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2019年10月13日号

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【全文公開!】桜を見る会スクープ第一弾、安倍後援会御一行様をご招待、税金でおもてなし(2019年10月13日号スクープ)

 赤旗日曜版の「安倍晋三首相による『桜を見る会』私物化スクープと一連の報道」が2020年JCJ大賞に選ばれました。

 この賞は、日本ジャーナリスト会議(JCJ)が年間の優れたジャーナリズム活動・作品を選定して顕彰するものです。大賞の選考理由では「地道な調査報道を重ね、安倍政権の本性を明るみにしたスクープは国政、メディアに大きなインパクトを与えた」と評していただきました。

 安倍首相は辞任を表明しましたが、「私物化」など負の遺産をただすことが必要です。私たちは引き続き、権力の監視というジャーナリズムの役割を果たし続ける決意です。9月15日にはスクープ報道とその舞台裏をまとめた書籍『赤旗スクープは、こうして生まれた!──「桜を見る会」疑惑』も発売されます。

 今回はJCJ大賞を記念して、「桜を見る会」疑惑追及の始まりとなったスクープ第一弾を全文公開します。

【赤旗日曜版2019年10月13日号】

(紙面全体の画像は文末に掲載)

スクープ 首相主催「桜を見る会」 安倍後援会御一行様ご招待

税金でおもてなし 地元山口から数百人規模

 各界の功労者などを招待するとして、多額の税金を使って開かれている安倍晋三首相主催の「桜を見る会」。本来の目的に反し、首相の地元後援会関係者が数百人規模で大量に招待されていたことが編集部の取材でわかりました。参加窓口は首相の地元事務所。後援会旅行の“目玉”に位置付けられていました。行政がゆがめられ、特別の便宜が図られた、首相の国政私物化疑惑を追います。=取材班=

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赤旗日曜版2019年10月13日号から

 「桜を見る会には毎年参加している。地元の後援会員が数百人規模で上京し、みんなで首相と記念写真をとっている。安倍事務所の恒例行事だよ」

 安倍首相の地元、山口県下関市の後援会関係者が話します。

 桜を見る会は内閣府の公的行事。第2次安倍政権発足後の2013年以降は毎年、東京・新宿御苑で実施しています。1万人前後だった参加者は増え続け、今年は1万8200人に。18年には予算の3倍の5229万円が支出され、国会で大問題になりました。

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赤旗日曜版2019年10月13日号から

 同会は「各界で功績、功労のあった方々を…各府省からの意見を踏まえて幅広く招待している」(菅義偉官房長官)もの。対象外の後援会員はどのようなルートで招待されるのか―。

 複数の後援会員は「下関の安倍事務所から参加確認があり、希望すれば、内閣府から招待状が送られてくる」と証言します。

 「安倍事務所が飛行機やホテル、貸し切りバスを手配し、旅費は自分持ちだ。都内観光や前夜祭などの後援会旅行の目玉行事が、桜を見る会だ」

 前夜祭は、桜を見る会前日に安倍首相が出席して開かれる後援会行事。「13年は100人ほどだったが最近は数百人規模になった」と参加者は証言します。今年の前夜祭(4月12日)はホテルニューオータニ(東京)で開催。出演した歌手はブログに「1000人ほどのお客様」と書いています。

 桜を見る会に安倍首相の後援会関係者が大量に参加していることは内閣府も当然、知っていること。招待者名簿をみれば明らかです。

◇「桜見る会」予算3倍浪費/安倍政権が税金私物化/後援会を“裏口”招待続々

 安倍晋三首相主催の桜を見る会。今年は4月13日に開かれました。参加した山口県在住の女性は当日のことを振り返ります。

 「集合場所のホテルニューオータニから大型バスで会場の新宿御苑に行きました。私が乗ったのは十数台目。号車や時間は安倍事務所の指定でした。バスは17台と聞きました」

 仮に定員40人のバスですべて満員だったとすると680人が行ったことになります。

 山口県下関市の自民党関係者は「新宿御苑で一般招待客は並んで手荷物検査がある。しかし“下関組”はバスの駐車場がある“裏口”から入るのが恒例だ」と明かします。

 下関市の後援会員の男性も「到着すると、安倍事務所の秘書らがバスの座席をまわって、入場のための受付票を回収する。その秘書が受け付けを済ませ、参加者用のリボンを配る。まとめてのチェックインで手荷物検査はなかった」と話します。

