2010年3月31日(水)「しんぶん赤旗」

核密約の内容は交渉の第1日から示されていた

条約・交換公文・核密約 米側は一括承認を要求

不破前議長が米側文書示す


 日本共産党の不破哲三前議長は30日、国会内で記者会見し、核兵器を搭載した艦船・航空機の寄港・飛来を日米間の「事前協議」の対象外にするとした核密約問題で、米側が交渉の最初から核密約の内容を示し、その解釈を含め最終的に日本側は完全に合意していたことを示す米側文書を明らかにし、見解を発表しました。(見解と文書


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(写真)記者会見する不破哲三前議長=30日、国会内

 不破氏は2000年の国会での党首討論で核密約である「討論記録」を示し政府を追及した当事者です。この問題では、政府の「有識者委員会」が「討論記録」の存在を認めながら、それを密約ではないとする報告書を出していました。その根拠としたのが、核搭載艦船の寄港を事前協議の対象外とする米側解釈を「(安保改定)交渉当時…日本側に明らかにした形跡はない」という交渉過程でした。不破氏が示した文書は、それをくつがえすものです。

 第一の文書は、1958年10月4日、安保改定交渉が開始された第1日に、米政府代表のマッカーサー駐日大使が、日本政府代表の岸信介首相と藤山愛一郎外相に何を説明したかを示す同大使の電報(マッカーサー大使が駐マニラ米大使に送った電報58年10月22日)です。

 同電報は、事前協議の定式についての説明は米国務省・国防総省共同の訓令に従って行われ、その訓令は「核兵器を積載している米軍艦の日本の領海と港湾への立ち入りの問題は従来通り続けられ、(事前)協議定式の対象にならない」と指示していたこと―を明記しています。「核兵器を積載している米軍艦」の寄港には事前協議を適用しないという米側の立場を、交渉の第1日から日本側に明確に説明したことを明らかにするものです。

 また、同電報は「条約草案」と「(事前)協議の定式(のちの岸・ハーター交換公文)」、それについての解釈(のちの「討論記録」)を「一括(パッケージ)提案」しています。

 もう一つの文書は、交渉の合意成立当時の交渉経過を伝えるマッカーサー大使の報告電報(同大使が米国務長官にあてた電報59年6月20日)です。

 同電報では、同年6月18日、マッカーサー大使が条約、交換公文、「討論記録」の米側最終案を手渡し、これは「単一のパッケージ」だとして、「まるごと全体を受け入れるか拒否するか」の回答を迫っていたこと。これに対し翌日、日本側が岸首相の意思として、3文書の「すべてのポイントを受け入れ」るが、交換公文について1点だけ修正を求めるとの回答を行ったこと。それを米側が20日に承認して、「完全な合意に達した」という経過が明記されています。

 不破氏は、これらの文書の意味について「『討論記録』が安保条約と事前協議に関する交換公文と一体不可分のものであることを示している。『討論記録』は58年から59年の安保改定交渉のわき道ではなく、核心部分をなすものであったことも明確だ」と指摘。

 そのうえで、「政府は誤った解釈をただして事実を正面から受け止め、密約である『討論記録』を廃棄し、文字通り『非核三原則』の根拠のある実現を強く求めたい」と強調しました。





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