日本共産党

しんぶん赤旗

会議・報告

幹部会決議

2025年5月13日 中央委員会幹部会

1 情勢と活動の到達点――勝負は飛躍を起こせるかどうかにかかっている

 参議院選挙の公示まで1カ月半、東京都議会議員選挙の告示までは1カ月を切った。国会の会期末にむけて、大きな激動の可能性をはらんだ緊迫した情勢が展開している。

 自公政権が物価高騰対策で無為無策に陥るもと、国民の要求とわが党の奮闘によって、消費税減税が熱い焦点に浮上し、国政の大争点となっている。国連憲章と国際法、貿易ルールを無視するトランプ政権に不安と怒りが広がり、“アメリカいいなり”を続けていいのかが、国政の熱い焦点となっている。日本共産党の値打ちが国民に伝わり、有権者に浸透するならば、参院選・都議選での躍進をかちとれるチャンスの情勢が生まれている。

 一方、わが党の主体的活動の到達点は、この躍進のチャンスを生かし、実らせるだけの規模と速度の活動になっていない。

 「大運動」では、「要求対話・要求アンケート」の活動で、110万を超える人びとと対話し、「国民の苦難軽減」という立党の精神を発揮して要求に耳を傾けた。党員拡大は、止まった状態にあったところから、月を追って入党の申し込みが増え、世代的継承の努力も強まり、1073人の新しい党員を迎えた。「しんぶん赤旗」読者拡大では、4月に日刊紙、日曜版、電子版とも全国増勢をかちとり、総選挙後の連続後退から抜け出し、前進に転じることができた。

 しかし、「大運動」の到達は、勝利に必要な水準にはるかに遠い。「要求対話・要求アンケート」の活動は目標の2割である。前回比例3議席にとどまった参院選時比でみても、党員は93・3%、日刊紙は88%、日曜版は85・3%の党勢となっている。対話・支持拡大も、3年前の到達からも立ち遅れている。

 どんなにチャンスの情勢があっても、現状の延長線上の活動にとどまるならば、厳しい結果になる危険があることを、リアルに直視しなければならない。

 中央委員会幹部会は、全党のみなさんに心から訴える。日本の命運がかかった連続選挙の勝敗は、わが党が現瞬間、活動の飛躍を起こせるかどうかにかかっている。日本の進路がかかったこの歴史的選挙を、「全国は一つ」、あらゆる力を集めてたたかいぬくために、全党の総決起をはかろうではないか。

2 4中総実践が切り開いた新しい政治局面――日本共産党の主張が政治の熱い争点に

(1)消費税減税が国政の大争点に――責任ある財源論が際立つ

 3月11日の幹部会決定では、「自民党政治の“延命戦略”は早くも破綻があらわになりつつある」との分析を行ったが、4中総決定にもとづく全党の奮闘は、日本共産党の主張が、そのまま国民的な熱い争点となる新しい局面を開きつつある。

 物価高騰による生活苦と不安が強まるもとで、まともな物価高騰対策を何一つ打ち出すことができない自民党政治に対して、国民の怒りと失望は、深まる一方である。そうしたもとで、わが党が、要求対話アンケートの声にもとづいて打ち出した「物価高騰から暮らしを守る緊急提案」(①消費税は廃止をめざし緊急に5%へ減税する、②大幅賃上げ・物価に見合う年金、③医療危機・介護崩壊を止める)は、一連の世論調査で6~7割が「消費税減税」を求めているように、国民から強く歓迎される中身である。同時に、政界全体に衝撃をあたえ、与野党のなかで消費税減税の声が広がり、消費税問題を国政の一大争点に押し上げている。

 わが党の「消費税廃止をめざし、緊急に5%への減税を行う」という提案は、食料品だけゼロ%とする減税の2倍以上の減税効果となり、物価高騰から暮らしを守るうえで、最も有効かつ合理的な減税である。消費税減税をめぐる議論の最大の焦点が、財源をどうするかになっていることは重要である。自民党が消費税減税を拒否する唯一の理由は「財源がない」ということである。国民民主党、れいわ新選組は、消費税減税を主張するが、「国債=借金」を財源にするとの無責任な態度に終始している。