 手荷物検査もなしの特別扱い。バスの号車順に首相との記念撮影があったといいます。

 この後援会員は、招待者の人選も安倍事務所が取り仕切っていたと詳しく証言します。

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赤旗日曜版2019年10月13日号から

 「2月ごろ、下関市の安倍事務所から“桜を見る会に行きませんか”と案内が来た。名前や住所などの必要事項を紙に書いて安倍事務所に送り返すと、内閣府から桜を見る会の招待状が届いた。安倍政権になってから毎年参加している。下関からは毎年数百人が上京する」

 会社経営者の後援会員は「桜を見る会の前日の朝、宇部空港に集合し、安倍事務所が手配した飛行機で上京した」と話します。

 「東京都内を観光するツアーが2~3コース組まれ、羽田空港に到着すると貸し切りバスで東京スカイツリーなどを見学した」

 これらの証言を裏付けるブログも。自民党の友田有(たもつ)・山口県議は「安倍首相主催『桜を見る会』へ」(2014年5月1日)と題してこう記しています。

 「前日の早朝に飛行機で上京して、貸切バスで東京スカイツリーや築地市場など都内観光をしました」

 桜を見る会には芸能人やスポーツ選手が多数参加。無料でアルコールを含む飲食ができます。

 参加者らは「同行した家族が『芸能人と会えて、いい思い出になった』と喜んでいた。後援会旅行みたいなもので、桜を見る会はその目玉行事だった」「和菓子やタケノコご飯をお土産にもらった。大きな袋いっぱい詰め込んでいる人もいた」と振り返ります。

 各界の功労者を招くとして多額の税金を支出する桜を見る会。それを安倍事務所は、後援会旅行の目玉に位置付け、後援会員を文字通り“裏口”から特別に招待していたのです。“お友達”のために行政をゆがめるのは、森友・加計(かけ)疑惑と同じ構図です。

 招待者名簿を作成した内閣府は当然、首相の後援会員の名前が大量に載っているのを承知していたはずです。

 日本共産党の宮本徹衆院議員は衆院財務金融委員会(5月21日)で「どうやって招待状を出す仕掛けができているのか」と追及。内閣府は「(招待者名簿など)資料が残っていない」「破棄した」として詳細を明かしませんでした。

◇違法の疑い「前夜祭」

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赤旗日曜版2019年10月13日号から

 桜を見る会の前日におこなわれている、安倍晋三後援会主催の「桜を見る会前夜祭」。14年に参加した山口県議はブログに「夜には(中略)下関市・長門市そして山口県内外からの招待客約400人による安倍首相夫婦を囲んだ盛大なパーティーが開かれました」(自民・友田県議)と記しています。

 会社経営者の後援会員は「前夜祭は立食式で、パーティーのようなもの。安倍首相や後援会幹部があいさつし、首相が選挙の話をすることもあった」といいます。複数の参加者が「5000円の会費を払った」と証言します。

 政治資金規正法は、対価を徴収して行われる催し物を「政治資金パーティー」と規定。収入や経費を収支報告書に記載するよう義務付けています。ところが、安倍首相が代表の政党支部や関係する政治団体の収支報告書には、前夜祭の収支の記載がありません。政治資金規正法違反(不記載)の疑いがあります。

