2026年衆議院選挙各分野政策
64、マイナンバーカード
2026年1月
マイナンバーカードと保険証との一体化押しつけをやめさせ健康保険証を存続させます
国民の反対を無視して、政府は2024年12月、健康保険証の新規発行停止を強行しました。
マイナ保険証は、導入当初から健康保険証情報が別人のものと登録される「紐づけ誤り」が多発し、他人の情報が閲覧される重大な問題が指摘されましたが、2025年6月17日には全国の複数の病院窓口でマイナ保険証を提示するとエラーとなり、資格確認ができないという深刻な事故も起きています。医療現場のトラブル・混乱はいまでもあとを絶ちません。
さらに、本人が知らぬ間に、重要な個人情報である所得区分が洩れていることも分かりました。2025年5月の国会で日本共産党の伊藤岳参議院議員が明らかにしました。
そもそもマイナンバーカードをつくるかどうか、また、マイナンバーカードを保険証として登録するかどうか、さらに、マイナ保険証を使うかどうかはまったくの任意です。強制するようなやり方でごり押しすることは許されません。
また、従来の保険証を廃止することは国民皆保険制度を揺るがす重大な問題です。「骨太の方針2022」は、保険証との一体化については「選択制」とし、「オンライン資格確認の導入状況等を踏まえ、保険証の原則廃止を目指す」としており、原則廃止といっても「加入者から申請があれば保険証は交付される」と明記していました。にもかかわらず、2022年10月に突如、河野デジタル大臣(当時)は「現行の保険証を24年秋に廃止する」と発表し、閣議決定を覆しました。この方針転換は関係3大臣(デジタル相、厚生労働相、総務相)だけで協議し、岸田総理(当時)に報告し決めたもので、一部の閣僚で閣議決定をなし崩しにするという乱暴なやり方です。
政府がマイナ保険証の利用を押し付けるのは、「マイナ保険証」による医療情報を活用した社会保障費削減や新しいビジネスのタネにしようと狙う財界の要求があるから
従来の保険証利用を認める暫定措置へ
政府は、2024年12月に従来の健康保険証の新規発行停止を強行し、2025年7月末には後期高齢者や国民健康保険の保険証が期限切れとなり、2025年12月1日には会社員の健康保険組合や公務員の共済組合などが発行する保険証も有効期限切れとなりました。
しかし、「保険証を残せ」の国民の運動におされ、期限が切れていても従来の保険証が2026年3月末まで使える暫定措置を取らざるを得なくなっています。後期高齢者や国保加入者の保険証ではすでに同様の措置が取られています。政府はこの措置を国民全体には周知はしないとしており、説明責任を果たさず逃げ回わる姑息なやり方をしています。
マイナ保険証に対する国民の信頼は低く、98%がマイナ保険証にしているにも関わらず
マイナ保険証利用率は47.73%にとどまっています(2025年12月)。一方、マイナ保険証の登録を解除する人は、毎月1万人にものぼっています。
国民が最も信頼をおいているのは従来の保険証です。その使用は2025年3月末までの「暫定的」な措置にとどめず、引き続き使用できるようにすべきです。
マイナ保険証の利用率をもとに医療機関等への補助金に傾斜を設けたり、診療報酬制度に新たな加算制度をつくって、一定の利用実績を下回る医療機関等を加算の対象外とする制度を導入するなど、政府のやり方は、医療機関等にマイナ保険証利用を無理やり仕向けるものです。ましてや、利用実績の低い医療機関に対しては、「療養担当規則違反となるおそれ」を示すなどは、医療機関等に不当な圧力をかけるものであり許されません。
――マイナ保険証の押しつけをやめさせ、健康保険証を存続させます。
――マイナ保険証の利用率による医療機関等への差別的な扱いを直ちにやめさせます。
広がる資格確認書交付
マイナ保険証を持たない方への資格確認書の発送が始まっています。
資格確認書は「マイナンバーカードを取得していない方や、まだマイナンバーカードを健康保険証として利用する登録をしていない方に、マイナンバーカードによらず保険資格が確認できるように、ご自身が加入している医療保険者(勤務先や各自治体など)から無償で交付されます」(デジタル庁)もので、これまでの保険証と同じように医療機関で使用できます。
政府はマイナ保険証の利用が困難な方(高齢者、障害がある方など)は、申請すれば、資格確認書を交付するとしていますが、それ以外のマイナ保険証を持っている人には交付しない方針でした。しかし、一向にマイナ保険証の利用が進まないなか、厚生労働省は2025年4月になって、マイナ保険証の保有にかかわらず、75歳以上の後期高齢者の方全員に、7月末までに資格確認書を送付することを決めました。
