2010年11月9日(火)「しんぶん赤旗」

国保税払えず 預貯金差し押さえ

子ども手当まで

共産党に相談相次ぐ

大分・宇佐市


 大分県宇佐市が国保税滞納世帯の預貯金などを差し押さえ、強制徴収していたことが大問題になっています。生存権を奪う行き過ぎた徴税。なぜこういうことが…。(大分県・丸小野一民)


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(写真)是永市長(左端)に申し入れる用松(左から3人目)、今石(同5人目)両市議ら=2日、大分県宇佐市

予告もなしに

 市がおこなった差し押さえは10月8日、預貯金など100件。振り込まれたばかりの給料や子ども手当、国からの「訓練・支援給付金」にまで及びました。

 日本共産党の市議への相談が相次ぎ、10月20日までに、5人が市に異議申し立てをしました。相談を受けた今石靖代市議は「給料や給付金などの振り込みの時期をねらったもので本人への予告も一切なく、許せません」と話します。

 市は「納税に対する誠実な態度が見られないから」などと説明し、差し押さえたものが給料、子ども手当であったことについて「いったん預貯金に入ったものが何かは特定できない」などと主張しています。

 しかし、子ども手当法では税滞納による差し押さえを禁じています。国税徴収法や地方税法も「生活の維持が困難になるおそれのある財産の差し押さえの猶予や解除」を認めています。

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(写真)「コドモテアテ」が振り込まれた日に全額が引き落とされた通帳

税負担軽減を

 用松(もちまつ)律夫党市議団長は「仕事がなく暮らしがひっ迫するなか、高すぎる国保税は払いたくても払えないのが実情です」と指摘します。共産党が実施した「市民アンケート」(回答約700通)では、7割の市民が税負担の軽減を求めています。

 用松市議は「さらなる滞納者を生まないためにも、税の引き下げと減免策の拡充、親身な納税相談が必要です」と語ります。

 市民の実態を無視し、憲法で保障された生存権を奪う強引な差し押さえ。党市議団と生活と健康を守る会、宇佐・高田民主商工会は2日、是永修治市長に、処分の取り消しと徴収金の本人への返還などを求めました。

子どもにピアニカ買おうと…残高0円にショック

37歳会社員の場合

 会社員の男性(37)は、2人分の子ども手当10万4000円が振り込まれた直後、そのときの口座残高92円を含む10万4092円全額を差し押さえられました。妻(36)と小学1年生と4歳の子どもがいます。「食べていくことだけで精いっぱい」でした。夫婦は「子ども手当をもらったら、ずっと我慢していた上の子のために学校で使うピアニカを買ってあげよう」と話し合っていました。しかし、ATMで残高が0円になっているのを見て「混乱しました」「盗まれたと思い警察に行きました」。差し押さえは「銀行の窓口で知りました」。

 妻は以前に1万円を持って市の納税課を訪ねたときのことを覚えています。市担当者から「この程度では受け取れない」と断られたといいます。「あのときと同じです。市の態度は冷たいです。なんの予告もせずにひきょうです」と訴えました。





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