2025参議院選挙 各分野の政策
40、原発問題
原発の最大限活用・新規建設という逆流を許さず、原発ゼロの日本を――再稼働をやめ、原発・核燃サイクルからの撤退、福島原発事故被害者への全面賠償を
2025年6月
石破茂内閣が閣議決定した第7次エネルギー基本計画(2025年2月)は、東京電力福島第一原発事故後に掲げてきた「原発依存度を低減させる」を削除し、原発の「最大限活用」と新たな原発建設を明記しました。事故の教訓を投げ捨て、再稼働や新規建設を求めてきた財界要求をまるのみした露骨な原発回帰であり、言語道断です。
原発回帰の動きは、ロシア・プーチン政権のウクライナ侵略によるエネルギー情勢の混乱を機に強まりました。日本経団連は、「エネルギー基本計画策定の見直しに向けた提言」(2024年10月)(https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/071.html)で、「原発依存度低減」をやめて「最大限活用」を明記、運転期間制限の撤廃、廃炉決定サイト以外での建て替えなどを求めました。原発リプレース議連も石破首相と面会し、同様のことを求めました(2024年12月)。国民民主党は同年11月、原発の最大限活用、再稼働、建て替え・新増設、審査の加速などを政府に求め、維新の会も「維新八策2024」で原発の早期再稼働、運転期間延長、建て替え、原子力事業の国有化を主張してきました。福島第一原発事故の痛苦の教訓を踏まえない、安全置き去りの態度です。
脱炭素、化石エネルギーからの転換を掲げたグリーントランスフォーメーション(GX)基本方針(2023年2月閣議決定)では、再稼働に総力を挙げること、運転期間の延長、新たな原発の開発・建設、再処理・最終処分の取り組み加速、原発への投資環境整備などが明記されました。第7次エネルギー基本計画には、廃炉決定済みの原発をもつ電力会社の別の原発サイトでの建て替えを具体化するとされました。
GX電源法(2023年通常国会で成立)では、60年を超えて原発を運転できる仕組みを導入するとともに、原子力基本法に、原発推進、原発産業支援、原発への投資環境整備を明記しました。原発の建設費や「安全対策」(改修)費の回収を保証するために、「長期脱炭素電源オークション」が導入され、4基(島根3号、柏崎刈羽6号、泊3号、東海第二)が落札(採用)されました。第7次エネルギー基本計画のとりまとめ作業では、さらなる原発建設支援制度として、イギリスのRAB(規制資産ベース)モデルなど、建設費が高騰しても投資回収を保障する仕組みも議論されました。原発の新規建設には費用が膨らみ、常識的なやり方では投資資金さえ集められなくなくなったことの表れです。
自公政権が財界要求を丸呑みする背景には、第2次安倍政権以降11年間で76億円にもなる原発業界から自民党(国民政治協会)への献金があります。企業・団体献金が指示を歪める典型です。同時に、日米首脳共同声明(2022年5月)で原子力協力の拡大と新型炉の開発加速がうたわれたように、アメリカの意向も踏まえたものです。第6次エネルギー基本計画(2021年10月閣議決定)で言及されたように世界の原発市場を中露が席巻する現状への危機感が背景にあります。
福島第1原発事故では、大量の放射性物質が放出され、地域社会に甚大な被害をもたらし、自治体丸ごとの避難など多くの人が避難を余儀なくされ、故郷を奪われました。原発が抱える危険性と事故被害の深刻さが明らかとなりました。2年近い(2013年9月~15年8月)「稼働原発ゼロ」も経験し、日本社会が原発なしでやっていけることも明らかとなりました。2018年には原発ゼロ基本法案も国会に提出されました(日本共産党など野党4党共同提案)。
いま日本は、財界やアメリカの求めるままに原発回帰、原発依存へと突き進むのか、再稼働を許さず「原発ゼロの日本」にすすむのか、大きな分かれ道にあります。3月の世論調査(日本世論調査会)では、6割が原発ゼロを望んでいます。その最大の理由は、福島事故のような事態を再び招く恐れがあるからです。日本共産党は、原発の最大限活用・新規建設という無謀な道をやめさせ、「原発ゼロ基本法」を制定し、「原発ゼロの日本」を実現するため尽力します。
原発事故は「収束」とは程遠く、事故被害は続いています
