2008年10月24日(金)「しんぶん赤旗」

金融危機への対応に隔たり

米、新自由主義に固執
仏は“投機規制必要”

サミット来月15日開催


 【ワシントン=西村央】米政府は二十二日、世界の金融危機対策を協議する緊急サミットを来月十五日に二十カ国・地域の首脳が参加してワシントンで開くと発表しました。しかし、米国発の今回の金融危機への対策では、米国と英仏の間で主張の違いがあり、足並みはそろっていません。


 十八日のサルコジ仏大統領との会談にあたってブッシュ米大統領は、「民主的資本主義の土台は守らなければならない」として、自由な企業活動、自由な市場、自由な貿易を主張しました。

 これに対してサルコジ大統領は、「二十一世紀に入っていながら、いまだに二十世紀の規則に従っている」と、ドルを基軸通貨とする国際金融体制の見直しを主張。投機活動を続けてきたヘッジファンドについても、「これまでのような活動を続けることは許されない」と、監視や規制が必要だと強調しました。

 サミットでどこまで合意が見込まれているのか。ペリノ米大統領報道官は二十二日、「最初の会合(サミット)で、すべての国が合意する具体的なものが出てくるとは考えていない」との見方を示すのみです。

 同報道官の会見で、金融危機に対応する首脳会議(サミット)が今後連続的に開かれ、その間作業部会を設けて基本原則の具体化を図る方向をとることが明らかになってきました。

 サミットには、中国、インド、ブラジル、南アフリカなどを含む「二十カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)」の構成国が参加します。

 ペリノ氏は「現在の危機に取り組んでいくためにこれら諸国との連携が欠かせない」という点と、「新興諸国や途上国への悪影響を緩和するため」の両面から考慮されたとしています。

 背景にあるのは、経済・貿易などでの新興国の台頭です。基軸通貨ドルの地位が揺らぎ、新興国が台頭するという構造変化のなかで、金融体制改革に向けた模索が続けられることになります。

中国・インドなど20カ国・地域参加

 【ワシントン=西村央】来月十五日に決まった金融危機対策緊急サミットについて、ペリノ米大統領報道官は二十二日、今日の金融危機の原因や対応について協議するほか、再発防止のための世界の金融部門の監督制度や機構の改革に向けた一般原則について合意を目指すと語りました。

 改革に向けた原則については作業部会で協議し、次回以降のサミットに提示される可能性もあるとしています。

 参加するのは主要国サミット(G8)に参加している八カ国に加え、中国、インド、ブラジル、南アフリカの新興経済国、韓国、オーストラリア、サウジアラビアなどと、欧州連合(EU)です。このほか、国連事務総長、国際通貨基金(IMF)専務理事、世界銀行総裁も招かれます。

 首脳会合は十一月八、九日にワシントンで開かれる二十カ国財務相・中央銀行会議(G20)に続くもので、同じ構成国・地域からの参加となります。



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