JCP
SEISAKU
SOUGOU,JOSEI
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12.女性

世界でも異常な女性への差別を是正し、男女平等を社会に徹底します

女性へのあらゆる差別の撤廃を義務づけた国連女性差別撤廃条約を批准して25年、日本の女性差別の是正はいまだに大きく立ち遅れています。女性労働者の2人に1人以上が非正規雇用であり、賃金は非正規をふくめると男性の53%です。この女性の地位の低さが経済危機、雇用破壊のもとで、女性の貧困と格差をいっそう大きく広げています。働きたくても保育所に入れない待機児童問題はますます深刻です。1人目の子の妊娠・出産で7割が退職し、30歳代の労働力率は先進資本主義国24カ国中23位と、女性が最も働きにくい国となっています。

ヨーロッパでは、母性の社会的役割を重視し、子育ては社会全体の共同責任だという女性差別撤廃条約の原則にたったルールの確立と社会的な合意がすすんでいます。パートと正規社員の均等待遇の改善、家族政策の充実、育児休業制度の改善、保育所整備などがすすめられています。家族支援の公的支出は日本の3〜4倍です。

財界・大企業いいなりの日本の「ルールなき資本主義」が、世界でも異常な女性差別の原因になっています。戦前の日本の社会を「理想」とし、民法改正などに反対する意見が政界にあることも異常です。自公政権からかわった民主党政権は、女性差別の是正にとって重要な労働者派遣法改正でも、民法改正でもこの異常に迫ることはできず、国民の期待を裏切っています。

女性への差別は人間の平等と尊重の原則に反し、人類の発展に貢献すべき女性の能力の発揮を困難にし、その国の発展をそこなうものです。国連からは、条約の完全実施にもとづく早急な改善をもとめられています。日本共産党は、国連女性差別撤廃条約やILO条約の具体化・実現をはかり、国際的な基準にたったヨーロッパ並みの「ルールある経済社会」の実現、あらゆる分野での男女平等の実現に力をつくします。

パートの均等待遇を求めたILOパートタイム労働条約や8時間労働条約、権利侵害を国連に通報できる制度を定めた女性差別撤廃条約の選択議定書などを早急に批准するようもとめていきます。

1.働く女性への差別を許さず、生きいき働き続けられる条件整備をすすめます

経済危機と雇用破壊は、異常な女性差別、地位の低さに苦しんできた女性たちにいっそう深刻な影響をもたらしています。パートや派遣、臨時などの非正規雇用は、女性労働者の54%まで増加しています。女性の完全失業者は前年比25・5万人増の133万人となっています。子育てや家事の大変さからあきらめたなどの潜在的失業者もひろがっています。妊娠や産休・育児休業を理由にした解雇・不利益取り扱いがひきつづき深刻です。職場の男女差別を許さず、貧困や格差をひろげる雇用破壊から働く女性を守ります。

パートや派遣など非正規労働者の均等待遇と労働条件の改善、正規化をすすめます

働く女性の半数以上をしめる非正規労働者の権利を守り、労働条件の改善と正規化をはかります。ILO条約が求め、すでにヨーロッパ諸国で実現している、雇用は正規が当たり前、同じ仕事なら賃金も労働条件も同じという均等待遇原則の確立など、国際水準にたった法整備、ルールづくりをすすめます。

女性のパート労働者は961万人、パート労働者の7割近くに増えています。平均賃金は時給973円、正規雇用の男性の49%です。派遣労働者も半数近くが女性です。先の展望が見えない不安がつきまとう日雇い・臨時雇いの女性労働者も2割以上にあたる500万人近くになっています。

パート労働法を抜本的に改正し、パート労働者の権利を保護する法律にします。正規労働者との均等待遇を明記し、事業主が、賃金、休暇、教育訓練、福利厚生などの労働条件で差別的取り扱いをすることを禁止します。正規労働者の募集・採用の際には、いまその業務についていて正規を希望するパート労働者、有期労働者を、応募者への配慮もしながら優先的に雇い入れることを努力義務とします。事業主が、差別的取り扱いをした場合などは、公表し、勧告に従うことを命令できるようにします。公務労働者や有期労働者も法の対象に加えます。

