2010年5月27日(木)「しんぶん赤旗」

町工場の誇り支える政治に

共産党が懇談会 東京・大田

仕事を・融資を・政治の支援を

経営者ら切実な声


 「町工場の誇り支える政治への転換を」―日本共産党は26日、約4000もの町工場が集まる全国有数の「モノづくり」のまち東京・大田区で「下請・中小企業懇談会」を開きました。大田区や品川区、川崎市など首都圏から町工場の経営者ら350人が参加。会場では真剣にメモをとる姿が目立ち、それぞれの発言に大きな拍手が送られました。日本共産党の志位和夫委員長が報告、まとめの発言を行いました。


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(写真)「日本の宝」町工場の灯を消すな、と開かれた下請・中小企業懇談会=26日、東京都大田区

 志位氏は報告で、「町工場はかけがえのない社会的価値を持っている『日本の宝』だ。その灯を消してはならない。中小企業を日本経済の『根幹』にふさわしく本格的な振興をはかる政治への転換が必要だ」と訴えました。

 大田工業連合会の舟久保利明会長と大田区産業振興協会の山田伸顯専務理事、大田区の工場を守るために行動してきた不況打開大田区実行委員会の馬場良彰幹事がそれぞれ発言しました。

 舟久保氏は「“待ち工場”ではなく、自分たちの『腕』に確信を持って積極的に広げることが大切だ」と提起。山田氏と馬場氏は「熟練の町工場の方が持つ技術にはすごいものがある。それに自信を持つことが大事だ。仕事の掘り起こしに取り組んでいこう」(山田氏)「政府、自治体が中小企業を守る立場に政策を転換すべきだ」(馬場氏)としました。

 会場からも「(厳しい経営環境の下で)私たちも頑張るから、政治の中でもさらに取り上げてほしい」「町工場が廃業すれば、日本の産業が落ち込むことになる。金融の手だてを国が講じてほしい」「(日本共産党の政策には)中小企業を守る展望が示されている。われわれも一緒に実現していきたい」などの発言も相次ぎました。

 日本共産党の小池晃政策委員長(参院議員)は閉会あいさつで、「町工場、中小業者が元気になって東京が元気になる。東京が元気になって日本が元気になる。東京の経済、まちづくりの根幹である中小企業の願いを国政に生かしていきたい」と語りました。

 懇談会に向け、日本共産党大田地区委員会や同大田区議団などは、約2300軒の工場と対話。近隣の品川区や江戸川区などとあわせると訪問した町工場は3300軒を超えました。

 内需の冷え込みに加え大企業による「単価たたき」などによって中小町工場の経営は深刻です。訪問先では、党の中小企業政策への期待とともに、「仕事がなく、単価もたたかれて従業員給与の支払いなどが大変だ」との声が寄せられました。


志位委員長が報告

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(写真)報告する志位和夫委員長

 志位氏は報告の冒頭で「町工場、とくに中小企業の集積地は日本の製造業を土台から支え、かけがえのない社会的価値を有しています。まさに『日本の宝』です」と強調しました。

 大田区の町工場の「100分の1ミリの誤差なく部品を削る」技術水準の高さ、全国1万3千に及ぶ取引先にふれながら、大田区の町工場が日本の製造業を土台から支えている役割を強調。さらに、関東経済産業局のリポートでも、「地域の公共財」として、地域社会を支える役割が評価されていることを紹介し、「そういう役割を果たしてきたのがみなさん方の尽力です」と述べました。

 「ところがいま、このモノづくりの技術が途絶えかねない深刻な危機にある」。こう続けた志位氏は、大田区では2006年までの20年間で製造業の事業所が41・9%も減少したこと、そこにリーマン・ショック後の仕事の急減や大企業による単価切り下げが襲いかかっている実情を指摘しました。

 「なんとしても『日本の宝』・町工場の灯を消してはならない」と述べ、現状の危機打開にかかせない4点を提案しました。

 1点目は、当たり前の“規制策”――大企業と中小企業との公正な取引のルールをつくることです。

 志位氏は、好況のときには連日徹夜させてでも部品を納入させ、不況になったら仕事を発注しない、好況でも不況でも単価の切り下げを繰り返す、という大企業のやり方を告発。下請け2法、独占禁止法の徹底・強化などで、中小企業を「調整弁」にする日本の異常なシステムを正すルールの確立が必要だと話しました。

 2点目は、“振興策”――中小企業を日本経済の「根幹」に位置付け、本格的な振興をはかることです。

 志位氏は、中小企業憲章を制定し、大企業中心の産業・経済対策からの大転換が必要だと強調しました。

 政府が12日、「中小企業憲章(案)」を発表したことは、「一歩前進だが、抜本的転換には踏み込んでいない。しっかりしたものにするとともに、閣議決定で終わらせず、国会決議にすべきです」と指摘。中小企業予算は一般歳出の0・4%、1911億円にすぎず、米軍の再編費を含む「思いやり」予算の半分だと述べ、一般歳出のせめて2%、1兆円をあてることなど、日本経済の「根幹」にふさわしい本格的な振興が必要だと力説しました。

 では、仕事はどう増やすのか。志位氏は「“経済システムの改革”が必要だ」と述べ、3点目として、大企業の過剰な内部留保と利益を雇用と中小企業、社会に還元させ、日本経済を内需主導の健全な発展の軌道にのせることを提起しました。

 最後に4点目として、“緊急の対策”――町工場への家賃補助、機械のリース代補助など直接補助をあげました。

 この問題では、志位氏が重ねて首相に迫る中で、政府から、機械設備のリース代金の支払い猶予に応じるようリース会社に要請する通知が出されたことを紹介。「これは本当に第一歩」とのべ、引き続き直接支援の実現を求める決意を表明しました。

志位氏がまとめ

 志位氏はまとめの発言で、「みなさんが新分野の開拓などに取り組み、誇りをもって仕事をしていることを感じました。その誇りを尊重しながら、政治がどう支援できるか、私たちも政策を発展させていきたい」と表明しました。

 適正単価を決めるにあたっての基準のひとつは、働く人のまともな賃金水準を保障することではないかと述べるとともに、金融の問題について、中小企業の地域への貢献度を評価して地域金融を円滑化する「地域金融活性化法」をぜひ実現したいと話しました。

 中小企業憲章については、政府が提示している憲章の内容を改善するとともに「超党派による国会決議としたい」と発言。あわせて改悪された中小企業基本法の改正を目指す決意をのべました。





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