また、東京の渋谷区と世田谷区では、マイナ保険証を持っている人も含め、国民健康保険の加入者全員に健康保険証と同様に使える資格確認書の交付を決定しました。
世田谷区の保坂区長は「マイナ保険証は5年に1度、自治体の窓口で、電子証明書の個人認証の更新をしなくては使えなくなります。カード保有者の多くは、2020年9月から2023年9月末までのマイナポイント付与キャンペーンでマイナ保険証を作っていて、その人たちが25年から続々と更新時期を迎える。そこで、役所の窓口が再び大混乱する可能性がある」と、全員への交付の理由を説明しています。
――今までの保険証の代わりとなる資格確認書は、高齢者・障害者にとどまらず、マイナ保険証を持っている人を除外せず、全員に国の責任で交付させます
マイナンバー制度を廃止します
マイナンバー制度は、日本に住むすべての国民・外国人に生涯変わらない12ケタの番号をつけ、さまざまな機関や事務所などに散在する各自の個人情報を名寄せ・参照できるようにし、行政などが活用するものです。2015年10月に付番が行われ、2016年1月から、希望者に対し、顔写真やICチップの入った「マイナンバーカード」が交付されています。
政府が国民一人ひとりに生涯変わらない番号をつけ、多分野の個人情報を紐づけして利用できるようにすること自体、プライバシー権の侵害の危険をもつ重大な問題です。
政府は、デジタル改革関連法で、政府が管理・運営しているウェブサイト「マイナポータル」を入り口とした情報連携を拡大させ、あらゆるデータを集積しようとしています。2023年や2024年のマイナンバー法改正では、もともと利用を限定していた社会保障制度・税制・災害対策の3分野に限らず、それ以外の行政事務についてもマイナンバー利用を可能とし、その情報連携についても省令改正で可能としました。マイナポータルでは、世帯・戸籍情報、健康・医療、年金関係など、様々な個人に関する情報が確認できるようになっていますが、その具体的な情報は各府省庁の判断で拡大が可能です。また、本人同意を要するものの、民間企業はマイナポータル上にある個人に関する情報をAPIにより取得することも可能です。本人同意の際には包括的同意が求められるなど、同意の在り方に問題があることや、APIで取得できる情報が拡大していけばより一層プロファイリングが進み、選別や排除、不当な差別や不公平が助長されかねません。
政府・財界の最大の狙いは、社会保障費の削減、大企業の税・保険料負担の削減
もともと、国民の税・社会保障情報を一元的に管理する「共通番号」の導入を求めてきたのは、財界でした。日本経団連は2000年代から、各人が納めた税・保険料の額と、社会保障として給付された額を比較できるようにし、”この人は負担にくらべて給付が厚すぎる”などと決めつけて、医療、介護、福祉などの給付を削減していくことを提言してきました。社会保障を、自分で納めた税・保険料に相当する”対価”を受けとるだけの仕組みに変質させる大改悪にほかなりません。社会保障を「自己責任」の制度に後退させ、「負担に見あった給付」の名で徹底した給付抑制を実行し、国の財政負担、大企業の税・保険料負担を削減していくことが、政府・財界の最大のねらいです。
国民の所得・資産・社会保障給付を把握し、国民への徴税強化・給付削減を押しつけるマイナンバー制度は、廃止すべきです。
行政データを「儲けのタネ」にする「デジタル改革」には反対し、個人情報を保護します
歴代自民党政権は、「データ利活用」を成長戦略と位置づけ、デジタルを「地方の社会課題を解決するための鍵」として、デジタルインフラ整備とともに、「地方におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)」、国主導の「データ連携基盤の構築」などを推し進めてきました。
2021年10月に成立した岸田政権も安倍・菅政権が進めてきた「デジタル改革」を引き継ぎ、同年9月に発足したデジタル庁を「デジタル改革」の司令塔と位置付け、「デジタル臨時調査会」(2022年1月始動)を「デジタル行財政改革会議」にリニューアル(2023年10月6日)して、規制改革推進会議、デジタル田園都市国家構想実現会議、行政改革推進会議といった政府施策の柱となる会議体と各府省のデジタル部門を系統下において、①国・地方・準公共分野のデジタル基盤の整備と各府省連携によるシステム整備を通じた情報システムの統一・共通化、②デジタル活用を阻害するアナログ規制や制度の徹底的な見直し、③政策効果の「見える化」をつうじた予算事業の「不断の洗い直し」を一体的にすすめてきています。