労働者派遣法改正は、人間らしく働く最小限のルールの要です。ところが、政府案は、製造業への派遣を原則禁止にといいながら「常用型派遣」は認める、登録型派遣を原則禁止にといいながら専門26業務を例外にするなど“抜け穴”だらけであり、実効ある改正にはなりません。

労働者派遣法を抜本改正し、派遣労働は一時的臨時的なものに限定します。製造業への派遣はどんな形でもきっぱり禁止します。専門業務の内容を見直し、真に専門的な業務にきびしく制限します。きわめて不安定な日雇い派遣は全面的に禁止します。違法行為があった場合に直接雇用したものとみなす規定を導入します。派遣先労働者の賃金などの労働条件の均等待遇をさだめます。

最低賃金を時給1000円以上に引き上げ、全国最低一律賃金制度を確立し、女性の低賃金の底上げをはかります。違反を許さず、監督、是正指導をつよめます。

女性が多く働く保育士や学童保育指導員など自治体の職場でひろがる非正規雇用の正規化、労働条件を改善し、「官製ワーキングプア」を許しません。

男女賃金格差是正、昇進・昇格差別是正をはかります

男女雇用機会均等法制定から25年、男女の賃金格差是正も昇進昇格差別の改善も、遅々としてすすんでいません。財界・大企業が、労働者支配ともうけ最優先の立場から、女性の労働を正当に評価せず、また異常な残業、長時間・過密労働をすすめ女性が子育てしながら働き続けることを困難にしてきたからです。働く女性、労働者を守り、女性差別を是正するための法整備をすすめます。

男女雇用機会均等法を抜本的に改正し、間接差別の禁止規定を実効性あるものに改善します。気軽に相談でき、労働者の申し立てにより差別を是正できる強力な救済機関を設置するとともに、罰則を強化します。「同一価値労働同一賃金」の原則にもとづいた均等待遇の法制化をすすめます。

男女賃金格差の是正のために、(1)仕事の内容、熟練度、労働時間、勤務形態が男性と同一の場合、あらゆる賃金格差を抜本的に是正する。(2)同期同年齢男性との同一昇格をはかる。(3)昇進・昇格は、仕事内容に即した試験などだれもが納得できる客観的で透明な制度にし、結果の本人への開示原則を確立する。(4)出産や子育てで退職し再就職した場合は、資格や専門性、経験や熟練度を性差別なく正当に評価する。(5)同一労働のパートなどの賃金は、正社員との時間比例にするなどの男女賃金格差是正のための正当な要求を支持し、その実現に力をつくします。

妊娠・出産への不利益取り扱いをやめさせ、解雇、退職勧奨を根絶します

 妊娠・出産による不利益扱いがひきつづき横行しています。全国の雇用均等室に寄せられた妊娠・出産などを理由にした解雇や不利益取り扱いに関する昨年度の相談数は、3654件にものぼっています。妊娠・出産による不利益扱いを禁止した均等法にもとづいて、企業への指導を強め、違反企業への指導の徹底、罰則の強化をはかります。均等法では、産前産後休業を取得した場合、休業中は「業績ゼロ」として評価を下げても不利益取り扱いにはあたらないなど禁止の範囲が狭いことは問題です。これでは妊娠・出産による不利益、格差の拡大は改善されません。欧州などでは、産前産後休業は有給休暇などと同様に、出勤したものとみなしている国が少なくありません。少なくとも産前産後休業は、人事評価やボーナス・退職金の算定でマイナスにならないようにします。

出産・育児等で退職した女性が再び、その経験や実績を生かして働けるように、再就職への支援、職業訓練制度の抜本的な充実、生活保障を受けて資格取得ができる助成の拡充、正規雇用での再就職を促進し、再就職による不利益や差別をなくします。

