全国都道府県委員長会議
山下芳生副委員長の幹部会報告
2025年11月7日
連日のご奮闘に心より敬意を表します。幹部会を代表して報告を行います。
きょうの会議の目的は、「集中期間」の目標総達成、とりわけ世代的継承を中軸とした党員拡大を全党運動にするための意思統一をはかることにあります。
率直な討論を行い、目標達成への決意を固めあう会議にしたいと思います。
1、「集中期間」の到達をどうみるか
最初に、6中総決定の三つの目標に照らして、この2カ月間の活動の到達をどうみるか。現状をどう見て、どう打開するのか、それぞれの党組織に引き寄せて議論することをよびかけたいと思います。
12月末までの「集中期間」はちょうど折り返し点にたっていますが、党建設の根幹の党員拡大は、9月は218人、10月は277人でした。目標は全国で5千人の党員を迎え、党員現勢で毎月前進することですが、残念ながら現状は大きな乖離(かいり)があります。入党を働きかけた支部は1割に届いていません。党員拡大がほとんど「止まった状態」から脱していないことに、現在の運動の最大の問題点があります。この事態を知恵と力を結集して打開することは、党活動、党建設の発展の根幹となる大問題であることを銘記しなければなりません。
読者拡大は、日曜版電子版が新しい可能性を示すとりくみになっていることは、大きな希望です。同時に、紙の日刊紙・日曜版は連続後退を脱していません。紙も電子版も、どちらも安定的前進の軌道にいかにしてのせるかが、大きな課題となっています。紙の安定的な前進があってこそ、「しんぶん赤旗」全体の安定的な再発行が可能となります。だから「紙も、電子版も」なのです。
二つの『Q&A』(「赤本」・「青本」)の学習は、2割を超える支部で始まり、党に明るい確信と活力をもたらす変化をつくりだし、質と量とを一体的・相乗的に推進するかつてない運動を起こしつつあります。同時に、なお多数の支部ではこの運動がはじまっておらず、全党的な学習運動にしていくための努力の抜本的強化が必要です。「選挙ドットコム」や「リハック」で「赤本」をベースにした志位議長の一連の対談が行われましたが、これまで党の手の届かなかった広い層に動画が見られ、日本共産党がどんな社会をめざしているかや、党の根本的な立場が届いていることは、全党を勇気づけています。
全体として、私たちの到達点は、党員拡大がほとんど「止まった状態」から脱していないことを中心に、まだ「集中期間」らしい運動にしきれていないと言わなければなりません。
あらためて「集中期間」成功の意義を深くつかむ
「集中期間」のこうした現状はなんとしても打開しなければなりません。そこで、あらためて「集中期間」成功の意義を深くつかんで、その決意を固めあうことをよびかけたいと思います。
6中総では、「集中期間」が「日本とわが党の前途にとって文字通り命運がかかったものとなる」と述べ、三つの角度からその成功の意義を提起しています。それは、2カ月間のとりくみを経て、いよいよ切実で重大なものとなっています。
第一は、日本の政治の歴史的岐路を前向きに打開するために、どうしても必要だということです。
自民・維新の連立で高市政権が発足し、国会論戦が始まっていますが、高市政権に対して国民の要求を掲げて正面から立ち向かっている政党は、日本共産党です。消費税減税や賃上げを迫り、社会保障の破壊や大軍拡を正面からただし、排外主義ともたたかっている。そして危険な「反動ブロック」に対抗する「新しい国民的・民主的共同」をよびかけています。わが党がこうした役割を果たし、国民とともに反動政権と対抗し、希望ある政治をひらくためには、地域・職場・学園に根を張った強大な党へと前進することが不可欠です。いま党が強く大きくなることを、情勢が痛切に求めているのではないでしょうか。
