2006年4月26日(水)「しんぶん赤旗」

『週刊朝日』編集子の不見識


 二十四日発売の『週刊朝日』(五月五日、十二日合併増大号)は、「赤い共産党の黒い内幕」(上)と題する、筆坂秀世氏へのインタビューを掲載しました。筆坂氏が最近、『日本共産党』という本を出版したことにかかわっての企画という体裁をとっています。

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 日本共産党は公党として、筆坂氏の本の内容についてただちに一連の具体的な見解を発表しました――不破哲三前議長の「筆坂秀世氏の本を読んで」(本紙十九日付および日曜版二十三日号)、浜野忠夫副委員長の「筆坂秀世氏の本の虚構と思惑」(同二十日付)、志位和夫委員長の記者会見での記者との問答「誤りの合理化が転落の原因」(同二十一日付)がそれです。

 責任あるメディアなら、その後に筆坂氏にインタビューする以上、反論内容の検討は最小限の前提です。しかし、インタビューを一読してあきれるのは、公党の責任ある反論などまったく無視して、筆坂氏に、本でのべたことを平気でくりかえさせているということです。民主党の「偽メール事件」で問題になったのは、提供された情報を、真偽も確かめずに公的な場で使った議員の無責任さでした。その議員は責任をとって辞職しました。メディアも、筆坂氏の提供する“情報”を可能な確認もせずに使えば同じことです。確認材料が提供されているのですから、なおさらです。

 筆坂氏は、よく知られているように二〇〇三年にみずからがひきおこしたセクハラ問題で、党の役職罷免の処分を受けただけでなく、有権者との関係で責任をとって参議院議員を辞職しました。彼が本のなかで、セクハラ問題があたかも冤罪(えんざい)であるかのように書いたのにたいし、わが党は、事件直後の彼の文書の内容も詳細に示して、当人も疑問の余地なく認めていた事実であったことを明らかにしました。

 ところが、インタビュアーは、わが党が明らかにした事実を筆坂氏にただすこともせずに、「(党の反論を)読んでもセクハラ問題の真相がよくわかりません」などとのべ、「女性は嫌がっていたのですか」という質問を続けて、筆坂氏に本の内容と同様の答えをさせています。

 筆坂氏が本でのべた“内幕”話にしても、わが党はきちんと反論しました。宮本顕治氏引退の真相なるものが、まったく「ガセネタ」としかいいようのないものであったことをしめし、常任幹部会の運営にかかわる問題についても、真実を明らかにしました。

 しかし、この点でもインタビュアーは、「不破さんと志位さんの関係はどうでしたか?」とこれまた本の内容をくりかえさせる質問をしたうえに、宮本氏にかかわる「ガセネタ」問題については触れもしないで、筆坂氏に「本当のことを書いたら…指弾され…参りました」といわせているだけです。

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 インタビューの内容はこんなものです。そのほかにインタビュアーが筆坂氏から“引き出している”のは、筆坂氏が本で書いたり展開したりさえできなかった、かつて一部週刊誌がとりあげ党がすでに反論したことの焼き直し情報や、「1年ほど前に聞いた話ですが…」「と聞いています。今はどうか知りませんが…」などという筆坂氏の“また聞き”情報、作り話です。インタビューの末尾に「構成 本誌・中村智志」とありますから、インタビュアーの姿勢は、『週刊朝日』編集者の姿勢そのものでしょう。

 筆坂氏にとってはメディアに登場できるだけでも大歓迎でしょうが、メディアとしての基本作業を怠っている『週刊朝日』編集者については、辞職した民主党議員と同じように、その姿勢が根本から問われるのではないでしょうか。(Q)


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