日本共産党

しんぶん赤旗

政策

日本共産党のかかげる政策をご紹介します

参議院選挙各分野政策

20、子どもの貧困

子どもの貧困解決に力を合わせてとりくみます

2025年6月

 物価高騰、米の高騰が、以前から深刻だった低所得世帯、ひとり親世帯の子どもの生活に追い打ちをかけています。「これまでは親が食べる回数を減らしていたが、今は子どもの食事回数が減ってやせている」といった切迫した声が多くの支援団体から上がっており、政治の責任が問われています。

 そもそも日本の子どもの貧困率は11.5%(2021年時点)。OECD(経済協力開発機構)の37カ国中19番目と、先進国ではけして低くありません。なかでもひとり親世帯の貧困率は44.5%(2021年)にものぼっています。そこに物価高騰が追い打ちをかけています。

 深刻な「貧困と格差の拡大」の背景には、自己責任論をふりまいて働くルールを壊し、低賃金で働く非正規雇用の労働者を増やし、軍事費を増大させる一方で社会保障を削減してきた政府の施策があります。また軍事費増大の一方で、日本の家族分野への社会支出は、対GDP(国内総生産)比で1.7%。イギリス2.4%、スウェーデン3.4%、フランス2.7%、ドイツ2.4%に比べて極めて低い水準です。

 憲法25条で、すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すること、国は社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上と増進に努めなければならないとうたっています。子どもの権利条約は、「子どもの最善の利益を主として考慮すること」(第3条)を基本とし、子どもの生存権・発達の権利を保障したうえで(第6条)、子どもの身体的・精神的・道徳的・社会的な発達のために相当な生活水準についての権利(第27条)を規定しています。

 日本共産党は、憲法と国連子どもの権利条約にもとづき、子どもに健康で文化的な生活と明日への希望をもてる政治への転換をはかります。子どもの貧困を解決し、くらしと子育てを応援する総合的な対策をすすめます。

経済的支援、社会的支援を強めます

 子どもの貧困の改善へ、数値目標を明確にして、必要な給付にとりくみます。

児童扶養手当を拡充し、ひとり親家庭への支援を強めます

 所得制限を緩和し第1子から拡充します。第2子、第3子以降への加算額についても大幅に引き上げが必要です。年6回の支払い回数を毎月支給へさらに改善をすすめます。現行18歳までの支給を20歳未満にします。

児童手当を拡充します

 児童手当は2024年10月から所得制限が撤廃され18歳まで広がりましたが、さらに拡充します。「第3子以降3万円」となっていますが、第1子から拡充すべきです。

生活保護を拡充します

 2018年に削減された母子加算、児童養育加算、学習支援費を復活・拡充させます。

就学援助を拡充します

 義務教育の子どもの給食費・学用品代・修学旅行費などを援助する就学援助制度は、経済的な困難をかかえる子どもに義務教育を保障する命綱であり、約122万人、小中学生全体の約14%が利用しています(23年度)。2005年、国庫負担が廃止されて一般財源化され大幅削減されたため、各地で就学援助の縮小を引きおこしました。

 国庫負担制度をもとに戻し、対象を生活保護基準×1.5倍まで広げ、支給額も増額して利用しやすい制度にします。

保育・教育は無償に

 ――「幼保の無償化」(2019年から実施)は、所得制限を撤廃し、幼児教育・保育の完全無償化を実施します。0歳~就学前のすべての子どもの給食費を無償化します。

 ――「義務教育は無償」とうたった憲法26条をふまえ、国の制度として、学校給食費、教材費などを無償にします。「隠れ教育費」を見直して保護者負担を減らします。

 ――国の就学支援金による高校授業料への支援は、私立高校の授業料には足りていません。国の責任で高校授業料を無償化します。入学金、施設整備費等も無償にします。

 ――大学・短大・専門学校など高等教育の「学費ゼロ」にむけて、高等教育予算を抜本的に増額し、①ただちに授業料半額・入学金ゼロ、②給付中心の奨学金の創設、③奨学金返済の半額免除を緊急に行います。

子ども医療費無料を国の制度としておこないます

 自治体によって差がある子ども医療費助成制度を国の制度にし、18歳までの子ども医療費を無料に。窓口負担をなくします

ヤングケアラー支援を強めます

 大人に代わって家族の世話や介護を担う子どもたち(=ヤングケアラー)は、年齢や成長の度合い以上に重い責任を負わされ、生活や学業、進学にも大きな影響を与えています。国による支援事業が始まっていますが、相談・支援体制の強化が必要です。医療・介護・福祉行政を拡充し、ケアの負担を軽減する支援を強めます。

離婚後の養育費問題の解決をはかります

 日本では、離婚後の養育費の取り決めをしている母子世帯は約46%、取り決めどおりに支払われているのは28%しかありません。スウェーデン、ドイツ、フランスなどで行われている国による養育費の立替え払い制度、養育費取り立て援助制度などの確立をすすめます。

子育て世代向けの公共住宅の建設など住宅支援を強めます

 低家賃で入れる公営住宅が減り続けています。子育て世代向けの公共住宅の建設や「借り上げ」公営住宅制度、家賃補助制度、生活資金貸与制度などの支援を特別に強めます。

子どもの貧困の根本解決のために、安定した雇用と賃金を保障する労働のルールを確立します

 日本社会に貧困が広がった大きな要因の一つは、低賃金で不安定な非正規雇用が拡大していることです。とりわけ「正社員なら長時間労働は当たり前」という働かせ方は一人で子育てを担う親を非正規雇用に追いこんできました。子どもの貧困問題の解決のためにも、人間らしく働くルールをつくることが必要です。

長時間労働を是正し、子どもたちが安心して過ごせる社会をつくります

 子どもをもつ労働者が仕事と子育てを両立でき、子どもと向き合う時間をもてる働き方のルールをつくります。男女を問わず、単身赴任や長時間通勤を伴う転勤を原則禁止し、看護休暇や育児介護休業制度を拡充します。残業は本人同意を原則とします。

非正規から正社員への流れをつくるとともに、非正規雇用の労働条件改善と均等待遇を進めます

 労働法制の規制緩和によって女性の非正規化が進み、働く女性の56%がパート、派遣、契約などの非正規雇用です。非正規から正社員への流れをつくります。労働者派遣法を抜本改正し、派遣は一時的・臨時的なものに限定し、常用雇用の代替を防止する、正社員との均等待遇など、派遣労働者の権利を守る派遣労働者保護法をつくります。中小企業を支援しながら最低賃金を1,500円に引き上げ1700円をめざします。

社会の連帯と共同のとりくみを支援し公的責任を果たさせます

 子どもたちに無料・低額で食事を提供する子ども食堂やフードバンク、シングルマザー支援や無料の学習支援などの取り組みは、物価高騰の中で大きな困難に直面しており、「民間任せは限界」との切実な声があがっています。

 ――フードバンク、子ども食堂など食料支援、学習支援などへの助成や場所の提供、米をはじめとする食品の提供など公的な支援を拡充します。

 ――子どもたちが安心して無料で過ごせる「居場所」を学区単位で公的責任で設置します。

 ――学校が子どもの貧困に対応できるプラットフォームになることが求められています。学校に常勤のスクールソーシャルワーカーを配置し、いつでも相談でき集団で対応できる体制を整備します。

 ――若年女性・少女たちへの支援を強化します。民間の支援団体、シェアハウスなどへの公的支援、女性自立支援施設、児童相談所や一時保護施設にかかわる予算を抜本的に拡充します。