この間、交流と連帯を強めてきた欧州の左翼・進歩勢力も、新自由主義的な政策に対抗し、大軍拡や排外主義に立ち向かうために、草の根で党をつくる努力をやっています。イギリスでは、労働党前党首のジェレミー・コービン氏を中心に、今月末に新党の創立大会を開こうとしていますが、党をつくる前からすでに5万人の党員が登録されています。ドイツ左翼党も1年間で8万人という規模で若者や女性を中心に党員をふやしながら、総選挙をたたかい、躍進をかちとっています。
あとでも述べますが、ニューヨーク市長選で、「民主的社会主義者」(DSA)を名乗るゾーラン・マムダニ候補が歴史的勝利を果たしました。ここでもDSAというグループが党員を急速に増やしています。全米で10万を超え、ニューヨークで1万を超える党員がいる。その党員が中心になってボランティアを大きく組織したといいます。
反動政権が登場し、排外主義が台頭する日本においても、強大な党をつくって、歴史的岐路を前向きに打開しようではありませんか。
第二は、自力の後退と選挙の後退の悪循環を断ち切り、好循環に転じようとするならば、「集中期間」の成功がどうしても必要だということです。
高市政権は、維新と連立してもなお少数与党であり、政権基盤は非常に不安定な状況にあります。それゆえ、安定的な政権基盤をつくるために、どこかの時期で解散・総選挙のチャンスをうかがう情勢に入っていくことになるでしょう。私たちは、攻勢的に高市政権を追い込んでいくためにたたかいますが、来年になれば、高市政権が党利党略でタイミングを選び、解散・総選挙を強行する可能性はおおいにあります。そうしたことを考慮しても、この「集中期間」は、まさに党勢拡大に思い切って力を集中できる重要な時期となります。
6中総では、参議院選挙の悔しい後退の最大の教訓は、党の自力の問題であることを銘記しました。しかし、中間選挙での議席と得票の後退は、残念ながら続いています。この「集中期間」を、総選挙での躍進、そして再来年の統一地方選挙での躍進をかちとる党の自力をつけ、党勢と選挙の後退の悪循環を断ち切り、好循環をつくりだす出発点に必ずしようではありませんか。
第三は、第29回党大会で決めた党建設の目標――第30回党大会までに、党勢を前進の軌道にのせ、第28回党大会現勢の回復・突破をやりとげるために、この「集中期間」の目標達成がどうしても必要だということです。あと1年2カ月で、第28回党大会現勢の回復・突破をやろうというのが、党大会でみんなで決めた目標です。この大会に対する責任を果たさなければなりません。
党大会では、党建設についての歴史的な教訓を、客観的な要因と主体的な問題の両面から明らかにしました。
主体的な対応の問題としては、90年代に党員拡大が極端に落ち込み、「空白の期間」がつくられたことを明らかにしました。党員拡大は、70年代は年平均3万人、80年代は年平均1万5千人、それが90年代は年平均6千人にまで落ち込みました。2000年代は1万1千人、2010年代は年平均8千人となったものの、90年代の「空白」の傷痕がその後の党建設の困難をもたらしました。そのことを分析し、いついかなる時でも党員拡大を党建設の根幹として継続的に発展させようと決意を固めあったのが、第29回党大会でした。
では、今はどうなっているか。2024年は5千人、今年2025年は今のところ2300人で、このままだと3千人に届くかどうかというペースであり、新たな「空白の期間」をつくりかねない事態となっています。「空白の期間」を絶対くりかえさないためにも、「集中期間」で毎月党員現勢で前進し、5千人の党員拡大目標をやりとげることはどうしても必要になっています。
