政策

TPPへの暴走を許さない国民的な共同をよびかけます

――暮らし・食料・農業・地域経済を守るために力をあわせましょう

2011年10月14日 日本共産党

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 野田内閣は、11月のAPEC(アジア・太平洋経済協力)首脳会議にむけてTPP(環太平洋連携協定)参加を決定しようとしています。TPPは、関税を原則撤廃し、農産物の輸入を完全に自由化するもので、農林漁業と国民の食料に大打撃となります。さらに「非関税障壁」撤廃の名の下に、食の安全、医療、金融、保険、官公需・公共事業の発注、労働など、国民生活のあらゆる分野での「規制緩和」をねらうものです。

 TPP推進の中心にいるのがアメリカです。アメリカ型の「貿易と投資の自由化」と「市場原理主義」を「国際ルール」として押しつけようというのです。国内では財界が、「国際競争力」「規制緩和」などの名目で雇用を壊し、地方を切り捨て、国民生活をずたずたにした「構造改革」路線を、さらにおし進めるためにTPPを推進しています。

 野田内閣は、「国のかたちを変えてしまう」と言われるTPPへの参加を、国民的な議論も交渉内容などの情報開示もせずに、強引にすすめようとしています。アメリカと財界の要求のままにTPPに突き進むなら、国民の生活と日本経済はたいへんなことになります。

 日本共産党は、TPPへの暴走を許さない国民的な共同を、心からよびかけます。
 

1、「食と農」に壊滅的打撃――国民が生きていく土台を崩していいのか

 TPP参加は、日本の農林水産業に壊滅的打撃を与え、国民への安定的な食料供給と食の安全を土台から崩します。自国での農業と食料生産をつぶし、もっぱら外国にたよる国にして良いのか、この国の根本的なあり方が問われています。

 農林水産業をこわし、食料自給率を大幅に低下させる――農林水産省は、関税撤廃で、日本のコメの自給率は1割以下、国民が食べるコメの9割以上が外国産米になり、その結果、食料自給率は現在の39%から13%に落ちるとしています。TPP参加と食料自給率の向上は、絶対に両立しません。民主党政権が昨年3月に決定した「2020年度までに食料自給率を50%にする」という「食料・農業・農村基本計画」にも反します。

 「第三の開国」とか「農業は保護されすぎている」などと言いますが、今でさえ日本の農産物の関税率は11.7%とアメリカに次いで世界で二番目に低くなっています。日本は「鎖国」どころか、すでに十分すぎるほど「開かれた国」です。

 競争相手は世界で最も農産物の安いアメリカとオーストラリアです。日本農業が壊滅的打撃を受けることは避けられません。一戸当たりの耕作面積が日本の100倍のアメリカ、1500倍のオーストラリアと、「競争できる強い農業」などというのは、国土や歴史的な条件の違いを無視した暴論にすぎません。

 大震災からの復興への希望を奪う――東日本大震災で大きな被害を受けた東北3県の農林水産業にとっては、さらに事態は深刻です。日本有数の"米どころ"への打撃ははかりしれません。三陸の主要産品であるワカメ、コンブ、サケ・マスなど水産業にも甚大な被害が及びます。被災地の基幹産業である農林水産業への大打撃となるTPP参加の強行は、被災者の生活と生業再建の基盤を壊し、復興への希望さえも奪ってしまいます。

 環境や国土など農林水産業の多面的な役割も失う――農林水産業は、環境や国土の保全など、多面的な役割を果たしています。日本学術会議は、農林水産業の多面的機能について、洪水防止機能、土砂崩壊防止機能、水質浄化機能、生態系保全機能などで年間約90兆円の効果があると試算しています。TPPは、こうした多面的機能も喪失させます。

 交渉参加は、コメを含む関税撤廃を約束することが前提――推進派からは「TPP交渉に参加し、その後、加盟か撤退かを検討する」などというごまかしの「方便」まで出ています。TPP交渉参加の前提条件は、コメを含めて関税の撤廃を約束することを十分承知の上で、こんな議論を持ち出しているのです。実際、カナダは「チーズと家禽類の肉」の関税撤廃を表明しなかっただけで交渉参加を拒否されました。「交渉参加とTPP参加は別」などという「偽りの先送り」論で、国民を欺こうなどということは許されません。
 

2、破たんした「アメリカ型ルール」の押しつけ――くらしと経済のあらゆる分野に

 TPPは、農業と食料だけでなく、暮らしと経済のあらゆる分野が交渉対象とされています。TPP協定交渉では、政府調達、金融、投資、環境、労働など24の作業部会が設けられています。「非関税障壁」の撤廃の名目で、破たんした「アメリカ型ルール」が押しつけられ、「国のかたち」そのものを大きく変えてしまう内容を持っています。

 とくに、食の安全、医療、官公需・公共事業の発注、金融・保険、労働などで、国民の生活や安全を守るルールと監視体制、中小企業を支援する制度などが大きく崩される危険が大問題になっています。

