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26.司法・警察

国民のための司法・警察制度に改革します

1、国民のための裁判

裁判所は、国民の権利をまもり実現するための最後の砦(とりで)です。しかし現状は、不当解雇、労働災害、公害・薬害など大企業を相手とする裁判や国・地方自治体を相手とする行政裁判では、国民の自由と権利をまもるうえで、国民の期待に反し、十分な役割をはたせていません。刑事裁判では、えん罪が後を絶ちません。

5月21日に施行1年目を経過した裁判員制度は、4000人以上の国民が裁判員(または補充裁判員)をつとめ、530人の被告人に判決が言い渡され、市民感覚が反映された刑事裁判がすすめられるようになりました。刑事裁判に国民が参加することは、国民の人権がしばしば侵害されるなど、きわめて問題の多い現在の裁判のあり方を改善するうえで、積極的意義をもっています。日本共産党は、裁判員経験者の感想、意見をもふまえ、法曹界とも連携し、真に国民参加の制度となるよう、必要な運用の改善と立法改正をもとめていきます。

法律扶助協会にかわって設置された日本司法支援センター(法テラス)は、法律扶助事業、被疑者・被告人の国選弁護、法律相談、犯罪被害者支援、少年事件支援の活動をおこなっています。これらの事業は国民の権利を保障することをめざすものであり、国民の期待にこたえられるように充実をはからなければなりません。

日本共産党は、国民のための裁判の制度を改善し、国民への法的サービスを充実させるため、全力をあげます。

(1)刑事裁判を改善します

日本の刑事裁判は、犯罪捜査から裁判の判決にいたるまで、自白に偏重したやり方をとってきました。そのため、数多くのえん罪が生じ、大きな社会問題となっています。1980年代に4人の死刑確定者が再審裁判で無罪となったのはその典型ですが、最近でも、無期懲役で17年半も獄中にあった足利事件の菅家利和さんが釈放され再審無罪が確定し、布川事件の再審裁判が開始され、被告人12人全員無罪となった鹿児島・志布志事件、懲役刑を終えて出所後に真犯人が現われて無実が認められた富山・氷見事件など、枚挙にいとまがありません。

これらのえん罪は、どの事件も共通して、警察が逮捕した被疑者や被告人を四六時中支配できる警察留置場に拘束し、そこでウソの自白を強要して自白調書を作成することにはじまっています。それをうけて検察官は、物証やアリバイより、自白調書を重要なよりどころとして起訴し、裁判官は公開の法廷で被告人が犯行を否認していることよりも、公開されていない捜査官の面前での自白調書を重視して有罪としてきたところに原因があります。

憲法では適正手続、黙秘権、弁護人の接見交通権など、第31条から40条までにわたって詳細に刑事上の人権がさだめられていますが、実際の運用では不十分です。

こうした刑事捜査や裁判の事態を改善するために、次の課題の実現をめざします。

裁判員裁判で無罪推定の原則をつらぬき、よりよい制度に改善します……有罪が確定するまでは被告人は無罪が推定されるというのが刑事裁判の原則です。裁判員裁判では、とりわけそれがつらぬかれるようにすべきです。検察側と被告側の双方の証人が法廷でおこなった証言や被告人の発言、法廷に出された物的証拠など、法廷で直接に見聞きしたことにもとづいて、裁判に訴えられた犯罪事実をおこなったのが被告人かどうかを認定することがもとめられます。

裁判員候補者の辞退の申し出には実情をよく確かめ、無理やり強制するようなやり方はさけるべきです。裁判員が刑事裁判に参加しやすいよう、国の責任で事業所等への保障措置を徹底することをもとめます。守秘義務の規定がきびしすぎるという国民の声にこたえ、運用では守秘義務の対象を評議にかかわる個人情報のろうえいのみにかぎり、罰則の適用も柔軟にすべきです。

