2011年4月12日(火)「しんぶん赤旗」

教訓を生かし、後半戦の前進のために力をつくそう

――いっせい地方選挙前半戦の結果について

2011年4月11日 日本共産党中央委員会常任幹部会


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 10日投開票のいっせい地方選挙の前半戦で、日本共産党は、道府県議選(東京・茨城・沖縄・宮城・福島・岩手をのぞく41道府県で実施)で、前回の96議席から80議席に後退する結果となりました。県議会で議席がなかった群馬、福井、熊本で議席を獲得したことは貴重ですが、愛知に加え、新たに栃木、神奈川、静岡、三重、滋賀、福岡で議席を失い、議席空白県は7県となりました。15の政令市議選では、改選115議席から99議席に後退する結果となりました。

 国民の期待にこたえる結果が出せなかったことに、責任を痛感しています。日本共産党に支持を寄せてくださった有権者のみなさんに、また党の前進のために奮闘していただいた支持者、後援会員、党員のみなさんに、心からお礼を申し上げます。

 わが党は、同時におこなわれた12の都道県の知事選挙のすべてに推薦・公認の候補者を擁立してたたかいました。民主党、自民党などが、知事選挙で責任ある対応ができなかったことと対照的に、地方政治の根本的転換をめざす姿勢を堅持し、多くの団体・個人と共同して奮闘したことは、意義あるものでした。

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 今回の選挙の総括は、中央委員会としても、都道府県・地区委員会としても、後半戦のたたかいの結果をふくめて、おこなうことにしますが、目前に迫った後半戦にただちに生かすべき教訓として、以下の諸点が大切だと考えます。

 第一は、3月23日の「全国決起集会」で明らかにした政治的基本姿勢と政治的訴えを、ひきつづき堅持・発展させて後半戦にのぞむことです。

 この選挙は、東日本大震災という未曽有の大災害のもとでたたかわれ、わが党は、(1)被災地の救援・復興のために、心一つに頑張り抜く、(2)選挙戦にあたってもこの立場を貫き、選挙戦全体を、日本国民が、国民的エネルギーを発揮して、被災地への救援・復興をやりぬき、戦後最大の国難を打開し、それを通じて新しい社会をつくる契機にしていくという姿勢で選挙にのぞむ――という政治的姿勢を堅持して奮闘しました。

 この立場にたち、被災地の多くの同志たちを先頭に、被災者救援のための献身的な奮闘がつづけられています。全国で取り組まれた救援募金は、4億6千万円を超え、すでに被災した3県、75の自治体に第1次分をお渡ししています。

 選挙戦の政治的訴えでは、情勢の激変のもとで、被災者支援と原発危機の収束、国の総力をあげての復興、原子力行政・エネルギー政策の転換、「福祉・防災のまちづくり」への地方政治の転換などを訴えてたたかいました。

 こうしたわが党の政治的姿勢と政治的訴えは、大震災のもとで苦しむ多くの人々、前途に不安を募らせる国民の気持ちとかみあったものであり、それが伝わったところで共感を広げていると確信します。それは国民の苦難軽減のために献身することを立党の原点とするわが党の本領を発揮したものであり、後半戦のたたかいでもこれを堅持・発展させることをよびかけるものです。

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 第二は、前半戦の到達点を直視し、後半戦のたたかいに生かすことです。昨年9月の2中総決定では、「政党間の力関係では、わが党が後退した参院選の結果が、私たちのたたかいの出発点となります」とのべるとともに、選挙戦の厳しさと激しさを直視し「前回得票の大量増なくして勝利なし」の見地でたたかうことをよびかけました。

 この見地から前半戦の結果をみると、道府県議選で獲得した得票数は、「出発点」である参院選比例代表選挙との比較では、全国的には137%に増やしています。同時に、4年前のいっせい地方選挙との比較では、80%にとどまりました。すなわち、昨年の参院選で「押し込まれた」地点からは、全党の奮闘によってある程度押し返したが、「押し返し方」が足らなかった、「前回得票の大量増」にはいたらなかった――これが今回の結果です。

 そのなかでも、参院選比例票を2倍、3倍に増やし、4年前の前回票も大きく超えて、今回新たに県議会議席を獲得した選挙区も全国各地に生まれています。2人区の奈良・大和高田市、和歌山・西牟婁郡、4人区の長野・佐久市・北佐久郡などです。これらは、知恵と力をつくして奮闘すれば、前進・勝利の可能性が存在することを示しています。

 後半戦では、「押し込まれた」地点から、さらに大きく押し返し、「前回得票の大量増」を勝ち取る取り組みに、正面から挑戦し、勝利をつかもうではありませんか。

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 第三に、残る2週間、勝利へのカギはどこにあるか。私たちは、2中総決定で、参院選から深い教訓を引き出し、その最大の教訓は「党の自力が足らない」ことにあることを明らかにし、「党勢の新たな上げ潮」のための「五つの挑戦」をよびかけました。この選挙は、党づくりの取り組みが開始された最初の段階でのたたかいであり、「自力の不足」という問題を解決する途上での選挙となっています。

 そういうもとでどうやって勝利を開くかといえば、(1)党の持てる力をあまさずくみつくすこと、(2)後援会員・「しんぶん赤旗」読者・支持者などに協力をお願いし選挙活動の担い手を思い切って広げること――この二つに徹してこそ、勝機が見えてきます。前半戦で、激戦・接戦を制して勝利をつかんだところでは、その多くで、こうしたとりくみが展開されています。「全国決起集会」の内容をすべての支部と党員のものにする努力とともに、後援会員・読者・支持者に協力をよびかけ、保守も含めた無党派の人々に広く働きかけ、「集い」を草の根から網の目のようにとりくんだことが勝利に結びついています。全国どこでも生まれているこれらの教訓を、後半戦のたたかいに生かそうではありませんか。

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 大きな目で現在の情勢をみれば、大震災という災厄は、多くの人々の政治にたいする見方を変えるような政治的激動をつくりだしつつあります。少なくない人々から、原発問題などでのわが党の行動と主張に接して、「共産党が長い間言い続けてきたことが真実だった」という声が、伝わってきています。「大企業の内部留保の活用」、「原発の新増設計画の中止」「原子力の規制機関の推進機関からの分離」、「原発頼みから自然エネルギーへの転換」などのわが党の主張が、現実政治を動かし、多くの人々に当然のこととして受け入れられる状況も広がっています。

 3月11日以来の大震災と原発事故は、今後、長期にわたって、その根本的解決が迫られる国民的な大問題となるでしょう。わが党は、その解決の方策を、「東日本大震災にあたっての提言」などで明示しており、それはわが党綱領のめざす「ルールある経済社会」という方向と重なりあうものです。危機のもとで、ジグザグや試行錯誤をともないながらも、国民が政治の真実とは何か、日本共産党の主張にこそ真実があるのではないかという認識を発展させる可能性があります。わが党が、震災から国民の命を守るために全力をあげて奮闘しながら、国民の探求を後押しするために力をつくすことが必要です。

 いまたたかわれているいっせい地方選挙は、そういう長期にわたる大仕事に私たちがとりくむ、最初の政治戦です。綱領的な確信と展望をもって、この選挙を悔いなくたたかいぬくことを心からよびかけるものです。





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