日本共産党

しんぶん赤旗

会議・報告

2025年2月4日

幹部会会議 志位議長の中間発言

 たいへんに重要な討論がされていると思います。基本的な問題提起は田村委員長が述べたとおりですので、その問題提起の全体を深めていただきたいと思うのですが、午後の討論でさらに深めていただきたい若干の点について、話したいと思います。

 私が、午前中の討論を聞いて強く感じたのは、要求対話・要求アンケートの取り組みを4月末までに文字通り500万という規模でやりぬけば、党の前途に大きな展望が開けてくるということがはっきり見えてきたということです。

要求対話・アンケート――党の活動のあり方を刷新・改革する「戦略的大方針」として

 4中総では、要求対話・要求アンケートの活動を「戦略的大方針」として打ち出したわけですが、なぜこういう方針を出したかということの根本の話をまずいたします。それは、昨年の私たちの2つの経験をふまえてのものでした。
一つは、私たちは、昨年、大会決定にもとづいて、党づくりの活動を全党あげて取り組んできました。たいへんな努力と奮闘がされました。しかし、党員でも、「しんぶん赤旗」読者でも、なかなか安定的な前進の軌道にのせることができていない。後退傾向が続いている。どうすればこれを大きな上げ潮へと転ずることができるのか。これが一つの問題でありました。

 もう一つは、総選挙であります。総選挙では、全体として正確な政治方針のもとで、全党の同志のみなさんが大奮闘したわけでありますが、悔しい後退となりました。後退の根本的な要因としては「党の自力」という問題がありますが、たたかい方という点でも、私たちに課題を提起する選挙戦となったと思います。

 昨年、党づくりと選挙、この両方をたたかってみて、共通する私たちの活動のあり方の弱点が見えてきた。それは何かといえば、広大な無党派の方々、あるいは若い方々に、私たちの声が届かない、働きかけが届かないという問題でした。端的に言えば、狭い枠内の方々、従来からつながりのある方々に、繰り返し働きかけるというような活動に、私たちの活動がなっている。これでは党づくりの前進もできないし、選挙にも勝てない。

 この隘路をどうやって突破するかということで、要求対話・要求アンケート活動を、まさに「戦略的大方針」として位置づけて思い切ってやってみようではないかと打ち出したのが、4中総の提起でありました。これはあれこれの手の問題ではなく、党の活動のあり方そのものを大胆に刷新・改革しようという「戦略的大方針」として、私たちは位置づけて提起したわけであります。

たいへんに大きな発展的可能性をもったとりくみ――一石三鳥にも四鳥にも

 今日の討論を聞いていまして、このとりくみが非常に大きな可能性を持った活動であるということが、1月の萌芽的な取り組み、始まったばかりのとりくみのなかからも、はっきり示されている。このことが、発言のなかで裏づけられていると思います。ぜひこれを午後の討論でも深めていただきたいと思います。

 まず、要求対話・要求アンケート活動という取り組みが、それ自体として、たいへんに大きな発展的可能性をもつ取り組みだということです。

 いくつかを言いますと、第一に、支部のみなさん、党員のみなさんの足を軽くして、気軽にどんどんと足を踏み出せる活動形態だということです。京都府の左京区で、困難に陥っている支部で、活動なども止まっていたところで、市会議員の同志が、「のきなみに訪問してみよう」と声をかけて足を踏み出してみたら、どんどん対話がすすんで支部が明るく元気になったという報告がありました。支部や党員のみなさんからすると、たとえば「折り入って作戦」の場合は、「お願い」にいかなければならないわけです。「折り入ってお願いがあります」と。担い手を増やす活動はとても大事な活動で、発展的に位置づける必要がありますが、「お願い」に踏み出すというのは、一人ひとりにとってはかなりの決心がいります。ところが、要求対話運動というのは、相手からのお願いを「聞く」わけですから、つまり、お願いする側ではなくて、お願いされる側になるわけですから、これはハードルがとても低い、だれでも気軽にとりくめる活動だと思います。党の支部が困難に陥っていたような支部でも、やってみようとなれば、誰かが声をかけてやろうとなれば、みんな気軽に足を踏み出すことのできる活動ではないでしょうか。

 第二に、要求対話のなかで、さまざまな要求が出てきたときに、それに対してわが党はあらゆる問題で、「こう解決しましょう」という政策をもっているわけです。政策を語ることができる。自然な形でできる。こちらから一方的に押しつけ的に語るのではなくて、要求にかみあわせて語るわけですから、自然に政策を話すことができる。発言のなかでは、要求対話にとりくむなかで、税金のあり方が問題になって、「富裕層と大企業に応分の負担を求める」、そういった税制改革が必要ですね、という対話になっていったということも報告されました。これはわが党の経済政策の根本ですけど、こういうものもすっと対話の中で語ることができる。こうしてわが党の政策を深く伝える活動にもなるわけです。

 第三に、さきほどの京都府の左京区の経験でも、要求対話にのきなみにとりくむなかで、新しいところに7人もの読者が増えた。読者が増えたという経験は、他からもあちこちから報告されましたが、要求対話・アンケート活動にとりくむ流れのなかで、しっかりと読者拡大の独自追求をはかる――意識的に自覚的に取り組めば、読者も増やせる。新しいところに読者を増やすうえでの一番の重要な活動にもなりうることが報告されました。
これにとりくんだことで支部に元気が出たということも、各地から報告されました。このように、一石三鳥にも四鳥にもなる。この活動形態そのものが、たいへんに大きな威力を持っているということが明瞭になったと思います。

