日本共産党

しんぶん赤旗

政策

日本共産党のかかげる政策をご紹介します

2025年参議院選挙各分野政策

85、武器輸出

「死の商人国家」への変質を許さない

2025年6月

1976年に当時の三木政権が表明した「武器輸出三原則」は、「国際紛争を助長しない」という「平和国家」としての理念にもとづき事実上武器輸出を全面禁止し、81年には衆参両院本会議は同三原則の厳格な運用を求める決議を全会一致で可決しました。自民党政府のもとでも、これが日本の「国是」となってきたのです。

外務省が2005年に発表した「平和国家としての60年の歩み(ファクト・シート)」も、平和国家の実績の一つとして、「武器の供給源とならず、武器の売買で利益を得ない(『武器輸出三原則』)」を挙げていたのです。

ところが2014年4月、当時の安倍政権は「武器輸出三原則」を撤廃し、武器や関連技術の輸出を包括的に解禁する「防衛装備移転三原則」へと大転換させる閣議決定を強行しました。それでも、殺傷武器の輸出については基本的に認めていませんでした。

それをさらに「大転換」させ、日本を「国際紛争助長国家」「死の商人国家」へと完全に変質させたのが岸田政権でした。2022年末に閣議決定した「安保3文書」が「防衛装備移転の推進」を掲げたことを受け、同政権はまず、23年12月に外国企業からライセンスを得て日本が生産した殺傷武器を、ライセンス元国へ輸出できるようにする閣議決定を行いました。

さらに昨年3月には、日英伊が共同開発・生産する次期戦闘機の日本から第三国への輸出を可能にする閣議決定を強行したのです。昨年6月には3カ国による共同開発を管理するための政府間機関(GIGO)を設立させる条約の承認を強行し、12月に発効しました。

「死の商人国家」への変質を見せつけたのが、今年5月に幕張メッセ(千葉市)で開催された国際的な武器見本市「DSEI Japan 2025」で、防衛省は前回(23年)の2倍の規模のブースを設けました。

防衛省発表によれば、防衛装備庁ブースでは、12式地対艦誘導弾能力向上型(模型)と、島嶼防衛用高速滑空弾(動画)の展示を行いました。これらはいわゆる「敵基地攻撃」のために開発・生産されている長射程ミサイルです。発表文には出展目的として、「諸外国との防衛装備・技術協力を推進する」としており、将来は、これらミサイルの国内配備に加えて外国への輸出も目指しているとしか考えられません。事態はここまで来ているのです。

石破茂首相はこの見本市に歴代首相として初めて訪問し講演まで行い、「戦争というものがどれほど軍事技術を進歩させるか」「各国との装備協力を積極的に推進する」「先進的で能力の高い装備品を生み出す防衛産業は防衛力そのものだ」などと表明しました。

さらに見本市では、日英伊で共同開発し2035年配備を目指す次期戦闘機の専用ブースを設け、模型や動画を用いてアピールしました。三菱重工業のブースには次期戦闘機と連携して飛行する無人機のコンセプトモデルも置かれました。

日本にとってF2戦闘機の後継となる次期戦闘機は、防衛省資料によれば「いずれの国においても実現されていない新たな戦い方」に対応する最新鋭機であり、殺傷武器の最たるものです。英伊にとってはユーロファイターの後継ですが、英伊独西が共同開発・生産した同機はサウジアラビアに第三国輸出され、それがイエメン内戦(2015年~)への軍事介入に投入された結果、多数の民間人が犠牲になったことは厳然たる事実です。次期戦闘機が第三国に輸出された場合、さらに破滅的な攻撃に使用される危険性があることは明白です。

報道によれば、このサウジがGIGOへの参画を要求し、日英伊は、「パートナー国」として参画することを容認する方向で調整に入ったとされます(「朝日」5月3日付電子版)。サウジについて「東京」1月9日付社説は、「開発経費の負担軽減を目的にサウジの参画が認められ、殺傷能力を持つ武器が紛争当事国に輸出されれば、国際紛争を助長し、戦後日本が築いた平和国家という国際的信頼を著しく損なう」と指摘しました。

政府・与党は昨年3月の閣議決定について、「3つの歯止め」――輸出するのは次期戦闘機に限る、輸出先は日本と「防衛装備品・技術移転協定」を締約している国に限る、「現に戦闘が行われている国」は除外する――を設けたとしていますがまったく歯止めになりません。

輸出は次期戦闘機に限るといいますが、これだけの殺傷能力を持つ武器の輸出を可能にしておいて、その他は輸出できないという理屈は成り立たず、今後、際限なく殺傷武器輸出が拡大していくことは必至です。また、日本と「防衛装備品・技術移転協定」を結んでいる国はいま15カ国ですが、これは国会の関与なく政府の一存で決められるので、締約国もいくらでも増やすことができます。さらに、現在は戦闘していない国であっても、日本が戦闘機を輸出した後に開始する事態は十分ありえます。実際、サウジアラビアがイエメン内戦に介入したのは、ユーロファイター輸入後のことでした。このように、日本が開発・生産に加わる次期戦闘機が無辜の市民の命を奪うとともに、戦闘機をはじめとする殺傷武器の輸出競争を激化させて逆に地域の安定を脅かす可能性はまったく排除されていません。

政府が第三国への輸出について「市場が大きくなり効率化する」としていることも重大です。これは、販路拡大でコストを安くし、多売により儲けを増やすということに他ならず、軍需産業を稼がせるためなら命の犠牲もいたしかたないといっているに等しいことになります。次期戦闘機は日本側では三菱重工が開発・生産の中心をになうことになりますが、同社は自民党への大口献金企業であり、その会長はさらなる大軍拡のために防衛省が設置した「有識者会議」のメンバーでもあります。これを「死の商人国家」への堕落といわずに何というのでしょう。

――殺傷武器輸出の閣議決定を撤回させ、「武器輸出三原則」に戻します

今年の武器見本市「DSEI Japan 2025」では、パレスチナ自治区ガザでジェノサイドを行っているイスラエルの軍需企業がなんと約20社も参加しました。 防衛省は2025年度予算に小型攻撃用ドローンの取得経費として32億円を計上しています。これまでに、イスラエル製4機のほか、オーストラリア製2機、スペイン製1機の計7機種の実証実験を実施し、今後、一般競争入札を経て選定する予定です。

「DSEI Japan 2025」では、イスラエル企業エルビット・システムズのブースで同社製造の「SkyStriker」(スカイストライカー)の模型が展示されました。このドローンはガザ攻撃にも投入され、今年4月には民間人が避難しているテントを攻撃し、子ども14人を含む30人以上が殺害されたと報じられました。エルビット・システムズはホームページでこのスカイストライカーについて、「戦闘で実証された精密な攻撃能力」などと宣伝しています。

政府・防衛省がこのようなイスラエルの企業からドローンを取得するなど言語道断です。そんなことをすれば、無法な虐殺への加担だといわれても反論できません。日本政府はイスラエルとの軍事協力を即時やめ、同国への制裁の具体的措置をとるべきです。

――イスラエルからのドローン取得計画をきっぱり中止し、同国に制裁措置を行います