2011年2月11日(金)「しんぶん赤旗」

介護保険要支援者

市町村判断で保険外

法案概要判明 国が給付費削減狙う


 厚生労働省が今国会に提出予定の介護保険法改定案(2012年度実施)に盛り込む方向で具体化を進めている「予防給付(要支援者向け保険サービス)と生活支援サービスの総合化」の概要が10日までに明らかになりました。市町村の判断で要支援者を保険サービスの対象外にし、ボランティア任せの安上がりな保険外サービスに置き換えて給付費を削減できる仕組みになっています。

 当該部分の法案策定を担当する厚労省老健局振興課によれば、要介護認定で「自立(非該当)」と判定された人も「要支援」と判定された人も使える「総合サービス」を新設して、見守りや配食などを行います。それらは保険外サービスとして実施されている地域支援事業に組み込まれます。

 現行の要支援者への保険サービスには全国一律の基準があり、サービス内容、労働者の資格や配置人数、事業者への報酬、利用料(原則1割負担)が決まっています。

 しかし、新たな「総合サービス」は「市町村の判断で柔軟な対応ができる仕組み」となります。厚労省は「インフォーマル(非公式)なもの」の活用を強調。専門教育を受けていない有償ボランティアや自治会などが担う安上がりのサービスとなる一方、サービス利用者の負担は保険サービスより高くなる可能性があります。

 「総合サービス」を導入するかどうかは市町村の判断。市町村が「総合サービス」を導入した場合、要支援者は従来通りの保険サービスか「総合サービス」かのどちらかを利用します。どちらを利用するかは、1人ずつ保険者の市町村や地域包括支援センターが判断します。地域包括支援センターの責任主体も市町村です。厚労省は「利用者の意向や状態像を踏まえる」というものの、利用者の意向が必ず通るとは明言せず、意に反して保険サービスの対象外とされる可能性を否定していません。(関連記事)


 要支援 介護保険のサービスを受けるには要介護認定を受ける必要があります。要介護度は、軽いほうから、非該当(自立)、要支援1・2、要介護1〜5の8段階。非該当になると介護保険を利用できません。





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