同時に、大会決定で強調した党づくりの「歴史的チャンスの時期」という点ではどうでしょうか。自民党政治の矛盾が限界点に達していることは、この2年間の政治の激動が示しました。世界をみると、「資本主義をこのまま続けていいのか」という問いかけが、気候危機でも貧富の格差でも、これだけ広がっているときはありません。そして大会決定では、党勢の長期の後退の最大の客観的要因となった「社会主義・共産主義の問題」について、「人間の自由」が豊かに花開く未来社会論の魅力をうちだしました。この具体化として始めたのが、二つの『Q&A』――「青本」と「赤本」のプロジェクトであります。この間「選挙ドットコム」や「リハック」で志位議長が対談をしてきましたが、立場の違う人々にも、この内容が響きあうことが明らかになってきています。
党大会決定にもう一度立ち戻って、党建設の教訓と可能性をつかみ、党大会で決めた目標への展望をきりひらく「集中期間」にしようではありませんか。
以上、6中総で明らかにした三つの点から「集中期間」の意義を熱く語り、全党がたちあがる運動にしていくことを心から訴えたいと思います。
「集中期間」の目標が、生きた目標になっているか
それでは、私たちの活動のどこに弱点があるか。どう突破すべきか。次のような点を、今日の会議でしっかり議論することをよびかけたいと思います。
第一は、「集中期間」の目標が、生きた目標になっているか、目標を本気でやりぬく構えがつくられているか、という問題です。
10月3日の小池晃「集中期間」推進本部長の訴えでは、まだ多くの支部では目標が決まっていない、あるいは具体化までいっていないという状況をふまえ、「集中期間」を正面に据え、「なぜいま『集中期間』なのか、目標をやりぬくことはできるのか、どうやって目標をやりぬくのかなどの議論を、本音をぶつけ、率直に、徹底的に、そして10月前半までに期日を決めて行い、『集中期間』の目標をやりぬく決意を固め、目標達成にふさわしい緻密な手だてを明確にすることが重要」と訴えました。
これがどこまで進んでいるのか。10月、こうした議論で決意を固めあい、明確な変化をつくりだした党組織ももちろんあります。しかし各都道府県委員会からの報告では、全体としては、この議論が十分できていないという実態があることが報告されています。
ある県委員会の報告には、「県委員会総会が、どう目標をやりぬくかに焦点をあてた討議になっておらず、ここに目標に距離を残す一番の要因があると感じている」と書かれていました。別の県委員会からは、「多くの支部が『集中期間』の目標や計画の具体化ができておらず、行動に踏み出せていない。最大の原因は、県・地区委員会の『集中期間』を成功させる構えと決意を固めきれていないことである」と率直な報告が寄せられました。
この問題はあいまいにできません。「集中期間」は折り返し点にありますが、6中総が提起した「集中期間」の目標をやりぬく意義を、自らの党組織に引き寄せてつかみ、どうやりぬくのかまで決意を固めあう、徹底した議論が十分でないなら、党機関も、支部も、いまからでもそれを行うべきではないでしょうか。また、何度でもくり返し議論すべきではないでしょうか。この会議での率直な議論をよびかけたいと思います。
この点で、中央の推進本部としてどうだったか。10月はできるかぎり県常任委員会や県委員会総会、地区委員長会議や節々の行動にも中央も参加し、小池本部長の「訴え」で正面から討議しようという議論をやってきました。一方で、さらに地区常任委員会や支部長・支部指導部のところで目標をやりぬく議論がどうなっているか掌握し、「政治討議にならない」など困っていることも聞いて打開するイニシアチブが十分だったとは言えません。
そうした反省を踏まえ、10月末~11月初めにかけて、中央として「集中期間」で新しい党員を迎えることができていない17の地区に入り、問題点をつかむだけでなく、ともに党員拡大で突破する援助を行いました。
