2025参議院選挙 各分野の政策
24、若者/青年・学生
若者が安心して暮らし、自由に生きられる社会をめざします
学費値上げは中止、「学費ゼロ」の社会をめざします
消費税減税、賃上げと労働時間短縮をすすめ、若者の生活を守り、自由を拡大します
政治・選挙活動の自由、個人の尊重をすすめ、若者の力が発揮できるようにします
2025年6月
#学費 #奨学金 #消費税減税 #減らない年金 #賃上げ #最賃 #労働時間短縮 #家賃 #非正規ワーカー #被選挙権 #高校生の政治活動 #選挙の自由 #ハラスメント根絶 #ジェンダー平等 #校則
学費値上げを許さず、値下げにふみ出し、『学費ゼロ』の社会を
1.学費値上げをやめさせる緊急の措置をとり、無償化にむけて直ちに半額にします
大学の学費値上げが、大きな社会問題となっています。もともと日本の異常に高い学費の解決は学生・国民のもっとも切実な願いの一つです。昨年の総選挙では主要政党のすべてが高等教育について、「無償化」「負担軽減」などを公約に掲げ、石破首相も、自民党の総裁選で「国立大学・高専の無償化」を公約しました。
ところが、東京大学が年10万円余の値上げを実施するなど国立大での値上げ、また私立大でも毎年のように値上げが続くなど、“学費値上げラッシュ”ともいうべき事態となっています。高すぎる学費が、これ以上値上げされれば、学生も家族も、その負担に耐えられないことは明らかです。これにたいして、学生たちは、「学費値上げは、すべての大学の問題」「学ぶ権利を奪うな」とそれぞれの大学で値上げ反対の声をあげるとともに、国会で全国的な集会を開くなど、値上げを許さない運動を広げています。
もともと日本の高等教育予算はOECD(経済協力開発機構)の中でも「最低水準」という状態が長期にわたって続いています。しかも政府は、2004年の国立大学法人化後、1,600億円も運営費交付金を削減しました。私立大学への私学助成は経常費の1割以下に抑制されたままになっています。その結果、大学は物価高騰を含め教育コストの増額などから“財政難”にあえいでいます。
政治によってもたらされた大学の財政難による教育研究条件の劣悪化は、わが国の大学教育、学術にとって深刻な事態であり、学費値上げの原因になっています。しかし、これを「理由」に学費値上げを学生と家族に押しつけることは許されません。そして、こうした時に、政府が「国立大学は授業料標準額の120%まで値上げできる。各大学の判断に任せる」などと静観していていいはずがありません。
学費値上げを回避するための、緊急の手だてには、大きな予算は必要ではなく、1,000億円程度で、国公私立大学、専門学校の来年度の値上げを回避することができます。政治の責任で学費値上げを回避する措置をとるべきです。
そして、学費値上げではなく、高等教育の無償化こそ求められています。日本政府は、2012年に国際人権規約の高等教育無償化条項について留保を撤回し、高等教育を無償化することを国民と国際社会に公約しましたが、その後、具体的な取り組みは議論もされず、10年以上も「放置」されています。憲法は、教育の機会均等を定めており、それを国民に保障するのは政治の責任です。教育の成果は、個人のためだけでなく、社会全体のものです。OECD加盟国で高等教育への公的支出が「最低水準」、すなわち私的支出=個人負担がとても大きいという状態も放置して良いはずがありません。政府として、値上げではなく、国立、私立、公立大学などの学費を直ちに半額にして値下げに向けて踏み出し、高等教育の無償化=「学費ゼロ」をすすめることを求めます。
2.本格的な給付奨学金をつくり、奨学金返済の負担を減らします
「奨学金返済の負担で、将来設計もできない」―――学生の3人に1人が平均300万円の奨学金の借金を背負って社会に出ています。その総額は10兆円近くにもなり、若い世代の生活に重くのしかかっています。
現在の奨学金は、将来の借金となる貸与制が中心です。政府が2020年度から導入した修学支援制度(授業料免除と給付奨学金)は、実情に合わないため全学生の1割しか対象にならず、予算の4割も余らせている欠陥制度で、本来の給付奨学金とは程遠いものです。
奨学金は給付制中心にあらためます。「自宅4万円、自宅外8万円(月額)」を75万人に支給する本格的な給付奨学金制度を創設し、対象・支給額を拡充していきます。
