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日本共産党

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赤旗


 安倍政権の暴走に立ち向かい、「国民が主人公」の新しい政治を

  ――参院選で問われる大争点と日本共産党の改革提言

2013年6月6日 日本共産党

■各分野政策

ai-mov.png 記者会見ムービー  ai-pdf.pngPDF   ai-pdf.png ダイジェストパンフレット   白黒反転版PDF


 日本の進路と国民の暮らしを大きく左右する大切な参議院選挙です。安倍政権は、国会での多数を背景に、あらゆる分野で危険な暴走を始めています。

 「バブルと投機」のアベノミクス、消費税増税と社会保障切り捨て、雇用のルール破壊、原発の再稼働と輸出、TPP(環太平洋連携協定)推進、沖縄などでの米軍基地強化、憲法の改悪、そして、過去の侵略戦争を肯定・美化する政治姿勢など、どの問題も、参議院選挙の大争点です。

 安倍政権の危険な暴走は、ほころびと破たんも始まっています……どの問題でも、走り出すはなから国民との矛盾を広げ、ほころびと破たんが始まっています。アベノミクスを自慢しても、国民は、景気回復などとても実感できず、株や金利の乱高下など新たな混乱が起きています。どの世論調査でも、原発再稼働に「反対」が多数を占めています。TPPでの「公約違反」に強い怒りが広がっています。沖縄への負担押しつけには、党派を超えて「オール沖縄」での反対運動が強まっています。「まず96条から」という改憲策動は、9条改憲派の中からも批判が出され、世論調査で「反対」が多数になっています。侵略戦争を美化する政治姿勢は、国内でも国際社会でも孤立を深めています。

 「自共対決」こそ、参院選の真の対決軸です……こうしたほころびと破たんが起きるのはなぜでしょうか。それは古い自民党政治が、耐用年数をすぎ、賞味期限が切れ、土台から腐っているからです。

  「二大政党」とか「第三極」と言っても、中身が古い自民党政治と同じでは、行きづまった日本の政治を変えることはできないことは、すでに明らかになりました。

  「財界中心」「アメリカいいなり」「歴史逆行」――自民党政治の三つのゆがみにメスを入れてこそ、国民のみなさんが願う方向に政治が変わります。この立場と力をもった政党は、日本共産党をおいてほかにありません。まさに「自共対決」こそ、参院選の真の対決軸です。

 日本共産党は、安倍政権の危険な暴走と真正面から対決し、以下の五つの大争点での改革の提言を、国民のみなさんに訴えて、この選挙戦をたたかいます。

 

1、アベノミクスの暴走を許さず、消費税増税を中止し、国民の所得を増やす本格的な景気回復の道を

 国民は景気回復など実感できません……安倍晋三首相は、「アベノミクスで景気が良くなった」と言います。しかし、世論調査では国民の7~8割が「所得が増えない」「景気回復を実感できない」と答えています。安倍政権になっても、働く人の賃金も、企業の設備投資も減っています。大銀行の中小企業への貸し出しが史上最低まで落ち込んでいます。賃金と設備投資と中小企業という経済の土台は落ち込みがつづいているのです。

 政府が「投機とバブル」をあおる異常な経済政策の危うさがあらわれています……「大胆な金融緩和」は、投機マネーによる株高と円安を生み出し、株や為替、長期金利の乱高下など、経済に新たな混乱をもたらしています。この「バブル」で、一握りの大株主や富裕層には、巨額の富が転がり込みました。大企業の多くは、円安・株高のなかで利益を増やし、内部留保は1年間に10兆円増えています。

 その一方で、円安による原材料費や燃油、水光熱費、小麦などの高騰は、中小企業や漁業、農業に深刻な打撃となり、家計を圧迫し始めています。

 アベノミクスの「3本の矢」には、国民の所得を増やす「矢」は1本もありません。それどころか、「成長戦略」の名での「解雇自由化」「サービス残業合法化」などの雇用のルール破壊、社会保障の大改悪、そして消費税の大増税という「毒矢」が、これから国民には放たれようとしています。

 アベノミクスなどと、新しい装いをこらしても、大金持ちや大企業の利益を増やしてやれば、いずれ「したたり落ちてくる」(トリクルダウン)という、すでに破たんが証明ずみの古い自民党政治そのものです。

 いま求められているのは、国民の所得を増やす本格的な景気回復の道です……平均給与は、1997年のピーク時から年間約70万円も減っています。長期にわたって国民の所得が減り続けていることにこそ、日本経済が「デフレ不況」に陥った最大の要因があります。これは「自然現象」ではありません。労働法制の規制緩和をはじめ、働く人の所得を減らす政策をすすめてきた政治の責任です。

 この政治をあらためることこそ、最大の景気対策です。日本共産党は、この間、「景気回復提言」、「賃上げ・雇用アピール」を発表してきました。国民の所得を増やして「デフレ不況」の悪循環から抜け出す、景気回復の大道をすすむ経済政策を提案し、暮らしと経済の再建に力をつくします。

(1)暮らしと景気をこわし、財政も悪化させる消費税増税の中止を

“史上最大の増税”が暮らしと営業にのしかかる

 来年4月に8%、再来年10月に10%にするという消費税増税は総額13.5兆円にのぼります。これまでの最大規模の増税は、1997年の消費税と所得税の増税による7兆円でしたから、文字通りの“史上最大の増税”です。しかも消費税増税は、低所得者ほど重税になるという貧困と格差を拡大する増税です。

 価格に転嫁できず、経営難や倒産・廃業においこまれる事業者が続出します。最近の円安などによる燃油や原材料価格の上昇分でさえ、価格に転嫁できないのに、はるかに大規模な影響がある消費税増税を行ったら、その被害ははかりしれません。それは、中小企業や農漁業者はもとより、地域経済に大打撃をもたらすでしょう。

長期にわたる「デフレ不況」下での消費税増税は、経済も、財政も破たんさせる     

 政府は、4~6月の経済指標などをもとに、秋までに増税実施の是非を判断するとしています。しかし、日本経済は、「失われた20年」と言われるほど、長期間にわたって下り坂をたどり、GDP(国内総生産)は10%も減っています。国民の所得も長期にわたって減り続けています。数カ月間の「経済指標」だけで、“史上最大の増税”の実施を判断できるはずがありません。長期にわたる経済の停滞・衰退、国民の所得減のもとでの大増税は、経済と暮らしにとって「自殺行為」と言わざるを得ません。

