2008年1月27日(日)「しんぶん赤旗」

主張

米国発の金融危機

今こそ対米追随路線の転換を


 二〇〇八年が明けるとともに、世界的同時株安の激震が、世界経済を襲いました。

 世界の株価は、一時的に下げ止まったかのようにみえますが、本質的な矛盾は少しも解決されていません。今後も引き続き、世界的な株価下落・金融危機が繰り返される恐れがあります。

米国発の危機・景気後退

 今回の世界的株価下落は、昨年夏にはじまった米国のサブプライムローン(低信用者向け住宅ローン)危機、年末からしだいに明確になってきた米国の実体経済のリセッション(景気後退)の兆しが重なるなかで起こったものです。今回の国際的金融危機が米国発のものであることは明らかです。

 強いドルを前提にして世界中から資金を集中し経済繁栄を誇ってきた米国経済は、大きな壁にぶつかっており、世界的に「ドル離れ」の時代を迎えています。膨大な国際収支の赤字でドルを垂れ流しながら、投機マネーを野放ししてきた米国自身の経済政策、金融政策の根本的再検討が求められています。

 しかし、米ブッシュ政権は、昨年八月にサブプライムローン危機が勃発(ぼっぱつ)したときには、「米国経済のファンダメンタルズ(基礎条件)は安定している」と繰り返してきました。

 今年に入り、国際的に株価下落が深刻になるなかで、十八日に緊急景気対策(約十六兆円)を発表し、二十二日にはFRB(連邦準備制度理事会)もフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0・75%引き下げました。しかし、ブッシュ政権は、国際的に求められている投機的資本への規制には消極的です。これでは、事態を長期的な視野で解決することはできません。

 一方、日本の福田首相は、施政方針演説のなかで、「米国のサブプライムローン問題の影響を受けた経済への対応」とは述べたものの、具体的な政策としては、「日本の金融・資本市場の国際競争力を一層高め、世界の中で中核的な金融センターとなることを目指します」(同)というだけです。

 世界同時株安についての予算委員会の集中審議(二十五日)でも、「世界の主要な国々がどう対応するかが大きな鍵だ」などというだけで、日本としての具体的な対応方針をまったく示しませんでした。

 投機マネー規制の国際協調が求められているのに、福田内閣は、もっぱら米国との協調ばかり優先させて、昨年のドイツ・サミットの規制論議でも、消極的な態度に終始しました。こうした態度は、金融政策だけでなく、地球環境政策でも同様です。福田内閣の対米追随路線は、アメリカ国内でさえ強い批判をあびているブッシュ政権のイラク戦争をいまだに支持していることと表裏の関係になっています。

米国と財界から国民へ

 今回の国際金融危機を契機に世界が「ドル離れ」を強め、新たな国際金融秩序をめざして動き始めているもとで、福田内閣の通貨・金融政策の対米追随路線は、日本経済に大きなゆがみをもたらすものであり、直ちに転換すべきです。

 日本共産党の志位委員長は、前臨時国会会期末の記者会見で、「アメリカと財界に軸足をおいた政治から、国民に軸足をおいた政治への転換」が必要だと述べています(十日)。

 今回の米国発の国際金融危機についても、軸足を米国・財界から国民において、真に自主的な通貨・金融政策への転換を求めます。



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