援助をつうじて私たちが感じたことの一つは、地区常任委員会で政治討議の時間が十分取れない状況が広くある、ということです。専従者が少なく議員活動などで忙しい同志が多いなどの事情から、短時間の会議となり、課題の確認が中心になるなど、会議運営に苦労している状況がありました。しかし、こうした実情があるからこそ、やっぱり政治討議が大事なのではないでしょうか。「集中期間」の目標を生きた目標とするための真剣な討議がされてこそ、機関メンバー一人ひとりのもつ力が発揮されるのではないでしょうか。
党機関が「実践で突破する」イニシアチブを発揮できているか
第二に、党機関が、「実践で突破する」というイニシアチブを発揮できているか、という点です。
推進本部として10月21日、自民・維新の連立、高市政権の発足という情勢と、党勢拡大の現状をふまえ、「いま、党機関の戦闘性・政治性が問われる」局面であることを討議し、政治討議の徹底と「実践での突破」をよびかけ、各県に党機関の姿勢を率直に問いかけました。
10月27日の小池本部長と私の連名の訴えでも、「『自信がない』という思いを乗り越えていくには、6中総決定の徹底とあわせて、実践で突破することがどうしても必要です」「とりわけ党機関が、戦闘性と政治性を発揮して情勢の激動にたちむかい、全党のもつ力を引き出せるかどうかが問われています」と訴えました。
こうした構えにたって、党機関が実践で突破し、「やればできる」という結果もつくって励ましていくイニシアチブをどれだけ発揮しているだろうか。県委員会も、地区委員会も、「実践で突破」することにどれだけ力を注げているだろうか。ぜひ率直な議論で深めていただきたいと思います。
東京・足立地区は、「集中期間」で6人を党に迎えていますが、地区委員長は、支部会議で政治討議や若い世代のつながりを出し合うことを重視するとともに、「それだけでは変化は起こらない。支部が入党の働きかけに踏み出すことに“つなげる”――ここに機関役員の役割がある」と、常任委員・地方議員が支部に入って一緒に働きかけることを重視しています。
この点でも、「集中期間」で党員を迎えられてない地区に援助に入って感じたことがあります。党員拡大が支部のとりくみになっていない、ということです。支部会議などで党員拡大を提起すると、「まわりは高齢者ばかりで若い人とのつながりがない」「若い人は忙しくてつながりをつくれない」などの意見が出され、時間がなく具体化までできない場合が多い。こうした意見は、6中総で「発展の芽」として打開の方向が示されているのですが、支部が「自分たちもやってみよう」となる援助がされていない。中央の同志が「つながり名簿」の経験を紹介するだけで、支部の同志から新たに「働きかけたい人」の名前が出る経験もありました。
党機関が「実践で突破する」とはどういうことか。党機関自身が、党員拡大や読者拡大の先頭に立って増やすことが大事であることは言うまでもありません。同時に、なにより重要なことは、支部から出される世代的継承を中軸とした党員拡大への“ためらい”や“あきらめ”を克服し、一つひとつの支部を党員拡大に“起こしていく”ことではないでしょうか。この両面での機関のイニシアチブがどうだったか、議論で深めてほしいと思います。
「集中期間」らしい臨戦態勢がとられているか
第三に、「集中期間」らしい臨戦態勢がとられているかどうかという問題です。
「集中期間」と銘打っていながら、実態は平常の党活動と変わらないというのが、多くの党組織の状態になっていないでしょうか。「集中期間」とするからには、課題を明瞭にし、期間を定めて、必ずやりきるという活動のモードにしなければ、「集中期間」にはなりません。
いま、集中的な運動にふさわしい臨戦態勢がとられていないのは、率直にいって、中央自身がこの問題でのイニシアチブを発揮し、必要な提起をできていなかったからです。また中央としても、10月末になって「集中期間」で入党者が迎えられていない地区に入って一緒に打開するために力をつくしましたが、もっと早くから現場が困っている状況を機敏にキャッチし、打開のための手だてを日々打って、一緒に打開するとりくみを強めなければなりませんでした。中央としてもその臨戦態勢が弱かったことを自己反省し、必ず打開をはかりたいと思います。