 消費税を増税しても、経済が悪くなれば全体の税収は減り、増税と財政危機の悪循環に陥る危険があります。

 1997年の消費税増税でも、その後の17年間で消費税収は累計84兆円増えましたが、それ以外の税が累計194兆円も減ってしまい、結局、税収は110兆円ものマイナスとなりました。今回の消費税大増税は、この悪循環をさらに大規模に繰り返す危険があります。

 さらに、安倍内閣は、「国土強靭(きょうじん)化」の名で大型公共事業や、「成長戦略」の名で大企業減税をすすめ、軍事費も増額するなど、バラマキ財政を復活させています。“消費税増税が決まったから”というのが、バラマキ復活の背景にあるのは明らかです。消費税増税と「景気対策」の名でのバラマキ、そして、さらなる消費税増税という、果てしない消費税増税への悪循環になってしまいます。

消費税増税を中止し、財源は「別の道」で確保します

 日本共産党は、昨年2月に発表した経済提言―「消費税大増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言」で、消費税に頼らない「別の道」で、社会保障の財源を確保し、財政危機を打開する提案をしています。

 ――暮らしも、経済も破壊する消費税大増税の実施を中止します。

 ――税制のあり方を、所得や資産に応じて負担するという「応能負担の原則」に立って改革します。富裕層の所得の多くを占める株式の譲渡所得などの税率が低いために、「所得が1億円を超える層は逆に税金の負担が軽くなっている」という逆転現象が起きています。法人税の実質負担率は、中小企業が26%なのに、大企業は18%にすぎません。研究開発減税、連結納税制度など、大企業に特別に有利な減税制度があるためです。この不公平な税制の改革こそ、最優先の課題です。

 ――賃上げをはじめ、国民の所得を増やす政策で「デフレ不況」を打開し、日本経済を健全な成長の軌道にのせれば、税収も増加します。この経済改革を税制改革と相乗的にすすめていきます。

 ――大型開発や軍事費、原発推進予算、政党助成金など、歳出の浪費にメスを入れることも当然です。

消費税増税は一度も国民の“信任”を受けていません――参院選で増税中止の審判を

 昨年の総選挙で、自公民各党は、「消費税増税をすすめるわが党に1票を」と、正直に語ったでしょうか。安倍総裁はテレビの党首討論で消費税増税について問われて、「○」の札も「×」の札もあげませんでした。「増税隠し」でかすめとった議席で、増税強行など許せるものではありません。

 安倍首相は、「秋の段階で増税の可否を判断する」などと、参議院選挙も増税の「争点隠し」で逃げ切ろうとしています。これを許さず、消費税増税中止の国民の審判を下そうではありませんか。

(2)賃上げと、安定した雇用、中小企業支援のルールをつくります

内部留保の一部を賃上げと雇用に

 8割の大企業は、内部留保のわずか1%を使うだけで、「月1万円」の賃上げが可能です。企業内に滞留している資金の一部を、その企業の賃上げや非正規社員の正社員化に使われるようにする、これを突破口に、働く人の所得を増やし、消費を活発にし、内需を増やす――健全な経済成長への好循環を作り出していくことが求められています。

 “内部留保を使って賃上げを”という声は、政治的立場や経済学の立場の違いを超えて広がり、安倍内閣も否定できなくなっています。「余剰資金」化している内部留保を賃上げに回すよう、政治がイニシアチブを発揮して、財界に正面から迫るべきです。同時に、政府自らが「デフレ不況」を促進し民間の賃下げに連動させる公務員賃金の引き下げなどは中止すべきです。

「解雇自由化」「サービス残業合法化」を許さず、人間らしく働けるルールを

 安倍内閣は、「成長戦略」の名で、いっそうの労働法制の規制緩和をすすめようとしています。職務や勤務地を限定した「限定正社員」をつくり、その職務の廃止や事業所の閉鎖がされればいつでも解雇できるようにすることや、「金さえ払えば解雇できる」という仕組みの導入など、“首切り自由の国”づくりが狙われています。派遣労働のいっそうの拡大も検討されています。裁量労働制の拡大と「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入で、残業代をゼロにする“ただ働きと長時間労働自由の国”づくりも狙われています。安倍首相は、“企業が世界一活動しやすい国”をつくると言いますが、こうしたいっそうの労働規制緩和を許せば、日本社会全体が「ブラック企業」化し、“働く人が世界一住みにくい国”になってしまいます。

 ――「成長戦略」の名による労働法制のいっそうの規制緩和をやめさせ、人間らしく働けるルールを確立します。

 ――労働者派遣法の抜本改正をはじめ、非正規雇用への不当な差別や格差をなくし均等待遇をはかり、非正規雇用者の賃上げと労働条件の改善をすすめます。

 ――労働基準法を改正して、残業時間の上限を法律で規制し、「過労死」を日本からなくします。「サービス残業」根絶法を制定し、無法なただ働きを一掃します。

 ――繰り返しの「面談」や「隔離部屋」に閉じ込めるなど、人権を無視した無法な「退職強要」をやめさせます。解雇規制法を制定します。

雇用の7割を支える中小企業を日本経済の根幹と位置づけた振興策を

 「デフレ不況」打開のためには、中小企業の経営の安定がどうしても必要です。「選択と集中」という名で多数の中小企業を振興策から排除する政府の中小企業支援策では、企業集積の力、町工場の技術力などを生かすことはできません。

 ――中小企業を日本経済の根幹と位置づけ、中小企業全体を視野に入れた振興・支援策に転換します。

 ――強引な単価たたきや下請けいじめをなくし、大企業と中小企業の公正な取引のルールを独占禁止法の改正などで確立します。

 ――全国一律最低賃金制で時給1000円以上を実現するために、中小企業への政府の支援策を抜本的に拡充します。

 ――国と自治体が発注する事業について、賃金や労働条件の基準を定める公契約法・条例を制定します。

(3)社会保障の大規模な削減路線と対決し、現役世代も、高齢者も安心できる制度に再生・拡充します

「水際作戦」を合法化する生活保護改悪や年金削減は許せない

 安倍内閣は、社会保障の全分野にわたる予算削減と制度改悪に乗りだそうとしています。その最初の標的が生活保護です。自民、公明とともに、民主、維新、みんな、生活も賛成した生活保護法改悪案は、新たに保護申請に「書類提出」を義務づけ、相談者を「書類不備」で追い返すことができるようにするものです。生活に困窮し、生活保護の申請にきた人を「門前払い」にして餓死に追い込んだなどとして大きな社会問題になった「水際作戦」を“合法化”するという異常なものです。

