2008年11月1日(土)「しんぶん赤旗」

国連に金融作業部会

民主的な改革めざす


 【ワシントン=西村央】ニューヨークの国連本部で三十日、国際金融システムの包括的見直しのための高級作業部会設置に向けた加盟国と経済専門家による会合が開かれました。会合は世界的な金融危機が発展途上国経済にも深刻な影響を及ぼしている中で開催されたもので、作業部会が設置され、二〇〇一年ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ米コロンビア大学教授の議長就任が確認されました。


 この会合はデスコト国連総会議長が提唱したもの。三十日の開会演説で同議長は「国際社会は、銀行保護や金融市場の安定策にとどまらず長期的な解決策をつくり出していく責任があり、今その好機である」と指摘。危機の解決策はすべての国が参加する民主的なプロセスで進めなければならず、国際社会が求める新たな金融システムをつくり上げるために国連が設置したフォーラムを活用しなければならないと強調しました。

 スティグリッツ教授は、「最近の経済危機は、国際金融システムを再評価していく機会ともなっている」と表明。「二十一世紀に入っている今、国際金融システムを確固なものとし、すべての国の繁栄につながるような根本的な改革に取り組むときである」と述べ、国連こそがこの改革での合意を形成していく正統性を持っていると強調しました。

 国連開発計画(UNDP)で『人間開発報告』の発行にも携わり、現在ニューヨーク市のニュースクール大学教授のサキコ・フクダ・パー氏は、「金融危機では大銀行や主要国の株式市場に注意が向けられているが、一般国民、とりわけ貧困国の貧しい人々が受けている影響にこそ注意を払わなければならない」と警鐘を鳴らし、その角度からの政策立案と実行の必要性を主張しました。

 今後、同部会は、一九四五年に発足した世界銀行・国際通貨基金(IMF)を中心とした国際金融の枠組みブレトンウッズ体制の見直しに向けた作業に入ります。



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