 そうしたなかで、わが党の「大企業と富裕層への減税・優遇を見直すことで、恒久的財源を確保する」という主張が際立っている。わが党の提案について、石破首相も「安易に国債の発行に頼らない姿勢は、ほんとうに立派だ。法人税をどう考えるのか、税制のあり方をきちんと議論させていただきたい」と答弁せざるをえなかった。4中総決定では、「責任ある財源論をもつ党でこそ、困っている人の暮らしを守れる」ことを強調したが、この立場を堅持したわが党の提案が、消費税減税の議論を圧倒的にリードする情勢となっている。ここに確信をもち、「緊急提案」を力に、政治的大攻勢をかけよう。

(2)「こんなアメリカいいなりでいいのか」が、国民的な熱い争点に

 3月11日の幹部会決定では、トランプ大統領による国連憲章、国際人道法を公然とふみにじる言動に対して、「世界から孤立し、信頼を根底から失っていく道である。アメリカ帝国主義の“落日”が始まった」と喝破した。それがいかに先駆的な情勢論であったかは、その後のトランプ氏自身の行動で劇的に証明された。

 トランプ政権が、自ら決めた国際協定を一方的に破り捨て、各国の経済主権を侵害する「トランプ関税」を打ち出したことに対して、世界でも、日本でも、大きな怒りと批判が広がっている。トランプ政権のアメリカのあまりの傲慢(ごうまん)さ、独善性、横暴に対する批判が、立場の違いを超えて国民のなかに広がっている。ここでも、「こんなアメリカいいなりでいいのか」というわが党の一貫した問いかけが、国民的な熱い争点となる状況が生まれている。

 そのときに、石破政権は、「トランプ関税」を撤回するべきという立場をとらず、農産物のさらなる輸入拡大を模索するなど、卑屈な交渉態度をとっている。トランプ政権は、「GDP比3%」の大軍拡、在日米軍基地への「思いやり予算」のさらなる増額も要求しているが、軍事同盟強化と大軍拡では、米国に積極的に迎合していこうという態度である。

 「日米同盟絶対」の政治で良いのか、安全保障の問題も含めて広く国民に問いかけよう。「アメリカいいなり」の政治から、対等・平等の日米関係への抜本的転換を求める、わが党の綱領的立場をおおいに訴えよう。

(3)「東アジア平和提言」の内容と行動が力を発揮

 4月末、日中友好議員連盟の訪中団の一員として、日本共産党から志位和夫議長が参加し、「東アジア平和提言」の中心点の一つである「日中関係の前向きの打開のために」の内容で発言した。2008年の日中首脳会談での「互いに脅威とならない」という合意にもとづく行動を双方がとるべきとの意見を、直接、中国に伝え、中国側も「(日本共産党の)提起を重視している」と表明したことは重要である。東シナ海と台湾問題についてのわが党の立場も伝えた。言うべきことは言いつつ、両国関係を前に動かすための積極的な外交にとりくみ、軍事対軍事の悪循環に陥ることにキッパリ反対する――わが党の果たしている値打ちをおおいに国民に語ろう。

(4)『資本論』ゼミを学び、党の魅力を自分の言葉で

 4中総決定がよびかけた科学的社会主義、綱領、組織のあり方、歴史など日本共産党の魅力を語る内容が、一段と豊かに発展している。

 5月10日に行われた「いま『資本論』がおもしろい――マルクスとともに現代と未来を科学する」には、主催した民青の同盟員とともに、街頭で出会った青年、立て看板を見て参加を申し込んだ学生など、オンラインを含めて3500人以上が参加し、大きく成功した。参加者からは、資本主義の矛盾の根本を解き明かし、人間の自由が全面的に開花する未来社会を展望した『資本論』の醍醐味(だいごみ)に触れ、みずみずしい感動と知的関心をかきたてられた感想が数多く寄せられている。

 資本主義の矛盾への関心にこたえ、わが党綱領路線とそのよってたつ科学的社会主義の魅力を伝えていくために、『Q&A 共産主義と自由』とあわせて、全党が『資本論』ゼミを視聴・学習し、世界観的確信をみんなのものにし、党を語る力を豊かにしよう。