 悲惨な餓死事件が後を絶たず、貧困の連鎖を広げる社会にしておきながら、「最後のセーフティーネット」の「申請」さえも妨害する――これは生活困窮者だけでなく、憲法25条の生存権という国民の権利を侵害する政治を許すかどうかの問題です。今年5月には国連から日本政府に「恥辱のために生活保護の申請が抑制されている」ことに懸念を表明し、「申請を簡素化」するなどの勧告が出されています。これこそ日本政府が取り組むべきことです。

 年金でも、今年から支給減額が行われ、再来年までに2.5%削減されます。アベノミクスで物価上昇を目標にし、消費税を10%に増税するのと同時期に、年金額を削減するのです。高齢者やその家族の生活を圧迫するとともに、地域経済にも打撃となります。

医療・年金・介護――“手当たり次第の切り捨て”にストップを 

 政府の財政制度等審議会では、70~74歳の窓口負担を2倍に引き上げる、かぜ薬・しっぷ薬などを保険から外す、年金の支給開始年齢を68~70歳に先延ばしする、介護サービスの保険適用を「要介護3」以上の重度者に限定するなどの改悪が、「検討課題」にあげられました。「成長戦略」策定を目的とした産業競争力会議では、「がんは3割負担、風邪は7割負担」など病気の種類によって窓口負担を引き上げる、介護保険の軽度のデイサービスは全額自己負担にする、などが議論されています。

 これまで消費税増税の「口実」として、社会保障は看板だけにせよ「充実」がかかげられていました。しかし、安倍内閣では、「増税が決まったらニンジンはいらない」とばかりに、手当たり次第に給付を削るだけの「社会保障改革」が議論されているのです。社会保障大改悪をストップするために、全力をあげます。

社会保障を再生し、充実するために――日本共産党の提案

 日本共産党は、「医療崩壊」「介護難民」「保育難民」など、あらゆる分野で危機にひんしている日本の社会保障を再生し、充実させるために全力をあげます。

 ――年金削減政策を中止して“減らない年金”を実現し、低年金の底上げをすすめます。そのうえで、最低保障年金を創設し、無年金・低年金の根本的解消をはかります。

 ――医療費の窓口負担や国保料(税)を軽減し、後期高齢者医療制度を廃止します。

 ――診療報酬の引き上げや医師・看護師の計画的増員で「医療崩壊」を打開します。

 ――将来は、ヨーロッパなどで実現している“窓口負担ゼロ”の医療制度をめざします。

 ――特養ホームの待機者をなくし、介護サービスの取り上げをやめさせ、介護保険料・利用料の負担減免をはかります。

 ――介護・福祉労働者の賃上げと労働条件の改善をすすめます。

 ――認可保育所の大幅増設で待機児童をゼロにします。「詰め込み」や営利企業への「丸投げ」など保育内容の切り下げに反対します。

 ――障害者の福祉・医療の「応益負担」を撤廃して、無料化をすすめます。「基本合意」「骨格提言」に基づく、障害者総合福祉法を実現します。

 ――申請者の“門前払い”や親族への「扶養」の押しつけ、保護費の大幅削減など生活保護の切り捨てをやめさせ、改善・強化をすすめます。

 ――雇用保険の拡充、失業者への生活援助・再就職支援の強化をすすめます。

 ――ひとり親家庭の雇用確保と支援、児童扶養手当や就学援助の拡充など子どもの貧困対策を強めます。

国民分断の攻撃のりこえ、社会的連帯で生存権を保障させよう  

 社会保障は、「ほどこし」でも、お金で買う「商品」でもなく国民の権利――これが近代社会の大原則です。

 政府はこの間、生活保護の受給者を攻撃するバッシングや、高齢者と現役世代の「世代間格差」を言いたてるキャンペーンを展開しています。国民同士を「たたきあう」ように仕向ける分断攻撃をすすめながら、制度改悪を強行するなど許されるものではありません。日本共産党は、国民の権利を奪い、後退させる攻撃を、社会的な連帯の力で打ち破るために全力をあげます。国民に生存権を保障し、国に社会保障増進の責務を課した憲法25条の全面実現をめざし、社会保障の充実と改革をすすめていきます。

(4)大震災からの復興を最優先課題に――生活と生業の再建に必要な公的支援を

 国の姿勢と旧来型の「災害対策」が、復興の足を引っ張り、被災者の不安と怒りを広げ、意欲をなえさせています。仮設住宅の入居、被災事業所へのグループ補助など、あらゆる支援策に「期限」をつけ、「期限切れ」を理由に医療・介護の負担減免措置や被災者の失業給付を打ち切った政府の姿勢が、被災者の心を傷つけ、先の見通しが見えない不安に追い打ちをかけています。

 “津波で壊れた海岸沿いの道路を、同じ場所に復旧するのは支援するが、高台につくり直すのは支援しない”など、「元の場所に同じものをつくらないと支援しない」というしゃくし定規な「復旧」の押しつけも、重大な障害となっています。

 アベノミクスが復興の妨害にもなっています。被災地でも、円安による原材料・燃油・水光熱費などの値上がりが、漁業・水産加工業をはじめ地場産業に打撃を与えています。大型公共事業のバラマキも、人手不足と資材高騰を加速させ、高台移転、住宅再建、漁港整備をはじめとした復興事業を遅らせています。

 復興政策を転換し、被災者の生活と生業(なりわい)の再建に国が責任を果たすことは、想定される南海トラフの巨大地震をはじめ「地震列島」「災害列島」といわれる日本で、国民が安心して暮らせる社会にしていくためにも、きわめて重要な課題となっています。

