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政策

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2026衆議院選挙 各分野の政策

34、経済安全保障

アメリカに追随し、科学技術と経済力を軍事に組み込む経済安保法を廃止します

2026年1月

第1次トランプ政権の誕生以降、政府は中国による「経済面の脅威」から日本を守るという名目を立て、これまでのアメリカが進めてきた経済安全保障=「経済を使った戦争」につき従ってきました。当のトランプ大統領が中国との関係を「対等なパートナー」として、対立から連携へ180度かじを切るなか、高市政権は従来の路線にしがみ続け、中国との関係悪化、軍拡競争の悪循環にいっそうはまり込む危険な道をすすんでいます。

「経済力」と「技術力」を防衛力と並んで安全保障に関わる国力と位置づけ、軍事・安全保障に組み込む動きは世界経済に深刻な分断と対立をもたらしかねません。憲法の平和主義、国際協調主義を守り、日本は科学・技術の平和利用に徹し、その立場から米中双方に働きかけるべきです。

「経済安保は経済を使った戦争」にしがみつく政府

経済安全保障が叫ばれ始めたのは、2018年の第一次トランプ政権です。トランプ氏は2018年3月に中国に対する制裁関税を発動し、8月には米国の政府調達からファーウェイなど中国5社を排除する法律を成立させ、20年1月には、5社の製品を使う企業が政府と取引することも禁止しました。米国政府と取引したければ、中国製品は使うなということです。さらに、輸出規制・対米投資規制をAIや半導体などに新興技術分野にまで拡大させました。中国を抑え込み、経済・技術でのアメリカ優位の維持を目的にした経済戦略が、米国の経済安全保障政策です。
関税の引き上げや輸出入制限など、経済分野でも激しさを増す米中の対立を、経済安全保障の専門家は「『経済が武器』となり、『経済を使った戦争』になった」といいました。

こうした米国の経済安保政策に追随しているのが日本です。
2021年4月の菅・バイデン首脳会談共同声明では、デジタル経済や新興技術で「信頼に足る事業者に依拠することの重要性で一致」と中国排除に合意し、「半導体含む機微なサプライチェーンについても連携する」と約束しました。
2022年1月には、就任間もない岸田首相とバイデン大統領の電話会談が行われ「経済安全保障について緊密な連携を確認」しました。
2023年11月に行われた日米経済政策協議委員(経済版2プラス2)では、中国排除を狙うアメリカの経済安全保障政策を進めるために日本が供給網確保や技術開発などで資金、その他の面で貢献するという内容の共同声明が出されました。

日米軍事同盟を強化し企業や個人に不利益をもたらす経済安保法

岸田・バイデン電話会談の1か月後に、自公政権から提出されたのが経済安保法(経済安全保障推進法)です。法案は20225月に成立し、同法に基づいて2022930日には、経済安保法の「基本方針」と「基本指針」が閣議決定されました。「経済安保」の名の下に、科学技術の軍事研究化を推進し、政府による企業への介入を強化する法律です。

経済安保法は4つの柱、「重要物資の確保」、「基幹インフラの整備」、「重要技術の開発支援」、「特許非公開制度」で構成されています。経済安保法の主な問題点は次のとおりです。

 科学技術の軍事研究化を推進し、学問の自由を侵害する

まず、科学技術の軍事研究化を推進する問題です。

政府が定める重要技術の研究開発に巨額の予算を付け、その研究の参加者には罰則付きで守秘義務を課します。「経済安全保障重要技術育成プログラム(Kプログラム)」を実施するための指定基金として5000億円が積まれています。その研究成果は、軍事技術として将来的に防衛省の判断で活用されるものであり、軍事転用可能なデュアル・ユース技術の強化を狙う事業です。

研究開発は、国際交流を含めた裾野の広い自発的な研究土壌によって量も質も前進するものです。縛りを強めて研究者の主体性を損ねれば、学問の自由を侵害し、研究の活力がそがれ、発展の妨げになってしまいます。

政府による企業への介入

次に、企業への監視と介入です。

基幹インフラを担う企業が重要な設備を導入する際に、納品業者、委託業者などの事前に届け出させ、政府が審査し、勧告、命令まで行うとしています。政府が特定の製品の排除を命令できる仕組みです。インフラがサイバー攻撃等を受けるのを防ぐためと言いますが、対象となる企業は、政府が決め、企業側に拒否する権利はありません。虚偽の報告をしたり、届け出を怠ったりした場合は罰則が科されます。一体どの国・企業の製品を使うと違反となるのか法律には明記されていません。具体的な基準を作るのは政府であり、詳細は明らかにされません。

