日本共産党

しんぶん赤旗

会議・報告

幹部会への問題提起

2025年2月4日 「大運動」推進本部長

会議の目的

 この会議は、1月の到達と評価をふまえ、「500万対話・党勢拡大・世代的継承の大運動」で、いかにして現状を打開し、2月から前進をきりひらくか――ここにしぼった会議とします。私から問題提起を行いますので、率直な議論をお願いします。

1、内外情勢のなかでの4中総決定の生命力

 まず情勢について、4中総決定が生きた力を発揮していることを端的に述べたいと思います。

「二つの基本姿勢」「経済論戦」――日本共産党の役割が際立っている

 通常国会での論戦が始まり、自公政権と対決し、「新しい政治プロセス」を前に進める日本共産党の政治的役割が際立っています。

 一つには、国民の切実な要求の実現とともに、自民党政治の「二つのゆがみ」に正面から切り込む――この「二つの基本姿勢」を貫く国会論戦が、他党を圧倒しているということです。

 衆参の代表質問では、企業献金のわいろ性として、日本経団連の要求のままに法人税減税と消費税増税、これと一体の社会保障改悪が、自民党への企業献金をテコとして進められてきたことを厳しく追及しました。また、今日の暮らしの苦しさは、長年の自民党政治によってもたらされた人災と断じて、暮らしの困難を打開にするには、「ワンイシューではとても足りない。暮らしの全体を応援する政策への転換が必要」として、4中総が打ち出した、暮らしと経済の分野の5つの改革を正面から提起し、経済政策の抜本的転換を求めました。また、「こんな日米同盟絶対の政治でいいのか」と問いかけ、大軍拡をやめ外交による平和構築、核兵器問題、沖縄問題などを正面から質しました。国民の切実な要求に応えるとともに、自民党政治の「二つのゆがみ」に切り込み、自民党政治に代わる新しい政治への展望を堂々と示したのは、わが党だけです。

 二つに、経済論戦で、8・7兆円にも及ぶ軍事費、半導体大企業への巨額の公費投入という予算案の大問題――石破政権の歯止めない放漫財政を厳しく批判し、「政策は財源の裏付けと一体で議論する、これは国民に対する責任」と正面から主張し、政府予算案の抜本的組み替えを提起してたたかいました。

 他党が、課税最低限の問題や教育無償化を主張しながら、その財源に言及せず、石破自公政権の放漫財政に対しても一切批判しないもとで、わが党の政策と立場こそ、国民の暮らしの要求実現への責任ある対応であることが鮮明になっています。
こうしたわが党の論戦には、他党や無所属の議員からも「筋が通っている」などの声があがり、議場でもかつてないような共感の拍手が起こるなど、まさに議場を圧倒する論戦となっています。

 「二つの基本姿勢」「責任ある財源論」を貫いてこそ、野党のなかで日本共産党の値打ちを際立たせることができる、このことを強調したいと思います。
三つ目に、来年度予算案をめぐる野党の対応についてです。与党だけでは衆議院で予算案を可決することができないもとで、野党のなかに、ごく部分的な修正協議で予算成立に協力する動きが強まっています。2日のNHK「日曜討論」では、国民民主党、維新の会だけでなく、立憲民主党も「高額療養費の限度額引き上げの凍結」「学校給食無償化」「高校授業料の私立も含めた無償化」などの部分的な修正要求が通れば予算案に賛成すると発言しました。5000億円規模の修正だと言いますが、これは予算全体の1%程度に過ぎません。

 ごく部分的な修正が焦点かのように議論を進め、自民党政治の根幹に切り込む論戦を回避して、予算成立に協力するならば、自民・公明政権の延命に手を貸し、大軍拡と大企業奉仕の自民党政治に協力することになります。来年度予算案を巡って、まさに「野党がフルイにかけられるプロセス」が展開されているのです。
このもとで、わが党の役割を広く国民に知らせるうえでも、「二つの基本姿勢」を貫くことが重要となります。修正協議の様子見ではなく、国民の要求運動こそが政治を動かす力だということを訴えぬいて、自民党政治を包囲する世論と運動を起こしていきましょう。