 ――支援を必要とする人・地域がある限り、絶対に施策を打ち切らないことを支援策の大原則にすえます。

 ――医療・介護の負担減免措置を復活させ、あらゆる支援策のあり方を、被災者の生活と生業の再建を最後まで支援する立場で見直していきます。

 ――復興事業における不合理なルールの押しつけをやめ、“現場にルールをあわせる”立場で根本的な見直しをはかります。

 ――「個人財産の形成になる」といって、住宅、商店、工場、医療機関などの復旧を支援しないという旧来の災害対策の「原則」を取り払い、住宅と生業の再建に必要な公的支援を行うことを復興の基本原則にすえます。

 ――円安によるコスト急増への緊急補助や資金確保・販路拡大の支援など、被災事業所の経営をまもる施策をすすめます。公共事業は、被災地の復興事業を最優先にします。

 

2、原発の再稼働と輸出を中止し、「即時ゼロ」の決断を――再生可能エネルギーに大胆に転換する

 安倍内閣は、財界と一体になって、原発の再稼働への暴走を開始し、原発輸出の「トップセールス」に奔走し、「成長戦略」に「原発の活用」を明記しています。そして、原子力規制委員会の「規制基準」の7月施行を受けて、泊、柏崎刈羽、高浜、大飯、浜岡、伊方、玄海、川内などの各原発の再稼働がねらわれています。

 しかし、どの世論調査でも再稼働反対が多数です。国民の願いを無視して、危険な原発の再稼働を強行することは許されません。

福島原発は事故の真っただ中――再稼働も輸出も論外です

 福島第1原発は、高濃度の放射能汚染水が増え続けています。汚染水に含まれる放射性物質の量は、大震災直後の水素爆発で大気中に放出されたものの約10倍と想定されています。それが外部に流出する瀬戸際という危機的状況に陥っているのが福島第1原発の現状です。「いずれ海に流せばいい」という無責任な姿勢をとってきた国と東京電力の責任は重大です。どんな形であれ、汚染水は、絶対に海に流してはなりません。

 事故の収束とはほど遠い状況での再稼働や原発輸出など論外です。政府は「収束宣言」を撤回し、収束と廃炉、除染と賠償を、日本の英知を総結集した一大事業としてやりぬくべきです。いまなお先の見えない避難を強いられている15万人の生活と健康に全面的に責任をもつことを強く求めます。

「新規制基準」は「世界最高水準」どころか、完全に破たんしています

 安倍政権は、当初、「世界最高水準の安全基準をつくり、安全が確認された原発は再稼働します」とのべていました。

 ところが、国民の批判とわが党の追及におされて、安倍首相自身が「原発に絶対安全はない」と認めざるを得なくなりました。原子力規制委員会も当初の「安全基準」という言葉を使えず、「規制基準」と言い換えました。「世界最高水準の安全基準をつくる」という方針は完全に破たんしました。それならば原発再稼働の方針も撤回すべきです。

 だいたい、「新規制基準」は、各原発の地震・津波想定に関する数値の定めもなく、電力会社の「裁量」でいくらでも「甘い」想定にできる、活断層があっても見えなければ、その真上に原発を建ててもよいなど、きわめてずさんなものです。原子力規制庁は、「時間が足りなかった」などと弁明しています。再稼働を急ぐためのスケジュールにあわせた「新規制基準」をてこに再稼働をすすめるなど許せません。

 政府が、国内では「絶対安全はない」としながら、海外では「原発事故を経験した日本こそ、世界一安全な原発を提供できる」などと「二枚舌」を使って、原発「輸出セールス」に奔走していることは恥ずべきことです。日本を「死の灰の商人」にしてはなりません。

省エネ・節電の徹底と、再生可能エネルギーの大幅導入へ抜本的に転換します

 原発事故から2年余の体験は、原発と人類は両立できないことを示しました。原発の危険から国民と地球環境を守るという点からも、国民合意という点からも、どの原発も再稼働する条件はありません。「即時原発ゼロ」を決断し、ただちに廃炉のプロセスに入ることが、最も現実的な道です。

 原発にたよらず、省エネ・節電の徹底と、再生可能エネルギーの大幅導入への抜本的転換の計画を立てて、実行していきます。エネルギー確保のためには、当面、5~10年程度の期間は、過渡的な措置として、火力による電力の確保が必要になりますが、その間に、再生可能エネルギーの大規模な普及と低エネルギー社会への移行をすすめます。原発推進派は「自然エネルギーは供給が不安定」などとしますが、多様なエネルギーである太陽光・熱、小水力、風力、バイオマス、地熱、潮力などを組み合わせて普及すれば、安定します。

 原発の40倍にものぼる巨大な潜在力を生かし、技術開発や安全対策を強化して、自然エネルギーの先進国をめざします。

 

3、「アメリカいいなり」をやめ、国民の利益を守る外交に――基地も安保もない日本をめざし、自主外交でアジアと世界の平和に貢献する

(1)TPP交渉参加を撤回し、日本農業の再生と食料主権、経済主権の確立を

食と農、雇用と地域経済に大打撃――「亡国への道」を許さない 

 TPPは、例外なき関税撤廃、非関税障壁の撤廃が大前提です。関税ゼロになれば、政府の試算でも農業生産額は3兆円も減少し、食料自給率は27%まで低下します。農業だけではありません。全産業で10.5兆円も生産が減少し、就業者数の減少は190万2000人にのぼるとされています。

 非関税障壁の撤廃では、混合診療や医療への株式会社の参入、公共事業の「地元優先発注」の撤廃、食品の安全基準や自動車排ガス規制の大幅緩和などが標的にされています。

 地球規模での食料不足が大問題になっているときに、自国の農業を壊し食料を外国に頼る国にする、そして、雇用も地域経済も破壊する――この「亡国の道」をすすむことは許せません。

譲歩を重ねて、アメリカの要求を「丸のみ」――「守るべき」を守れないTPP 

 TPP交渉参加に向けてのアメリカとの事前協議では、コメ、乳製品、砂糖など重要農産物の関税で、何ひとつ保証を得ることはできませんでした。その一方で、日本の交渉参加の条件とされた「入場料」――牛肉、自動車、保険の3分野で、アメリカの要求を丸のみしました。しかも、TPP交渉と並行して、自動車、保険、投資、知的財産権、政府調達、衛生植物検疫などの非関税措置の撤廃・緩和に向けた日米2国間協議を行い、TPP交渉の妥結までにまとめることを約束させられました。