 編集部の取材に安倍事務所は「担当者がいない」として回答しませんでした。

◇“昭恵氏枠”まであった/スキー、農業、酒“お友達”招く

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赤旗日曜版2019年10月13日号から

 桜を見る会には、安倍首相事務所枠だけでなく、首相の妻・昭恵氏枠もあった疑いがでています。

 「なぜ自分が招待されたのかわからない」。関東近県に住む男性の言葉です。「思い当たるのは、あるイベントで昭恵さんと名刺交換をしたこと。それ以降、会の招待状が届くようになった」といいます。

 「僕は政治家の知り合いがいないし、自民党支持者でもない。“昭恵夫人枠”としか考えられない」

 15年から5回連続で招待されたのは、昭恵氏が名誉会長を務めたスキーイベントの実行委員です。このスキー仲間らが15年に都内で開いた“前夜祭”には昭恵氏も参加しました。メンバーは「明日の『桜を見る会』の前夜祭(中略)昭恵さんもご多忙の中いらしてくださいました」とSNSに書き、翌日には桜を見る会の写真を投稿しています。

 昭恵氏の農業仲間も招待されています。昭恵氏は15年の桜を見る会前夜、こちらの宴会にも出席。参加者は昭恵氏と酒を飲む写真をSNSに投稿し「総理夫人、内閣参事官(中略)、いつもながら濃い面子」「明日は総理主催の桜を見る会なのにそんなに飲んでみんな大丈夫かー?」とつづっています。

 昭恵氏と日本酒をつくる女性グループは16年に参加。メンバーは「昭恵さんの日本酒『やまとのこころ』をプロデュースしているLady SAKE Projectのメンバーと一緒に桜を楽しみました」とSNSに投稿しています。

◇閣僚、自民幹部、党ぐるみ/「役職で招待数割り当て」

 桜を見る会に地元後援者を招待しているのは安倍首相だけではありません。安倍政権の閣僚や自民党幹部らのブログやツイッターなどをみてみると―。

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赤旗日曜版2019年10月13日号から

 萩生田光一・文部科学相は2014年、ブログに「今年は平素ご面倒をかけている(後援会の)常任幹事会の皆様をご夫婦でお招き」と記載。18年は「お招きした町会自治会連合会役員の皆さんと合流」と書いています。

 世耕弘成・自民党参院幹事長(前経済産業相)は15年や16年、自身の女性後援者らを招いて安倍首相と会場で記念撮影。後援会ニュース16年新年号に「和歌山のために」「『桜を見る会』にて地元女性支援グループの皆さんと」と題して記念写真を掲載しています。

 稲田朋美・自民党幹事長代行(元防衛相)は14年、「(桜を見る会には)地元福井の後援会の皆様も多数お越し下さり、たいへん思い出深い会」(ブログ)と書いています。

 松本純・自民党国対委員長代理(元防災担当相)事務所は13年、招待の「割り当て」が少ないと嘆きました。「役職ごとに案内状が割り当てられます(中略)残念ながら後援会の皆様にご案内することができず、やむなく我が陣営は不参加(中略)もっと偉くなりたいですね」(ブログ)

 その松本事務所は15年には「選挙のうぐいす嬢の皆様をはじめ後援会の皆様と参加」(同)と報告しています。安倍首相だけでなく自民党が桜を見る会を私物化していた疑いが浮上します。

◇到底許されない。徹底追及を/日本共産党宮本徹衆院議員

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宮本徹衆院議員

 国会での質問に対し、政府は「資料は廃棄」といって、桜を見る会の招待客が倍増した経緯について隠し続けました。国民に隠れて、後援会員など自分たちに近い人々を大量に参加させていたというのは、税金の私物化そのものであり、到底許されません。

 安倍政権のもとで、桜を見る会への支出が、こっそり予算の3倍にも膨張していました。政府は開き直り、支出に合わせ、来年度予算の概算要求を3倍化しています。消費税の大増税の一方での税金の私物化を徹底追及していきたい。

※肩書きや固有名詞などは掲載当時のものです。

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赤旗日曜版2019年10月13日号1面

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赤旗日曜版2019年10月13日号6面

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赤旗日曜版2019年10月13日号7面

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