国の貧困な政治のもとで起きた若い世代が背負っている巨額の借金=貸与奨学金の返済軽減へ、政府が決断するときです。貸与奨学金の返済を半分に減らし、返還中を含め、すべての貸与奨学金を無利子にします。減免制度、返済猶予、減額期間の所得制限を緩和するとともに、期間の上限を撤廃し、返済負担を大幅に軽減します。保証料・保証人制度、延滞金を廃止します。
3.他の先進国にはない入学金制度をなくします
入学金は他の先進国にはない日本独特の制度で、私立大学で平均約25万円、国立大学は約28万円と高額です。高額の入学金を払わせ、入学しなくても返金しないというのは、合理性がありません。
生活保護を利用しながら大学などに進学することは現在、原則認められていません。生活保護世帯の子どもが、世帯分離をせずに大学に進学できるよう制度を改善します。
消費税減税、賃上げと労働時間短縮をすすめ、若者の生活を守り、自由を拡大します
1.消費税減税、“減らない年金”を保障し、生活にかかる負担などの軽減をはかります
食料品、水光熱費、衣服など、あらゆるものの価格が上がっているいま、低所得者ほど負担の重い消費税は、若者のくらしを直撃しています。毎日の買い物にかかる消費税の負担を減らすことは、もっとも力強く、効果的な暮らし応援です。消費税は廃止をめざし、5%に緊急に引き下げます。大企業と富裕層への行き過ぎた減税や税の優遇をやめることと一体で、借金に頼らず、恒久的な財源を確保します。
自公政権が、「100年安心」と言って導入した、年金額を物価上昇より下回らせる制度によって現役世代の受け取る年金がどんどん減っていくことになります。「マクロ経済スライド」などをなくし、年金を、物価の値上がりや賃金上昇に追いつかせて引き上げ、若い世代、現役世代に“減らない年金”を保障します。
高い家賃負担を軽減します。20代単身者の最大の支出は家賃です。住居確保給付金の支給対象を拡充とともに、家賃補助制度を創設します。民間賃貸住宅の借り上げを含めて若者向け公営住宅を増やします。若い世代が、家族・近親者の世話や介護に追われ、重い負担に苦しんだり、成長や進路の障害となったりする、”ヤングケアラー”の問題が深刻になっています。ヤングケアラーの相談にのり、サポートする仕組みをつくります。
2.政府の責任で、賃上げと一体に労働時間の短縮をはかります
日本の労働者の賃金は、30年間もの長期にわたって減り続け、実質賃金は、ピーク時の1996年から年収で平均74万円も減少しています。そこに物価高騰が追い打ちをかけています。日本のフルタイム労働者の労働時間は、ヨーロッパの主な国と比べて年間300時間も長く、「8時間労働」だったとしても、休憩時間や通勤時間を加えれば仕事に係る拘束時間は9~10時間に及びます。実際には、残業や休日出勤が加わり、サービス残業など違法・脱法の長時間労働もはびこっています。大幅賃上げと、労働時間の短縮による「自分の時間」「豊かな生活時間」の拡大をはかります。
賃上げへの責任をはたす政治に変え、大企業も中小企業も賃上げを促進します。最低賃金を「2020年代に1,500円に」と石破首相も言い出しましたが、「5年先」では遅すぎます。物価高に負けない賃上げをすすめるためにも、最低賃金を全国一律1,500円(月額手取り20万円程度)に引き上げ、1,700円をめざします。この問題の最大の焦点は、雇用の7割を支える中小企業の賃上げへの直接支援をやるかやらないかにあります。岩手県、徳島県、群馬県、奈良県などで中小企業の賃上げへの直接支援、補助金がスタートしています。国が、中小企業の社会保険料の軽減や賃上げ補助金など、中小企業の賃上げへの直接支援を大規模に行うようにします。
日本の非正規雇用者はこの20年で約1.4倍、620万人も増加し2,124万人に達していますが、その多くが低賃金と不安定な雇用のなかで働き、日本の低賃金構造をつくる大きな要因にもなっています。日本共産党は「非正規ワーカー待遇改善法」を提案しています。非正規ワーカーの待遇改善をはかります。
物価高騰による医療、介護の経営危機・提供基盤の崩壊を食いとめ、ケア労働者の賃上げをはかる緊急措置をはかります。「教員残業代ゼロ制度」の廃止、授業にみあった教員定数をはかります。保育士の着実で継続的な賃上げと、職員配置基準の引き上げ、常勤職員の増員など労働条件の改善をすすめます。
