2011年1月29日(土)「しんぶん赤旗」

市田書記局長の代表質問 参院本会議


 日本共産党の市田忠義書記局長が28日、参院本会議で行った代表質問は次の通りです。


大企業の巨額なため込み金を賃金引き上げに回し、国内経済活性化の起爆剤に

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(写真)代表質問に立つ市田忠義書記局長=28日、参院本会議

 私は日本共産党を代表して菅首相に質問します。

 いま日本経済の最大の問題は、経済の閉塞(へいそく)状況のもとでひとり大企業の手元にだけ空前の資金が滞留していることであります。ためこみ利益・内部留保はいまや244兆円の巨額に達し、現金・預金や有価証券など使い道のない手元資金は62兆円にものぼります。一方、派遣切りや賃下げ、下請け単価たたきなどで、民間の賃金は、ピーク時とくらべ30兆円、2008年からの1年間に、1人当たり23万7000円も落ち込みました。

 この巨額な資金の偏在を是正すること、使い道がないままため込まれている有り余る資金を社会に還流させることこそ経済政策の中心にすえられなければなりません。

 その点で、いま春闘のさなかですが、賃金引き上げは、当然の要求であり、それは働く人々の暮らしをよくするだけではなく、ため込まれた巨額な資金を、消費を通じて市場に還流させ、国内経済を活性化させる起爆剤になります。総理の認識はいかがですか。

「社会の主役」・中小企業への国の財政支援は政治がすべき緊急の課題

 政治が果たすべき課題の大きな柱のひとつは中小企業への支援であります。

 昨年、政府は「中小企業憲章」を閣議決定しました。そこでは、中小企業について「経済を牽引(けんいん)する力であり、社会の主役である」と位置づけ、「政府が中核となり、国の総力を挙げて」中小企業施策をすすめる、と宣言されています。企業数の99%、雇用の7割を中小企業が占めています。

 ところが政府の予算案をみると、中小企業関係予算は今年度とくらべてわずか58億円増の1969億円にすぎません。一方、在日米軍関係費は、いわゆる思いやり予算1858億円、在日米軍再編経費など1331億円、あわせて3189億円、中小企業予算の実に1・62倍にもなります。これではまるで「社会の主役」は在日米軍と言われても仕方がないではありませんか。

 中小企業の経営を脅かしているのが、不当な単価の切り下げや一方的な契約打ち切りなど、大企業の横暴です。それを正すには、個々の企業の努力では不可能であり、共通のルールと行政の厳正な指導が不可欠です。ところが予算案は、下請け取引の適正化に関する費用は、わずか7億円、しかも今年度と比べて1億円減額されています。これでは大企業の横暴に泣かされる中小企業は増えても決して少なくなることはありません。主役にふさわしく予算を大幅に増やすべきであります。答弁を求めます。

 賃金引き上げのためには、最低賃金を、現行の、全国平均の時給730円から、1000円以上に引き上げることが、政治のなすべき緊急の課題であります。そのためには下請け単価の引き上げとともに、中小企業への国の財政支援が不可欠であります。

 ところが、概算要求段階で62億円だったものが、これでもすずめの涙程度ですが、50億円に減額されました。内需拡大の柱として、フランスでは、最低賃金を引き上げた企業に社会保険料の企業負担分を3年間で2兆2800億円減免しました。アメリカでも、最低賃金引き上げと一体で、中小企業減税のため5年間で8800億円の予算を組んでいます。こうした例に学んで、思い切った措置を講ずるべきではありませんか。

 「仕事が欲しい」という中小企業の声にこたえるために、いま全国200近い自治体で住宅リフォームへの助成制度が広がっています。実施した自治体では、助成額の10倍から20倍をこえる経済波及効果が生まれていると報告されています。国としても、自治体がおこなっているこうした制度への支援を強化すべきだと考えますが、いかがですか。

 中小事業者にとって命綱ともいえる「景気対応緊急保証制度」については、国会でもたびたび議論がかわされ、制度の重要性については共通の認識にいたっています。この3月で制度を打ち切るべきではないと考えますが、総理の見解をうかがいます。

社会保障を切り捨てながら消費税増税を検討――こんな無理・無体はない

 総理は、税と社会保障の一体改革を進めるといわれました。しかし、政府が実際に現にやっていることは社会保障の切り捨てばかりではありませんか。

 たとえば、高すぎる国民健康保険料。保険料を納めることのできる世帯はいまや8割台となり、滞納世帯は445万、保険証を取り上げられた世帯は152万に及びます。

 総理は、「観光立国に向けた医療滞在ビザ」を創設したと述べましたが、外国の富裕層に豪華な医療提供を自慢するぐらいなら、お金がないために必要な医療も受けられず、不安にさいなまれている人々に、国庫負担増による国保料の負担軽減をこそ行うべきであります。

 介護保険制度がはじまって10年がたちました。さまざまな問題がありますが、一点だけただしておきたいと思います。特別養護老人ホームの待機者の数は、1999年には11万人でした。ところが、10年後の2009年には42万人に、実に4倍にふくれあがりました。その間、高齢者をめぐるさまざまな悲惨な出来事が多発するようになりました。その原因は、高齢化の進行もありますが、国庫補助金の廃止が追い打ちをかけたことは明らかであります。増設の手だてをただちに講じることを強く求めます。

 “財政が大変”と言いながら、使い道に困っている大企業には法人税を減税し、大金持ちには証券優遇税制を存続する、そして社会保障を切り捨てながら、社会保障のためという口実で庶民には消費税の増税を検討する。こんな、無理・無体なことはありません。

 いまやるべきは、社会保障の切り捨てから拡充への転換であり、財源というなら、ゆきすぎた大企業、大資産家減税をやめ、税金は負担能力に応じて払う、思いやり予算など軍事費を削る、税金の山分けである政党助成金を廃止する――こういう方向こそ追求すべきではありませんか。

農林水産物を完全自由化して自給率を高めた国はない――TPPへの参加をやめよ

 次に、TPP(環太平洋連携協定)への参加問題についてです。

 TPPはすべての関税をなくし、自由化に例外がないのが最大の特徴です。農水省の試算でも、食料自給率は40%から13%にまで落ち込み、農林水産物の生産額は4・5兆円減少し、関連産業も含め、雇用は350万人も減少するとされています。

 総理は施政方針演説で、自給率の向上には一言も触れず、農産物の「輸出につなげ」ると述べられました。国民の食料を国内でどれだけ供給できるのか、それが4割から1割台に落ちていいのかが問われているときに、なんという発言でしょう。農林水産物の輸入を完全自由化して自給率を高めた国は世界に例がありません。あまりにも無責任ではありませんか。

 規模を拡大すれば「競争力ある農業」が育つというのは全くの幻想です。すでに、EU諸国の平均的経営を上回るまでに規模拡大してきた北海道の畜産・酪農でも、輸入自由化や価格低下の影響を受け、経営危機が広がり、離農者があとを絶たない現実が、それを裏付けています。総理はこの現実をどう考えるのですか。

 食料は極力自国でまかなう「食料主権」という考え方は、いまや世界の流れです。国の独立や国民の生存に責任を持つ政府なら、当然その立場に立つべきであります。

 TPPへの参加はやめ、食料の外国依存から抜け出し、関税など国境措置を維持・強化し、各国の食料主権を保障する貿易ルールを確立すること、規模の大小を問わず、安心して農業にはげめる条件を国の責任で整えること、具体的には生産コストをカバーする価格保障を軸に、農業の多面的機能に配慮した所得補償制度を組み合わせることこそ、日本農業の再生の道であることを指摘して、質問を終わります。





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