2011年2月8日(火)「しんぶん赤旗」

岩手・陸前高田市長選

戸羽氏勝利の背景


 6日投開票の岩手県陸前高田市長選では、「あたらしい陸前高田市をつくる市民の声」の戸羽太氏(46)=新、無所属=が、民主党前県議の菅原一敏氏(66)=新、無所属=を下して初当選を飾りました。中里長門市政の継続・発展か、8年前の市政への後戻りかが大争点となった市長選で戸羽氏が勝利した背景には何があったのでしょうか。(岩手県・三国大助)


写真

(写真)当選を果たし支持者らと握手する戸羽太氏=6日、岩手県陸前高田市

借金減らし 地域に仕事

市民ら中里市政の発展願う

 開票結果を心待ちにしていた会場は駆けつけた400人の市民で満杯になり、戸羽氏の当選に歓喜する熱気であふれました。

 男性(61)=土木作業員=は「昨年暮れから、仕事が終わった後に家でコツコツ電話かけをした」と笑顔を見せました。

 大勢の市民が立ち上がった力は、「市民のために奮闘してきた中里市政を継続・発展させてほしい」という強い気持ちでした。

 市長選で菅原陣営は「中里市政は借金を返すことばかりやり、そのせいで市の元気がなくなった」と激しく攻撃しました。

市民の目線で

 「市民の声」は、中里市政は8年間で前市政が残した借金を33億円も減らして、財政を立て直したことで市民に必要な公共事業や産業振興、福祉などを進められるようになったと反論。中学校の校舎や体育館、保育園、野球場の改築ができたこと、県内で初めて養殖漁業の新規担い手事業に取り組んでいること、介護施設の11カ所増設で雇用も増えていること―などを写真入りのビラで伝えました。

 31歳の男性は「中里市政は借金を減らしながら、地域に仕事を増やしてくれた。市民の声を聞き、市民と同じ目線に立って考えてくれる市政の流れを壊したくなかった」と振り返ります。大和田三代子さん(57)=漁業=は「昨年のチリ地震津波で養殖施設に被害が出たときに、中里市長は現場にすぐ駆けつけてくれた。戸羽さんには、その行動力を引き継いでほしい」とのべています。

 こうした宣伝・対話をつうじて「がんばってきた中里市政になぜ悪口を言うのか」という市民の声が広がった結果、菅原陣営を「立派な市長さんに借金を苦労して返していただいた。本当に感謝をしている」(5日の応援演説)と言わざるを得ないところまで追い込みました。

 また、「市民の声」は(1)住宅リフォーム助成制度の実施(2)国保税の引き下げ(3)医師確保による地域医療の充実―を実現し、「やさしさと活気にみちたまちづくり」をさらに前進させると展望を示しました。

 有権者から住宅リフォーム助成について、「市民の声」の事務所に「申し込みたい」「車庫も対象になるのか」という電話がかかってくるなど、公約が反響を広げました。

 林業の29歳の男性は「戸羽さんの提案する住宅リフォーム助成の経済効果に一番興味を持った」と話します。

勇気を持って

 「活性化」の展望は中里市政の2期8年のまちづくりの実績と戸羽氏の公約の中で明らかにされ、これが市民のものになったのです。

 民主党県連は菅原陣営を全面的に支援。小沢一郎元代表・県連代表が告示前に街頭演説をしたのをはじめ、国会議員や県議などが連日同市に入りました。

 この動きにたいしても、「自分たちのまちは自分たちで守る」と市民は勇気を持って立ち向かいました。

 市民が築き上げた中里市政を発展させたいという願いは、戸羽氏の初当選でさらに強まっています。

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