自営業・農業女性の労働を正当に評価し、支援します

 ヨーロッパなどでは、自営業・農業の女性の働き分を評価し、労賃を認めることがあたり前ですが、日本では認められていません。妻など家族従業者の働き分が必要経費と認められるように、所得税法56条を廃止します。

出産や病気のときに安心して休めるように制度の確立・充実をはかります。すでに実施している「酪農ヘルパー」のような支援制度を自営業、農業全体でもつくり、整備をしていきます。自営業、農業で働く女性たちは、経済的な面でも安心して産休も病休もとることができません。多くが加入している国民健康保険に出産手当金・傷病手当金の制度がないからです。国庫負担を増やして、国民健康保険に出産手当金・傷病手当金の「強制給付」の制度をつくります。

資金不足や家庭・子育てとの両立の問題など女性ならではの困難で、起業を断念したり、廃業せざるをえない場合も少なくありません。起業に関する知識、情報提供、相談窓口や低利融資の拡充、子育てとの両立支援をすすめます。農産物加工技術の研修や販路の拡大などを支援します。

自営業・農業にたずさわる女性の仕事と健康など総合的な実態調査を継続的におこないます。

2.女性も、男性も、仕事と家庭の両立ができる条件整備をはかります

「子どもができてもずっと働き続けるほうがよい」という考える女性は増え続けています。しかし実際には出産を前後して働き続ける女性の比率はのびていません。働く女性の半数以上となった非正規雇用では2割程度にとどまっています。両立が困難なのは、妊娠・出産を当然の権利として保障し支えることや、子育ては男女がともに担い社会全体がそれを支えるという、女性差別撤廃条約や欧米諸国ではあたり前の考え方やそのための環境整備がきわめて遅れているからです。女性も、男性も、だれもが安心して仕事も子育てもできるように社会的条件整備をすすめます。

長時間労働の改善、安定した雇用、人間らしい働き方のルールをつくります

 働く女性が安心して妊娠・出産でき、女性も男性も、子育てしながら働き続けることができるようにするためには、安定した雇用、人間らしい働き方が必要です。

しかし30代男性の4人に1人は週60時間以上働き、6歳未満の子どもをもつ男性の家事・育児時間は1日1時間程度、欧米諸国と比べると3分の1です。

1997年の労働基準法改悪で残業や深夜労働の規制が撤廃され、女性のあいだにも長時間労働がひろがっています。妊娠・出産で働き続けられない理由のトップは「残業が多い」という調査結果もだされています。健康破壊・母性破壊も深刻で、婦人科系の障害がある、流産しやすいなど、4人に1人が妊娠・出産にかかわる健康問題をかかえ、とりわけ長時間労働している女性に障害の割合が高いという指摘もあります。

異常な長時間労働を改善し、男女ともに労働時間を短縮します。残業時間を法律で1日2時間、月20時間、年120時間に制限します。違法なサービス残業を根絶します。子育て中の変則勤務、夜間・休日出勤、単身赴任などを制限します。

だれでも安心して利用できる育児介護休業制度へ充実をはかります

育児介護休業制度は、改善をもとめる声を背景に一歩ずつ改善がすすんでいます。育児休業取得率は、働き続けている女性のなかでは9割近くに前進しています。しかし、非正規雇用労働者は、とりたくてもなかなかとることができない状況におかれています。一年以上雇用され、子が2歳まで雇用継続の見込みがあるなど厳しい取得条件がつけられており、育児休業取得はいっそう困難です。育児休業をとったことによる不利益取り扱いも増加し、均等室に寄せられた相談件数は前年から3割増の1700件近くになっています。男性の取得率はいまだに1%台です。