石破前政権でも「AI 等のテクノロジーやデータを徹底活用して新たな価値やサービスを創出し、社会全体の生産性を向上させ、健全な競争や我が国の経済成長を実現」のため、データ連携や利活用推進が掲げられています。
さらに高市政権は、「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を目指して、データ連携等を通じ、AIをはじめとする新しいデジタル技術の研究開発及び産業化を加速させ、加えて、コンテンツ産業を含めたデジタル関連産業の海外展開を支援します。(2025年10月24日所信表明演説)と推進を加速することを明らかにしています。
「デジタル改革」は行政保有のデータを「儲けのタネ」として企業の利益とするもの
こうした政府の「デジタル改革」は、行政保有のデータを企業に開放し、「儲けのタネ」として企業の利益につなげるための「改革」です。国・自治体が保有する個人情報は、公権力を行使して取得、申請・届出に伴い義務として提出されるもので、企業が保有する顧客情報とは比べ物にならない、多岐にわたる膨大な情報量となります。これを利活用するには「行政のデジタル化」や、個人情報保護を緩める必要があり、情報提供者の本人同意がないまま、行政から民間へデータ提供を可能とする制度が設けられてきました。
2021年通常国会で審議され、同年5月に成立した「デジタル改革関連法」は、デジタル庁の設置をはじめ個人情報保護法制の一元化とオープンデータ化、国と地方自治体の情報システムの共通化・統一化、マイナンバー制度の利用拡大など「デジタル改革」のためのツールを設けるもので、「デジタル改革関連法」の成立と関連法の累次の改正は、プライバシー権の侵害、利益誘導・官民癒着の拡大、行政の住民サービスの後退、健康保険証の廃止とマイナ保険証の強要、国民への負担増と給付削減の押し付けなど重大な問題をもたらしてきています。
個人情報を保護し、安心と信頼、透明性がしっかりと確保され、住民自治と団体自治という地方自治の原則が貫かれることはデジタル化の前提です。行政データを「儲けのタネ」にする「デジタル改革」には反対です。
利益誘導・官民癒着を拡大しかねないデジタル庁は必要ありません
「デジタル改革」を強力に進める「司令塔」として設置されたデジタル庁は、「勧告権」を持ち、他の事務次官より大きな権限をもつ「デジタル監」を置き、これまでにない強力な権限を持った組織です。全府省庁にとどまらず、自治体、補助金を受給している医療・教育といった準公共部門の民間事業者に対しても、デジタル庁が予算配分やシステムの運用について口を挟むことが可能です。 デジタル庁は、約700人のうち民間出身者が3分の1を占める職員数で発足していますが、2024年7月現在の職員数は1,105人に膨張しており、その構成は、民間出身者が528名で全体の48%を占め、行政からの人材445名より多くなっています。さらに、今年2025年6月の「重点計画」改定において、「1,500人規模の組織を一つの目安に」体制整備を進めているとしています。この民間出身者で、ほとんどの職員が非常勤です。兼業・テレワーク可、出身企業の給与補填も認められているので、企業からの「出向」という立場です。企業からの「出向」職員は、企業の意向に従わざるを得ず、利益誘導につながりかねません。また、特定企業・業界団体の利益を優先するような政策の推進、都合のよいルールづくり、予算執行など、更に官民癒着が広がるおそれがあります。
デジタル庁では、NEC、富士通、パナソニック、日立製作所、東芝、電通、NTTデータ、NTTドコモ、ヤフー、ソフトバンク、LINE社などの大企業・大手IT企業からが非常勤職員として在籍していることが明らかになっています。政府は、この非常勤職員が、「兼業」も「出身企業からの給与補てん」も受けられることを認め、当時の平井大臣は「ベンダーとして大型案件に関わった経験は重要だ」と正当化しました。
国だけでなく自治体も含め、ICT化する業務が増え、この間で情報システム関係予算は大きく増加しています。政府のガバメントクラウド(情報システム)の運用経費の受注実績(2017年度)をみると、その受注はNTT、富士通、日立といった上位5グループで全体の4分の3を占め、これらの企業からの「出向」職員がデジタル庁の母体である内閣官房IT総合戦略室に在籍していたのです。
