・閣僚の国会出席の制限」「答弁の軽減」を中心としており、国会が政府を監視監督する機能を弱体化し、国会審議を形骸化するものです。
憲法第66条は、内閣は、行政権の行使について、国会に対して連帯して責任を負うと明記し、第63条は、国会の要求に対し、内閣総理大臣や国務大臣が国会に出席し答弁することを義務づけています。国会審議への総理出席を制限することは、行政府の長である総理大臣の国会に対する責任をあいまいにし、国会による行政監督の権能を制限することになりかねません。
政府提出法案の審議では、政府の責任で提出した法案について、担当大臣が責任をもって答弁し、とりわけ内閣の基本政策にかかわる重要法案の審議に総理大臣が出席し答弁するのは当然です。また、経済や外交など国政の重要問題で予算委員会の集中審議を行い、総理大臣が出席し質疑に答えることは、国民に対する説明責任を果たすうえからも必要です。
質疑と討議・討論は本質的に異なります。総理大臣等への質疑は、政治家同士の討議や党首討論に置き換えられるものではありません。
会期制は憲法上の規定です。法案は会期内に衆参両院で可決されなければ成立しないという仕組みは、国会による政府監視機能の一つです。会期中に成立しなかった政府提出法案は、国民の意見を反映して見直し、出し直すのが筋です。
国会審議の形骸化に対する”検証と反省”を
「国会改革」の議論にあたっては、「国会審議活性化」「効率化」の名で何が行われてきたのか、きちんとした検証と反省が必要です。
1999年の「国会審議活性化法」について、わが党は、国家基本政策委員会を設置することにより、内閣総理大臣の国会審議への出席を大幅に減らそうとするもので、行政府の長としての総理大臣の国会に対する責任をあいまいにし、国会による行政監督機能を制約し、弱めるものだと指摘し反対しました。
同法の運用にあたっての「申し合わせ」(2000年1月18日、自民、自由、民主、公明4党合意)で「党首討論(QT)を毎週水曜日に行う」としながら「本会議・予算委員会への総理出席と重複しない」こととされ、総理の国会出席制限がもちこまれました。そのもとで、従来、通常国会の総予算審議で7日間程度行われていた全閣僚出席の総括審議は2~3日程度の基本的質疑に短縮され、法案審議における本会議への総理出席は「重要広範議案」(4件程度)に限定され、著しい国会審議の形骸化をもたらしました。しかも、こうした総理出席を制限する「しばり」は、政府与党側が政府提出法案を押し通す上での妨げともなり、数年で事実上、破たんをきたしました。
また2009年には、官僚答弁禁止、法制局長官の答弁禁止、大臣答弁は月1回、委員会定例日の廃止などという「国会改革」構想がもちだされましたが、議会制度を根本的に変質させるという批判のもとで頓挫しました。
うした経緯の検証と反省がいまこそ必要です。
ところが自民党は、「国会改革」と称して「総理の国会出席制限」や「政府提出法案の優先審議」などを繰り返しもちだしてきました。政権与党の側から提起される「国会改革」は、結局、国会を政府提出法案の追認機関にしたいというものにほかなりません。
2025年の通常国会で、衆議院において、自民党と立憲民主党が「予算委員会の基本的質疑における全閣僚出席の運用を見直し、内閣総理大臣及び財務大臣以外の大臣の出席については、質疑者から要求のある大臣のみが出席する」とする「国会改革の申合せ」をとりまとめ、これに日本維新の会、国民民主党、公明党が賛成しました(6月17日)。日本共産党は、憲法66条3項は「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う」としており、予算委員会への閣僚出席を後退させることは、憲法の要請を踏みにじるものだとして反対しました。
