2010年4月9日(金)「しんぶん赤旗」

沖縄米海兵隊

市街地に装甲車

アフガン作戦向け軍事訓練

地位協定違反


 米海兵隊が沖縄県内で、アフガニスタン作戦に向けた日米地位協定違反の軍事訓練を実施していることが8日、分かりました。在沖海兵隊司令部が本紙への文書回答で認めました。


本紙調査

写真

(写真)米海兵隊がアフガン作戦に向けてキャンプ・ハンセンに配備した最新鋭の対地雷装甲車(中央)=3月20日、沖縄県金武町

 問題の軍事訓練は、米軍がアフガン作戦用に開発した最新鋭の対地雷装甲車(MATV)による市街地での走行訓練です。

 同装甲車の沖縄県金武(きん)町の海兵隊キャンプ・ハンセンへの配備は、沖縄県平和委員会の監視行動で確認されています。

 MATVは、米国防総省が、アフガン作戦用に開発した特殊軍用車。

 アフガンは山岳地帯が多く、従来のイラク戦争で多用した大型装甲車では機動力が発揮できず、小回りの利くジープ型に改良したもの。米軍は約8000台を導入し順次、アフガンなどに投入しています。

 MATVは車高が高く、さまざまな機能を装備しており、運転には特別な操縦要領が必要とされます。このため決められた基地内コースでの走行訓練などによる資格取得(認証)が義務づけられています。海兵隊は本紙の取材にこの訓練が「基地の外でも行われる」と回答しました。

 しかし、これは日米安保条約に基づく日米地位協定に違反します。

 同協定は米軍の訓練などを「提供施設内」としており、提供施設(基地)外での軍事訓練は認められていません。

 これまで海兵隊や陸軍は、完全武装させた部隊を公道で行軍させてきました。そのつど米軍は、「基地間の移動だ」と強弁、地位協定違反を言い逃れしてきました。

 しかし海兵隊司令部の本紙への回答は明確に「訓練」と記述しており、「基地間移動」の文字はありません。

 海兵隊はこれまでもイラク作戦用の装甲車(MRAP)もキャンプ・ハンセンで教習、基地外での公道を走行させてきました。1月には名護市内の国道の「道の駅」で観光バスと接触事故を起こしています。

 沖縄県平和委員会の大久保康裕事務局長は「米軍からすれば、“基地の中だけでは緊張感や戦場の臨場感にかける。いつ攻撃されるかわからない”という設定での民間地での訓練が要求される。市街地訓練の要素が大きい」と指摘します。

 海兵隊は回答のなかで「アフガンなど地球規模での対テロ戦争に沖縄の海兵隊を定期的に派遣している」と明記。沖縄の米軍基地が「抑止力」とは無縁な、海外での軍事覇権のための訓練・出撃拠点という「侵略力」であることを隠しませんでした。

合意内容明らかにせよ

 日米地位協定に詳しい新垣勉弁護士の話 米軍の軍事演習や訓練は地位協定で、提供施設内に限られており、基地の外ではできないことになっている。しかし米軍は完全武装の行軍を公道で繰り返してきた。米軍と日本政府は「施設と区域間の移動はできる」と乱用してきた。今回、正式な文書回答で基地外での訓練を認めたことは重大だ。日米合同委員会で日米間でどう合意されているのか明らかにすべきだ。





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