デジタル庁は、発足前から平井担当大臣(当時)による「脅し発言」や一部企業への優遇が発覚し、批判をかわそうと、民間出身者の事前登録による入札制限策などを設けています。しかし、調達業務に限定しており、抜け穴もあります。さらに、政策やルール作りに対する利益誘導の防止策はなく、官民癒着の排除には程遠いものです。一部の大企業は「IT特需」にわき、国民には負担がのしかかり続けるということになります。
デジタル庁は、強力な権限で、官邸と民間の意向を、政府全体・自治体にまで、スピーディーにストレートに反映させる組織だということです。このような組織は必要ありません。
「デジタル臨時行政調査会」は、2022年6月3日、「デジタル原則に照らしたアナログ規制の一括見直しプラン」を取りまとめました。そして、3年間(河野大臣は2年間に前倒し)の集中的な改革期間でアナログの一括見直しをおこなっています。そのなかでは、「目視規制」「実地監査」を見直すとして、例えば、防災や介護など、国民の安全にかかわる項目を含めた条項について、現在、河川やダム、都市公園の管理者は、維持修繕のための点検を目視で実施することが定められていますが、これらにドローンや水中ロボット、画像解析等の活用を進め「目視規制」をデジタル技術によるものに置き換え、また、介護サービス事業所ごとに管理者1人が常駐する基準について、テレワークを活用することで複数の事業所を管理できるように見直すなどが内容となっています。
――安全をないがしろにしたデジタル化による規制緩和をやめさせます。
――「アナログも、デジタルも」行政手続の多様化で住民サービスの向上をはかります
経済界からの要望のままに、国民の安全をないがしろにした、アナログ規制の見直し、デジタルへの規制緩和は許されません
デジタル化を行政に生かすことで、行政手続きの迅速簡便化が図られ、住民の選択肢を増やすことはいいことです。しかし、政府の「デジタル改革」では、自治体に及ぼす影響があり、住民へのサービスが低下しかねない問題があります。 1つ目は、対面サービスの後退につながるという問題です。実際に、「デジタル化」を口実に、窓口の減少、紙手続きの取りやめ、対面サービスを後退させる事例が相次いでいます。群馬県前橋市では移動困難者の方にタクシー利用を補助するマイタク制度があり高齢者が多く利用していますが、2022年4月から紙を廃止しマイナンバーカード利用しか認めないとしました。コンビニで住民票発行が可能になったからと、東京都北区では区民事務所7分室を撤廃、練馬区でも11出張所を廃止しています。
また、例えばICT企業のスマートフォンアプリを利用した「プッシュ型子育て支援」では、「行政が先回りをして、その人の状況に応じたサービスをプッシュ型でお知らせ、申請後迅速にサービス提供」(2023年12月「行財政改革会議中間取りまとめ」というように行政サービスの主導はICT事業者となって自治体の公的な責任と役割が大きく後退しかねない事態ともなりかねません。
2つ目に、減免や免除といった自治体独自の施策を抑制するという問題です。2021年のデジタル改革関連法では、全ての自治体に対し、国が決めた基準に適合したシステムの利用を義務付けています。また、政府は、全ての自治体の基幹業務システムを、2025年度までに、デジタル庁が統括・監理するガバメントクラウドに移行することを目指しています。現に、複数の自治体が共同でシステムを利用する「自治体クラウド」で、国が仕様変更(カスタマイズ)を認めないことが問題となっています。富山県上市町ではわが党町議の「3人目の子どもの国保税免除、65歳以上の重度障害者の医療費窓口負担免除」の提案に対し、町長が「自治体クラウドを採用しているため、町独自の減免はカスタマイズできない」と答弁し、提案を拒否しています。自治体は国が作る鋳型におさまる範囲の施策しか行えず、住民サービスが後退しかねません。地方自治の侵害です。また2024年の改正デジタル手続法では、自治体などが支払うガバメントクラウド利用料を国が保管し、一括契約する制度創設等を定めましたが、一部の自治体では現行の自治体クラウド等の運用経費等よりも、負担額が増加する見込みであり、自治体財政を圧迫する恐れがあります。国策として自治体情報システムの標準化を推進してきたことに鑑み、運用経費等の増大分については国の責任で財政措置を講ずべきです。
3つ目は、自治体リストラの懸念です。総務省は、半分の職員数でも担うべき機能が発揮される「スマート自治体」への転換を目指す、と打ち出しています。総務省幹部は、デジタル化で「無人窓口も実現可能ではないか」と主張しています。総合的な住民サービスを後退させることになる職員削減は、認められません。
