2008年9月8日(月)「しんぶん赤旗」

英の食料・燃料高

減税論議高まる


逆進的な税公平に改革

スコットランド

 【ロンドン=岡崎衆史】英スコットランド自治政府のサモンド首相は三日、スコットランド議会で来年度の施政方針について演説し、居住不動産の価値を基に算出される住民税「カウンシル・タックス」を廃止し、新法で収入に応じた地方所得税の導入を目指すと述べました。収入の少ない層の負担を軽減するより公平な仕組みづくりが狙いです。

 自治政府はこれまでも、食料や燃料の値上がり、経済の悪化を受け、低所得者に負担の多いカウンシル・タックスの徴収を一時凍結する措置を取ってきました。

 新設される地方所得税の税率は3%と提案されています。

 サモンド首相は、「逆進的で、不公平なカウンシル・タックスを、能力に応じて支払う公平な地方税制に置き換えることを約束する」と演説。「これは、多くのスコットランド人が貧困から抜け出す支援となる」と強調しました。

 同首相によると、地方税制改革によって、全体で二億八千百万ポンド(約五百三十九億円)の減税となります。平均的なスコットランドの世帯は、三百五十ポンド(約六万七千円)から五百三十五ポンド(約十万二千円)の節約となるといいます。また、貧困から抜け出る住民数は、八万五千人に達するとしています。

原油利益を貧困家庭に

労組

 英国では労働党内の労組活動家を中心に、原油高騰で特別利益をあげている石油企業や電気・ガスなど民間の公益企業に特別の課税をおこない、それを貧困家庭に分配すべきだという議論が高まっています。

 ロイター通信によると、労働党の公務員関係労組の指導者はこのほど、エネルギー関連企業のたなぼた利益に課税して国民に還元しなければ、国民の期待を裏切る結果となり、労働党は手痛いしっぺ返しをうけることになるとブラウン首相に警告しました。

 石油メジャーのブリティッシュ・ペトローリアム(BP)は今年第二・四半期の利益を61%も伸ばしました。同じメジャーのロイヤル・ダッチ・シェルが七十九億ドル(約八千五百億円)の所得を報告しています。国内の電気・ガス会社(民間企業)も料金を相次いで値上げし、石油関連企業のたなぼた利益にたいする国民の批判が高まっています。

 労組活動家の要求は、原油高騰を反映した関連企業の増益分に特別の課税をおこない、物価値上がりの被害をいちばん大きくうけている低所得層に、現金支給の形で還元せよというもの。

 ただブラウン首相はいまのところ、総合経済対策で景気を維持するとして、この提案には消極的です。


 スコットランド 英国の大ブリテン島北部を占める地域。イングランド、ウェールズ、北アイルランドとともに英国を構成。人口は約五百万人(英国は約六千万人)、面積は、英国全体の8・5%に当たる約七万七千平方キロ。独自の議会(スコットランド議会)と行政府(スコットランド自治政府)を持ち、外交や軍事などを除く広範な自治権を有しています。



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