2026年衆議院選挙各分野政策
98、ODA
日本の援助の軍事化をやめ、民間投資任せにできない途上国の貧困削減のための本来の役割を重視する
2026年1月
政府は、『国家安全保障戦略』にもとづく「総合的な防衛体制の強化」の取り組みとして、「同志国」とみなした途上国の軍隊に無償で資金協力する「政府安全保障能力強化支援(OSA)」を推進しています。23年度に4カ国20億円で開始した同事業は、26年予算案では前年度2.2倍となる181億円、大幅に拡大。対象国を25年度の8カ国から10カ国以上に増やし、案件も拡大する見通しです。
これまで政府開発援助(ODA)の対象外としてきた他国への軍事援助を公然と推進するものです。
日本共産党は、ODAの「非軍事」原則をゆがめ、対立と分断を広げる危険な施策の中止を求めます。
分断と対立広げる危険な方針
「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)を実現するためとして「同志国」の軍等を対象に装備品や物資を提供し、インフラを整備する協力枠組みであるOSAは、同盟国やパートナー国の能力構築を進める米国の戦略と整合的に、事実上、対象地域で中国に対抗する防衛協力を進める手段となっています。フィリピン、マレーシア、バングラデシュ、フィジー、インドネシア、モンゴル、ジブチ、パプアニューギニア、スリランカ、トンガなどを対象に、警戒管制レーダー、沿岸監視レーダーシステム、無人航空機(UAV)、警備艇等の供与、インフラ整備が進められています。
高市首相は今年10月のASEAN関連首脳会議でOSA支援国の拡大を表明。政府は「防衛装備移転(=武器輸出)とOSAは政策目的に共通部分が多く、連携して事業を推進する」(防衛装備庁答弁)、「安全保障環境が一段と厳しさを増す中、防衛装備移転、OSA…の推進に取り組む」(茂木外相)としています。
フィリピン、マレーシアは南シナ海で領有権をめぐって中国と対立しています。国際紛争の当事国への軍事援助は緊張を激化させかねません。
「防衛装備移転三原則」の枠内で行うとしていますが、武器輸出三原則等を反古にし、武器輸出を解禁したもとで、到底、歯止めになりません。
従来の指針だったODA大綱は「軍事的用途および国際紛争助長への使用の回避」を掲げていました。
日本国憲法前文は「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」を明記しています。途上国援助はこの理念に沿ったものであるべきです。戦争を放棄した9条に照らして軍事援助は断じて許されません。
民間投資任せにできないODAの役割
政府は日本の財政状況の厳しさや、民間資金フローがODAを上回っていることを理由に、ODAの「一層の効率化」が必要だとして、途上国への投融資の際に企業が直面する採算面のリスクを減らすための国際協力機構(JICA)の出資による肩代わりなど、相手国政府を通さず同機構から民間企業への直接支払も可能にするなど、民間資金の動員を促進する施策を進めています。その背景には、従来ODAが対象としてきた国で経済成長が進んで需要が見込めなくなってきた企業が、アフリカなど新たな地域も視野に「民間資金動員の触媒機能の強化」など、「ODAの使い勝手の向上」を求めていることがあります。
ODAは本来、途上国の貧困削減や社会開発の支援を目的とするものであり、利益の上がるところに集まりやすい民間資金任せでは手に届かないところを支援するという重要な役割を持っています。利益優先の国際支援への変容は先進国に求められる国際的な要請に応えるものとは言えません。
途上国の自主的発展に貢献する援助こそ日本の役割
世界では貧困削減は停滞し、10人に1人にあたる8億人以上が貧困基準以下の生活を送っています(国連『持続的開発目標報告書2025』)。、アフリカでは深刻な食糧危機も広がるなかで、先進国のODAは減少。米国をはじめとする主要拠出国の援助削減で、途上国での感染症対策など保健衛生の悪化が危惧されています。日本の途上国援助は重要です。
世界の平和と、途上国の自主的・自律的発展に貢献する援助を増やすことこそ、日本に求められています。



