【声明】ジェンダーギャップ指数2021の発表を受けて

世界経済フォーラムが3月31日に発表した、男女の平等度を示す「ジェンダーギャップ指数2021」で、日本は156カ国中120位となり、前年の153カ国121位とほぼ横ばいの低位となりました。ジェンダーギャップ指数は、経済、教育、健康、政治参加の4分野で、男女の格差を数値化し、順位を決めるものです。日本はとくに、経済と政治参加の分野で、117位、147位と世界の最低クラスです。日本はG7やG20など「主要先進国」の会議に出席してはいても、ジェンダー平等に関してはまぎれもない「後進国」であることが、改めて明らかになりました。
 
日本では、働く女性の56%がパートやアルバイト、派遣などの非正規雇用です。「育児・家事は女性がやり、男性は長時間労働で家族を養う」という性別役割分担のしくみと意識が長年はびこってきた結果、男女の賃金格差は改善されず、時間当たりで換算しても、正規雇用の男性と比べて正規女性は7割、非正規雇用の女性は4割です。女性が多い保育や福祉、住民サービスに密着したケア労働は、重要で専門的な仕事ですが、他の職種の平均賃金より月10万円ほど低くなっています。コロナ禍で何の休業手当も支給されていない「実質的失業者」は、女性が103万人と、男性の2倍以上にのぼっています(野村総研)。男女の賃金格差を是正し、「ケアに手厚い社会」、「雇用は正規が当たり前の社会」へと切り替え、誰もが人間らしく働き生活することのできる賃金と労働時間短縮の実現を進めることが、ジェンダーギャップを解消する上で待ったなしです。
 
世界では、女性の政治参加が多様な声を政治に反映させる上で大事だとして努力が重ねられてきました。米国はバイデン政権の閣僚の女性割合が40%を超えたことで、前回53位から今回30位へと大きく順位を上げました。ベルギー(今回13位)、スペイン(同14位)など、閣僚が男女同数の国も次々に生まれています。ところが日本はこの流れから取り残されています。女性議員比率(衆院)は9.9%、閣僚に占める女性も21人中2人(9.5%)と少なすぎます。「女性は話が長い」などという森喜朗元首相の発言、選択的夫婦別姓への執拗な抵抗など、世界の流れとは真逆の政権党の姿勢が、この間もあらわになりました。国連の女性差別撤廃条約を生かす立場で、正面から取り組んでこなかった歴代政権の責任が重大です。
 
日本でも、ジェンダー平等を目指し声をあげるアクションが、多彩に力強く広がっています。来たる総選挙は、ジェンダー平等後進国を抜け出し、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治を実現する上でも、大事な機会です。「政治分野における男女共同参画法」の下で行われる、初めての総選挙であり、女性候補者・議員を増やす各政党の本気度が問われます。日本共産党は「ジェンダー平等社会をつくる」と綱領に掲げた党として、日本社会も、党自身も、ジェンダー平等が大きく前進する結果を出せるよう、力を尽くします。
 
2021年4月1日
日本共産党ジェンダー平等委員会

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