どう臨戦態勢をとるか。支部でいえば、毎週支部会議を開くことを軸にして、要求対話や署名、宣伝などにうってでて、日々「つながり名簿」が更新される。『Q&A』の学習計画をたて毎週学習にとりくむ。すべての同志に6中総を届け読んでもらう働きかけを行う。毎週入党や購読の働きかけをどうするかを具体化し、党勢拡大の集中行動の頻度を増やす――こういう毎週毎週の活動に入ることではないでしょうか。「党生活確立の3原則」、新入党員の声が生きる活動も大切ではないでしょうか。
党機関はどうか。何よりも全支部と連絡をとりあい、全支部がたちあがる援助をできる臨戦態勢をとることです。そのためには、党機関は日々うちあわせし、どの支部にどう援助するのか、弱点があればどう打開するのかの相談・検討が必要です。目標を本気でやりぬこうとすれば、地区内で日々購読や入党の働きかけを組織し、計画も次々入っていく、ニュースもLINEなども使ってどんどん出していくような運動が必要です。そのための臨時の機関体制もいります。
また地方議員・予定候補者が自らの目標をもって総決起するとともに、自治体・行政区ごとの地方議員と支部指導部での意思統一も行う必要があります。そのためにも、12月に第1次発表を行う予定の統一地方選挙の候補者を急いで決め、「集中期間」の飛躍のバネにしていくことを訴えたいと思います。
こうして支部、党機関、地方議員が特別の臨戦態勢にただちに入ってこそ現状打開の道がひらけるのではないでしょうか。
以上、三つの角度から、「集中期間」の現状をどうみて、どう打開するのか、この会議で率直な討論をしようではありませんか。
2、「集中期間」目標総達成への強化点
次に、以上の到達点の自己分析にたって、「集中期間」の目標総達成をどうやりとげるか。次の諸点を強化して、全支部運動、全党員運動をつくりだし、活動の飛躍をはかることを訴えます。
歴史的岐路における党の役割をつかみ、攻勢的に宣伝・対話、たたかいにうってでる
第一に、歴史的岐路における党の役割をつかみ、攻勢的に宣伝・対話、たたかいにうってでることです。
6中総が明らかにした「日本の政治をめぐる歴史的岐路の情勢」は、その後の2カ月でさらに劇的にすすみ、「日本共産党のがんばりどころ」の情勢がいよいよ鮮明になっています。
高市政権は、憲法9条改悪や大軍拡、医療費4兆円削減、さらに、国民の多様な民意を切り捨て、大政党をいっそう有利にする比例定数削減をたくらむなど、戦後の自民党政治のなかでも、国民にとって最悪の政権となる危険があります。
同時に、この政権は、弱さともろさも持っています。これまで自民党が国民の支持を失いながら、かろうじて政権を延命・維持してきたのは、「二つの安全装置」のおかげでしたが、いま自らの手でそれを壊しているからです。
一つは、公明党との連立破綻です。公明党は自民党の悪政推進の支えとなってきましたが、それでも「平和」「福祉」を看板に掲げる同党の存在は、自民党との一定の緊張関係もつくりだし、それが結果として自民党政治にある種の「安定」をあたえてきました。しかし、連立破綻によってそれを喪失した。さらに、これまで国政選挙で各選挙区で自民党候補を支えた公明票を丸ごと失うという深刻な事態を招いています。
もう一つは、維新の会、国民民主党という「補完勢力」を使い果たすプロセスが進んでいることです。「補完勢力」は、見せかけだけでも「反自民」を訴えていたからこそ「補完勢力」の役割を果たしてきました。しかし、公然と、あるいは事実上、政権にとりこんでしまえば、そうした政権批判のニセの「受け皿」を自ら壊すことになります。これは自民党の権力基盤をいよいよ弱くすることになるでしょう。