トランプ政権の誕生をどうみるか――世界はアメリカ一国で決まらない

 トランプ政権の誕生をどうみるか。トランプ大統領は、「アメリカ第一」を露骨に表明し、パナマ運河を「取り戻す」、グリーンランドは米国が所有すべきなどと発言し、「パリ協定」やWHOからの離脱、移民の強制送還表明など、次々と重大な発言、決定を行っています。これらは国連憲章・国際法に基づく平和秩序に反するものであるとともに、気候危機問題など人類の死活的問題を解決する国際協調に背を向けるものです。

 1月21日の志位議長談話で、こうした批判とともに、「今日の世界は、アメリカ一国の大統領の言動で決定される世界ではない」と述べていますが、ここが重要です。この世界観は、綱領と大会決定に立脚する日本共産党だからこその観点であり、世界の平和の本流と合致した立場の表明となっています。
2月7日に「日米首脳会談」が予定されていますが、「日米同盟絶対」でトランプいいなりになるのかと、日本政府の立場を厳しく問うことができるのは、日本共産党だけです。「日米同盟絶対」をいつまで続けるのか、わが党の「東アジア平和提言」も示しながら、広く国民にも問いかけ、自民党政治の転換を求める流れをつくり出しましょう。

「共産主義と自由」を大いに学び、語る

 4中総は、「日本共産党の魅力を自分の言葉で語ろう」とよびかけ、「共産主義と自由」を必読文献に位置づけ、学び語り合う運動を大きく発展させることを掲げました。積極的支持を広げるうえでも、世代的継承を軸とした党づくりにとっても重要となっています。

 要求対話・要求アンケートでは、資本主義の矛盾について言及する人は少なくありません。このテーマでの集いにもつながる可能性を、私も対話のなかで実感しています。
1月26日のJCPサポーター交流会には、昨年9月の調布トワイライト宣伝(田村委員長)で声をかけられたという高校生が参加しました。「Q&A共産主義と自由」を本屋で買い、今「資本論」を読んでいるということです。「学校の先生は共産党の説明をするときに『旧ソ連』『中国』などをつけずにまとめて『共産党は一党独裁の政党』と説明していておかしいと思った」と交流会で語っています。

 元公明党副委員長の二見伸明さんは、「もっと共産主義と自由を語れ」と応援いただいています。二見さんのよびかけで、1月25日、取手市内で『Q&A共産主義と自由』の学習会が開催され13人が参加。保育士さんは、「一人ひとりが伸び伸びと自由に生きる社会は本当に難しい」と、保育の現場に重ねて感想を述べ、「自由って何でしょうか」と議論になり、「働いていた時は朝7時に家を出て夜10時に帰る生活だった。仕事のやりがいはあったけれど自由はなかったな」など、真剣にかつ楽しく語り合う学習会になったということです。

 党内での学習のとりくみも広がっています。党内外の学習、宣伝対話など、戦略的に位置づけて取り組むことをよびかけます。

 情勢の最後に、都議選について一言、述べます。参議院選挙の勝敗に直接かかわる選挙として、推進本部でも都委員会と相談して、都議選での訴えの基本など、日本共産党の役割が際立つようにと準備を進めています。8日の大演説会を最初の節として、何としても勝機をつかむ――この決意でのぞみます。

2、いかにして「2つの一体的追求」を貫き、「大運動」の前進をきりひらくか

1月の到達と評価

 1月は、4中総から半月余の取組みですが、「大運動」の最初の月です。到達はどうか。

 要求対話は、積極的に受け止められていますが、取り組みは始まったばかりで、到達は30万3000です。「赤旗」読者、後援会員、支持者への働きかけは16万2千人。LINEの活用支部は20.3%。ここからどう飛躍的に伸ばしていくかが問われる到達です。

 党員拡大は、入党の働きかけ1247人、入党申し込み152人(うち50代以下50人)にとどまり、第29回党大会後では最少、入党ゼロ地区を210地区(67・5%)残す結果となりました。党員拡大は「止まってしまった」という状態を打開できていません。

 読者拡大では、「100万人読者、10億円募金」をよびかけた月に、大幅後退になりかねないことを直視し、1月28日朝9時から、急きょ、山下芳生副委員長の「緊急の訴え」を行いました。この訴えをうけて、1月の読者拡大の約55%がラスト5日間に行われるという大奮闘が生まれた。結果は、日刊紙640人減、日曜版3583人減、電子版(日刊紙)50人増。日刊紙では1・3倍、日曜版で1・5倍の拡大で前進できたことになります。この読者拡大の大奮闘から、何を学ぶかを常任幹部会で議論しました。