裁判員制度は3年後に見直しがおこなわれることになっており、上記の改善すべき点とともに、裁判員裁判であつかう事件の対象や範囲の見直し、死刑をきめる場合の全員一致制などもふくめ、必要な運用の改善と立法改正をもとめていきます。

保釈の改善、証拠の全面開示を求め、目的外使用禁止をやめさせます……被告人が否認していると保釈を認めない、被告人に有利な証拠を集めているのに検察官が開示しないなど、公正な裁判を害するやり方をあらため、保釈の運用の改善、公判前の証拠の弁護人への全面開示をもとめます。証拠を裁判の「目的外」に使用することを禁止しているのは、裁判の公開の原則にそむくものであり、やめさせます。

取り調べ全体をガラス張り(可視化)にし、弁護人の立会いを認めます……自白強要の取り調べをやめさせるうえで、取り調べの全過程を録画(可視化)し、取り調べに弁護人の立会いを認めることはきわめて重要です。警察は捜査に支障が出るなどという理屈で、自白強要の取り調べを維持しようとして全過程の録画に反対しており、検察庁も取り調べの一部にすぎない自白部分のみの録画にかぎる態度です。取り調べ全体の録画を実施することは、公正な裁判を迅速にすすめるうえでも不可欠であり、早急な実施をもとめます。

可視化の法制化、取り調べに弁護人の立会いをもとめ、法制化が実現する以前に被疑者が取り調べ全過程の録画や取り調べに弁護人の立会いを要求したときは、捜査当局がこれに応じるよう改善します。

人権侵害の取り調べの温床である「代用監獄」を廃止します……逮捕された被疑者はすみやかに裁判官の面前に引き渡されなければならないこと、その後は身柄を警察にゆだねず、捜査と拘禁を区別することは、国際的な常識です。

ところが、わが国の警察留置場は被疑者・被告人にたいし、物証やアリバイを無視し、警察のすじ書きにそったウソの自白強要、人権侵害の取り調べの温床となっています。肉体的、精神的な苦痛をあたえる取り調べは、拷問にほかなりません。国連拷問禁止委員会は07年5月、拷問禁止条約にかんする第1回日本政府報告にたいする審査で、精神的拷問をうけ、ウソの自白をさせられた実態が告発され、拷問禁止委員から「クレイジーだ」との驚きの声があがりました。

拘置所の代わりに警察留置場をつかう「代用監獄」制度は即時廃止し、被疑者・被告人は法務省が管理する拘置所に収容するようあらためます。

検察を改善し、検察審査会を活用します……通常では起訴しないような行為を差別的に起訴して、ビラ配布などの民主的な言論活動をおさえようとしたり、逆に政治家や警察、大企業の犯罪などで起訴すべき事案を政治的な配慮で起訴しないなど、検察権の恣意的な運用にはきびしく抗議します。

起訴するかしないかは検察官の判断にかかっているという制度のもとで、日本共産党は、国民のなかからくじで選ばれ構成される検察審査会が起訴相当の議決をしたときは、検察官は起訴しなければならないとするよう提案してきました。検察審査会が同一の事件について「起訴相当」を二回議決した場合は必ず起訴される制度が、昨年5月21日から実施され、この間、検察審査会は2つの事件で起訴を確定させるなど、検察官の起訴、不起訴の判断に民意が一定程度反映されるようになりました。民意といってもその判断は法律にもとづいたものであり、審査補助員として法律専門家(弁護士)から法律上の説明や助言をうけて審査することができ、二度目の不起訴処分の審査ではこのことが義務づけられています。政治家への起訴相当議決のかかわりで検察審査会のこの制度の見直しを主張するなど、審査会への「けん制」とみられる動きが一部にありますが、民意に背をむけるような態度はとるべきではありません。