地方自治を侵害する自治体情報システム標準化
いま2021年に成立した自治体情報システム標準化法に基づいて、自治体の情報システムの標準化とガバメントクラウドの利用が進められています。
地方自治体は戸籍、住民票、保育、生活保護や介護など住民に身近な行政サービスを提供するとともに、地域のニーズに応じて独自に子ども子育てや高齢者施策を手厚くするなど豊かな地方自治を展開してきました。地方自治体ではそのために必要となる情報やシステムについて独自に構築・運用してきました。
しかし、自治体業務に民間事業者の参入を促し、住民データを活用して新しい儲けのタネにしようともくろむ財界の要求を受けた政府は、情報技術を活用によって、自治体職員を2040年までに半減させ、都道府県の圏域を超えた広域行政体づくりを促すことを打ち出し、より安上がりな地方自治を行う方向性を2010年に示しました(自治体戦略2040構想)。
2021年になると新型コロナで給付金の給付が遅れたのは行政のデジタル化の遅れが原因だと決めつけ、デジタル庁を設立するとともに、「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」を成立させ、住民基本台帳や地方税、福祉など、どの自治体でも共通して行われる「基幹20業務(※)」について、国が標準的な仕様を定め、自治体はそれに準拠したシステムにするとともに、自治体ごとでデータを保有するのではなく、政府の用意したガバメントクラウドに移行することも義務付けました(標準仕様書とは、共通するシステムを作る上で満たさなければいけない要件をまとめた「設計図」のようなもので、形式や書き方、データの扱いなどを規定したものです)。
ガバメントクラウドへの移行ではシステムやデータを標準仕様書に合わせるため、原則カスタマイズを禁止しており、自治体独自の豊かな施策ができなくなってしまいます。
日本共産党は行政システムのデジタル化を否定しませんが、全国共通のやり方を最優先し、自治体が独自に取り組んでいる施策を諦めさることは地方自治の独自性を損うことであり問題だと考えます。
国が目標とする「運用経費の削減」どころか深刻な自治体負担に
国は、「ガバメントクラウド」に各自治体が20基幹業務を移行させようとしていますが、当初の目標である2026年度末までの移行期限に間に合わない自治体が743自治体(全自治体の41.6%)であることがわかりました(2025年12月末調査)、この遅れの原因は人件費高騰やシステム開発を行う人材不足のほか、デジタル庁が示した「標準仕様書」が途中で何度も改訂され、そのたびごとに開発をし直したことなどであり、政府のやり方に無理があったことが露呈しています。政府はこれら移行が遅れるシステムを「特定移行支援システム」として完了期限を最大2030年度末まで延長せざるを得なくなっています。
政府は「ガバメントクラウドに移行すれば大口割引などにより運用経費は2018年度比で少なくとも3割の削減する」といっていましたが、2025年12月に東京都が行った調査では1.6倍にも運用経費が増加する試算がされるなど、移行後のランニングコストが自治体財政に負担をもたらす可能性も出てきています。ガバメントクラウドへの支払いはドル建て円払いであるため円安が進めばその傾向はさらに強まります。
さらに政府は、行政における既存の「アナログ規制」(目視、常駐、実地監査など)の一括見直しをすすめるとともに、「デジタル行財政会議」のもとで、教育・介護・ライドシェアなどの「準公共分野」を標的にし、規制改革やAIの活用を強く打ち出しています。しかしAIを悪用し性的画像加工が作られる事件や学習データに個人情報が入っていたことで個人情報が流出する可能性があります。
日本共産党は、個人情報の侵害、地方自治への侵害などへの懸念に対して十分な対策もせず、行政のデジタル化を盲目的に突き進むことはあってはならないと考えます。国民の人権と生活と地方自治を守るために行政のデジタル化を進めるべきです。
日本共産党は、行政手続きのデジタル化を全否定しているわけではありません。しかし、原則デジタル申請である持続化給付金・家賃支援金・文化芸術支援金では、支援を受けられない事業者が多数生まれました。また、災害時では、電源の確保、情報通信機能のマヒ、自治体のサーバーの水没などが問題となるデジタルよりもアナログの方が安定的な手段となっています。行政サービスでは、住民の実情やアナログとデジタル双方の特徴を踏まえて行うことが必要です。



