2026年衆議院選挙各分野政策
50、住民のための都市再生・まちづくり
特定大企業が稼げる都市再生ではなく、住民の生活、福祉を支えるまちづくり政策への転換を
2026年1月
計画段階から住民の声を反映させた、まちづくりを
住民には一方的な説明をするばかりの大手デベロッパー中心の再開発事業が、東京都を中心に各地で進められています。そして、2002年施行の都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域の指定や、国家戦略特区制度に基づく規制緩和は、デベロッパーが進める「稼げる」まちづくりを国が制度面で支援するものです。そこには地方税をおまけする税制優遇などのデベロッパー支援策まであります。この仕組み自体を廃止して、地域住民が主体的に参加するまちづくりに転換することが緊急に求められています。
この点で、都市部の再開発事業が各地で破たんに追い込まれていることは重要です。工事の資材高騰や人材不足などを根拠に、これまで前のめりで再開発を進めてきたデベロッパーが手を引くことにより、事業が白紙状態になる例が各地で生まれています。この流れは、東京の中野サンプラザ敷地含む再開発などの東京都のみにとどまらず、名古屋駅前地区再開発、仙台駅前地区再開発など地方都市の大型プロジェクトも含め、中断や白紙状態に追い込まれる再開発が多数出ています。
大型再開発事業は、もはやデベロッパーの思い通りには採算が取れない場合が増えています。儲かるのはデベロッパーのみで事業が破たん住民負担も生じかねない再開発はやめさせ、住民本位のまちづくりに転換させる機会とします。
またこの間、物流倉庫やデータセンターなどが、住民への説明を著しく軽視したままどんどん造られる事態も都市部で生じています。住民合意に基づくまちづくりがあらゆる面で貫かれるようにします。
――まちづくりと都市計画に関わる再開発は、その計画段階から情報が住民に開示され、住民参加のもとすすめられるようにします。デベロッパーの要求どおりに国が再開発事業を支援する仕組みをつくった、国家戦略特区や都市再生緊急整備地域の指定制度を廃止します。また、都市再開発法、都市計画法など再開発に関係する都市法制を「住民が主人公」となる内容に改めます。
民間都市再生事業、国家戦略都市再生プロジェクトなどの特定企業優遇事業は廃止します
国の認定を受けた民間都市再生事業は174件、都市再生緊急整備地域には55事業が選定されています(25年12月末現在)。民間都市再生事業は容積率緩和に加え税制優遇を受けており、実施する大企業・大手不動産会社への税制優遇措置は、2021年から2025年の5年間で約565億円、2025年度分のみでも約182億円もの巨額になります。これだけ巨額のデベロッパーが払うべき税金を、都市再生事業を行う自治体がおまけしてまで大型開発を推進するのは異常です。
都市計画手続きを簡素化する国家戦略特区の指定や、容積率等の更なる緩和、ESG投資の呼び込み、PPP/PFI(官民連携、民間資金誘導)等による上からの都市の再編は、住民本位のまちづくりと相いれません。特定企業を優遇するための都市再生事業に、補助金の形で国民の税金を投入したり、税制優遇により税金を負けたりすることは、直ちにやめるべきです。
また、「国際競争力強化」を口実に都市機能を集約する、一握りの財界本位のまちづくりは時代遅れです。住民本位のくらしやすいまちづくりへ、都市政策の転換が必要です。
都市の荒廃を招く超高層ビルの乱立を抑制します
超高層ビル、超高層マンションは、高額な初期投資、維持管理・修繕費用がかかり、不況時の資産価値の下落リスクが高まること、建て替え時など区分所有権の合意形成がより困難なこと、長周期地震動、火災、電源喪失など災害時の超高層ビル特有の危険などのリスクが指摘されています。超高層ビル群の谷間、周辺住環境への被害、日照、強風、コミュニティ遮断など周辺住民への直接被害も発生しています。
超高層マンションの乱立に伴い、国全体としては人口減少社会にある中、局所的に急増する人口に対応した学校や福祉施設、上下水道など老朽インフラ施設の整備など公共投資の増大を余儀なくされています。超高層ビル向けの防災安全対策も必要です。
開発中心、地方切り捨ての国土計画の転換を
2023年に、今後10年間の国土づくりの指針となる「国土形成計画」が改訂されました。その中心は、三大都市圏を結んだ「日本中心回廊」の形成と、地方の中心都市を核とし市町村の境界にとらわれずに地域の行政サービスを再編する「地域生活圏」づくり、の2点です。
「日本中心回廊」とは、リニア中央新幹線に、新東名・新名神等の高速道路を加え、三大都市圏を1つに結ぶネットワーク構想です。これは、従来の国土形成計画にあった、「スーパーメガリージョン」の軸となるリニアの工事が進まないので、高速道路を移動手段として加えたものに過ぎません。オンライン会議などテレワークの普及によりビジネス目的での都市間移動の減少が見込まれる中でも、高速道路とリニアの建設を続けることに固執した、開発中心の国土づくり構想と言わざるを得ません。
また、「地域生活圏」づくりは、自治体をまたいで公共施設の統合を進めることを内容の1つとするものです。人口減少下でデジタルにより地域の行政サービスを「兼ねる、束ねる、繋げる」との発想により、例えば「全ての自治体に高校がなくても構わない」などとして、地域公共交通の再編、ドローン物流、遠隔医療等を用いた広域的なまちづくりを進めようというものです。しかし、まちづくりへの住民意思の反映や、地方議会の関与という発想がほとんどない政策です。憲法上の住民自治の理念を掘り崩すことにもなりかねない懸念があります。
住民が主役の都市計画、まちづくりを
地方自治体では、コンパクトシティ(立地適正化計画)や公共施設等総合管理計画に基づくまちづくりがすすめられています。
集客施設や住宅を中心市街地に誘導集約し、郊外集落には公共交通ネットワークで結ぶのが政府のコンパクト+ネットワーク政策です。ところが、中心市街地への誘導ばかりが計画され、郊外集落への公共交通路線を整備せず、交通不便地域のまま放置しているケースも少なくありません。
激甚化・頻発化する豪雨災害など相次ぐ災害に備えたまちづくりが求められています。
――巨大地震や豪雨など大規模災害に備えた対策を優先し、災害ハザードエリアなどの土地利用規制も含め住民のいのち・安全、暮らしを最優先する政策に転換します。
――住民不在の都市計画・まちづくり政策を抜本的に見直し、「住民が主人公」のまちづくりを支援し、住環境や景観、コミュニティを守り、改善します。
――自治体が作るコンパクトシティ(立地適正化計画)の中には、住民の居住誘導区域が、ハザードマップで示す災害危険区域と大きく重なるとか、病院、福祉施設などの公共施設をわざわざ災害危険区域に移転させるなど、住民の安全な暮らしを脅かしかねない計画があります。住民合意のない居住誘導区域の設定や、災害危険区域への公共施設の建設をやめ、住民参加、住民合意による都市計画を進めます。