また「申合せ」は、常任委員会の委員数削減を盛り込んでいます。「申合せ」に基づき、25年秋の臨時国会で、予算委員会を除く委員数40人以上の9つの常任委員会の委員数を一律に5人削減する衆議院規則の改定が行われました。厚生労働と国土交通は40人とされ、内閣、総務、財務金融、文部科学、農林水産、経済産業、決算行政監視はそれぞれ35人に減らされます。17常任委員会の半数を超える9委員会で一律5人もの委員数を削減するのは前代未聞です。これは、少数会派を委員会審議から排除し、多様な民意の反映を妨げるものです。委員会中心主義の日本の国会において、常任委員会が行政監視や立法活動などの役割をはたすためには、その構成において一定規模の委員数が欠かせません。委員数の削減は、国会の行政監視機能を後退させることにつながるものであり、認められません。「申合せ」は常任委員数の削減の理由について、「衆議院議員の定数が累次にわたり削減されてきたこと」をあげていますが、これは本末転倒の議論です。25年前(2000年)の省庁再編に伴う常任委員会再編以降、500あった議員定数は465に削減され、21あった常任委員会は17に減らされました。そのうえに常任委員数を一律削減すれば、国会活動は縮小する一方であり、到底、容認できません。
「国会改革」の名で閣僚の国会出席義務をさらに後退させ、少数政党の発言機会を少なくする申し合わせは撤回し、常任委員会の委員数はもとに戻すべきです。多様な民意を反映し、少数政党・会派の発言権を保障することこそ、議会制民主主義を発展させる道です。
国権の最高機関としての国会の行政監視機能を弱体化させる一方で、政府の側は官邸主導のトップダウン機能を強化し、「秘密保護法」で情報統制と国民監視の仕組みをすすめていることは、絶対に許されません。
国会改革についての日本共産党の提案
国会改革について、わが党は従来から様々な提案をしてきました。中心問題は、少数会派の議員にも十分な質疑時間を保障し、徹底した審議を通じて問題点を国民の前に明らかにし、国民的な議論を反映して審議をつくす国会にすることです。同時に、議会制民主政治の土台である選挙制度を、民意を正確に反映する比例代表中心の制度に改革することが重要です。
「徹底審議」の国会を実現するために
政府提出法案等の審議では、本会議・委員会での徹底した質疑を通じて問題点を国民の前に明らかにし、国民的な議論を反映しながら審議をつくす「徹底審議」が不可欠です。
ーー常任委員会の委員数削減を撤回し、もとの委員数に戻します。
ーー質疑時間は議席率による按分ではなく、少数会派の議員にも十分な質疑時間を保障すること。修正案についても十分な質疑を行なうこと。また専門家や関係者を招いた参考人質疑や多様な国民の意見を直接聞く公聴会を積極的に活用します。
ーー政府が何本もの法案を「束ね」一つの法案として提出することが容認され、また数本の法案を「関連」と称し一括して委員会付託し、審議することもまかり通っています。このことも十分かつ徹底した審議を妨げており、法案毎の審議に改めます。
ーー法案審議における総理出席(「重要広範議案」)は「4件程度」に限定せず、内閣の基本政策にかかわる重要法案の審議への総理出席を求めます。
党首討論については、衆参いずれかの院で10議席以上なければ党首討論に参加できないというような、少数政党を不当に国会審議の場から排除したり、発言の機会を少なくしたりしている取り決め(申し合わせ)を抜本的に改めることを求めます。「国会活性化」の名で総理・閣僚の国会出席義務を制限する取り決めは廃止することを要求します。
国会請願について、現状は会期末の審査となっていますが、審査を会期半ばに行い、請願者から趣旨を聴取し質疑するとともに、審査結果の理由を請願者に明らかにするなど、運用の改善を提案します。
議案提案権の人数要件を緩和し、議員立法の活発化を図ります。
2021年の通常国会で24本の政府提出法案と1本の条約に法案条文・参考資料の間違いがあったことが問題となりました。コロナ関連の感染症法案では、政府は罰則条項に誤りがあることを知りながら国会に報告せず、結果として間違った法案で審議が行われていました。このような極めて深刻な事態を繰り返さないために、誤りがあった場合には、速やかに国会に報告し、国民への周知のため官庁ホームページに修正部分と訂正日を掲載する対応を求めます。