事故から14年以上たちますが、福島第一原発は、「収束」とは程遠く、事故の真っただ中にあり、いまなお「原子力緊急事態宣言」下にあります。破壊された原子炉建屋への地下水などの流入により、核燃料から溶け出した放射性物質を含む汚染水が増え続けています。溶け落ちた核燃料(デブリ)は、状況把握すら困難を極め、取り出しの見通しも立ちません。政府は「収束宣言」(2011年12月)を誤りと認め、きっぱりと撤回すべきです。廃炉に向けた政府の「中長期ロードマップ」(2019年12月)(https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/20191227.pdf)は、事故後30年~40年で廃炉完了するという枠みを変えていませんが、汚染水対策やデブリ取り出しの難航という現実を踏まえた見直しが求められます。
放射能汚染水をALPS(多核種除去設備)等で処理した「ALPS処理水」について、政府と東京電力は2023年夏、海洋放出を強行しました。「ALPS処理水」には高濃度のトリチウムなどが残っています。海洋放出には、全国漁業協同組合連合会をはじめ多くの業界、自治体から反対、懸念の声が出され、政府と東京電力は、「関係者の理解なしに放出は行わない」と約束してきました。関係者の声を無視し、約束を破り捨てたことを許すことはできません。政府は、海洋放出を中止し、汚染水の発生抑制と海洋放出回避のために、英知を集めて関係者が納得できる解決の道を探求すべきです。
政府は、帰還困難区域を除き避難指示を解除したことをもって「復興・再生が本格的に始まっている」「東日本大震災からの復興の基本方針」(2024年3月閣議決定)としています。しかし、避難指示が解除されても、暮らしを支える商店や病院がなかなか整わないなど帰還と復興を進める上での課題は山積です。にもかかわらず、被害者への賠償は避難解除と連動して打ち切られています。全面的な賠償をはじめ暮らし・地域の再建まで、政府と東電が責任を果たすべきです。
政府は、帰還困難区域について、復興再生拠点区域の整備だけでなく、同区域外についても、避難指示解除に必要な除染・インフラ整備等の費用を「東京電力に求償せずに国の負担」としています(2016年12月「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」、(2021年8月31日「特定復興再生拠点区域外への帰還・居住に向けた避難指示解除に関する考え方」)。除染・インフラ整備等の費用は、汚染者である東京電力が負担するべきであり、「東京電力に求償せず」という方針は撤回すべきです。
政府は東京電力と一体となって、「稼ぐことが福島事業への貢献」(経産省東電・1F委員会「東電改革提言」2016年12月)だとして東京電力・柏崎刈羽原発を再稼働させようとしています。事故被害者に対する賠償などの責任を原発再稼働の口実とするなど、事故被害者を愚弄する自民・公明政権を許すわけにはいきません。
「世界で最も厳しい水準の規制基準」は事実に反し、破たんしています
安倍政権以来の「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた」原発の再稼働を進めるという方針は根底から破たんしています。
「新基準」は、福島原発事故の原因究明もないまま、再稼働を急ぐために「スケジュール先にありき」で決定したものです。重大事故(「炉心の著しい損傷」)への対策は部分的で、EUで義務づけているコアキャッチャー(溶融炉心を受け止めて冷やす装置)は義務付けませんでした。活断層があっても、その真上に原子炉など重要な設備でなければ建設してもよいなど、きわめてずさんなものです。火山対策に至っては、火山学者が無理だと指摘しているのに、原発の運転期間中に巨大噴火が起こる可能性は十分小さいと判断できると強弁し、「巨大噴火によるリスクは、社会通念上容認される」(「『設計対応不可能な火山事象を伴う火山活動の評価』に関する基本的な考え方について」2018年3月原子力規制委員会)と開き直る無責任なものです。
事故が起きた場合の避難対策は自治体任せであり、実効性の保障もありません。アメリカでさえ住民の避難対策は稼働の前提とされています。「世界で最も厳しい水準の規制基準」という言明は完全に破たんしています。
