2008年8月18日(月)「しんぶん赤旗」

ガソリン高騰

消防車に“ブレーキ”

防災訓練 削減の事態も


 ガソリンや軽油の価格高騰が続いています。財団法人日本エネルギー経済研究所石油情報センターによれば、レギュラーガソリンの一般小売価格は四日、一リットル百八十五円を突破し、最高値を更新。全国の自治体の消防や救急活動にも影響が出始めています。各消防機関では、燃料代の確保に事務経費や水光熱費などの削減を余儀なくされています。


 今年度の予算編成にあたった昨年秋のガソリン単価は、おおむね百四十五―百五十円。軽油で百二十―百二十五円でした。それから三割近くも値上がりしたため、大半の自治体で当初予算で確保した燃料費が底をつき、補正予算での補てんを検討しています。

燃料費ピンチ

 静岡県富士宮市の富士宮市芝川町消防組合。北に富士山、南に駿河湾をひかえ、管轄区域の標高差は三千七百四十一メートルに及びます。一般車に比べ重量があり、もともと燃費の悪い消防車両は一リットルで走行三キロメートルに満たない場合もあります。起伏に富んだ地形は一定のペースで走りにくく、さらに燃費を悪化させるといいます。昨年度は燃料費の不足分を他の予算からまわすことでしのぎました。しかし今年、六百万円の燃料費は年内にも底をつきそうです。廊下の電気をひとつおきに消したり、エアコンの設定温度をあげるなど必死のとりくみが続いています。

 「これ以上の高騰が続くならば、防災訓練など独自に年三回おこなっている訓練を二回に減らすような事態にもなりかねない」と危機感を強めています。

 一刻も早く現場に到着しなければならない緊急車両。急発進や急ブレーキをおさえたり、燃料タンクを軽くすることで燃費を抑えるとされる「エコドライブ」とは両立しません。「燃料は常に満タンを心がける」といいます。

 「緊急車という性質上、燃料の節約は難しい。救急・消火活動に影響があってはならないが、救急車の出動回数も増えているなかで、どこまで値上がりするのか心配」だと話すのは山形市消防本部。今年度の予算は千七百万円。昨年度の一・四倍の燃料費を確保しましたが、年明けには使い切る見通しです。

 市民の安全や人命にかかわる緊急車両。日常的な点検作業や訓練も欠かせません。このため、「冬の暖房代や事務用品を削ってでも、燃料費は確保しなければならない」(盛岡地区広域行政事務組合消防本部)など、大半の消防機関が事務経費や水光熱費の削減に努めています。

国の支援なし

 国による支援は、消防車両の購入などへの補助制度があるものの、ガソリン代などにはありません。消防行政を所管する総務省消防庁は、「実態をつかんでいく必要はあるが、基本的に各自治体の予算上の話」だとのべています。



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