選挙勝利のための最良の組織活動そのものにもなってくる

 そのうえで、このとりくみを「大きなかなめ」にして、選挙に勝ち、党づくりの前進をかちとろうというのが、4中総の大方針ですが、その関係を考えてみたい。

 まず、選挙活動との関係を考えてみますと、もちろん選挙勝利のための活動というのは、宣伝の活動もあるし、SNSの活動もある、多面的なものであって、その全体をやらなければなりませんが、選挙勝利のための組織活動という点では、要求対話・要求アンケートのとりくみそのものが最良の組織活動にもなってくると思います。要求を聞きながら、その実現について話し合い、党の政策を話し、そういう対話をつうじて党の支持を増やしていくという活動になるわけで、まさにこの活動が選挙勝利のための組織活動そのものにもなってきます。

 しかも、これまでの選挙戦における組織活動というのは、どちらかといえば、「一票お願いします」という声かけにとどまっていたものが多かったのですが、――もちろんそうした声かけのとりくみは今後も重要だと思いますが――、要求対話の場合は、要求ということを媒介にして、突っ込んで話ができるわけですから、たとえ一人ひとりの対話に若干の時間がかかったとしても、それはたいへんに効果のある活動になるでしょう。10人に「一票お願いします」と、声かけだけでお願いすることよりも、2人でも3人でも要求対話をしっかりやった方が、力になるということもいえるのではないでしょうか。このように要求対話の活動は、それ自体が選挙勝利のための最良の組織活動そのものにもなってくる。

要求対話のなかでの読者拡大――「月末集中型」から抜け出す道も

 それでは党勢拡大との関係はどうか。

 討論でも報告されているように、要求対話・要求アンケートと「しんぶん赤旗」の読者拡大との関係についていえば、読者拡大の独自追求について自覚的にとりくむならば、このとりくみの流れのなかで、いくらでも増やせるということが明らかになったのではないでしょうか。

 それにくわえて、私が、大切だなと思ったのは、発言で紹介された福島県・いわき双葉地区委員会の経験です。この地区委員会では、要求対話が決め手になって、1月、日刊紙、日曜版とも前進したわけですけれども、月末のとりくみに終わらないで、2月も、月初めからアンケートをもって、さっそく要求対話活動に踏み出そうということがニュースで呼びかけられています。

 読者拡大で、私たちがいつも苦労するのは、月末にならないとなかなか力が出ない、「月末集中型」になってしまうということで苦労してきたわけです。ここから脱出することができたら、まったく違った可能性を開くことができるわけです。ただ、それがなかなかできないでいる。ところが、要求対話・要求アンケート活動と一体に読者も増やす、というような活動が支部で定着すれば、月初めからの運動にしていく力にもなっていくと思うのです。なぜならば、「要求対話を月末集中型でやる」というのは変ですからね。要求対話の運動というものは、日常的にやるものです。要求実現の運動なのですから。こうして要求対話活動と一体に読者拡大も月初めからどんどんやっていこう、継続的にやっていこうということになれば、読者拡大という点でも、「月末集中型」から抜け出して、月初めからの継続的な拡大という、合理的なスタイルへと発展させることができる可能性があるのではないでしょうか。

要求対話運動と党員拡大――「集い」に独自にとりくみ、要求対話でお誘いも

 問題は、党員拡大です。党員拡大は、要求対話・要求アンケートのとりくみを通じて、その場で、党員拡大の話まで進むという人もなかにはいるかもしれないけれども、基本的にはなかなかそうはいかないだろうと思うんですね。党員拡大については独自の手立てがどうしても必要になってくる。

 これは田村委員長が強調したように、「集い」を「ヨコ」と「タテ」の両方で、無数にやっていくことが必要です。「集い」を本当に構えて、すべての地区委員会、行政区・自治体、支部を単位にして、いわば「ヨコ」でやりながら、教職員労働者、建設労働者、自治体労働者、医療・福祉労働者、民間企業労働者、青年・学生、女性など、各分野――「タテ」でもやって、文字通り「タテ」「ヨコ」で縦横に「集い」を企画して、大中小、どんな規模でもいいから、「集い」を網の目のように企画してやっていく。

 こうした無数の「集い」に同時並行で取り組んでいけば、要求対話・アンケートに取り組んださいに、条件のある人には、「集い」へのお誘いをどんどんしていくことができます。新しいつながりで「集い」にも参加していただくということができると思うんです。このように「集い」のとりくみと、要求対話・要求アンケート運動をリンクさせるならば、党員拡大を新しい方々に大きく広げていく可能性がでてくるのではないでしょうか。

 1月の下旬に、山下副委員長が行った「呼びかけ」では、2月にそういう「集い」を計画していこうということも訴えました。その報告が各都道府県から寄せられていますが、現時点で、2月に開催予定になっている「集い」は、地区委員会の単位では146地区で49.6%、「集い」の数では327ということになっています。これを文字通り、全地区委員会、自治体・行政区、支部の段階までずっと広げていくことがこれからの課題となっていますが、「集い」のとりくみを同時並行で進め、要求対話運動とリンクさせるならば、この取り組みの中で多くの新しい方々を党に迎えていく可能性が生まれてくると思います。

 要求対話と党員拡大との関係は、こういう整理になってくると思います。やはり独自の努力をしないと、要求対話・要求アンケートの流れの中で、自動的に前進するということにはならないと思いますが、同時に、自覚的にリンクさせれば、新しい可能性を大きく広げることになるのではないか。

 4中総で「戦略的大方針」として打ち出した、要求対話・アンケート運動が、4月末までに本当に掛け値なしに500万を超える規模でやれたら、党活動はまったく新しい風景が見えてくるところに発展することは間違いありません。そのことが午前中の討論でもずいぶん出てきたと思うので、午後も深めていただければと思います。