司法においても、確定判決ではないとはいえ、「生存権を基礎とする人格権」が奪われる可能性がある(2014年5月福井地裁、大飯原発)、「過酷事故対策について…危惧すべき点があ」る(2016年3月大津地裁、高浜原発)、「実現可能な避難計画が整えられていると言うにはほど遠い」(2021年3月水戸地裁、東海第二原発)として、原発の運転差し止めを命じる判決が出されています(いずれも係争中または後に高裁等で差し止め命令取り消し)。原子力規制委の耐震性審査に「看過しがたい過誤、欠落がある」として設置許可取り消し判決も出されています(2020年12月大阪地裁、大飯原発。高裁係争中)。
プルトニウム利用計画(核燃料サイクル)の破たんも明らかです
石破政権のエネルギー基本計画は、「核燃料サイクルの推進」を明記し、使用済核燃料からプルトニウムを取り出して核燃料として再利用するとしています。しかし、核燃料サイクルの中心となるはずだったプルトニウムを利用する高速増殖炉「もんじゅ」は事故・不祥事続きで廃炉となりました。既設の原発でプルトニウムを利用するプルサーマルは4基しかありません。プルトニウム利用計画の破たんは明らかです。
プルトニウムは核兵器の原料でもあります。六ヶ所再処理工場がフル稼働すれば、取り出されるプルトニウムは年間8トン近くになります。日本は、すでに44トン余りのプルトニウムを保有しています(我が国のプルトニウム管理状況)。使う当てのないプルトニウムをさらに大量に抱えることになれば、世界から疑惑を持たれるだけでなく、核拡散防止の国際的努力の支障にもなりかねません。
低コスト・安定供給という原発推進の「看板」は剥がれ落ちました
政府は、原発を「優れた安定供給性」「他電源と遜色ないコスト水準」の電源(第7次エネルギー基本計画)としています。しかし、福島原発事故以降、原発が高コスト電源であることが露わになっています。
事故以前の政府試算では、原発は1kW時あたり5.9円とされていましたが、2025年2月の試算では、原発は12.5円以上となり、太陽光発電(事業用6.9円~8.8円/住宅用7.8円~10.6円)より高くなりました(陸上風力発電は12.6円~14.5円)。しかも、事故賠償費用について上限を見積もることができないため原発コストには上限がありません。原発は高コストだという事実を、政府も否定できなくなりました。
政府が成長戦略の一環として進めてきた原発輸出(外国での原発建設事業)は、東芝、三菱重工、日立製作所すべてとん挫し、総崩れに陥りました。福島原発事故により「安全対策」コストが増え、事業費が原発1基2兆円規模に膨れ上がったためです。国内では、原発を再稼働させるための「安全対策」費が、電力会社11社で6兆円余り(「東京」2024年3月10日付、「朝日」2024年8月20日付)と建設費の5割近くにもなっています。これまで切り捨ててきた「安全対策」コストが顕在化し、原発はもはや、ビジネスとして成り立たないものになっています。
福島第一原発事故の事故処理費用は、賠償額だけでも13兆6千億円となり(東京電力の第4次総合特別事業計画。2025年3月17日時点)、政府の当初見通し7.9兆円(「原子力災害からの福島復興の加速のための基本方針」2016年12月)の1.7倍となっています。どこまで膨らむか見当もつきません。
福島原発事故後、原子力損害賠償法が改定されましたが(2018年臨時国会)、事故の賠償に備えて義務づけられた保険金額(賠償措置額)は1,200億円のまま据え置かれました。福島原発事故の被害と比べてあまりにも過少な賠償措置額が据え置かれたのは、保険業界が引き上げを拒否したためです(原子力委員会の第17回原子力損害賠償専門部会(2017年5月30日))。民間で負えないほどのリスクという点でも、原発はビジネスとして成り立つものではありません。
安定供給という点では、北海道胆振東部地震(2018年9月)で起こった全道停電が重要な教訓を示しています。大規模停電になったのは、電力供給を大きく担っていた大規模発電所が地震で停止したためです。大規模集中発電の危さと分散型への転換の必要性が浮き彫りにしました。原発は、大規模集中発電の典型であり、電力の安定供給という点で重大なリスクを抱えています
甚大な放射能汚染を引き起こす原発を、「環境対策」を口実に推進することは許されません
政府は、原発を「脱炭素電源」と位置づけ、温暖化対策を原発推進の口実にしています。しかし福島原発事故が明らかににしたように、ひとたび重大事故が起これば、放射能汚染は極めて甚大なものとなります。地域社会が破壊され、その被害から立ち直るには多大な努力と時間が必要となります。大飯原発の運転差し止め訴訟で福井地裁が判示したように、「環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋ちがい」(2014年5月)であり、許されません。