この経済安保法の規定には、「重い罰則が科せられ、自由な経済活動への介入にあたる」との不満が強まっています。

アメリカ・中国の両国と取引のある企業からは「規制によって競争力をそがれるのでは」といった懸念や、「国の関与が深まることで、企業の技術革新が阻害されることが心配」といった声もあがっています。医薬品業界では「海外の調達先から国に情報を提供されたくないとして、取引を打ち切られ、競争条件が悪化する可能性がある」との懸念が出されています。企業の負担が増すのは間違いありません。

 政府の権限拡大・政財官癒着の危険性

次に、政府の権限拡大・政財官癒着の危険性です。

民間企業に対して、重要物資確保の予算として2.5兆円が確保されるなど多額の支援が行われます。また、経済安保推進法は重要な事項が132か所も政省令にゆだねられており、中央省庁の権限が拡大していく危険性が極めて高くなっています。

例えば、政府は特定重要物資を指定しますが、その具体的な中身については「必要不可欠」、「外部に過度に依存」、「おそれ」などの抽象的な表現となっています。こうしたことが、企業が政府とのパイプを得ようと特別な働きかけをする契機となり、天下りが横行することになります。政官業の癒着の温床となるものです。

 戦前の秘密特許制度の復活

秘密特許も重大です。

特許出願非公開制度は、民生技術を軍事技術に吸収し戦争遂行に動員した、戦前の秘密特許制度の復活にほかなりません。

我が国の特許制度は、公開を原則とすることで新しい技術を人類共通の財産とし、技術の進歩と産業発展に寄与していますが、その唯一の例外が日米防衛特許協定です。経済安保法では、外国出願を禁じた特定技術分野の発明は、アメリカに対してのみ、防衛特許協定を理由に除外されます。軍事特許を日米の軍事力強化に役立てる新たな仕組みとなりかねません。当時の小林経済安保担当相は、国会答弁で「これまで片務的なものだったのが双務的になる」とあけすけに日米同盟強化を語っています。

専門家からは「恣意的で不透明な特許の非公開制度の存在は、学術や技術の体系全体にゆがみをもたらし、本来のイノベーションを妨げる」との声が上がっています。

 科学技術と経済力を軍事に組み込む

202212月に閣議決定された国家安全保障戦略では、防衛力と並んで「経済力」と「技術力」を安全保障に関わる国力と位置づけ、軍事・安全保障に組み込んでいます。そして「官民の高い技術力を、安全保障分野に積極的に活用していく」として、そのための研究開発は「防衛力の抜本的強化と不可分一体のもの」であり、「安全保障に活用可能な官民の技術力を向上させ、研究開発等に関する資金及び情報を政府横断的に活用するための体制を強化する」と推進しています。民生品の軍事利用(デュアルユース)も含め、科学技術の軍事研究化のために資金もつけるし、体制も強化すると宣言しているのです。こうした戦略を具体化する法律的な担保となっているのが経済安保法なのです。

 秘密保護法の経済分野への拡大=経済秘密保護法

兵器やデュアルユース技術を同盟国・同志国と協働で研究開発するには、機微な情報が外に漏れない制度を作る必要があります。そこで自公政権は20245月、経済秘密保護法を成立させました。この法律を一言でいえば、国民の反対の声を押し切って成立させた秘密保護法を経済分野へ拡大させるものです。政府による身辺調査=セキュリティクリアランスが民間にまで大きく広がります。廃止しかありません。

詳しくは、「73、秘密保護法」のページをご覧ください。

冤罪は絶対に許せない

2023年12月東京地裁で、違法な捜査で損害を受けたとして横浜の大川原工機の社長らが訴えた事件の判決がありました。判決は恣意的な操作で無実の人を長期間拘留した捜査機関の責任を厳しく指摘しました。1審に続き、2025年5月には東京高裁も捜査の違法性を認め、判定は確定しました。

この大川原化工機事件は、生物兵器の製造に転用可能な噴霧乾燥機を無許可で輸出したとして、大川原化工機株式会社の代表取締役らが逮捕・起訴された事件です。

しかし、その後の裁判で、捜査や証拠が不適切であったことが明らかになり、冤罪が確認されました。逮捕されたうちの1人は、勾留された7カ月の間に体調を崩し、胃がんが原因で死去しています。

経済安全保障が強調される中、警察庁は、2021年版の「警察白書」で、なんと、この大川原化工機事件を実際に立件した実例として、誇らしげに取り上げていました。全く許せません。その後の関係者の処分も甘いものにとどまっています。

大河原化工機の社長は「安保政策に便乗した冤罪」、「軍事機密と違う分野に法規制をひろげないでほしい」と訴えてきました。

経済安保法はきっぱり廃止

日米軍事一体化が進む下で、経済面でもアメリカに追随し、経済と科学技術を軍事・安全保障に組み込もうというのが経済安保法はきっぱり廃止すべきです。