 いったいどこに安倍首相のいう「強い交渉力」があるというのでしょうか。「守るべきものを守る」という首相の言明が虚構であることが明らかになりました。自民党は、昨年の総選挙で「TPP断固反対! ウソつかない。」というポスターまで張り出しました。

 ――公約違反のTPP交渉参加をただちに撤回することを求めます。

日本農業の再生に向けた本格的な振興策を 

 安倍首相は、「10年で農業・農村の所得を倍増する」などと言い出しましたが、その柱は、1960年代以来の古びた「農地集約による大規模化」政策の「焼き直し」にすぎません。TPP参加で農業生産を減少させながら、所得が倍増するなど絵空事です。

 日本共産党は、農林漁業の本格的な再建、食料自給率の50%台への引き上げを国づくりの柱に位置づけ、価格保障と所得補償の拡充や後継者育成支援を柱にし、家族経営でも、大規模経営でも成り立つ本格的な農業振興策をすすめます。

 ――基幹作物である米作経営の安定を農業再生の出発点と位置づけ、過去3年の生産コストの平均を基準とし、販売価格との差額を補てんする「不足払い制度」を創設します。農業の多面的な機能を正当に評価した所得補償を組み合わせて実施します。

 ――畑作、畜産、果樹、野菜などでも価格保障と所得補償を拡充します。

 ――「新規就農者支援法」を制定し、新規就農者に最大月15万円、最長5年間支給するなど、若者や定年退職者の就農支援を強化します。

食料主権、経済主権を尊重した互恵・平等の経済関係の発展を 

 新しい世界の流れは、各国の経済主権を尊重する、互恵・平等の投資と貿易のルールづくりにあります。とりわけ自国の食料のあり方については自国で決定する食料主権の尊重は、世界の流れとなっています。この道をすすんでこそ、世界各国と経済主権を尊重した互恵・平等の経済関係を発展させることができます。

(2)沖縄県民の総意を踏みにじる米軍基地押しつけに反対し、基地のない平和な沖縄、基地のない日本をめざします

 安倍内閣が、3月に辺野古新基地建設のための公有水面埋め立て申請を行うなど、沖縄県民の頭越しに力ずくで基地強化を押しつけていることに、大きな怒りが広がっています。

 日米両政府は4月、普天間基地を含む嘉手納基地より南の米軍6施設・区域の「統合計画」に合意しました。その内容は、普天間基地返還を2022年度以降に先送りし、嘉手納以南の施設返還も、ほとんどが「県内移設」条件付きという県民を愚弄(ぐろう)するものです。

 自公政権は「沖縄の負担軽減」などといいながら、やっていることは、辺野古に最新鋭の巨大基地を押しつけ、オスプレイを配備して沖縄全土をわがもの顔で飛行させ、嘉手納基地にステルス戦闘機の新たな配備をすすめ、海兵隊を1万3000人から2万人へ大幅に増強するなど、負担増のオンパレードです。

 オスプレイ配備にかかわって、日米両政府が、「飛行は人口密集地を避けること」などの「安全対策」なるものに合意したにもかかわらず、それを無視した飛行が行われています。日本全土でオスプレイの低空飛行訓練が計画され、日米両政府は、今夏にオスプレイの追加配備することも確認しています。その訓練拠点として、岩国、キャンプ富士、厚木、横田、三沢など、全国の米軍基地を使用するとしています。これに対して、全国29都道府県の200自治体で配備や訓練に反対する意見書・決議が可決されています。

 海兵隊の海外遠征による「殴り込み」任務を遂行するための「侵略力」を高めることがその目的であり、そのために、沖縄県民と日本国民を危険にさらす、暴挙を許すわけにはいきません。

 ――オスプレイ配備を撤回し、全国での無法な低空飛行訓練を中止させます。

 ――普天間基地の無条件撤去を求めます。

 ――米軍による主権侵害・横暴・犯罪を抑えるため、日米地位協定を抜本改定します。

 ――在日米軍基地を全面撤去させ、基地のない平和な日本をめざします。

(3)日米安保条約を廃棄し、対等・平等・友好の日米関係を築きます

 日米安保条約の最大の問題は、占領軍を駐留軍へと名前だけ変えて居座らせ、「全土基地方式」という世界に類のない屈辱的なやり方で日本を米軍「基地国家」とし、米国の軍事的支配の鎖に縛りつけたことです。

 全国に、いまだに132の米軍基地があります。日本の総面積の0.6%にすぎない沖縄県に米軍専用基地の74%が集中し、沖縄本島の面積の18%を占めています。横須賀基地や横田基地のように、首都圏に広大な基地が置かれているのも、日本以外にありません。

 しかも、海兵隊や空母打撃群など、「日本防衛」とは無関係の「殴り込み」部隊が配備され、ベトナム戦争、アフガニスタン・イラク戦争など、つねに侵略と干渉の戦争の根拠地とされてきました。

 オスプレイ配備強行や相次ぐ米軍犯罪など、米軍基地と沖縄県民をはじめ日本国民との矛盾はすでに限界点を超えました。さらに、憲法違反の集団的自衛権行使による「海外で戦争する国づくり」など、地球的規模の「日米同盟」の危険な侵略的変質は、日米安保条約と日本国憲法がいよいよ両立しなくなったことを浮き彫りにしています。

 こうした危険な従属構造をこのまま続けていいのか、日米安保条約の是非を正面から議論することを呼びかけます。

 ――安保条約第10条に即した、廃棄の通告で、安保条約をなくします。日米安保条約は、一方の国が通告すれば、1年後には解消されます。安保条約をなくせば、米軍基地の重圧から日本国民が一挙に解放されます。

 ――東アジアでの軍縮のイニシアチブを発揮します。いま、東アジアでは米軍の再配置、軍事力の強化がすすんでいます。一方で、中国も軍事力を増大させ、北朝鮮はミサイル発射や核実験をくりかえしています。この地域での軍事的緊張の最大の根源になっている日米安保条約を解消してこそ、日本は中国や東アジアの国々にたいして、「ともに軍縮の道に転じよう」と、軍縮へのイニシアチブを本格的に発揮することができるようになります。