 直接的な問題として2点あげたいと思います。一つは、持てる力がまだ発揮されていない、言い換えれば、潜在的な力が発揮されれば、前進は可能だということです。「訴え」を受けて行動した支部は25・4%、機関役員は43・6%、地方議員は65.0%です。1・3倍、1・5倍で前進できたということと合わせてみれば、みんなが立ち上がれば前進できるということを示しています。

 二つ目に、本来は、党建設の独自追求を早い段階から系統的に行うことが求められたということです。推進本部としても、このことを直視しなければならないと考えています。

 そのうえで、より根本的な問題を提起します。月末のとりくみは、私たちの運動の打開すべき、より大きな問題点として、つぎの3つの点を明らかにしたのではないでしょうか。ぜひ率直な議論で深め、打開のために知恵と力をつくすことをよびかけます。

最優先課題として、4中総決定の徹底をどうやりぬいていくか

 第一に、4中総決定は、情勢の進展のなかで大きな威力を発揮しており、全体としてきわめて積極的に受け止められていますが、その徹底がまだ一部に限られていることが、党がもてる力を発揮するうえでの最大の問題点となっており、その打開に力を注ぐことが急務だということです。

 北海道では、4中総決定の討議・具体化支部が7割前後、読了党員で2割~3割とすすんだ地区で、1月、日刊紙・日曜版とも前進をかちとっています。

 全国的には、討議・具体化支部は57・1%、読了党員は18.5%。多くの党組織で、徹底はまだ中途の段階にあります。

 1~2月は県党会議、地区党会議、支部総会が相次いで行われています。こうした会議に向けて、あるいはこれらの会議のなかで、4中総そのものの議論がどう位置付けられているか。支部での討議・具体化、実践を広げるためにも、党機関自身の4中総の議論はどうか。支部で出されている意見や疑問もふまえて、4中総の魅力と生命力を生き生きと語ることができるような議論を行っているか。要求対話とともに、選挙課題の目標・党づくりの目標どちらも踏み込んだ具体化をはかるところまで論議を深めているか――こうした点を自己分析してほしい。

 4中総の徹底をどうやりぬくか、そのために党機関でどう討議を深め、支部への援助を強めるか、率直に出し合って議論を深めましょう。

選挙と党づくりの一体的追求――要求対話・要求アンケートをどう軌道にのせるか

 第二に、選挙と党づくりの一体的追求の「大きなカナメ」と位置付けた要求対話・要求アンケートのとりくみは、これもたいへんに積極的に受け止められていますが、その実践は、ようやく始まったところであり、これを本格的な大きな流れにしていくために知恵と力をそそぐことが、党の新鮮な結びつきを広げ、活力を広げていくうえで、2月度のきわめて重要な課題となっているということです。

 実際に要求対話・要求アンケートに踏み出したところでは、「対話が楽しくなった」「政治地図ができる」と、この活動の意義が実感されています。中央のウェブアンケートには1400人を超える回答が寄せられています。3日付「赤旗」で報道して回答が倍になりました。暮らしについて、「不安が多く、ゆとりもない」が約5割、暮らしの悲鳴がたくさんつづられています。10代、20代の若い世代、30代~50代の真ん中世代の回答が約4割となっています。中央がどうやって集約・活用をすすめるのか、また支部から出されるためらいや悩みに答えて、4日付で田中書記局長代行のインタビューを出しました。

 要求アンケートを使うと、これまでにない要求対話になることを、私も2日の新宿区内での実践で実感しました。政治の関心で「子育て」にチェックした人に、「どんなことが?」と話しかけると「学校給食の無償化」「先生が忙しすぎる」など対話が広がり、党の政策の話も要求にかみ合わせて話すことができます。社会科の先生との対話では話をしていくうちに、「資本主義の問題が大きいですよね」というところにも発展していきました。また、日本共産党や赤旗のことから、選挙でどうやって共産党を伸ばせるかという話になり、最近のSNSへの不安、私たちが取り組む要求対話への共感が生まれるなど、多面的な対話になり、つながりをつくり深める力となることを実感しました。