だれもが育児休業をとりやすい制度に改善をすすめます。休業中の所得保障を6割に改善するとともに、中小企業への助成や代替要員の確保のための助成を強化します。有期雇用労働者のきびしい取得条件を見直し、6カ月以上勤続している労働者すべてに適用します。男性の取得促進のための制度もヨーロッパ諸国でおこなわれている「パパ・クオータ」なども参考にさらに改善します。保育所に入れないなどやむをえない場合は1年まで延長でき、分割取得も可能にするなど、家族の状況にあわせて利用しやすいようにします。勤務時間短縮制度や時間外・深夜労働免除制度は、子どもの対象年齢の拡大などさらに充実させます。子どもが病気のときの「子ども看護休暇」は、学校行事への参加などにもつかえる「家族休暇」制度とし、両親それぞれ年10日以上に拡充します。企業による不利益取り扱いを許さず、苦情処理・救済制度の拡充、指導・監督の徹底、違反企業への罰則強化などをはかります。

年間10万人分の認可保育所を建設し、保育環境の改善をすすめます

認可保育所に入れない待機児童数は、09年10月に4万6千人にまで増加し、この4月には、都市部を中心にさらに申込者が急増しています。事態はますます深刻になっています。潜在的な待機児童数は85万人とも100万人ともいわれています。自公政権が「規制緩和」「民間委託」「民営化」をかかげ、必要な保育所をつくらず、定員を超えた詰め込みや認可外の保育施設を受け皿にした安上がりの「待機児童対策」をすすめてきたからです。民主党政権は、この流れをいっそうすすめようとしています。「規制緩和」路線をきっぱりと転換し、国の責任で認可保育所の建設と保育環境の改善をすすめます。

当面1年に10万人分、3年間で30万人分の認可保育所を新・増設します。そのために保育所建設費への国庫補助率を2分の1から3分の2に引き上げ、公立保育所への国庫補助を復活し、利用可能な国有地の優先利用、建設用地取得への助成などをすすめます。

定員超過の実態の改善、保育士の正規化と賃金など専門職にふさわしい労働条件の改善、低中所得層対象に高すぎる保育料の父母負担の3割軽減など、保育条件の改善をすすめます。諸外国と比べても低すぎる保育室の面積や保育士の配置などの最低基準を改善します。

民主党政権は、最低基準の撤廃をはかり、自公政権がすすめてきた保育制度改悪をひきつぎ保育に対する自治体の実施責任をなくし、「直接契約・直接補助」、「受益者負担」の導入、民間企業の参入の拡大などをすすめようとしています。保育や子育て支援サービスに関する制度も予算もすべて自治体に丸投げして、国の責任を放棄する方向を検討しています。保育と子育て支援政策の重大な後退であり、子育て世代に困難をおしつけるものです。絶対に反対です。(4月30日発表の保育「緊急提言」参照 リンク)

http://www.jcp.or.jp/seisaku/2010/20100430_taikijidou_mondai.html

学童保育の増設、大規模化の解消など環境改善、指導員の待遇改善をすすめます

学童保育は、働く親が安心して働き続けられ、子どもたちが安全な生活をおくり成長するための大切な場です。しかし3割以上の小学校区に学童保育がなく、まだまだ不足しています。待機児童や大規模化、詰め込みも深刻です。放課後や夏休みなど、毎日過ごす「遊びと生活の場」にふさわしく、量質ともに充実をはかります。

希望する子どもが全員入所できるよう新増設をすすめます。大規模化の解消、保育料の父母負担の軽減、指導員の正規化、複数配置、生活が保障できる賃金など労働条件の改善、研修の充実をはかります。そのために国の学童保育予算を抜本的に増額します。

父母や学童関係者の運動を背景に、07年に施設や職員、運営などのガイドラインがつくられました。さらに国と自治体の責任を明確にした制度にし、国による設置・運営基準を定めて、地域格差の改善、条件整備をすすめます。