加えて、維新の会の藤田文武共同代表が、自身の公設第1秘書の会社に政党助成金など約2千万円の公金を支出し、その会社が公設秘書に年720万円の報酬を出していた、という税金還流疑惑が、「赤旗」日曜版のスクープによって明らかになり大問題になっています。さらに与党の共同代表という権力を持つ立場の藤田氏が、自身に批判的な取材記者の名刺をネット上に公表するという問題が起こり、権力監視の報道を威嚇するものだという批判が巻き起こっています。「朝日」「毎日」がきょうの社説でとりあげ、厳しく批判するなど、大手メディアも一斉に報じています。早くも政権を追い詰め、情勢を揺り動かしているのは、日本共産党と「しんぶん赤旗」です。
高市政権と国民との矛盾の広がりはさけられず、この政権を短命に終わらせ、最後の自民党政権にしていく可能性は大いにあります。
党機関も支部も、高市政権の「危険性」とともに「弱さともろさ」をとらえて、宣伝や要求対話で大いに国民のなかに打って出ましょう。「消費税減税とインボイス廃止」「地域医療を守れ」「大軍拡と基地強化反対」「ジェンダー平等」「比例定数削減反対」など、国民要求実現のたたかいにとりくみ、政治的立場の違いを超えた新しい共同を広げようではありませんか。
6中総の志位議長の中間発言では、極右勢力が台頭する欧州での左翼・進歩勢力のたたかいの教訓を紹介し、「危機はチャンスにもし得る」と強調しましたが、今度はトランプ政権のアメリカから、うれしい知らせが届きました。
先ほど述べたニューヨーク市長選での「民主的社会主義者」(DSA)を名乗るゾーラン・マムダニ候補の勝利です。マムダニ陣営は、現状の資本主義を富裕層と大企業による搾取の体系ととらえ、これを「略奪型」資本主義として批判するとともに、家賃値上げ凍結、無料バス、保育の無償化、市営スーパーの設置など、公共部門の再生を訴える政策をかかげました。分断と排除が政治の常態となったアメリカにおいて、資本主義への批判を明確に示す流れが、現実の統治と結びつくとりくみとなります。トランプ大統領は選挙終盤、「狂った共産主義者を市庁舎に入れるな」と攻撃しましたが、それを打ち破っての結果であり、アメリカで反共主義が通用しなくなったことを示す勝利です。
日本の情勢も必ず変えられます。高市政権と正面から対決し、自民党政治の「二つのゆがみ」を根本から正す改革をかかげる日本共産党のがんばりで、政治をおおもとから変える激動を起こそうではありませんか。
『Q&A』の学習、普及の新たな条件を生かし、質と量を一体的・相乗的に発展させる
第二に、『Q&A』の学習、普及で生まれている新たな条件、可能性を生かし、質と量を一体的・相乗的に発展させることです。
「集中期間」のなかで、この運動の大きな可能性が明らかになってきています。
一つは、二つの『Q&A』と『資本論』の学習が、党員としての確信と喜びにつながっていることです。「集中期間」の目標の柱に学習をすえたことが大歓迎され、学習したところでは、「党員としての生き方に確信がもてた」と、資本主義社会を不変のものとせず、社会主義・共産主義を展望する党への誇り、労働者階級の自覚と成長を推進する党の役割に確信を深めています。支部で次々と「赤本」「青本」が購入され、学習のために会議の頻度を増やす、支部会議への党員の参加も増えるなど、支部の活性化にもつながり、「学ぶことが楽しい」と学習が喜びになっています。
もう一つは、この間、二つの『Q&A』と『資本論』を正面からテーマにした企画がネットメディアで行われ、これまで党に触れたことがなかった人々や、政治的立場の異なる人々にも深く響きあったことです。
