2010年2月14日(日)「しんぶん赤旗」

記者座談会

“荒れた国会”光る共産党の論戦

共産 くらしの困難打開へ政治動かす

民主 野党時代の言動から後退/自民 消費増税迫る“破壊的野党”


 国会では、衆院予算委員会での来年度予算案に関する基本的質疑(5、8、9日)に続いて、「鳩山内閣の政治姿勢」をテーマにした集中審議(12日)がおこなわれました。これらの論戦から何が浮き彫りになったのか、担当記者で話し合いました。


写真

(写真)質問する志位和夫委員長=8日、衆院予算委員会

 A 今国会の審議は、委員会席だけでなく、閣僚席からもやじや怒号が飛ぶほど荒れている。

自民も反省なし

 B “政治を変えてほしい”との国民の願いを受けて政権交代したのに、民主党は代表(首相)と幹事長の「政治とカネ」の問題で国民の不信を買っている。自民党も反省もなしに民主党を攻撃するばかりだ。

  委員会室の“荒れ”は、いまの政局を象徴しているね。

  そんな中で圧巻だったのは、日本共産党の志位和夫委員長の質問(8日)だった。この時ばかりは、多くの閣僚がウンウンとうなずいて聞き入るし、議場ではさかんに「その通り!」の声が飛んだね。

  志位氏は、日本経済のゆがみの根っこに、国民が築いた富を大企業が独り占めにし、巨額の内部留保をため込んでるシステムがあると提起し、それを転換せよと迫った。

  “強い企業を伸ばせば経済はよくなる”という理屈が成り立たないことを示した。日本経済のあり方を問う質問だった。

  大企業の具体名も挙げて、派遣労働者と中小企業いじめの実態をつきつけたのには、政府高官からも、「大企業のやり方がこれほどひどいとは。経営責任者を国会に呼んで、その責任をただす必要がある」との声が漏れた。

  鳩山由紀夫首相は志位氏に、派遣労働の「専門26業務」について見直しを検討すると表明した。さらに厚生労働省は、志位質問の当日、この問題での違法行為に対する指導監督を強化する通達を出した。

  労働者や国民のたたかいと日本共産党国会議員団の論戦が一体となって、政治を一歩ではあるが前に動かしたといえるね。

  その翌日、政府を問いただすのではなく、自分の“演説”に終始した民主党議員の質問を見たある野党議員が、「共産党に質問させた方がよほど国民のためになる」と声を上げたことが印象的だった。

大企業をただす

  道理を尽くし、国民の苦しみを打開する姿勢が共感を呼ぶということだね。

  共産党の質問が反響を呼ぶのは、国民の立場で、大企業の横暴を何の遠慮もなく告発し、問題点をただすことができるという点にあるのではないか。

  その通りだ。9日には吉井英勝議員が質問に立ったが、トヨタのリコール問題を正面から取り上げ、背景に開発期間の短縮、非正規社員への置き換え、下請け単価の引き下げなど無理な生産の急拡大があると追及した。根本にあるものづくりの基盤を軽視する政治の転換も提案した。

  国際的な問題になっているにもかかわらず、他党でこの問題を取り上げた議員はいなかったね。

  政府・民主党の態度はどうだろう。

  一部には前向きの動きもあるが、沖縄・米軍普天間基地問題の迷走、後期高齢者医療制度廃止の先送り、労働者派遣法の抜本改正の骨抜き、財源問題での庶民負担増など、全体として野党時代の言動や総選挙公約から大きく後退しているのが特徴だ。

  例えば、年金記録問題の解決は、これまで民主党の最大の売りの一つだったが、9日の予算委員会で、長妻昭厚生労働相が2年間先送りを表明した。

  鳩山首相は施政方針演説で「国民のいのちを守る」と大見えを切ったが、その言葉も泣くというものだ。

  最近、国会内で行われたB型肝炎訴訟原告団の集会を取材したが、「財政が厳しいといって被害者である私たちの命にかかわる問題が後回しにされて憤りを感じる」「健全野党の共産党にぜひ力をいただきたい」との声が聞かれた。

  野党第1党の自民党の姿もひどい。まさに“破壊的野党”の本領発揮という感じだ。

  その象徴が消費税増税問題ではないか。谷垣禎一総裁は1日の衆院代表質問で、消費税増税のための「円卓会議」の開催を提案した。8日の基本的質疑で自民党議員が、「(消費税を)上げられないと(財政が)破たんする」などと脅しまで使って増税を迫ったのにはあきれたよ。なぜ、昨年の総選挙で惨敗したのか、いまだにわかっていないようだ。

各党の立場明確

  民主党の小沢一郎幹事長をめぐる「政治とカネ」の問題をめぐっても、各党の立場は明確になっている。

  12日は、実質的に「政治とカネ」の集中審議だったにもかかわらず、驚いたことに民主、社民、国民の与党3党は小沢氏の疑惑に一言も触れなかった。自民党は、表面上は“対決”の格好をつけたが、もとは国民の税金であるゼネコンからの資金の還流という根本問題を避けたままだった。“すねに傷持つ”政党ではそこまでだ。

  日本共産党の佐々木憲昭議員は、小沢氏の資金管理団体「陸山会」にこの15年間で15・5億円もの巨額の不明朗資金が集まり、そこにはゼネコンからのヤミ献金疑惑もあることを明らかにして、小沢氏らの証人喚問を正面から要求した。

  企業・団体献金と政党助成金を一銭ももらわない政党の“面目躍如”だね。



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