学童保育と、すべての子どもを対象とした「放課後子ども教室」などは、それぞれ拡充します。

3.ひとり親への支援をつよめます

日本のひとり親家庭の貧困状態は先進国のなかでも最悪の水準です。母子家庭の平均所得は、児童扶養手当などをふくめても年約231万円、高齢者世帯を含む一般世帯の4割、子どものいる世帯の3分の1です。9割近くが「生活が苦しい」と感じています。一人で仕事と子育てをする大変さは、父親も母親も変わりはありません。母子家庭も父子家庭も安心して暮らし、子育てできるように、ひとり親家庭への支援を強めます。

母子家庭があたり前の生活を営めるようにします

児童扶養手当の支給から5年後に半額に削減するという自民、公明、民主党などがおこなった制度改悪は、運動と世論の批判を受けて「凍結」しています。しかし、「就業が困難な事情」の証明書類の提出など「就業意欲」による線引きの考え方は変わらず、約4000世帯が手当を削減されています。すぐに改悪制度そのものを撤回し、一部支給停止を中止するべきです。さらに、児童扶養手当制度は、子の福祉の立場にたった充実をはかり、支給額の引き上げ、対象の拡大などをすすめていきます。子の扶養者が公的年金を受けていると児童扶養手当を受給できないなどさまざまな問題の改善もすすめていきます。

母子家庭にとっては、長期の安定した雇用が切実です。母子家庭の母親の85%が働いていますが、非正規労働者が常用雇用を上回っています。パートや派遣の正社員化、非正規雇用と正規雇用の均等待遇などをすすめ、母子家庭の仕事と収入の安定をはかっていきます。パートを正規雇用に転換した事業主にたいする奨励金や資格取得や技能訓練費など、いまある国の支援制度も充実させていきます。

保育所への入所はひとり親家庭にとってとりわけ切実です。法律にひとり親家庭の保育所優先入所への配慮をうたい、通達も出ていますが、実際には入ることができず働くこともできないなどの悲鳴もあがっています。保育所の増設をすすめ、ひとり親家庭が安心して優先入所できるようにします。安価で良質な公共住宅を供給します。

母子家庭の寡婦控除を受けられないシングル・マザーも、税控除がうけられるよう制度を改善します。

父子家庭への支援をつよめます。

父子家庭の年収は母子家庭を上回るものの、就労収入が300万円未満の世帯が37%、200万円未満も16%にのぼっています。長時間労働を強いられている父親の場合、子育てのために仕事を変えざるをえない人も少なくありません。

父子家庭関係者と国民の運動で父子家庭にも児童扶養手当が支給されることになったことは一歩前進です。さらに、母子家庭とともに父子家庭の実態・要望調査をすすめ、父子家庭に支援をひろげるなど、父子家庭に必要な子育て・生活支援などを強めます。

4.女性が健康に生涯をおくるために社会保障を拡充します

日本では、長時間労働などによる健康破壊、「お産難民」といわれるような産科医不足、若い世代への性や体にかんする教育の不十分さなど、その権利をまもることができない事態がひろがっています。妊娠・出産の可能性のある女性の健康が権利として守られるよう施策の充実をはかります。

妊婦健診を充実し、出産費用の軽減をはかります

費用の心配なく安心して妊婦健診をうけ、出産ができるように、国の責任で妊婦健診費用、出産一時金の充実をはかります。女性たちの運動と世論で、妊婦健診費用の公費負担、出産一時金の増額の措置がおこなわれましたが、2010年度までの時限措置です。

健診内容は自治体で差があります。経済的負担の心配なく妊婦健診を受診できるように、恒常化し、政府がのぞましい健診回数としている14回分を全国どこでも負担なしに受けられるようにします。出産育児一時金の増額を恒常化し、さらに充実させます。非正規雇用や、業者、農業などを問わず、安心して産前産後休暇がとれるように、国保の出産手当金制度を「強制給付」にするなど休業中の所得保障、社会保険料免除などをすすめます。

高額な費用がかかる特定不妊治療費の助成額の増額、所得制限の緩和をはかります。不妊治療について健康保険の適用範囲の拡大をめざします。不妊専門相談センターの整備・拡充をはかり、カウンセリング体制の強化をすすめます。

