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新「防衛大綱」、新「中期防」について

2010年12月17日  日本共産党書記局長 市田忠義


一、民主党政権が十七日、初めて閣議決定した新しい「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」は、日本防衛に限定するという建前だった「基盤的防衛力」構想さえ投げ捨て、新たに「即応性、機動性、柔軟性、持続性」を重視した「動的防衛力の構築」を打ち出し、今後五年間で約二十三兆五千億円の軍事費を投入することを計画するなど、自衛隊が海外に迅速かつ持続的に展開する能力を増強することを公然とめざしている。さらに、「グローバルな安全保障課題」への対応など、「日米同盟の深化」に向けた「日米協力の充実をはかる措置」や「PKO参加五原則」の「検討」など、自衛隊が、米軍と共同して、海外での戦争に公然と参加するための枠組みと態勢をいっそう拡大強化しようとしている。自衛隊の装備・運用と制度の両面で自民党政権時代にも打ち出しえなかったきわめて危険な道に踏み込むものであり、絶対に許すわけにはいかない。

一、新「大綱」は、中国の軍拡や北朝鮮の軍事的行動を「懸念事項」、「重大な不安定要因」として、これらに対抗するかたちで、弾道ミサイル防衛機能装備イージス艦や潜水艦などを増強するとともに、新たな部隊配備などの態勢強化を打ち出している。これは「軍事には軍事」という軍事的緊張の拡大と悪循環をもたらすものでしかない。いま、必要とされているのは、東アジアに平和的環境をつくる外交力である。経済関係や人的交流が深化している事実にたって軍事力で対抗する思考から脱却をはかるとともに、「6か国協議」やASEAN地域フォーラム(ARF)など、対話と信頼醸成、紛争の平和的解決のための枠組みを発展させるべきである。

一、また、「大綱」は、アメリカと財界が強く求めてきた武器輸出三原則の見直しを明記することはさけたが、「国際共同開発・生産に参加する」ことが「主流」になっていることに対応することを「検討する」として、早期に実現する狙いを隠そうとしていない。大国の武器輸出が国際的な軍事紛争を悲惨にする役割をはたしてきたなかで、日本が憲法9条のもとに武器輸出三原則をとってきたことは国際的な信頼につながってきた。それを投げ捨てることは許されない。

 日本共産党は、憲法の平和原則をいっそう乱暴に踏み破り、軍拡と海外派兵を推し進める時代錯誤の、この危険な計画にきびしく反対し、その撤回を強く求めるものである。


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