将来は、起訴するかしないかを国民がきめる起訴陪審制度の導入を検討します。

一定の犯罪の時効廃止にともなう問題点の改善を求めます……犯罪行為が終わってから起訴することができる期間がその行為の刑の重さによってきめられていますが、殺人事件など死刑を言い渡すことのできる犯罪の時効が廃止されました。日本共産党は、殺人事件など時効の廃止をもとめる遺族などの気持ちはよく理解できますが、拙速な審議で時効を廃止することに反対しました。本来、刑事事件は証拠にもとづき、すみやかに捜査をとげることが必要であり、このことが遺族の願いを解決する根本的な道です。日本共産党は取り調べの全面可視化やDNA証拠をはじめとする証拠の保管体制など、問題点の改善をもとめます。

(2)民事・行政裁判を改善します

国民の世論と運動を背景にねばり強い裁判運動をつうじ、国民の権利をまもる判決が言い渡されているケースもありますが、公害など大企業を相手にした裁判や行政裁判では、国民の権利を無視した判決が依然として多いことも事実です。時間と費用をかけて裁判をやっても、思うような解決が得られないことが少なくありません。また、権利の実現を切実にもとめながら、資力がとぼしいため弁護士の援助を得られず、泣き寝入りをせざるをえない多くの国民がいます。

また、日本の裁判所は少数の裁判官が多数の事件を受けもっており、しかも迅速な処理を要請されるため、十分な準備をして公正な判断をするうえで、たいへんきびしい状態におかれていることも解決しなければなりません。

日本共産党は、大企業を相手とする裁判や行政裁判でも真に国民の権利がまもられ、国民ひとりひとりの裁判を受ける権利が保障されるよう、改善をもとめていきます。

民事・行政裁判にも国民参加の制度を導入します……解雇・配転・賃金不払いなどの労働事件を、裁判官と労働団体・使用者団体のそれぞれから推薦された審判員で構成される労働審判制度が導入され、一定の役割を果たしています。大企業を相手とする裁判や行政裁判が国民のいのちと人権をまもるものとなるよう、民事裁判や行政裁判に国民の常識を反映させるために、国民が民事裁判に参加する制度を導入することは、積極的意義があります。

大企業などの証拠かくしを許さず、国民の常識にそった迅速な裁判を実現するために、民事・行政裁判にも国民が参加する制度を導入します。

法律扶助予算を増額し、「裁判を受ける権利」を実質的に保障します……現在の法律扶助は、勝訴の見込みがないと弁護士費用が補助されず、費用も立て替えが原則となっています。その最大の障害は、法律扶助事業にたいする国の予算が少ないことです。憲法は必要なすべての人に「裁判を受ける権利」を認めており、弁護士に依頼して権利を実現することは、個々人の資力に関係なく平等に保障されなければなりません。貧困と格差がひろがるもとで、おカネがないため権利を実現するのに裁判に訴えることをあきらめなければならない現状を解決することは急務です。日本司法支援センター(法テラス)でおこなわれている法律扶助事業を拡充するために、ひきつづき予算の抜本的増額を求めます。

裁判官を大幅に増員します……戦後、事件は大幅に増えてきたにもかかわらず、裁判官はわずかな増員にとどめられています。地方裁判所の支部の体制もたいへん手うすであり、国民の裁判にたいする要求にこたえられていません。現在、裁判所の予算は国家予算の約0.4%という少額にすぎません。憲法が保障する国民の権利をまもるという本来の重要な任務をはたすうえで、裁判所予算の増額と裁判官の増員は待ったなしです。あわせて裁判所職員についても適切な増員をはかることをもとめます。

また、地方裁判所の支部の担当地域のなかに弁護士の「過疎」地域が多数あり、日本弁護士連合会(日弁連)はこの解決に努力し、前進しています。裁判官・検察官・弁護士になる資格をもつ人を大幅に増加させている現在、裁判官の大幅な増員と裁判所支部の裁判官の常駐、弁護士の「過疎」地域への配置を実現することは可能です。