 食の安全を脅かす――日米首脳会談で、オバマ大統領は野田佳彦首相に、BSE対策であるアメリカ産牛肉の輸入制限の緩和を要求しました。TPPに参加すれば、食品の安全のための規制も「非関税障壁」とされ、とりはらわれてしまいます。米国通商代表部は、「2010年外国貿易障壁報告書」の中で「対日要求」として、輸入食品・農産物の検査、遺伝子組み換えなどの食品表示などがアメリカの規制より厳しいと批判し、緩和を要求しています。さらに、今年2月に行われた「日米経済調和対話」でも米国政府は、残留農薬や食品添加物などの規制緩和を要求しています。

 国民皆保険制度が崩され、医療崩壊がすすむ――アメリカは、民間医療保険や医薬品などの市場を開放することを繰り返し要求し、その障害として、日本の公的医療保険制度、国民皆保険制度を標的にしています。日本医師会は、TPP参加への懸念として、混合診療の全面解禁で保険のきかない医療が拡大し、所得によって受けられる医療が制限される、株式会社の病院経営への参入によるもうけ本位の医療、不採算部門の切り捨て、地域からの撤退などをあげています。これでは「医療崩壊」と呼ばれるほどの危機をますます深刻にしてしまいます。

 地元中小企業向け官公需発注が困難に――TPP交渉分野の一つである「政府調達」は、政府や地方自治体の物品購入や公共事業で、国際入札を義務づけることなどが検討されています。市町村の小規模な公共事業や物品購入も外国企業への開放が義務づけられ、地元企業への優先発注などは「非関税障壁」として排除される危険があります。地方の建設業界では、外国企業が安い外国の資材や労働力を持ち込んで参入し、「仕事を奪われる」ことも懸念されています。国が「中小企業の受注機会の増大に努める」と定めた官公需法が骨抜きにされ、地方自治体の地元中小企業優先発注や住宅リフォーム助成制度、公契約条例なども、やり玉にあげられかねません。

 自主共済も廃止に追い込まれる――アメリカ政府は、相互扶助機関として保険商品を提供している協同組合である共済について、金融庁の規制のもとにある外資系保険会社と同じ「規制と競争」のもとにおけと要求しています(「日米経済調和対話」)。在日米商工会議所は、農協共済を名指しして問題にしていますが、そうなれば、商工団体、業界団体、労働団体など各種団体の自主的な共済も廃止に追い込まれてしまいます。

 労働法制の大改悪の引き金に――アメリカ政府は、「ただ働き残業」を合法化するホワイトカラーエグゼンプションの導入や、会社が自由に解雇できる「解雇の金銭解決」、労働者派遣法のいっそうの規制緩和など、アメリカ型に日本の労働法制を改悪することを要求しています(「日米投資イニシアティブ報告書」)。TPP参加は、労働法制の大改悪に結びつく危険があります。
 

3、TPPは、「成長戦略」どころか、地域経済と雇用、内需に大打撃となる

 国内では、日本経団連など財界が、「成長戦略」とか「貿易立国」などと言って、TPP参加の圧力をかけています。しかし、「恩恵」を受けるのは、自動車、電機などの一部の輸出大企業だけで、農業と食料、地域経済と雇用、国民生活は、犠牲だけが強いられることになります。

 TPP参加は、農林水産業や地方の建設業界への直接の大打撃となるだけでなく、食品加工、運輸などの関連産業、地域経済と雇用に、その被害が大きく波及します。北海道庁は、TPP参加で道経済が2.1兆円もの損失を被るとしていますが、その7割は農業以外の関連産業、地域経済が受ける被害です。経済産業省は、TPPに参加しないと81万人の雇用減になるとしていますが、農水省は参加した場合の雇用減を農業やその関連産業などを合わせて340万人としています。TPPは大きな雇用減をもたらし、国民生活と地域経済に大打撃となります。

 TPP参加は、今の異常円高で苦しむ日本経済に大被害をもたらします。一部の輸出大企業が、労働者と中小企業の犠牲のうえに、突出した「国際競争力」を強め、外需だのみの経済にしてきたことが、「円高体質」をつくり、国際的な投機マネーが直接の原因になっています。これをいっそう加速させるのがTPPです。一部の輸出大企業だけが巨額の富を蓄積し、国民の所得が奪われ、国内需要が押し下げられ続けた結果、日本経済全体は長期低迷から抜け出せない――これが「失われた20年」と言われるような日本経済の後退をもたらしています。TPP参加は、この悪循環を深刻にするだけであり、日本経済のまともな発展の道を閉ざすものです。