産科医不足を解決します

都市でも地方でも産科医のいない地域が急増し、全国で「お産難民」といわれるほどの事態が改善していません。こうした事態を引き起こした最大の原因は、「医療費削減」の名で医師数を抑制しつづけてきた歴代政権の失政です。この15年間に日本の産婦人科医師数は22%も減りました。医師が絶対的に不足するもと、200床以下の病院では産科医の当直が平均で月7回をこえるなど、労働条件はますます過酷になり、産科医の退職があいついでいます。また、自公政権は、診療報酬の抑制・削減で多くの産科医療機関を経営難に追いやり、「不採算」を理由に国公立病院の産科を切り捨ててきました。その結果、分娩を実施した施設は1996年9月は3991施設でしたが、2008年9月は2567施設に激減しています。民主党政権も、地域医療支援の事業の「事業仕分け」をおこない、ムダ削減の名目で予算をカットし、そのなかには産科に関わる事業、女性医師の就労支援事業などもふくまれています。救急医療体制の充実のための予算も削減されています。

 「医療費削減」路線を転換し、国の責任で計画的な打開策をこうじることが必要です。日本共産党は、医師の養成数を抜本的に増やし、国の責任で産科医の育成・研修などをすすめます。地域の産院・産科病院への公的支援を強め、産科・小児科・救急医療などにかかわる診療報酬を引き上げます。国公立病院における産科切り捨てをやめ、周産期医療をまもる拠点として支援します。産科医の過酷な労働条件の改善をすすめます。とくに、女性医師は産科・婦人科医師の3割、30歳代半ば以下の過半数を占め、産科医療を支える大きな力となっています。女性医師が働き続けられるよう、妊娠中の当直免除、産休・育休中の身分保障や代替要員の確保、職場内保育所の設置、職場復帰に向けた研修な、仕事と家庭の両立支援をすすめます。

産科医療の崩壊が進行するなか、助産師・助産院の役割はますます重要です。みんなが安心してお産のできる環境を確立し、助産院ならではの「良いお産」を普及・発展させるため、助産院に対する手厚い公的支援をすすめます。助産師の養成数を増やし、「院内助産所」の設置など医師と助産師の連携を国の責任で推進します。

乳がん・子宮がん検診、健康診断の充実などをすすめます

 女性の命と健康をまもるうえで、乳がんや子宮がんの予防・早期発見が重要です。イギリス、ドイツ、カナダ、オランダ、フィンランドなどは、乳がん検診を無料にし、5割から9割が受診しています。イギリスでは、1987年まで任意だった子宮頸がん検診を定期検診にきりかえ、検診料を無料にしたことで、受診率が4割から8割にアップし、死亡率も減少しています。

国の予算をひきあげ、乳がん・子宮がん検診の自己負担の軽減・無料化をはかります。マンモグラフィー検査など最新技術による検診を促進します。

子宮頸がんはウィルス感染を原因とする病気であり、欧米諸国では、ヒトパピローマウィルス(HPV)ワクチンの早期接種による予防がおこなわれています。日本でも接種への公費助成を実現し、「HPVワクチン」の開発をすすめます。

 特定検診(メタボ検診)の導入により、40歳以上の妻で、夫が加入する組合健保の扶養家族となっている人は、指定医療機関での健診となり、受けにくくなっています。居住する市町村の健診や、近隣の医療機関での健診を受けられるようにする措置をこうじます。企業の定期健診に女性関連項目を加えます。骨粗しょう症や甲状腺障害など、女性に多い疾病の予防・健診の充実をはかります。

 長時間の残業や深夜労働による過労・ストレスで体調を崩す女性が増え、精神疾患の労災認定も急増しています。生理休暇取得率は1・6%まで低下し、月経障害や不妊に悩む女性も少なくありません。男女ともに長時間労働を規制し、生理休暇なども気兼ねなく取得できる職場環境をつくるよう、企業への指導を強化します。働く女性の長時間労働、深夜労働の実態・健康影響調査をすすめます。