国会の国政調査権を行使し、行政監視機能の強化をはかるために
国会のもっとも重要な役割は、政府行政を監視監督することです。そのため、国会が求める資料・情報を政府が提出することは当然の前提です。
国政調査権を行使し、国会による政府・行政を監視する機能の強化を求めます。行政実態の解明のため、行政責任者(官僚)、公的機関への質疑、関連企業の責任者の証言を求めます。政府・行政機関等が議事録の作成・公表を怠り、「黒ぬり公開」などの情報隠しの横行を許さず、国会の行政監視活動に必要な行政資料・情報の公開を徹底して求めます。
国会に「行政監視院」を設置します(2019年に5野党共同で法案提出)。衆議院議員21名、参議院議員11名の要求で行政から資料を提出させる法的な強制力をもって、政府を監視し行政実態の解明をすすめます。
東京電力福島第一原発事故では、国会の国政調査権を背景に、政府からも事業者からも独立した調査委員会として「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)」を設置し、事故原因と責任の究明を行いました。政府が事故原因の究明と責任をあいまいにし、事故を過去のものにしようとしているもとで、国会事故調が提言した、第三者機関として「原子力臨時調査委員会(仮称)」を設置し、「事故を継続して厳しく監視、検証」することを求めます。
国立国会図書館は「真理がわれらを自由にする」との理念の下、国会の立法・調査機能の強化に奉仕し、国民の図書館要求にも応える機関として設立されたものです。国会図書館の充実、強化は不可欠です。
秘密保護法は、国会の国政調査権を侵害し、国会の政府監視を不能にするものです。経済秘密保護法にも、秘密保護法と同様の規定が盛り込まれました。秘密保護法・経済秘密保護法の廃止を求めます。
各分野の政策「73、秘密保護法廃止」もごらんください。
国会の公文書管理・情報公開をすすめ、「開かれた国会」にするために
国民主権の議会制民主主義において、何よりも主権者国民に「開かれた国会」でなければなりません。開かれた国会は、国民が積極的に政治に参画し、国政を監視することにつながります。
日本共産党は、立法府の公文書管理法・情報公開法の制定をすすめるよう提案してきました。とくに、国会の公文書管理について、国会事務局の「議院行政文書」だけでなく、議員による立法作業や調査活動に係る「立法調査文書」等も、その文書の管理・公開を図るようルール制定に向けた議論が必要です。また公文書の取扱いに関して、専門職(アーキビスト・レコードマネージャー)の配置も必要です。
衆議院の「憲政記念館」は、2028年度末以降に開館予定の新国立公文書館と併設となり、規模も拡大することになっています。これを機に、議会制民主主義について国民の理解を深めるため憲政資料の収集・保管・展示の場としての「議会資料館」の役割、国会参観者への学習・研修の場としての「議会ビジターセンター」の役割に加え、立法府の重要公文書を保管・公開する「議会公文書館」としての役割をもつ施設として位置づけることを提案します。
東京電力福島第一原発国会事故調査委員会(国会事故調)の調査資料の管理、公開の法体制整備を求めます。
国会のICT活用について、ペーパーレスなどコスト削減の観点から出発するのではなく、国会審議の充実をはかる観点からの議論を行うことを提案します。さらに、国民に対し、衆議院の情報公開拡大に向け衆議院サイトの改善、迅速なインターネット公開を進めるよう求めます。
「衆議院インターネット審議中継」は、衆議院では現在2010年の第174回国会以降の審議が公開されています。日本共産党が、映像が残っている過去の審議もインターネット公開するよう求めてきたことで、2024年から、1991年の第120回国会以降の審議が「映像記録アーカイブ」として公開されました。さらに「審議中継」に字幕を入れるよう提案しています。



