政策-労働・雇用

労働者派遣法の大改悪に反対する共同をよびかけます

――「生涯ハケン」、「正社員ゼロ」社会への暴走を許さない

2014年4月15日 日本共産党



 安倍内閣は、「常用雇用の代替にしてはならない」「臨時的・一時的な業務に限定する」という派遣労働の大原則をとりはずし、正社員の派遣への置き換えを歯止めなくすすめ、いつまでも派遣で使い続けることができる、労働者派遣法の大改悪案を今国会に提出しました。

 この派遣法大改悪案に対して、「生涯ハケン」を押しつけるもの、「正社員ゼロ」社会にしていいのか、という批判と危惧が広がっています。日本共産党は、労働者派遣法の大改悪に断固反対するとともに、労働者と国民の連帯の力で、この悪法を廃案に追い込むことをよびかけます。

 

【「生涯ハケン」を押しつける史上最悪の派遣法改悪】

――「常用雇用代替禁止」「臨時的・一時的業務に限定」の大原則を投げ捨て、いつでも、どこでも、いつまでも派遣を使い続ける

 安倍政権は、歴代自民党政権も手をつけることができなかった派遣労働の大原則を投げ捨て、いっそう大規模に、かつ公然と、正社員を派遣労働に置き換えることができるようにするとともに、派遣労働者に「生涯ハケン」を押しつけようとしています。

 これまでも労働者派遣法は、何度も改悪され、低賃金で不安定な雇用で働く派遣労働者を増やし続けてきました。それでも「派遣労働の常用雇用代替の禁止」 「派遣受け入れは一時的・臨時的業務に限定」という大原則をとりはずすことはできませんでした。企業が雇用主としての責任を果たすためには、直接雇用が基 本であり、間接雇用は例外的な場合だけというのが、戦後の労働法制の根幹であり、世界で確立している原則だからです。

 この大原則があるために、現行法でも、企業が同じ業務で派遣を使えるのは原則1年間、最長でも3年間に制限されています。ところが改悪案では、企業は、派 遣労働者を3年で「取り替える」だけで、いつまでも、同じ業務に派遣を使い続けられるようになります。期間制限を事実上なくし、派遣の恒常化と常用雇用の 代替をおおっぴらに認めるものとなっているのです。

 派遣労働者は、“3年経過すれば派遣先企業の直接雇用にする”という、わずかにあった「正社員への道」も閉ざされ、3年経てば、別の派遣先を「紹介」され ることになります。そうした場合でも、同じ事業所の「別の部署」(例えば、営業一課から営業二課)に配置をかえさえすれば、派遣のままで使い続けることが できます。派遣会社と「期間の定めのない」雇用契約を結んだ派遣労働者は、派遣のままでずっと働かせることが可能になります。

――「派遣だから」という不当な差別や格差には手をつけない 

 政府は、「派遣労働者の均衡待遇の確保」を「法改正」の口実にしていますが、法案に「追加」されたのは、「均衡を考慮した待遇の確保の際に配慮した内容」 を「派遣労働者に説明する」程度です。差別をなくすという規定である“均等待遇”を明記せずに、実効性がない「均衡の配慮」でごまかしているのです。

 賃金や有給休暇等の労働条件についての“均等待遇”をはっきりうたっているILO(国際労働機関)の「民間職業仲介事業所条約」(181号)や、EU「派遣労働指令」と比べても、日本政府の姿勢は、派遣労働者への不当な差別と格差を容認していると言わなければなりません。

 

【非正規雇用を際限なく広げ、「正社員ゼロ」社会に道を開く】

――正社員にも大打撃…派遣への置き換えと賃下げ・長時間労働を加速させる

 今回の派遣法大改悪は、派遣労働者の問題にとどまりません。常用雇用代替を禁止する大原則がなくなれば、正社員、直接雇用から、派遣への置き換えが大規 模にすすみます。正社員の解雇や派遣への「変更」、直接雇用の契約社員、パート労働者が、契約更新時に派遣への転換を迫られることになります。

 さらに、派遣労働の拡大は、正社員の賃下げや長時間労働など労働条件悪化をもたらします。日本の労働者の賃金は、1997年をピークに減り続け、平均で 年収が70万円も減りましたが、この同時期に、派遣法など労働法制の規制緩和が繰り返されました。低賃金で不安定な非正規雇用を増やしたことが、労働者全 体の賃金を引き下げるとともに、「正社員だから仕方がない」と異常な長時間労働などの労働条件の悪化をもたらしました。

 若者の就職難と就職活動も激化しました。非正規雇用の増大によって「正社員で募集すればいくらでも人は集まる」という異常な労働市場が形成され、若者を過酷な労働に駆り立て、「使い捨て」るブラック企業が横行するという事態になっています。

 労働者派遣法の大改悪は、派遣労働者はもとより、契約社員やパート、そして正社員を含めて、すべての働く人たちの労働条件を悪化させ、働く人間の「使い捨て」をより大規模に引き起こすことになります。

