2025年参議院選挙各分野政策
25、「人口減少」
子どもを産み育てることを困難にしている問題を解決し、個人の自由な選択ができる社会に
2025年6月
「人口減社会」問題にどう対応するかは、日本が直面する重要な問題です。
結婚するか、子どもを産むかは、あくまで個人の選択の自由であって、国が介入することではありません。「少子化対策」などと言いながら、国民に「子どもを産みなさい」というプレッシャーをかけるようなことはやってはなりません。
問題は、経済的・社会的事情などで、将来の人生を自由に選択できなくなっていることです。
教育費をはじめ子育てにかかる重い経済的負担を軽減する、物価高騰に負けない賃上げを実現する、労働時間を短縮し、働く人の自由な時間を増やす、非正規ワーカーへの差別をなくす、ジェンダー平等を進め、女性に家事、育児を押しつける不平等をなくすなど、生きにくい社会を変えることが求められます。
子どもの権利が尊重される社会にすることも大切です。国連子どもの権利委員会から「過度に競争的な教育システム」と勧告されている現状をあらため、子どもの人権を尊重し、豊かな成長を保障する教育条件の整備、子どもの貧困をなくし、教育を受ける権利を保障するなどが求められます。
「人口減社会」への対応の根本は、一人ひとりの人権と個性が尊重され、ほんとうに住みよい社会にしていく不断の努力を積み重ねることにおかれるべきです。
日本が、「人口減少社会」になったのは、労働法制の規制緩和による人間らしい雇用の破壊、教育費をはじめ子育てへの重い経済的負担、ジェンダー平等や子どもの権利が守られない“人権後進国”の遅れた実態など、くらしと権利を破壊する自民党政治が、この国を“子どもを産み、育てることに希望の持てない社会”にしてしまったからです。
私たちは、そうした政治の根本的に転換し、日本社会を、個人の人権と個性が尊重され、人生の自由な選択ができる社会にしていきます。
子育て支援を抜本的に拡充し、男女ともに家族的責任を果たせる働き方への改革をすすめます
重い教育費負担の軽減をはじめ子育て支援を抜本的に強化します
――高等教育の無償化に向け、大学・短大・専門学校の授業料を国の責任でただちに半額にし、無償化を計画的にすすめます。他の先進国にはない入学金制度をなくします。奨学金は、給付制中心に改めるとともに、貸与奨学金の返済を半額に減らします。
――学校給食費を無償化します。憲法26条は義務教育を無償としており、国の責任で無償化すべきです。
――高校卒業までの子ども医療費無料化を国の制度として実施します。
――子育てにかかわる「人」を抜本的に増やします。教員定数の抜本増を進め、長時間過密労働を解消して、残業代不支給制度を廃止します。教員の働き方を変えて教員不足を解決します。保育士配置など、保育の最低基準を改善します。
――一人一人にゆきとどいた教育のため、少人数学級を抜本的に前進させます。
――子どもの権利条約にそくして、子どもの権利を尊重します。行き過ぎた競争教育を是正します。
男女ともに家族的責任を果たせる働き方に改革をはかります
子育てしにくい社会を変えるためには、賃上げと長時間労働の解消など「人間を大切にする働き方改革」が必要です。それとともに、育児休業をはじめとした子育て中の労働者とその家族の生活をささえ、権利を守る仕組みを整備する必要があります。
――育児休業中の生活を保障する休業補償を拡充します。
女性の育休取得率は9割をこえていますが、男性はわずか14%であり、その5割超が育休取得期間は2週間未満です。収入減少への不安が取得できない理由の一つになっています。育休中の休業補償は、1年間は休業前の手取りの所得を補償する水準に引き上げます。
――子育て中の労働者への残業や転勤の制限など配慮・規制を行います。
子育て中の労働者の残業は本人同意を原則とします。単身赴任や長時間通勤を伴う転勤は本人が希望する場合以外は原則禁止します。短時間勤務制度は、小学校入学前まで延長し、所得補償の制度をつくります。深夜労働の免除も中学校入学前まで請求できるようにします。
「少子・高齢化」を口実にした社会保障削減に反対します
自公政権は、この間、「少子・高齢化」による財政危機を言い立て、世代間分断の攻撃を繰り返していますが、日本の社会保障支出(対GDP比)は欧州の国々に比べれば低水準であり、“自己責任の国”と言われるアメリカよりも少ないのが実態です。
子どもにも、若者にも、高齢者にも、国民のくらし全体に冷たい国――そうした政治を転換してこそ、真に持続可能な社会を実現できます。
――「少子・高齢化」を口実にした社会保障費削減の攻撃をやめさせ、社会保障・教育を経済力にふさわしく拡充します。