 ――「核兵器のない世界」へのイニシアチブを発揮します。米国の「核の傘」から抜け出し、名実ともに「非核の日本」となってこそ、被爆国の政府にふさわしい「核兵器のない世界」へのイニシアチブを発揮することができます。世界の大きな流れとなっている核兵器禁止条約(NWC)の国際交渉を開始することを、世界に呼びかけます。

 ――アメリカとは、日米安保条約=日米軍事同盟に代えて、対等・平等の立場にたって日米友好条約を結ぶというのが、私たちの提案です。

 

4、安倍政権の改憲への暴走と対決し、憲法を守り、生かす政治を

 昨年末の総選挙で、自民党をはじめ、日本維新の会、みんなの党など、むき出しの改憲派が多数を占めました。改憲勢力の一番の狙いは、憲法9条をかえて、日本を「海外で戦争をする国」につくりかえることです。日本共産党は、憲法改悪の動きと真正面からたたかいます。

(1)“憲法を憲法でなくしてしまう”96条改憲をやめさせ、立憲主義を守ります

 安倍首相は、「96条ならハードルは低い」という党略的でよこしまな思惑で、改憲の発議を、国会議員の「3分の2以上」から「2分の1以上」に引き下げる96条改定を、「参院選の争点にする」などと言い出しました。

 しかし、これは単なる「手続き」論ではありません。近代の立憲主義は、主権者である国民が、その人権を保障するために、憲法によって国家権力を縛るという考え方にたっています。そのために改憲発議の要件も、時の権力者が都合の良いように、簡単に憲法を変えることができないようにされています。憲法改正の発議要件を緩和し、一般の法律なみにしてしまうことは、立憲主義を根底から否定するものにほかなりません。

 安倍首相などの「96条改憲」に対して、「憲法が憲法でなくなる」「邪道だ」という批判が、9条改憲を主張している人からも出てくるなど、立場の違いをこえて広くわきおこっています。

 日本共産党は、96条改定反対の一点で、一致するすべての政党、団体、個人の共同を広く呼びかけます。国民的な力で、このたくらみを断念に追い込むことができるよう、その先頭にたって奮闘します。

(2)憲法9条を守る――日本を「海外で戦争する国」にする改憲策動を許さず、9条を生かした平和の外交をすすめる国に

9条改定の狙いは、「海外で戦争する国」にすることにあります

 自民党は、「戦力不保持」と「交戦権否認」を規定した9条2項を改変して、「国防軍」をつくるとしています。これは「自衛隊」の名称変更というような形式論ではありません。歴代の自民党政府は、「解釈改憲」で自衛隊を増強してきましたが、9条2項が「歯止め」となって、「海外での武力行使はできない」という建前は崩せませんでした。この「歯止め」を取り払ったら、日本が「海外で戦争する国」に変えられてしまいます。

 自民党は、新「防衛大綱」の提言として、「国防軍の設置」とともに、「海兵隊機能」を付与するための水陸両用部隊の新設や「敵基地攻撃能力」の保有をとなえています。自衛隊の侵略機能の強化をはかろうとするものです。自衛隊の組織と装備の面でも、日本がアメリカとともに「海外で戦闘する」危険が大きくなっています。

憲法9条を生かし、軍事にたよらない「平和的安全保障」を

 改憲勢力は、「北朝鮮や中国との関係を考えても憲法の改定が必要」だといいます。しかし、北朝鮮の問題にしても、中国との領土問題などにしても、何よりも求められるのは道理に立った外交交渉によって解決をはかることです。

 北朝鮮問題の解決にあたっては、核、ミサイル、拉致、過去の清算などの両国間の諸懸案を、日朝平壌宣言にもとづいて包括的に解決することが必要です。また、「6カ国協議」を再開し、この枠組みを地域の安定と平和の機構にしていくことが大切です。

 尖閣諸島周辺の日本領海内での中国の監視船の航行や航空機による領空侵犯は許されません。力によって日本の実効支配を脅かす動きは国際法上認められない行為です。この問題では、日中双方が、領土に関わる紛争問題の存在を認め、冷静な外交交渉による解決をはかるとともに、現状を変更する物理的対応、軍事的対応を、きびしく自制し、両国の経済関係、人的・文化的交流に影響をあたえないよう努力をはかることが必要です。

 もっぱら「力対力」の立場に立って、これらの問題を、軍事力の強化、軍事同盟強化、憲法9条改悪に利用するというのは、日本国民を危険にさらす思慮も分別も欠いた最悪の姿勢です。

 「紛争を戦争にしない」「紛争の対話による解決」は、いま世界が真剣に取り組んでいる課題です。東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々では、紛争が起こっても絶対に戦争にしない、軍事に頼らない「平和的安全保障」の考え方をとりいれ、それを実践しています。このASEAN方式を北東アジアにも広げようというのが日本共産党の提案です。その際、もっとも力強いよりどころとなるのが憲法9条です。憲法9条を生かした平和外交によって、アジアと世界の平和に貢献する日本にしようではありませんか。

(3)日本国憲法の全条項を守り、民主的・平和的条項の全面実施を

 昨年4月に発表された自民党改憲案の問題点は、9条を改定し、国防軍を創設するだけではありません。基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」とした憲法97条を全面削除し、表現・結社の自由を含む基本的人権を「公益及び公の秩序」に反しない範囲しか認めないとしていることなどもきわめて重大です。

 古色蒼然(こしょくそうぜん)とした時代逆行、時代錯誤の自民党「改憲案」にたいしては、国内外から厳しい批判の声が上がっています。憲法の平和的民主的条項の全面破壊を断じて許すわけにはいきません。

 憲法の豊かで先駆的な人権条項を生かす政治に……日本国憲法の先駆性は9条だけではありません。生存権を定めた25条、幸福追求権をうたった13条をはじめ、憲法は30条にわたって、世界でも先駆的で豊かな人権条項をもっています。憲法が「時代に合わない」のではなく、憲法のこうした先駆的原則を踏みにじり続けてきた自民党政治こそ、「時代おくれ」になっているのです。日本共産党は、憲法の前文も含む全条項を厳格に守り、憲法の平和・人権・民主主義の原則を国政の各分野に生かします。

