2025年参議院選挙各分野政策
55、通信・郵政
どこでも、だれでも、安心して利用できる通信を確保します
民営化の矛盾をただす抜本的見直しで郵政事業を再生します
2025年6月
だれでも安心して利用できる通信に
通信技術の発展は、国民生活の利便性の向上にとって大切です。どこでもだれでも安心して利用できる通信を確保することは、国民のいのちと安全を守り、暮らし・営業を維持していくうえで欠かせません。
政府は、5G、ブロードバンド、官民のデジタル化など基盤整備の推進をかかげ、5Gの次世代通信技術の民間開発などに多額の税金を投入しています。しかし、国民だれでも安心して通信を利用できるのかについての検証は、二の次です。日本共産党は、国民が主役となった通信技術の発展と利用のために、その在り方を見直していきます。
ユニバーサルサービスの確立・拡充を
日本共産党は、通信のユニバーサルサービス制度(全国あまねく提供)の確立・拡充が必要であると考えます。
この通信のユニバーサルサービス制度を見直す法改定が重ねられています。
これまで、電話のユニバーサルサービスの対象となってきたのは、固定電話、公衆電話、緊急通報です。NTT東西が提供の担い手とされてきました。
2022年の電気通信事業法の改正では、固定ブロードバンド通信(光ファイバーやCATV等)をユニバーサルサービスの対象に追加しました。しかしこれは、ブロードバンド通信を「全国あまねく提供」する責任を果たす担い手があいまいで、不採算地域において、通信事業者の赤字を補てんするしくみはあるものの、経営判断では撤退も可能とするなど問題があるものです。
NTTの責務後退は許されない
今年の通常国会では、NTT法等が改悪され、NTTが担ってきた電話のユニバーサルサービスの「責務」を法律から削るなど、ユニバーサルサービスを複数事業者で担うしくみに後退させました。
電話のユニバーサルサービスを支えるメタル回線の「維持限界」が近づき、政府は、ユニバーサルサービスの担い手としてのNTTの負荷を軽減させる立場です。
しかし、NTTは、電電公社時代に国民負担で築き上げた国民の財産である通信インフラを承継した会社です。だからこそ、電話のあまねく提供、研究開発の推進、普及といった公的責務を担ってきました。
連続するNTT法改悪は、国民財産を毀損し、国民サービスを後退させるもので許されません。NTTの完全民営化はもってのほかです。
日本共産党は、通信のユニバーサルサービスを確保していくための制度の見直しを求めていきます。また、無線ブロードバンド通信などについても、ユニバーサルサービスの対象とすることを求めています。
安心・安全に利用できる環境の整備を
国民生活を支える通信に障害がおこれば、社会的影響は甚大なものとなります。
特に、能登半島地震でみられたように、携帯電話基地局、電柱、ケーブルなどの通信設備の被害による長期の通信障害は、深刻な影響を与えます。
災害時の通信確保のために、公衆電話の確保と公共施設等避難場所となる施設への通信確保など、対策の強化を求めていきます。
聴覚障害者等きこえない人ときこえる人をオペレーターが通訳してつなぐ「電話リレーサービス」が公共インフラとして開始されました。日本共産党は、国会審議で「当事者の声が反映される仕組みの明記を」という声を反映するため、各党と協議し、その結果、 与野党の合意で政府提出法案が修正されました。当事者の参画による電話リレーサービスの前進に取り組んでいきます。
インターネットの利用環境の安心・安全の確保は重要です。Webサイトやアプリの利用者情報の取り扱いについて、事前同意はもちろん、収集情報の安全管理の徹底、オプトアウト(事後的な同意等の撤回)のしくみの義務化などの必要な保護規制を求めます。通信料金値下げは、消費者保護の立場ですすめます。
「郵政民営化」の矛盾を抜本的に見直し、郵政事業を再生します
郵政事業は、全国あまねく郵便や金融のサービスを提供する、国民生活にとって欠かせない役割を果たしています。政府は「民営化で郵便局はもっと便利になる」と説明しましたが、郵政民営化により事業はゆきづまっています。
民営化によって、簡易郵便局の相次ぐ閉鎖、郵貯ATMの撤去、各種手数料の引き上げ、時間外窓口の閉鎖、集配郵便局の統廃合など、国民サービスは大きく後退しました。
昨年の郵便料金の値上げは、国民の郵便離れに拍車をかけるものとなっています。
第三種郵便は、新聞や雑誌などの定期刊行物を、低廉な料金で送付できるものですが、利用のための登録承認の「取り消し」が急増しています。民営化直後(2007年)に1.2万近くあった承認団体数は3千まで減り、5.3億通あった取扱数も3分の1以下の1.6億通にまで落ち込んでいます。国民文化の普及向上に貢献する趣旨に逆行する状況が生じています。日本共産党は、「取り消し」ありきの行き過ぎた調査の是正とともに、第三種郵便制度の振興を繰り返し求めています。
ゆうパック事業と日通・ペリカン便の宅配便事業の統合、豪・トール社買収、ヤマト運輸との配達協業など、「成長」策で失敗をかさねています。
かんぽ生命の不正販売問題では、高齢者をはじめ多くの利用者に被害が及びました。この問題の背景には、事業の「成長」のための過度な目標設定と現場へのノルマの押し付けがあったことが浮き彫りとなりました。ゆうちょ銀行の顧客情報を保険の営業に不正流用した問題も、同様の背景が指摘されています。
公的事業体として再生する抜本的な見直しを
民営化したことで、郵政事業は公的役割を担いながら、「成長」が求められる矛盾をかかえています。
郵便局ネットワークの赤字が問題となり、維持が懸念されます。その問題の根本には、民営化・分社化があります。日本共産党は、分社化を見直し3事業の一体経営、郵便貯金・簡易生命保険にユニバーサルサービスの義務付け、公共の福祉の増進を目的とする公的事業体として再生する抜本的な見直しを行います。
雇用環境、労働条件改善が急務
郵政事業は多くの非正規職員や委託事業者に支えられています。2020年最高裁で正規職員と非正規の手当・休暇の格差は「不合理」とされ、非正規の労働条件の引き上げがかかせないことが示されたことは画期的であり、改善が急がれます。
日本共産党は、郵政事業の支え手である労働者が安心して働き続けられるよう、正規の労働条件の改善、非正規の正規化、均等待遇の実現を引き続き改善を求めていきます。