 この運動を、2月にどうやって飛躍的に発展させるか。そこに「大運動」を新しい人々との新鮮なつながりを広げて発展させることができるかどうか、その成否がかかっています。各地の取組みの経験交流とともに、戦略をどうもって500万対話にするかなどについてぜひ議論したいと思います。

毎月の党勢拡大と世代的継承の一体的追求をどう成功させるか

 第三に、党建設の根幹である党員拡大が、止まっている状態になっていることは、きわめて由々しき事態です。それは党活動のあらゆる分野の発展にとっての重大な弱点となっています。この状態を2月には何としても打開し、「根幹」から力強く前進する運動にしていかなければなりません。

 4中総は、「『集い』を無数に開き、党員拡大の波を起こそう」と訴えましたが、これを止まった状態から起こしていくには、党機関のイニシアチブがどうしても必要です。
山下副委員長の「訴え」では、2月は全地区、自治体・行政区が「集い」を開くこと、支部でも「集い」を無数にと訴えました。さらに、分野別の「集い」を積極的に開いていくことが、毎月の党員拡大の前進と世代的継承を一体にすすめるうえで重要となります。
党員拡大運動で、世代的継承の取り組みの前進をはかるためには、「集い」を、「ヨコ」――全地区、自治体・行政区、支部でどんどん開き、そこに若い世代、現役世代の対象者に参加してもらう努力を意識的に追求する、これとともに、「タテ」――教職員、建設労働者、自治体労働者、医療・福祉労働者、民間労働者、業者や農業、そして青年・学生、女性など、各分野でどんどん開くことが大切になります。「タテ」と「ヨコ」で、文字通り縦横に「集い」を開いていくことが、党員拡大と世代的継承を一体に進めるカギです。

 この点で、中央としてもイニシアチブが弱いと自己検討しています。分野別の「集い」については、常任幹部会として、中央のタテ線、運動団体・労組グループとも懇談し、相談をして、各県で戦略的に開いていきたいと考えています。そうした努力を、都道府県段階でも、地区段階でも行うことを訴えます。

 どうタテ、ヨコで「集い」を多彩に無数に開き、党員拡大を起こしていくのか。計画、具体化の現状、党機関のイニシアチブの発揮など、率直に討論し、打開の方途を見出す会議にしていきましょう。

 端緒的ですが、4中総の方向で、毎月の党員拡大と世代的継承を一体に追求して変化をつくった経験も生まれています。とくに担当部門、担当者だけの活動にするのではなく、「長を先頭に党組織あげてのとりくみにする」。この点を実践した県で前進の流れをつくっていることは重要です。

 長野県は1月も全地区が入党し、15カ月連続で全地区入党となりました。「読者、支持者は一緒に政治を変える仲間」と、多数者革命の立場を繰り返し強調し、広く働きかけること、機関の執念と手立て、独自追求をすすめることにこだわっているということです。

 千葉・中部地区では1月19日に山添政策委員長を迎えて青年・真ん中世代対象の「集い」を開催、党外19人を含む73人(うち50代以下が約60人)が参加し、20代、30代、50代の3人が入党し、2人が民青に加盟しました。「世代的継承へ、今こそ一気に入党を働きかけよう」と、地区が把握している50代以下の名簿を支部に示し、全支部が働きかけをすることにこだわったということです。この間、地区が毎月、「真ん中世代交流会」を開き、支部指導部が真ん中世代の党員に参加を呼びかけてきた努力も土台にして、参加案内を広げ、約40人の青年・真ん中世代の党員が参加しています。

 大阪では、3月9日に志位議長を迎えて50代以下を対象に開く「集い」の成功へ、長を先頭に党組織あげてのとりくみにしようと全力をあげています。すべての支部・グループが世代的継承へ、アンケートでの要求対話を広げ、参加をよびかけながら、「集い」を節に1000人に入党を働きかけ100人を党に迎える、すべての50代以下の党員から要求アンケートで声を聞きながら一緒にとりくみを広げることを方針にすえ、府委員長も参加して毎週水曜の朝と夜に「オンライン推進会議」を開きとりくみを促進しています。

 これらのとりくみをふまえ、1月に生まれている新しい芽と、同時にそれを前進・飛躍に実らせるためにネックになっている問題、弱点についても率直に出し合って、お互いに4中総実践をどうすすめるか探求しようではありませんか。