 憲法と子どもの権利条約を教育に生かします……“教育の目的は子どもの人格の完成にある”というのが憲法の精神です。ところが長年の自民党政治はこの精神を無視し、支配層のための人づくりを教育に求め、「過度の競争主義」などで教育を荒廃させてきました。この間、社会的問題となったいじめや体罰、それらの隠蔽(いんぺい)もその表れです。「過度の競争主義を一掃する」「“上からの統制強化”をやめ、教育の自由を尊重する」「重い教育費負担の軽減と教育条件の整備」という観点で、日本の教育を立て直します。

 女性の権利が尊重され、生き生きと活躍できる社会に……男女平等・均等待遇のルールの確立・充実をすすめ、女性の力が正当に評価され、社会的支援で男女がともに仕事と家庭が両立できる条件整備をすすめます。選択的夫婦別姓制度、婚外子差別の禁止など、社会のすみずみまで男女平等、個人の尊厳の徹底をはかります。

 民意を正しく反映する国会に――小選挙区制と政党助成金の廃止を……現行衆議院選挙制度の小選挙区定数「格差」についての一連の違憲判決は、現行小選挙区制が、投票価値の平等をめぐって憲法違反の重大な欠陥を持っていることを厳しく断罪するものとなりました。

 そもそも、現在の小選挙区制を中心とする選挙制度は、大政党有利に民意をゆがめるという根本的欠陥をもっています。それは、この制度のもとで実施された6回の総選挙で、第1党の得票率が4割台にもかかわらず、7~8割もの議席を占めるという結果に、はっきりと示されています。

 また、小選挙区制のもとでは、「1票の格差」の是正のためには、市町村の行政単位や地域社会を寸断する異常な線引きが避けられず、有権者は選挙区の不自然な変更を強いられることになります。小選挙区制がもともと、投票権の平等という憲法の原則とは両立できない制度であることは、その導入以来の歴史が証明しています。

 自民、公明が推進している「0増5減」は、投票価値の平等を保障するものとは到底いえない姑息(こそく)な弥縫(びほう)策であるとともに、小選挙区制を固定化するものであり、認めるわけにはいきません。

 さらに、比例定数を大幅削減する動きは、民意の反映に逆行するものです。投票価値の不平等が問題になっているときにこれを持ち出すのは、きわめて不当であるとともにまったくの筋違いです。日本の議員の総定数は、国際的にみても歴史的にみても少ないものであり、定数削減を行う合理的根拠は存在しません。

 ――衆議院小選挙区制度を廃止し、民意を正確に反映する比例代表制への抜本改革を行います。現行の総定数480を維持し、全国11ブロックを基礎とした比例代表制にします。そうすれば「1票の格差」も、最大1.03倍にとどめることができます。参議院も「1票の価値」の平等を実現しつつ、多様な民意を反映する制度に抜本改革します。

 ――政党助成金は、国民の税金を支持していない政党にも配分する憲法違反の制度であり、活動資金の大半を助成金に依存する「国営」政党を生み出し、政治の堕落と退廃の温床にもなっています。すみやかにこの制度を廃止します。

 ――企業・団体献金は、本質的に政治を買収するわいろであり、全面禁止します。

 

5、侵略戦争、植民地支配を肯定・美化する、歴史の改ざんと歴史への逆行を許さない

侵略戦争の肯定・美化は、戦後の国際政治の土台を覆すもの 

 安倍政権が発足して以来、過去の侵略戦争と植民地支配を正当化し、美化する歴史逆行の勢力が、その本性をむき出しにし、大きな国際問題になっています。

 麻生太郎副総理ら4人の閣僚が靖国神社に参拝し、安倍首相が真榊(まさかき)を奉納しました。靖国神社は、日本軍国主義による侵略戦争を「自存自衛の正義のたたかい」「アジア解放のたたかい」と美化し、宣伝することを存在意義とする特殊な施設です。首相や閣僚の参拝や奉納は、侵略戦争を美化する立場に自ら身を置くことを、世界に向かって宣言することになります。

 さらに安倍首相は、「村山談話」の見直しに言及し、「侵略の定義は定まっていない」と述べ、国会で追及されても、「村山談話」の一番の核心の部分――「国策を誤り」「植民地支配と侵略」を行ったという部分を認めようとしません。

 米議会調査局リポートでは、安倍首相を「強力なナショナリスト」とし、「性奴隷や歴史教科書、靖国神社への参拝」などでの対応が、アジア諸国やアメリカから強い懸念をもって見られていると指摘しています。

 戦後の国際政治は、日独伊がおこなった戦争が不正不義の侵略戦争だったということを共通の土台にしています。この土台を覆す勢力は、国際政治に参加する資格を失い、国際的な孤立の道に転落していくことになります。

歴史を改ざんし、歴史に逆らうものに、厳しい審判を 

 日本維新の会の橋下徹共同代表の「慰安婦は必要だった」という発言に、内外から大きな批判が起きています。女性を戦争の道具とみなす暴言は、女性への冒とくであるとともに、人間への冒とくです。国内外の大きな批判に対して、橋下氏は「日本人の読解力の不足」などと責任を国民に転嫁しています。もはや橋下氏に公人たる資格はありません。暴言を撤回、謝罪し、大阪市長を辞任することを求めます。

 石原慎太郎共同代表も、「戦争に売春はつきもの」と橋下発言を擁護し、維新の会は、党として、橋下発言の撤回を求めないことを決めました。このような態度である限り、維新の会は国政であれ、地方政治であれ、日本の政治に参加する資格はない、と言わざるを得ません。

 国連拷問禁止委員会は、日本軍「慰安婦」問題で「日本の政治家や地方の高官が事実を否定し、被害者を傷つけている」とし、日本政府に対して、こうした発言に明確に反論することを求めました。ところが、安倍首相は、橋下発言について「立場が異なる」というだけで、批判も否定もしようとしません。これは、首相の政治姿勢が、侵略戦争の美化という点で、橋下氏や石原氏と同根であることを示すものであり、その立場がきびしく問われています。

侵略戦争と植民地支配の歴史を直視し、日本軍「慰安婦」問題などの解決をすすめる 

 日本がアジアと世界から信頼され、国際社会で名誉ある地位を占める国になるためには、過去の侵略戦争と植民地支配の誤りをきっぱりと認め、その負の遺産を清算する立場にたつことが不可欠です。