(3)最高裁事務総局の官僚的統制をあらためます

今日、最高裁判所は、国民の世論と運動などを反映した判決を出すこともありますが、違憲立法審査や基本的人権のまもり手としての役割を十分はたしていません。

また、憲法は裁判官の独立を保障していますが(第76条3項)、最高裁判所の事務総局が裁判官の事件処理数ににらみをきかせ、給与や人事の権限など、司法行政をつうじて裁判官を統制してきました。欧米諸国とくらべ、裁判官の市民的政治的自由は大きく立ち遅れています。裁判官のおかれているこのような状態が、裁判を国民の常識から遠ざける大きな背景になっています。

弁護士の一定年数経験者の裁判官任官をすすめます……現在、弁護士からの裁判官任官がおこなわれています。また、弁護士の業務に従事しながら週1回以上、民事と家事調停事件を担当する非常勤裁判官の制度も実施されています。将来的に、高裁・地裁の裁判官は、かならず弁護士として一定年数の人権擁護活動の経験をつんだ人のなかから、任官をおこなう制度を確立します。

最高裁裁判官は任命諮問委員会の答申をふまえて任命する制度を確立します……戦後の最初の最高裁裁判官の任命は、党派にかたよった人選をさけるため、法律専門家の互選による委員を中心とした任命諮問委員会の答申にもとづいておこなわれました。最高裁裁判官任命諮問委員会を国民各層の代表者をもって構成し、より国民の意見が反映される形で復活させます。

高等裁判所・地方裁判所の裁判官は10年ごとに再任期を迎えますが、その指名過程を透明化し、国民の声を反映させるため、2003年に裁判官指名諮問委員会が各裁判所ごとにおかれました。これは、最高裁事務総局の密室でおこなわれていた裁判官人事を国民の目の届くものにするうえで重要な役割をもっており、その適切な運用を重視します。

裁判官会議を確立し、裁判官の市民的自由を保障します……各級裁判所の人事など司法行政事務は、それぞれの裁判所の裁判官会議をつうじておこなわれることになっていますが、最高裁事務総局の強力な司法行政上の指導によって、裁判官会議はまったく形骸化しているといわれています。このような現状をあらため、裁判官会議の確立をはかるとともに、裁判官の市民的自由を保障します。

(4)法曹養成制度を充実させ、法科大学院生・修習生への経済的援助をもとめます

現在、法科大学院で2年間又は3年間学び、司法試験に合格して司法研修所で1年間の修習をへて法曹となる養成制度が実施されていますが、その内容や司法試験合格人数をめぐって関係者からさまざまな改善意見があげられています。日本共産党は、法曹養成制度が憲法と人権をまもり国民に信頼される法曹を育てるものとなるよう、その充実をはかります。

日本弁護士連合会のアンケート調査で、法科大学院の奨学金等の借り入れ者は半数を超え、借り入れ平均額は約318万円となっています。今年11月からは司法修習生の給費制が廃止され、貸与制が実施されようとしており、資力にめぐまれた人しか法曹の道にすすめない事態がつくられかねません。資力のとぼしい法科大学院生への学費援助とともに、司法修習生への給費制存続のため、政府に法改正と予算措置をもとめます。

(5)犯罪被害者の権利を保障します

日本共産党は、1975年7月、「犯罪被害者補償法案大綱」を発表し、犯罪者に賠償能力がないとか、犯罪者不明などから、被害者やその家族に損害賠償がされず、精神的に深刻な苦痛をうけたうえに生活上も悲惨な状態においこまれている現状にたいし、国の救済措置として、国家補償の制度を提案しました。また、犯罪被害者基本法を早急に制定し、国の施策として、被害者は尊厳をもってあつかわれるべきであり、すみやかな被害回復の権利を有することを宣言し、被害者に刑事事件の加害者や事件の内容、刑事手続きや判決内容などの情報について可能なかぎり提供をうけることをはじめ、各種の権利の保障を明確にすることをもとめてきました。

