2010年2月22日(月)「しんぶん赤旗」

長寿と子宝の島も 「基地来るな」

普天間「移設」先は日本にない

住民・自治体「島ぐるみ」

徳之島


 コバルトブルーの海ときらめくサンゴ礁に囲まれた鹿児島県徳之島(徳之島町、伊仙町、天城町)。浮上した米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の「移設」問題で大揺れです。「長寿と子宝の島に基地はいらない」。住民と自治体が島ぐるみの反対運動に立ち上がっています。(鹿児島県・村山智)


地図

 「戦争の痛みも米軍占領の痛みも知っている。奄美復帰闘争を思い起こし、残りの人生は孫を守るため命がけで頑張る」

 徳之島町の久保良徳さん(74)はこう語ります。

 久保さんは日本共産党が7日、赤嶺政賢衆院議員(沖縄県出身)を迎えて開いた演説会で壇上に立ちました。移転先候補とされる徳之島空港の方角に竹ヤリを突き上げ、移設反対を訴えました。

面会拒んだ町長

 鹿児島県本土から南西に450キロ、周囲89キロメートル、奄美群島内で2番目の大きさです。人口2万6千人、サトウキビ、畜産など農業が盛んです。かつて120歳まで生きた泉重千代さんの出身地であり、出生率が3町とも全国上位にあることから「長寿と子宝の島」として知られます。

 3町長に移設話の最初の打診があったのは昨年12月上旬です。民主党の牧野聖修衆院議員(静岡1区)が3町長と個別に面会。候補地として徳之島空港(天城町)などを有力視していることを伝えたのです。1月25日には、牧野氏らは3町長に「徳之島がベスト」と平野博文官房長官との面会を求めました。

 3町長は反対で一致。26日には伊藤祐一郎知事にも反対の見解を報告し、27日には平野官房長官との面会も拒否する意向を伝えました。

 住民団体も機敏でした。

 27日夕方には、徳之島町、伊仙町の町議、民主団体、労働組合員ら40人が党派を超えて集まり、「米軍移設断固反対」のアピールを採択。「徳之島の自然と平和を考える会」を発足させました。

 「海兵隊は人殺しが仕事。ハブより怖い。本国アメリカに帰る以外、行くところがない」。こう語るのは、生きた化石・アマミノクロウサギなど徳之島の希少動植物の保護に取り組む松村博光さん(63)です。「大きな普天間基地をこの小さな徳之島に持ってくれば島の半分が駄目になる」

保守系の町議も

 7日の党演説会には220人を超える島民が詰めかけました。保守系の町議らも参加。伊仙町議会の前議長、上木勲さん(69)が登壇し、太平洋戦争中の米軍の機銃掃射、艦砲射撃の体験を語り、「日本から日米安保条約と米軍基地をなくし、子や孫の代に平和な徳之島を残そう」と訴えました。

 赤嶺氏の演説は、参加者の心を揺さぶりました。沖縄での米軍犯罪を告発したうえでこう呼びかけました。

 「政府は、基地で経済が活性化すると宣伝するが、振興策として400億円も投入されながら名護市は倒産が続出、失業率も上がる一方です。日本から基地の撤去を」

 「そーだ」の声、共感の拍手がわきました。

 3月23日告示の徳之島町議選に立つ幸(こう)千恵子さん(日本共産党)が「命を脅かす基地は断固反対です。平和で安全な島、この宝物を子どもたちに引き継ぎましょう」と訴えると、これにも大きな拍手。

 赤嶺議員は3町長と続けて懇談。大久保明・伊仙町長は、「赤嶺さんが言うように日本の総理が『米軍基地は日本から撤去を』と言えばうまくいくのではないか」と応じました。



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