政府や財界などは、“労働時間を短くするなら賃下げ”という二者択一を迫ってきます。こんな攻撃に負けるわけにはいきません。賃上げは経済の好循環に導き、労働時間短縮の条件を広げます。そして、労働時間の短縮は、暮らしの豊かさを増し、消費も喚起し、経済の面でも好循環をもたらします。大企業が大きな利益をあげても、労働者にも経済全体にも還元されず、内部留保が巨額に積み上がっていく――この日本経済の構造的なゆがみをただしていけば、賃上げと労働時間の短縮を一体にすすめ、豊かな生活と持続可能な経済社会の発展につなげることができます。
日本共産党は「自由時間拡大推進法」の提案をしています。「1日7時間、週35時間」への移行を国の目標にして条件整備をはかるとともに、残業など長時間労働是正の規制を強化します。男女賃金格差の是正、労働時間短縮でジェンダー平等の推進をはかります。
政治・選挙活動の自由、個人の尊重をすすめ、若者の力が発揮できるようにします
1.被選挙権の年齢を引き下げ、若者の政治・選挙活動の自由を拡大します
選挙権は18歳に引き下げられましたが、被選挙権は、参議院議員や都道府県知事で30歳以上、衆議院議員や市区町村長、地方議員で25歳以上であり、多くの若者が除外されています。主要政党が18歳から入党できることをみても、18歳以上であれば政治を担う意欲と力量があることは明らかです。
被選挙権の年齢を18歳に速やかに引き下げ、供託金を大幅に引き下げます。主権者として選挙に気軽に多面的に参加できるよう、選挙運動の自由を広げます。大学など若者が集中する場所への投票所設置をすすめます。
2.高校生の政治・選挙活動の制限をなくし、自由を拡大します
18歳選挙権が実施され、高校生は主権者として社会に参加する立場となり、そうしたなかで社会や政治のあり方を真剣に模索しています。高校生が政治にかかわり、行動することは、子どもの権利条約、日本国憲法で「意見表明権」「表現の自由」「結社・集会の自由」などがうたわれているように当然の権利であり、日本社会の発展にとって有意義なものです。
日本の高校生の政治活動は、長く文部省通知などによって不当に規制されてきました。18歳選挙権の実施に伴い、この通知は廃止され、新たな文科省通知は「18歳以上の高等学校等の生徒は、有権者として選挙権を有し、また、選挙運動を行うことなどが認められる」「今後は、高等学校等の生徒が、国家・社会の形成に主体的に参画していくことがより一層期待される」と述べるようになっています。しかし、いまだ生徒会活動・部活動における政治活動や学校構内における選挙運動など一部に制約を課しており、こうした制約はただちになくし、政治・選挙活動の自由を保障すべきです。
さらに、公選法は18歳未満の選挙運動を禁止していますが、政治活動のなかで、選挙運動だけを否定する根拠はなく、選挙運動も自由であることは当然で、高校生からも反対の声があがっています。公選法を改正し、高校生の選挙運動の自由を保障します。
3.学校、職場など、あらゆる場面でハラスメントをなくし、ジェンダー平等をめざします
就活セクハラ、キャンパス内やSNSでの性暴力、痴漢被害――若い女性を狙った性暴力が後を絶ちません。「フラッシュバックで日常生活に支障」など被害は深刻です。「だれにも相談できず、一人で出産」など予期せぬ妊娠に苦しむ若い女性が後を絶ちません。選択的夫婦別姓や同性婚の法制化という当たり前の願いさえ、実現できていません。
日本共産党は、実効ある法整備で男女賃金格差の解消など雇用のジェンダー平等推進をはかることをはじめ、女性の政治、政策・意思決定への参加促進、リプロダクティブ・ヘルス&ライツの保障をはじめ、ジェンダー平等をめざすすべてのみなさんと連帯し、だれもが人間らしく、自分らしく、安心して生きられる社会の実現へ力を尽くします。
人権侵害の理不尽な校則の見直しを、高校生の参加ですすめます。下着の色や頭髪黒染めなどを強要する理不尽な校則が、各地の高校にはびこっています。人権を侵害する理不尽な校則にたいして、高校生をはじめ保護者や教職員など多くの方々が声をあげ、実際に校則を見直す動きが生まれていることは重要です。日本政府も批准する「子どもの権利条約」には、「子どもの最善の利益」「意見表明権」などが定められています。高校生が学校運営に参加し、その意見を尊重して理不尽な校則が改められるようにします。