 ――首相、閣僚の靖国神社参拝をはじめ、日本政府の責任ある立場の政治家が、侵略戦争を肯定・美化するような行動、言動をとらないことを求めます。

 ――日本軍「慰安婦」問題では、日本政府として公式に謝罪し、個人補償を行うことが不可欠です。韓国政府は、「慰安婦」被害者の賠償問題について、日韓請求権協定にもとづく政府間協議を繰り返し日本政府に求めています。政府は「解決ずみ」などとして協議を拒否する態度をあらため、「この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする」(同協定3条1項)にもとづき、韓国政府との協議に、早急かつ誠実に対応することが求められています。

 ――日本の侵略戦争と植民地支配の歴史を子どもたちに正しく伝え、アジアと世界の国ぐにと平和・友好の交流を積極的におしすすめることが必要です。公教育に侵略戦争の美化・肯定を持ち込むことは許されません。政府や自民党などの教科書検定や教科書出版社への不当な介入、圧力をやめさせるために、日本共産党は、良識ある国民のみなさんとともに力を尽くします。

 ――領土問題を事実と国際的道理に立って解決をはかるためには、尖閣諸島問題にしても、竹島問題にしても、千島問題にしても、侵略戦争によって不当に占有した土地と、そうでない領土とを明確に区別することが必要です。そうしてこそ、国際的にも道理のある主張となり、問題の理性的な解決の道が開けます。

「国民が主人公」の新しい日本に向けて、日本共産党を大きく躍進させてください

平和、民主主義、暮らしを壊す逆流に、勇気をもって立ち向かう政党です

 安倍自公政権が、あらゆる分野で危険な暴走を始めているときに、日本共産党以外の主要政党は、まともに対決するどころか、「自民へ、安倍へ」と草木がなびくように追従し、国民の暮らしと日本の未来を守る立場を投げ捨てています。

 民主党は、自民党・公明党との「3党合意」にしがみつき、消費税や社会保障など肝心の問題で自民党と同じ立場をとり続けています。原発も、TPPも、基地問題も、民主党政権時代に手をつけたため、批判できずに右往左往しています。

 みんなの党は、憲法改悪と規制緩和万能論の立場から、安倍政権にいっそうの悪政をけしかけています。維新の会は、「既成政党の打破」どころか、憲法改悪、TPP、基地問題などの問題で、自民党の補完勢力としての姿をさらけだしました。それだけでなく、「慰安婦が必要」(橋下共同代表)、「侵略ではない」(石原共同代表)などの暴言を党としても追認するなど、政党としての存立そのものが問われています。

 安倍政権の相次ぐ暴走に真正面から対決し、国会の中でうごめく「増税連合」「改憲連合」に対して、国民とともにたたかっているのは日本共産党だけです。国民のたたかいのよりどころとして、日本共産党を大きく伸ばしてください。

どの分野でも改革の展望を示している綱領をもつ政党です

 日本共産党は、あらゆる分野で、現実的な改革を提案し、実現のために行動しています。それができるのは、日本共産党が日本の未来をきり開く綱領をもっているからです。

 日本共産党は、まず資本主義の枠内で、「財界中心」「アメリカいいなり」という異常をただし、「国民が主人公」の新しい日本をつくる、日本の民主的改革を実行することを目標にしています。そのうえで、国民多数の合意で資本主義をのりこえた未来社会にすすむことを展望しています。私たちのめざす未来社会とは、「人間の自由、人間の解放」を最大の特徴とし、資本主義の価値ある成果のすべてを受け継ぎ、発展させるものです。「社会主義」の名での自由の圧殺、人間抑圧を絶対に許さないというのが、日本共産党の確固とした立場です。

 日本共産党は、今年7月、党をつくって91年になります。過去の侵略戦争に命がけで反対したただ一つの政党であり、戦後も旧ソ連や中国の乱暴な干渉をはね返すなど、不屈の歴史を貫いてきました。日本共産党という党名は、綱領で展望している未来社会への理想とともに、91年の不屈の歴史と結びついたものです。

国民と共に力を合わせて政治を変える政党です

 日本共産党は、社会発展のすべての段階を国民多数の合意を得てすすむ――「多数者革命」の立場を一貫して堅持しています。私たちは、政党の組み合わせから出発するのではなく、諸課題での一致点にもとづく幅広い共同を何よりも大切にしています。

 国民の共同を広げていくうえでも、政党間の共同の可能性と条件を広げていくうえでも、日本共産党が国政において比重と影響力を強めることが決定的に重要です。日本共産党の躍進で、日本を変える新しい統一戦線をつくる第一歩を踏み出しましょう。

亡国の政治か、日本の未来に責任を負う政治かが、問われています 

 いま日本の大企業の多くが多国籍企業化し、自らの利潤追求を至上の課題とし、日本経済に対する責任を放棄しています。安倍政権は、こうした大企業・財界に唯々諾々(いいだくだく)としたがって、国民には冷たい財界中心の政治を続けています。

 TPP問題にせよ、米軍基地問題にせよ、日本をアメリカに売り渡そうとしているにもかかわらず、安倍政権は痛痒(つうよう)すら感じることなく、アメリカいいなりに終始しています。経済でも、外交でも、日本の未来に責任をもてなくなっている――これが今の自民党政治の姿です。

 憲法問題でも、「立憲主義とは何か」という根本についての真剣な検討はかけらもなく、「憲法9条よりもハードルが低そうだから」というあまりにも浅はかな動機で憲法96条の改定を持ち出しました。

 さらに、過去の侵略戦争を美化するという、もっともすすんではならない道に突きすすもうとしています。

 今回の参院選では、こんな亡国の政治を続けるのか、それとも日本の未来に責任を負う政治に転換するのかという、政治の根本が問われています。

日本共産党の躍進で、「国民が主人公」の新しい日本へ

 日本共産党は、どんな問題でも、国民の立場に立って、責任ある立場を堂々と語り、その立場で政治を動かしています。すべての政党、団体、個人と一致点での共同を広げ、たたかいを発展させるために力をつくしています。

 日本共産党の躍進は、「財界中心」「アメリカいいなり」「歴史逆行」という三つのゆがみをただす決定的な力となり、「国民が主人公」の新しい日本に向けた大きな一歩となるでしょう。

 国民のみなさん。日本共産党へのご支持、ご支援を心からお願いします。
 

2013年参院選挙各分野政策へ

 

 
 

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