 女性の体、性差を考慮した医療の発展をはかり、公的医療機関に女性専用外来の開設を促進します。若年層を対象にした性教育、性感染症予防教育、医療関係者による相談活動などを強めます。

女性が老後を安心して生きることができる公平な年金をめざします

 女性は男性よりも平均寿命が長く、75歳以上では6割以上をしめています。一人暮らしの女性の約半数は年収180万円未満、離別で一人暮らしになった女性の12%強が年収60万円未満という調査結果もあります。高齢期のこうした生活実態は、女性の地位の低さがそのまま影響したものであり、多くの女性が低額年金、無年金の状態におかれています。

 男女賃金格差の改善、パート労働者と正規労働者の均等待遇の改善が、公平な年金の実現にとっても重要です。パート労働者の社会保険加入の権利を保障し、企業による保険料負担逃れのための未加入の解決をはかります。二つ以上の職場をかけもちするパート労働者の社会保険加入の権利を保障します。サラリーマン世帯の専業主婦の保険料は「応能負担の原則」で、夫が高額所得の場合には応分の負担をもとめるしくみにします。厚生年金の遺族年金を女性が働き納めた保険料が受給額に反映できるよう改善をはかることなど、どんな生き方を選択しても公平な年金制度の方向を検討します。全額国庫負担の最低保障年金制度の確立で低額年金の底上げをはかります。

5.男女平等、民主主義を法的にも社会的にもつらぬき、あらゆる分野で女性の人権を尊重する社会にします

女性の尊厳、人権をまもることは、民主主義の前進にとって欠かすことのできない大切な課題です。家庭、社会のすみずみまで男女平等、個人の尊厳の徹底をはかり、女性の人権を尊重する社会にします。

民法改正を実現します

民法にはいまだに、夫婦同姓を強制する制度や女性のみの再婚禁止期間、男女別の婚姻最低年齢、婚外子への相続差別など、男女平等と人権尊重に反する遅れた制度やしくみが残されています。法制審議会答申から14年も自公政権などが放置してきた結果です。国連からもくりかえし改善勧告が出され、09年夏の女性差別撤廃委員会でも、政府のとりくみの遅れを「遺憾」と批判し、「早急な対策を講じ」ることをもとめています。しかし、民主党政権は、公約に民法改正をかかげながら、期待を裏切っています。憲法や国連女性差別撤廃条約の精神にそって、一日も早い民法改正の実現をはかります。

協議離婚の際には、養育者、父又は母と子の面会や交流、養育費の分担のとりきめを、子の利益を最優先して考える立場からすすめるようにします。離婚後300日以内に出生した子の無戸籍の問題は、前夫が父でないことが明らかな場合は、「現夫の子」または「嫡出でない子」とする出生届を受理できるようにしするとともに、民法の規定の見直し・検討をすすめます。国際結婚の破たんに伴う一方的な子どもの連れ去りの解決ルールを定めたハーグ条約の批准をすすめます。

セクシャルハラスメント防止をはかります

女性労働者から雇用均等室によせられたセクハラの09年度の相談数は1万1898件、相談件数の過半数を占めています。男女雇用機会均等法は事業主にセクハラ防止義務を課しています。行政による企業のセクハラ防止対策の強化・指導を強めます。改善命令をだせる機関の設置、被害者の保護、相談窓口の拡充などをすすめます。被害の相談、申し出をおこなった労働者への解雇や不利益取り扱いをやめませます。

職場や学校などでのセクハラ事件もあとをたちません。政府みずからがセクハラ問題の重要性を認識し、社会からセクハラをなくす先頭にたつべきです。

人身売買被害者の保護・人権擁護の体制を拡充します。雑誌やインターネット、メディアなどには性を商品化するような写真、記事、動画などが氾濫しています。女性を蔑視し、人格をふみにじる文化的退廃を許さず、人権尊重の世論と運動をひろげます。