原発は、再エネ導入の障害物となっています。九州エリアが典型ですが、電力需要が少ないときに、原発の運転を維持しながら、再エネの発電を抑える出力抑制が広がっています。再エネを押しのける原発は環境対策とは逆行するものです。
老朽原発の再稼働や核のゴミ処分場を巨額の交付金で押し付けるのはやめるべきです
2021年春、40年超の老朽原発3基(美浜3号機、高浜1号機・2号機)の再稼働に対する福井県知事の同意を引き出すため、政府は、発電所あたり25億円(美浜と高浜で50億円)という巨額の交付金を設けました。23年6月には、柏崎刈羽原発など10年以上止まっている原発が再稼働した場合には最大25億円を交付できるようにしました。また、北海道の寿都町と神恵内村が20年秋に、佐賀県玄海町が昨年5月に、「核のゴミ」最終処分場の文献調査(立地調査の第1段階)を受け入れましたが、その際も、2年間で20億円という交付金が大きな誘因となりました。国の農林水産業政策や地域振興策の失敗により地域経済が疲弊し財政的にも苦しんでいる自治体に、金の力で国策協力を押し付けることはやめるべきです。
日本共産党の提案
汚染水の海洋放出を中止し、汚染水対策をはじめ事故収束・廃炉を、日本の英知を結集した国の一大事業として位置づけやりぬく
事故の収束と廃炉を、日本の英知を結集した大事業として位置づけ、国と東電は総力をあげて取り組むべきです。
増え続ける汚染水は、事故収束・廃炉で直面する大問題です。建屋への地下水流入を止めない限り汚染水は増え続けます。汚染水の海洋放出は、凍土壁などの対策が前宣伝ほどの効果をあげていないことへの責任を棚上げするものです。汚染水の海洋放出を中止し、タンク増設などの対策を取りつつ、広く英知を集めて汚染水の発生抑制に取り組みます。
収束作業に従事する労働者の安全と健康の管理に万全を尽くし、その仕事の重要性にふさわしく労働条件を抜本的に良くすることを要求します。
福島第一原発事故の進展過程はいまだに解明できていません。福島原発事故の原因とプロセスを科学的に検証するため、東京電力や経産省から独立し、調査権限を持った第三者機関と研究機関を確立します。
賠償打ち切りを撤回し、全面賠償と除染をすすめる
政府は、避難指示解除を口実に賠償を打ち切り、福島原発事故を終わったことにしようとしていますが、絶対に認めるわけにはいきません。賠償と除染、生活支援、復興支援で、不当な「線引き」をせずに、いわゆる「自主避難者」を含むすべての被災者・被害者を対象にすることを求めます。生活と生業(なりわい)が再建され、希望する人が故郷に帰り、命と健康を守る医療や介護、子どもたちの教育を保障し続け、「安全・安心の福島県」をとりもどすまで、そのすべての過程で、国の責任で復興を支援します。
原子力損害賠償紛争審査会の「指針」を被害実態に見合うよう見直し、全面賠償を行います。東電、経産省の賠償打ち切りを許さず、精神的損害への賠償を含め被災者が納得できるまで賠償を行わせます。長期にわたる原発事故被害には「時効」などあってはなりません。賠償金はすべて非課税とします。
政府と東京電力の責任で除染を進めさせます。福島県内の住宅等の除染はおおむね完了した(帰還困難区域除く)とされていますが、放射線量が十分下がらず再除染を求める声が少なくありません。再除染を含め除染の徹底とスピードアップをはかります。森林についても生活圏に限定せず住民要求をふまえて除染をすすめます。危険手当の支払いなどすべての除染作業員の権利を守り、除染事業が確実、迅速にすすむようにします。
福島県の18歳以下の子どもの医療費・検査料は国の負担で無料とします。「子ども・被災者生活支援法」を生かし、子どもの成長と権利を守るよう施策をすすめます。
事故の後始末費用は汚染者負担原則で
福島原発事故の廃炉・賠償・除染等の費用は、汚染者負担原則にもとづき、事故原因者・加害者である東京電力が第一義的責任を果たすべきです。国を免罪した最高裁判決(2022年6月)は極めて不当です。国の法的責任を認めた一連の原発避難者訴訟判決を踏まえ、歴代自民党政府が原発を推進してきたことへの根本的な反省を行い、国が責任をとること、「原発ゼロ」への政策転換を明確にすることが不可欠です。