2004年に全会一致で犯罪被害者等基本法が制定され、政府が犯罪被害者等のための施策の総合的かつ計画的な推進をはかるという段階にすすんでいますが、過去の事件の被害者救済に手がつけられていないなど、問題を残しています。

日本共産党は、犯罪被害者の個人の尊厳、幸福追求の権利を保障するため、犯罪被害者にたいする国家補償や精神的なケアの充実などのために奮闘します。

少年法改定について

少年法について刑罰的側面を強める改定がすすんできましたが、判断力にとぼしく、未成熟である少年の更生のために、教育的福祉的な対応を強め、そのなかで本人の反省をせまるとともに、社会への復帰のさいに犯罪に走らないですむような環境をととのえることこそが大切です。同時に、日本共産党は、20歳以上という現行の成人年齢を18歳以上に引き下げ、選挙権を付与するなど「成人」として扱うことと一体に、少年法の適用年齢を18歳未満にすることで、年齢問題の解決をはかることを提案しています(「少年法改定問題について」、2000年10月17日)。

2、国際自由権規約による是正措置と個人通報制度の確立

わが国の人権状況は、長時間・超過密労働のもとで過労死・過労自殺があとをたたず、働く女性の賃金・昇進差別が続けられ、被疑者・被告人には弁護士の接見交通権が侵害され、「代用監獄」で自白強要の取り調べが一貫して続けられているなど、国際的にも大きく立ち遅れています。

各国の人権状況を5年ごとに審査する国連の自由権規約委員会が2008年10月30日に公表した日本政府にたいする最終意見書は、働く女性の賃金差別の撤廃、長時間労働の見直し、「慰安婦」への十分な補償措置とこの問題を否定するくわだてにたいする制裁措置、「代用監獄」の廃止などをもとめるとともに、戸別訪問の禁止、全戸ビラ配布者への不当な逮捕・起訴に懸念を表明し、「表現の自由と参政権にたいして課されたいかなる非合理的な法律上の制約をも廃止すべきである」と勧告しました。国民にこの勧告が歓迎され、政府に実施をもとめる声がよせられています。

日本政府は、自由権規約委員会のこの最終意見書を正面からうけとめ、労働者保護立法の強化などとともに、公選法の戸別訪問禁止やビラ配布制限規定を撤廃し、全戸配布を住居侵入罪や国公法の政治活動違反で逮捕・起訴することがないようにすべきです。

同時に、日本は自由権規約の第一選択議定書を批准していないため、自由権規約で保障された権利が侵害された国民が、自由権規約委員会に直接救済の申立てができる制度を活用できません。日弁連や労働組合・民主団体は政府にくりかえし第一選択議定書の批准をもとめてきましたが、政府は、最高裁のうえにもう一つ裁判所をおくなどとして、批准に背をむけつづけています。しかし、この制度は、わが国の人権を国際水準に引き上げるうえで当然のことです。

日本共産党は政府がすみやかに第一選択議定書を批准し、個人通報制度を確立することをもとめます。

3、警察の改革

警察は、国民の生命、身体、財産の安全、犯罪の捜査、基本的人権の保障にとって重要な責務をもっています。しかし、現職警察官の犯罪や不祥事が後を絶たず、国民の警察への不信が広がっています。

まじめに働いている警察官がいる一方、調書のねつ造など職務上の不正行為をはじめ、窃盗、飲酒運転、けん銃を使った警察官の自殺など、国民の公僕としてのあり方がきびしく問われています。とりわけこの間、北海道警元幹部警察官、愛媛県警現職警察官などの警察の裏金問題での内部告発を契機に、国費である捜査旅費、捜査費、都道府県費である捜査用報償費、参考人旅費などを使って裏金をつくり、幹部が裏帳簿で管理し、交際費、接待費、せん別などに使われるという、警察組織の構造的な裏金づくりのシステムが明らかになりました。しかし、裏金ねん出の構造にはまったくメスが入っていません。