3 都議選・参院選勝利をめざす活動

(1)「比例を軸」に、「全国は一つ」で「比例は日本共産党」の大攻勢を

 わが党の歴史で試された選挙戦の鉄則に照らしても、今度の選挙戦をめぐる政治情勢の激動と輝く党の値打ちに照らしても、いま、日本共産党そのものへの支持を広げぬく大攻勢をかけ、「比例を軸」に躍進の流れを全国的につくりだしてこそ、選挙区選挙での勝利の道も、目前に迫った東京都議会議員選挙の勝利の道も開かれる。

 「比例を軸」に「650万票、得票率10%以上」「比例5人全員勝利」への躍進を、全国すべての党組織の共通の任務とし、すべての支部が「650万票、10%以上」に見合う得票目標・支持拡大目標をもち、その達成に全力をあげよう。選挙区選挙では、「比例を軸に」を貫き、日本共産党支持の大波をつくりながら、党候補者の魅力や実績、訴えを有権者に広げぬいて、勝利へ全力をつくそう。

(2)どうやって活動の飛躍をかちとるか――四つの角度から自己検討と現状打開を

 どうやっていま、活動の規模と速度を飛躍させるか。打開すべき最大の焦点は、運動が一部の支部・グループ、一部の党員による活動にとどまっていることにある。要求対話に、まだ4割の支部が踏み出せていない。毎月毎月の読者拡大は3割、入党の働きかけは1割の支部による活動となっている。4中総決定の徹底は、読了党員で31・4%、討議・具体化開始支部で82・0%である。

 どうやって全支部・全党員運動への流れをつくりだし、飛躍をかちとるか。全国の都道府県委員長からのアンケートをふまえて、幹部会決定実践の推進に日常的に責任を負う常任幹部会として、突っ込んだ自己検討と反省を行った。それをふまえ、次の四つの角度から、現状のとりくみと弱点について幹部会としても突っ込んだ自己検討を行い、ただちに打開をはかることを訴える。

第一は、党支部と党員に、情勢のおもしろさを伝え、勝利の展望をみんなのものにする政治討議、政治指導ができているかどうかである。4中総決定の全党徹底をはかる努力を貫くとともに、消費税問題が国政の大争点に浮上し、「アメリカいいなり」の外交姿勢が問われるなど、4中総後の情勢の激動的な変化をつかんでいるところでは、攻勢的に活動にたちあがる支部、党員が広がっている。

 第二は、「戦略的大方針」に位置付けた「要求対話・要求アンケート」を、全支部の運動にするための指導・援助をやりぬいているかどうかである。要求対話に100%の支部がとりくんでいるある地区委員会では、当初は、「こんな活動では間に合わない」など、侃々諤々(かんかんがくがく)の論議となった。しかし、思い切って足を踏み出すなかで、「楽しい活動だ」「対話が弾む」などを実感し、100%の支部が得票目標・支持拡大目標をもち、65%の支部が読者を拡大し、あらゆる党活動に新鮮な活力が生まれている。

 第三は、選挙課題と一体に、世代的継承を中軸とする党づくりに本気になって挑戦しているかどうかである。4月に大演説会を3500人の参加で成功させるとともに、「大運動」を通じて19人の青年・学生党員(全体の29・7%)と22人の真ん中世代(全体の34・4%)を迎えている埼玉県委員会は、「党の自力が後退するもとでも、機関の構え、姿勢、熱量しだいで結果は大きく変わりうる」とその教訓を導き出している。青年・学生、労働者向けの「入党のよびかけ」が琴線に触れるものとして威力を発揮し、建設労働者、教職員など各分野の「集い」の法則的な発展方向が見えてきたことは重要である。これらを力に、党支部の3割をしめる職場支部が総決起していくことを訴える。

 第四は、支部でも党機関でも、特別の臨戦態勢が確立できているかどうかである。支部の臨戦態勢の基本である「週1回の支部会議」は、4月も17・4%の支部にとどまっている。参院選公示まであと7週間であり、ただちに週1回の会議開催に踏み出そう。日々情勢が動く選挙でこそ「党生活確立の3原則」(①支部会議に参加する、②日刊紙を購読する、③党費を納める)の徹底をはかろう。

 党機関、自治体・行政区の補助指導機関が毎日結集し、地方議員ともしっかり協力し、支部に入って援助をつくす体制をつくることは急務となっている。条件のある党員のみなさんが臨時の専従者、ボランティアとして党機関に結集して選挙戦をたたかうなど、体制強化へのあらゆる可能性をくみつくすことを心からよびかける。