――雇用破壊への暴走の突破口に

 安倍政権は、労働者派遣法に続いて、労働契約法、労働基準法など、わが国の労働法制の根幹になっている一連の労働法を軒並み大改悪しようとしています。

 労働契約法では、有期雇用で働く労働者が6カ月や1年の雇用契約を繰り返して5年を経過すれば「期間の定めのない雇用」(正社員)とする規定を10年に延 長しようとしています。地域や職務を限定した雇用契約=限定正社員制度をつくり、工場や支店を閉鎖したり、職務をなくせば解雇できるなど、不安定で低賃金 の非正規雇用と変わらない「名ばかり正社員」制度も検討されています。

 正社員には、裁量労働制の拡大やホワイトカラー・エグゼンプションによって、「残業代ゼロ」の働かせ方を広げようとしています。金で不当解雇を合法化する「解雇の金銭解決」も狙われています。

 労働者派遣法改悪案は、こうした労働法制の全面改悪の突破口であり、その意味でも、すべての働く人たちにとっての大問題です。

 

【働く人間を大切にする労働法制に――経済と産業のまともな発展のためにも】

 安倍首相は、派遣法などの労働法制の大改悪を「成長戦略」とか「企業が世界でいちばん、活躍しやすい国にする」と位置づけています。しかし、雇用のルール を弱体化させて、低賃金で不安定な働かせ方と長時間労働を広げ、働く人間を暮らしにくくすることが、日本経済と社会が成長する道なのでしょうか。国民の暮 らしを圧迫すれば市場の消費も需要も落ち込み、経済も立ち行かなくなってしまいます。働く人間を「使い捨て」にする社会は、若者から希望を奪い、貧困と格 差を広げ、日本社会から活力を奪っています。この道では、日本の産業も、企業も強くなりません。

 いま必要なことは、「使い捨て」を広げる規制緩和ではなく、人間らしく働ける労働法制の強化です。

 人間らしい労働(ディーセント・ワーク)の実現は、世界の流れです。昨年9月のG20サミット(サンクトペテルブルク・サミット)の宣言でも、「質の高い 雇用を通じた成長」を課題にかかげ、「生産的でより質の高い雇用を創出することは、強固で持続可能な均衡ある成長、貧困削減および社会的一体性の向上をめ ざす各国の政策の核である」とのべ、「非正規雇用を減少させるため」の効果的な対策をよびかけています。安倍政権のように、「企業がいちばん活躍できる 国」などと言って、労働法制を規制緩和し、働く人間の「使い捨て」を野放しにするのは、安定した雇用で経済の持続的な成長をめざす世界の流れにも逆行して います。

 日本共産党は、人間らしく働けるルールを確立することを提案し、その実現を訴えるものです。

 ――労働者派遣法を派遣労働者保護法に抜本改正し、派遣労働の受け入れを臨時的・一時的業務に厳しく限定し、派遣から正社員への道を開くなど、派遣労働者 の生活と権利を守り、正社員化をすすめる。不当な差別や格差をなくす均等待遇をはかる。登録型派遣、製造業派遣を禁止する。

 ――ブラック企業規制法を制定する。労働時間の正確な記帳を義務づけ、違法なサービス残業には残業代を二倍にするなど長時間労働を是正する、離職者数の公表など労働条件や職場環境の情報を求職者や就活生に提供する、パワーハラスメントをやめさせるなど、若者を「使い捨て」、「使いつぶす」ブラック企業をな くす。

 ――一般労働者とパート労働者の均等待遇をはかるパート労働法の抜本改正をはじめ、“同じ仕事をしているなら同じ賃金を”という原則を確立する。

 ――違法な「サービス残業」をなくす「サービス残業」根絶法や、無法なリストラ・解雇をやめさせる解雇規制法など、安心して働き続けられるルールを確立する。

 ――中小企業への抜本的な支援を行いながら、最低賃金を時給1000円以上に引き上げ、全国一律最低賃金制度を確立する。

 安倍政権がすすめる労働法制の全面改悪をやめさせ、働く人間を大切にする労働法制、人間らしく働けるルールを確立する方向に転換しようではありませんか。

 

<労働者と国民の連帯の力で、派遣法改悪をやめさせよう>

 労働者派遣法の大改悪は、派遣労働者だけの問題ではありません。労働法制をどうするかは、労働組合だけの問題でもありません。若者が希望を持てない社 会、結婚もできない劣悪な労働条件の広がりに、多くの国民が心を痛めています。非正規雇用は中高年にも広がり、雇用不安、社会不安を広げています。労働法 制をどうするかは、日本経済と社会のあり方にかかわる重大な問題です。

 派遣法の大改悪に対して、労働運動のナショナルセンターの違いを乗りこえた共同の力での反撃がはじまっています。大きな国民的な共同で、安倍政権の「生涯ハケン」「正社員ゼロ」社会への暴走を押しとどめようではありませんか。日本共産党は、その先頭にたって奮闘します。

 

 (c)日本共産党中央委員会