リハックでの志位議長と斎藤幸平東大准教授との対談は、前編・後編あわせて50万回の再生となり、共産党の話をはじめて聞くという人や、「共産党」というと忌避感があったという人からも、多くの好意的コメントがついています。日本共産党への支持の壁になっていたのは、やはり社会主義・共産主義の問題だとよくわかるコメントですが、重要なことは、私たちが『Q&A』の中身を語れば、広い層に日本共産党や社会主義・共産主義のイメージチェンジができることが証明されたということです。これらの動画を、党員も視聴し、友人・知人のつながり、後援会などにも広げるなら、『資本論』のムーブメントを広げていく可能性がおおいにあるのではないでしょうか。
志位議長は6中総の中間発言で、今度の「集中期間」が、科学的社会主義の一番の土台である『資本論』の内容を学び広げることを正面から位置付けた初めての運動であることを述べるとともに、これが綱領の未来社会像を発展させた第29回党大会決定にもとづく具体化だと強調し、必ず党建設で前進に転ずる力になりうると訴えました。「集中期間」の2カ月のとりくみで、その確かな足掛かりが生まれ、豊かな実りをつくりつつあります。このビッグプロジェクトをみんなで成功させようではありませんか。
10月5日~19日、「『Q&A資本論』学習はじめよう週間」を通じて、党機関が率先して学習し、支部学習を広げていく努力がはじまりましたが、「赤本」の学習・視聴支部は22・8%。これはとことんとりくんで、文字通り100%の支部がとりくむ学習運動にしていきましょう。リハックでの志位議長と斎藤幸平氏との対談や選挙ドットコムでの『資本論』集中講義は、党機関・支部でもぜひ視聴しましょう。
二つの『Q&A』を、青年・学生や労働者との宣伝・対話・「集い」のテーマにもして、党への関心と注目を広げ、入党をすすめる力にもしていきましょう。
『月刊学習』11月号に掲載した国会議員団・事務局での志位議長の講義は、資本主義の「必然的没落」の根拠をどこに求めるか、マルクスが「労働者階級の成長・発展こそが社会変革の原動力であり、資本主義を『必然的没落』に導く力だ」という立場を確立し、『資本論』第一部を仕上げていったことを解明しています。『資本論』の「希望と変革の書」としての真価を、理論的に掘り下げるものです。ぜひ学習をすすめていきましょう。
党員拡大を難しくせず、新しい「入党のよびかけ」を徹底的に活用する
第三に、党員拡大を難しくせず、新しい「入党のよびかけ」を徹底的に活用し、拡大の飛躍をつくりだすことです。
6中総決議は、世代的継承で生まれている四つの「発展の芽」を学び広げていくうえで、党員拡大を、「すべての支部・グループが参加する全党運動に発展させることは、この分野で前進への画期をつくりだすうえでどうしても必要」と述べ、「党機関と党支部が協力・共同してとりくみを推進し、『支部が主役』の活動に発展させよう」と提起しました。
この点で大きな突破力・推進力となるのが、志位議長、田村委員長の連名の「入党のよびかけ」です。このよびかけは、日本も世界も歴史的岐路にあるもとで、“歴史をつくる主人公としてどう生きるか”を問いかけ、読みあわせるだけで心揺さぶるものになっています。
支部と党員も読み合わせて討議すれば、いまの高市政権の「危険性」と「もろさと弱さ」をはじめ、政治・情勢問題はみんな入っています。自民党政治の危機とその根底にある「二つのゆがみ」、党綱領が示す日本の進路、世界での大国の横暴に対する歴史の本流の発展、いまとりくんでいる社会主義・共産主義の理論的魅力も入っています。
ですから、これを読んで討議することを政治的意思統一でも重視しましょう。そして「入党のよびかけ」を渡して読んでもらいたい人を広くあげ、働きかける対象も視野を大きくひろげましょう。「赤旗」読者、支持者、後援会員、サポーターなどに渡して、読んでもらうことはだれにでもできる活動です。入党を働きかける場でも「よびかけ」を読み合わせて感想を聞く。相手の入党へのためらいも聞いて、不安や迷いがあってもなぜ自分は入党したかを語りあう――こうした入党の働きかけに、気軽に楽しくとりくんでいこうではありませんか。