以上のような事態は、この間の警察改革がきわめて不十分で的を射ていないことをしめしています。警察犯罪や不祥事が続発する現状は、文字どおり、警察組織の再生がもとめられるものであり、日本共産党は、つぎのような警察改革を実行することをもとめます。

(1)警察から独立した公安委員会に

国家公安委員会は、警察の独善化を防止し、警察庁を民主的に管理することに本来の役割があります。しかし、国家公安委員会は、警察いいなり・おまかせの対応をつづけ、その機能をはたしていません。いまの国家公安委員は、人選にあたっても警察庁がリストを作成し、内閣総理大臣が追認して任命する、事務は警察庁が担当するなど、警察庁主導でとりしきられています。

日本共産党は、2003年3月、警察の犯罪や不祥事をただすべき国家公安委員会と監察機構を警察から独立して、その役割をはたすよう改革案を提案し、その実現のために奮闘してきました。その実現はいよいよ急務です。

国家公安委員の警察庁による推薦をやめ、国会で「指名聴聞会」を開催し、適否を判断できるようにします。警察庁から独立した独自の事務局をもうけ、警察行政にかかわる諸問題、予算配分などについて必要な調査・検討をおこなうようにします。

国家公安委員は建前のうえでは常勤になっていますが、週1回の会議に参加するなど形だけです。これをあらため、5人の委員すべてを常勤にし、職務に専念させるべきです。

国家公安委員会が警察の独善防止や民主的管理のために、どういう活動をおこなってきたかなど、必要な事項について、毎年、国会にたいする報告を義務づけるようにします。

(2)監察機構を警察から分離し、国家公安委員会のもとにつくります

警察の一連の不祥事件のおおもとには、警察にはびこる独善性や秘密主義、不正・腐敗をおおいかくす隠ぺい体質があります。警察庁や都道府県警察の内部監察ではこの体質にメスを入れることができないのは当然です。監察制度を警察庁から分離・独立させ、国家公安委員会の直属機関として監察委員会(仮称)をもうけ、警察庁と警視庁、道府県警察本部、および警視正以上の幹部警察官、重要案件についての監察をおこなうようにします。

監察委員長をふくむすべての監察委員は、警察官以外から起用します。監察委員の過半は法曹資格を有するものとし、監察委員および委員を補佐する職員についても、警察庁との人事交流を禁止します。

(3)キャリア制度を見直し、特権的な人事政策をただします

キャリア制度の弊害は、現場性のつよい警察で「キャリア官僚」が警察行政をとりしきることによる問題点が、銃器摘発問題などで明らかになってきました。キャリア制度を見直し、特権的なあつかいをあらためるなど、公正な人事政策を確立し、警察官の労働条件を向上させます。

(4)警備公安警察のスパイ活動を中止させ、秘密警察の廃止を

警察は、不偏不党の立場で警察の責務をはたし、いやしくも国民の基本的人権を侵害することがあってはならないと、警察法できびしくさだめられています。ところが警察は、本来の責務に反して、各階層・分野の国民的運動や日本共産党にたいするスパイ活動を秘密裏に組織的継続的におこなっています。国公法弾圧堀越事件では、警視庁公安部と月島署の公安警察官が29日間にわたり、のべ171人が、国家公務員個人の立ちより先や交友関係を尾行、スパイし、休日、職務とまったく無関係に地域で「しんぶん赤旗」号外等を配布した行為を、多いときで11名、ビデオカメラ6、自動車4台で「捜査」していました。

日本共産党は、公安警察の違憲違法のスパイ=警備情報活動の中止と、このような秘密警察の廃止を要求します。警察には、国民の基本的人権と生命・身体の安全が保障されるよう、治安を確保する活動に責任をもたせます。


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