DV被害の防止、被害者の保護と自立支援を充実させます

全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられるDV相談は、毎年過去最高を更新し09年度は7万2792件にのぼっています。被害者の救済と保護の拡充、自立支援の充実、暴力を防止するための施策の強化はますます重要な課題となっています。

国の予算を増やし、配偶者暴力相談支援センターの増設と施設条件の改善、24時間相談体制の確立、保護命令期間の延長、民間シェルターへの委託費の増額と運営費への財政的支援、被害者が自立の準備をするためのステップハウスへの助成、公営住宅への優先入居や自立に要する費用援助をすすめます。被害女性や子どもの心身のケアの拡充、専門スタッフの養成など総合的な支援をはかります。加害者更生についての調査研究と対策強化、学校などでの予防教育の強化をはかります。暴力を許さない社会的合意をつくります。

「慰安婦」問題の解決をはかります

「慰安婦」問題は、日本がおこした侵略戦争のさなか、植民地にしていた台湾、朝鮮、軍事侵略していた中国などで女性たちを強制的に集め、組織的継続的に性行為を強要したという非人道的行為です。その数は8万人から20万人以上ともいわれます。1993年の河野官房長官談話、1995年の村山首相談話などで政府は強制連行の事実を認め、謝罪はしています。しかし、国による賠償はおこなわれておらず、いまだ未解決です。国連やILOなどの国際機関はもとより、海外の議会から、被害女性への公的な謝罪や国による賠償を求められています。被害者は高齢化し、亡くなった方もおり、一日も早い解決が必要です。

政府に「慰安婦」問題の真の解決と、国による謝罪・賠償、教科書への記載をおこなうことをもとめます。国会の責任として、これを促す「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律」の成立のために力をつくします。

6、政策・意思決定機関への女性の参加の促進など、女性が生きいき活躍できる社会にします

女性の高校進学率は男性を上回り、大学・大学院への進学率も高まっています。社会のあらゆる分野で女性の活躍がひろがっています。しかし、政治の分野でも、公的な分野でも、教育、雇用の分野でも、政策・意思決定機関への参加は著しくおくれています。

女性があらゆる分野に進出し、管理職など指導的な地位につくためには、仕事と子育ての両立支援をはじめ仕事を継続することができるようにするための社会的な整備がかかせません。

政府が、国連女性差別撤廃委員会からの暫定的特別措置も導入した早急な改善をもとめる勧告を真摯にうけとめ、2020年までにあらゆる分野で指導的地位に占める女性の割合を少なくとも30%にするという目標の実現をはかることをもとめていきます。政府が直接責任をもっている女性国家公務員の登用はもとより、民間企業が格差是正を確実にすすめるためには、積極的に格差是正に取り組む措置をとり、その実施・報告を義務づけることが不可欠です。当面、規模が100人以上の企業に対して、男女労働者の雇用状況の分析のうえに、改善のための目標・計画の作成及びその実施と報告を義務づけるようもとめます。

審議会などでの女性の登用については、人口の半数をしめる女性の意見が、審議会などに公平に反映することができる適切な構成にすることが大切です。女性の積極的な選任とともに、民主的で公正な人選をもとめます。業界や大企業など特定の団体や特定の個人の比重が高く、民間の団体も同じ団体からの人選が多いという偏りをただし、あらゆる層の意見が反映する人選と運営をもとめます。極端な兼任、政府の施策立案に都合のよい委員の登用はやめさせます。

研究者にしめる女性の割合も、大学、大学院にかよう女性比率、約40%、30%から大きく低下し、13%です。講師、准教授、教授となるにしたがって女性割合が低くなっています。出産や育児、介護等で継続が難しいこと、昇進差別など、女性研究者をとりまく条件は劣悪です。昇進差別やセクハラをなくし、出産・育児における休職・復帰支援策の拡充、大学内保育施設の充実など研究者としての能力を十分に発揮できる環境づくりなどをすすめます。


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