政府見通しの21兆5千億円をも超えかねない巨額の事故処理費用を電気料金に上乗せし、賠償費の「過去分」と称して将来世代にまで負担させ、さらに税金投入によって際限なく国民へツケを回す仕組み(原賠・廃炉等機構法及び2016年12月閣議決定「福島復興加速基本指針」等)は根本的に見直します。東電の経営陣、株主、メガバンク、原子炉メーカー、ゼネコンなど「原発利益共同体」に応分の負担をもとめ、国民負担を最小化します。
原発を再稼働させず、新増設も輸出も認めない
原発なしでも電力不足にはならず、節電や再エネ導入がすすんだ結果、「稼働原発ゼロ」の2014年度以降、エネルギー起源の二酸化炭素排出量は減っています。日本社会は原発なしでも十分やっていけます。原発を再稼働させず、建設許可済みのものや計画中のものも含めて、新たな原発の建設は認めません。
自国で大事故を起こし、国内では原発に「絶対安全はない」(原子力規制委員会委員長)と言いながら、他国には「世界一安全な原発技術を提供できる」(安倍晋三首相(当時))と原発を売り込むことほど罪深い所業はありません。無責任な原発輸出政策をきっぱり断念すべきです。
原発・核燃料サイクルからただちに撤退する
福島第一原発事故から14年余の体験は、原発と人類が共存できないことを示しています。とりわけ日本は地震大国です。規制委員会は、敦賀原発2号機の直下の断層を、活断層の可能性が否定できないと認めました。ずさんな評価で原発が立地されてきたことが改めて明らかになりました。建ててはいけない場所に建てた原発は直ちに廃炉にすべきです。東海地震震源域にある浜岡原発はもちろん、日本で大地震が起きないといえる場所はなく、原発は直ちにやめるべきです。
原発の使用済み核燃料は、各原発と六ヶ所再処理工場で2万トン以上が貯蔵されており、平均すればあと7年弱で貯蔵能力の限界に達します。原発を動かせば使用済み核燃料の置き場所がなくなる状況です。再処理しても、使う当てのないプルトニウムと処分場の目途がない高レベル放射性廃棄物という、いっそう厄介な荷物を抱え込むだけです。
高速増殖炉「もんじゅ」の廃止にとどまらず、新たな高速実証炉開発も中止し、再処理工場を廃止し、核燃料サイクルからただちに撤退します。
政府は、核のゴミの最終処分場について国土の65%が「好ましい」特性を持つとする「科学的特性マップ」を公表し、「国が前面に立って」立地調査を自治体に押し付けようとしています。しかし、地殻変動の活発な日本で「万年単位に及ぶ超長期にわたって安定した地層を確認することに対して、現在の科学的知識と技術的能力では限界がある」と日本学術会議は警告しています(「高レベル放射性廃棄物の処分について(回答)」2012年9月)。使用済み核燃料の処分の手段・方法については、既定路線にとらわれず、専門家の英知を結集して研究・開発をすすめる必要があります。その結論が出るまでは、政府の責任で厳重な管理をおこないます。
「原発ゼロ」実現後も残る「核のゴミ」や原発廃炉など「負の遺産」に取り組むためにも、原子力に関する基礎研究とこの仕事を担う専門家の確保・育成をすすめます。原発の廃炉にいたるプロセスの管理、使用済み核燃料の管理などを目的とし、従来の原発推進勢力から独立し、強力な権限をもった規制機関を確立します。
再生可能エネルギーへ抜本的に転換し、原発立地地域も再エネ関連産業で再生をはかる
原発・核燃料サイクルから撤退し、再生可能エネルギーの大幅導入への抜本的転換の計画を立てて、実行していきます。原発の運転が優先され再生可能エネルギーの出力抑制が行われているの現状をあらため、原発でなく再エネ優先へとルールを切り替えます。再生可能エネルギーの電源には天候などにより出力が変動するものもありますが、大規模な蓄電池システムの導入で対応可能です。また、各地で普及が進めば進むほど、また、太陽光、小水力、バイオマス、風力、地熱といった多様なエネルギーを組み合わせることで、変動がならされて安定します。日本でも、事業用太陽光発電の入札価格は1kW時あたり8円~9円程度となっています(2024年度)。日本の多様で豊かな再生エネルギーの潜在力を生かし、自然エネルギー大国に切り替えます。
原発立地地域の多くは経済的に原発に依存していますが、そのように誘導した国と電力会社の責任は重大です。大きな成長が期待される再生可能エネルギーと関連する新産業の誘致・育成、原発廃炉によって可能性が広がる漁業、農業と関連産業の育成など、本格的な地域経済再生に国として取り組み、「原発ゼロ」と一体に立地自治体の住民のくらし、地域経済再建の支援をすすめます。