大中小の「集い」を、党員拡大はじめ党活動を前進させる推進軸として引き続き重視するとともに、「集い」に向けても「入党のよびかけ」を思い切って活用しましょう。
青年・学生党員の拡大、労働者のなかでの党づくりに特別の努力を訴えます。
10月の三つの交流会――「全国学生支部・党員交流会」(12日)、「職場・労働者の分野ごとの『集い』の経験を学びあう会」(9日)、「若い世代を対象とした『ミーティング』、要求対話と『つながり名簿』づくりの経験を聞く会」(16日)では、6中総の方向での豊かな教訓が語られましたが、多くの党組織がまだこれを自らの活動に具体化できていません。これを党機関が身につけ、しっかり生かしましょう。
職場・労働者では、11月、12月は10月以上に多くの分野別の「集い」が組まれていますが、10月9日の「経験を学びあう会」に学び、さらに広げていきましょう。とくに、「教職員のつどい」「建設労働者のつどい」で志位議長が語った動画やパンフを活用し、地区や支部・グループ単位での中小規模の「集い」におおいにとりくむことをよびかけます。要求対話アンケートと一体に、新しい結びつきや信頼関係を広げながら「集い」を成功させ、入党者を迎えましょう。
青年・学生では、新しい「入党のよびかけ」がとくに相手の琴線にふれ、入党の決意につながっています。民青は大会に向けて4千人の拡大目標をめざして奮闘しています。「赤本」読書会が各地で開催され、学費値上げ反対のたたかいなど青年・学生の運動も高まっています。12月1日の現勢調査までに、すべての地区が、青年・学生の結びつきをつかみ、入党を働きかけましょう。都道府県委員会の責任で、学生党員拡大、現勢前進の手だてと、民青の役員体制の確立強化に力を注ぐことをよびかけます。
読者拡大の独自追求――電子版とともに紙の「赤旗」の拡大を
第四に、読者拡大の独自追求で、電子版とともに紙の「赤旗」の拡大の飛躍をつくりだすことです。
6中総は、「『紙』の『しんぶん赤旗』の事業を守り、発行危機を打開することは、『日刊紙電子版』『日曜版電子版』を発行し発展させていく土台である。『100万人読者』の回復へ、『紙』の日曜版を後退させることなく、『紙』と『電子版』の双方の前進をかちとる見地で、必ず前進させよう」とよびかけています。参院選後、紙の「赤旗」の後退が続いていますが、紙での前進なくして「赤旗」の安定的な発行を守ることはできません。「紙」と電子版の両方で目標を決め、それぞれやりぬくことがどうしても必要になっています。
紙の「赤旗」の拡大の「決め手」は、なにより見本紙です。この間、維新の公設秘書をめぐるスクープが大きな注目をあび、あらためて権力の監視役としての「赤旗」の役割が光っています。高市政権の危険ともろさ、世界の平和の本流や欧米での左翼・進歩政党のたたかいなど、「赤旗」ならではの紙面の魅力が一段と輝きを放っています。
総選挙・統一地方選挙も展望し、要求対話アンケートや要求署名などで支持者、後援会への総訪問、エリアを決めての軒並み訪問作戦も組み、これと一体に見本紙を大量活用し、読者拡大の成果支部を広げぬいて、目標をやりぬきましょう。
日曜版電子版は、8千人を超える登録となって、世代的継承での大きな条件をつくりだしています。10代20代の党員がゼロという地区でも、10代20代の日曜版電子版読者が生まれています。地区委員会からのメールでお知らせできる読者は、10代で60・9%、20代でも56・8%となっています。
10月は4県103地区(33%)が目標を達成しました。すべての都道府県・地区が10月目標を早期に達成し、すべての支部で目標を決めて電子版の拡大にとりくみ、11月こそ2万人の読者を実現しようではありませんか。
「集中期間」の現状を何としても打開し、目標をやりぬいて、求められるわが党の役割を果たすために、積極的な討論をよびかけて報告とします。