 いますすむべき道は、国民生活応援・内需主導への政治にきりかえ、日本経済の健全な成長とつりあいのとれた発展をはかることです。
 

4、食料主権、経済主権を尊重した互恵・平等の経済関係の発展を

 TPPが「自由貿易」「投資の自由化」の名で押しつける市場原理、規制緩和至上主義は、新しい貿易や投資、経済関係の前進どころか、世界でも、日本でも失敗し、破たんずみの時代逆行にすぎません。地球規模での飢えと食料危機打開に向けた国際的な努力、地球環境をまもる取り組みと規制の強化、世界経済を混乱させる投機マネーへの規制など、新しい世界の流れは、各国の経済主権を尊重し、民主的で秩序ある経済の発展をめざす投資と貿易のルールづくりです。

 食料主権を尊重した貿易ルールを――自国の食料のあり方は、その国で決めるという食料主権――関税などの国境措置の維持強化は国際的な流れです。国連人権委員会でも「各国政府に対し食料に対する権利を尊重し、保護し、履行するよう勧告する」と決議されています(2004年4月16日)。この決議に反対したのはアメリカだけでした。食料不足と飢餓の拡大のもとで、各国が食料増産、自給率の向上を求められており、貿易ルールにおいても食料主権を尊重することが求められます。豊かな発展の潜在力を持っている日本農業を無理やりつぶして、外国から大量に食料を買い入れ、輸入依存を高める――これは国際正義、人類的道義にも反する行為です。

 「金融自由化」から投機マネーの規制へ――TPPは、投機マネーの規制に反対し、投資の「自由拡大」をいっそうすすめようとする考え方で成り立っています。しかし、世界の流れは、アメリカが先頭にたってすすめた「金融自由化」が、目先の利益だけを追い求めて世界中を動き回る巨額の投機マネーを生み出し、世界的な金融・経済の混乱を引き起こしていることを反省し、通貨取引税の導入をはじめ投機規制の強化を探求しています。「投機マネー」による円高に苦しんでいる日本経済を真剣に考えるなら、こうした流れに合流することこそ求められます。

 経済主権を尊重した互恵・平等の経済関係の発展をめざす――TPPへの参加を表明している国は、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、チリ、ペルー、ブルネイ、シンガポール、ベトナム、マレーシアの9カ国です。アジアでは、韓国、中国はもちろん、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国も、最大GDPを持つインドネシアをはじめタイ、フィリピンなども参加していないように少数派にすぎません。TPPに日本が参加すると、アメリカと日本だけで「参加10カ国」全体のGDPに占める割合は91%にもなります。TPP参加は、環太平洋諸国、アジアに向かって「開かれた国」にするのではなく、経済主権、食料主権を投げ捨て、経済面でもアメリカの属国になる道にほかなりません。

 日本に求められているのは、アメリカ一辺倒から抜け出し、アジアを含む各国と経済主権を尊重した互恵・平等の経済関係を発展させることです。

 日本共産党は、貿易や経済関係を拡大すること自体を悪いことだなどとは考えていません。貿易の拡大の中でも、農業、食料、環境、労働など市場だけに任せておいては成り立たない分野があります。食料主権をはじめ経済主権を尊重し、お互いの国の国民の暮らしと権利を守るルールを尊重しながら、貿易や経済関係を発展させることこそ、21世紀のまともな経済発展の方向であると考えています。日本は、こうした互恵・平等の経済関係を発展させる貿易・投資のルールづくりこそ、アジアのなかで進めていくべきではないでしょうか。
 

TPP参加反対の一点での国民的な共同を急速に広げよう

 野田内閣は、国民各層から厳しい批判を受けているTPP参加をなぜ急ぐのでしょうか。日米首脳会談でオバマ大統領が「参加を迫った」のを受け、野田首相は「早急に結論」と答えました。この会談について、成田憲彦内閣官房参与は、「オバマ大統領に米軍普天間飛行場移設もTPPも待ってくれとは言いにくい」「TPPは前向きなことをいわなければいけない」と首相は考えたと「解説」しています。国民の生活や食料、経済、貿易をどうするのかについて、まともな考えも、展望もなく、日米同盟に「波風」を立たせないという思考だけで、TPP参加への暴走をしているのです。

 アメリカの顔色をうかがって、「国のかたち」を大きく変えてしまうような大問題の結論を急いで出す――これは「亡国の政治」以外の何ものでもありません。

 TPP反対の世論は、大きく広がってきました。JA全中(全国農業協同組合中央会)が中心となり、農漁業団体、消費者団体などが取り組んだ反対署名は目標を大きく上回り1166万人(8月末)に達しました。消費者団体も、東北6県の生協連会長が連名で反対を表明しています。

 風雲急を告げる事態を迎えたいま、これまで広げてきたTPP参加反対の一点での共同を、党派をこえて、急いで大きく、力強くすすめ、野田内閣の暴走を押しとどめようではありませんか。

日本共産党は、TPP参加を断念させる世論と運動の先頭にたって奮闘する決意です。


 

 (c)日本共産党中央委員会