 四つの角度から現状打開のとりくみに力をつくし、全支部・全党運動をつくりだし、活動の大飛躍を起こそうではないか。

(3)6月22日までに500万要求対話、300万支持拡大など勝利の土台をつくろう

 選挙戦の基本方針は引き続き4中総決定――「三つの突破点」にある。東京都議選の投票日であり、通常国会の閉会日となる6月22日(日)までに、全党の力で都議選の勝利を必ず果たすとともに、参院選勝利のために次の活動をやりぬくことを訴える。

 ――大量宣伝を、他党を凌駕(りょうが)する構えで抜本的に強めよう。現状は全国185世帯に1カ所となっている「声の宣伝」に、各党組織が目標をもってとりくみ、少なくとも100世帯に1カ所までやりぬこう。マイ宣伝カー・マイ宣伝サイクルを地区で5台・10台と増やして「流し宣伝」を広げよう。党押し出しポスターを100%張り出そう。

 ――「要求対話・要求アンケート」を、戦略的課題として最後まで選挙戦の中軸にすえ、このとりくみを選挙目前の時期にふさわしく発展させ、飛躍させよう。6月22日までに500万要求対話・300万支持拡大の突破を、何が何でも達成することを心から訴える。そのさい、次の2点が重要である。

 第一に、「要求対話・要求アンケート」を、「物価高騰から暮らしを守る緊急提案」を生かした活動へと発展させることである。これまでのアンケートとともに、「消費税減税」「賃金アップ」「医療・介護・年金の充実」など「緊急提案」を押し出すシールアンケートなどを活用しよう。要求対話で広がった新しい結びつき、信頼を生かし、選挙の担い手を広げながら、対話・支持拡大を飛躍させよう。

 第二は、対話・支持拡大と「担い手広げ」を自覚化することである。「要求対話・要求アンケート」を入り口にした対話・支持拡大とともに、ストレートに「比例は日本共産党」を訴える対話・支持拡大にとりくもう。こうして300万の後援会員、支持者、「赤旗」読者への対話・支持拡大を必ず期日までにやりきろう。

 ――SNSの抜本的強化の方針にもとづいて、LINE・YouTube活用支部で早期に5割以上にひきあげ、さらに全支部に広げよう。候補者サポートチームの体制をとり、候補者の発信を強化するとともに、JCPサポーターの協力、ボランティアの募集をよびかけよう。選挙募金への協力を広く訴えよう。

(4)選挙と一体に世代的継承を中軸にすえた党づくりを

 激しい選挙戦のなかでも、世代的継承を中軸とする党づくりを一貫して追求しなければ、選挙勝利の道も開けないし、党大会で掲げた党建設の前進への歴史的転換 ――党の未来の展望も開かれない。選挙必勝の活動と一体に党勢拡大・世代的継承の独自追求をはかり、党員・読者の前回参院選時回復をめざして党勢の上げ潮をつくりだそう。

 ――「すべての支部が新しい党員を迎え新鮮な活力を得て参院選をたたかおう」を合言葉に、演説会・「集い」を節に、読者・後援会員、結びつきに広く入党を働きかけよう。つながり名簿をつくり、二つの「入党のよびかけ」の活用、各分野の「集い」の教訓を生かし、世代的継承の党づくりをすすめよう。『資本論』ゼミを学び、若い世代のなかにも広げよう。

 ――要求対話と一体に「しんぶん赤旗」読者拡大の前進がはかられていることは希望ある特徴である。第2弾「100万人読者・10億円募金」チラシと見本紙を活用し、5月、6月、読者拡大の大きな上げ潮のなかで連続選挙を迎えよう。

(5)東京と全党が一つになってたたかいぬき、東京都議会議員選挙の勝利を

 東京都議選は、各党が“首都決戦”と位置づける政党間の激しい選挙戦となっている。

 都議選は、都民の暮らしと未来を左右する選挙であるとともに、直後の参院選の勝敗にも直結する選挙戦となる。

 全党が自らのたたかいとしてたちあがり、東京の知り合いに、党候補者への支持の訴えを集中するとともに、東京での選挙ボランティアと募金への協力を心からよびかける。

 野党第1党の都議団の実績・値打ち、党の改革提案を東京の有権者に届けきり、東京都党と全党が一つになってたたかいぬいて必ず勝利しようではないか。