2010年12月20日(月)「しんぶん赤旗」

仕事増え 業者元気

小規模工事登録制度広がる

公園ベンチ修繕・学校フェンス塗装…


 公園ベンチの修繕、学校フェンスの塗装…。自治体が施設・設備の修繕・改修などで中小業者に発注する小規模工事希望者登録制度(小規模工事登録制度)が全国に広がっています。「建設不況」で仕事がない中小の建設関連業者から歓迎されています。東京都板橋区と新潟市の場合は―。(竹田捷英)


住民も歓迎

写真

(写真)東京・板橋区の区立公園=15日

 公園のフェンス塗装の工事を受注した板橋区で塗装業を営む男性(71)が語ります。

 「不況で、建設関連業はこれまで経験したことのない仕事減で困っています。区の小規模登録工事を受注してうれしかったですね。自治体からの“頑張れ”ってサインだとも思っています」

 板橋区は公園の整備に力を入れています。

 設備の修繕・改修は多くを小規模工事登録制度で発注しています。スロープやトイレの改修、木の伐採など2009年度は97件を発注し、工事金額は660万円余です。

 09年度小規模工事登録制度は、全体の発注件数が1094件、工事金額が4980万円。公園整備は件数で約1割、金額で1割を超えています。

 整備・改修がすすむにつれて、子ども連れで公園を利用する若いお母さんたちから「最近、公園がきれいになった」「気持ちがいい」との声があがるようになりました。

 組合員が工事を受注している東京土建板橋支部の井口和良書記次長は、「区民に喜ばれ、業者も仕事が増えて元気になる。小規模工事登録制度は大いに活用したい事業です」と語ります。

 公園は区民の憩いの場、子どもの遊び場となっているだけに、安全で安心して利用できるよう目配りが必要です。

 東京土建板橋支部はここに注目。区内に区立公園が334カ所あります。昨年、多数の組合員が手分けして、すべての公園を点検しました。その結果をまとめ、区に改善・改修を提案。今年も2回目の点検運動をしています。

 板橋区の小規模登録制度は5年前にできました。東京土建板橋支部、板橋民主商工会の運動や、日本共産党区議団の議会質問が区政を動かし、実現しました。

 「区内の経済活性化を図る」ことを目的に20人以下の事業者を対象に、あらかじめ区に登録してもらい、区の施設の修理・修繕工事を発注しています。大工、リフォーム、とび、解体、電気設備、塗装、畳、植栽など仕事の種類は60にもなります。

新潟市 2449件2億円超

自治体の仕事で自信になったと

 新潟市北区で防水工事業を営む男性(37)は今年、初めて市の小規模工事登録制度に登録しました。登録したばかりで、市立保育園のプールの防水改修工事を2件受注しました。

 「これまでの仕事で技術向上に努力してきましたが、市の工事をやって、自信になってよかったと思います。うれしいです」と語ります。

 男性宅は3人目の子どもが誕生したばかり。「仕事が減って大変ですし、いろいろ出費も重なりますから、仕事がでてきて助かります」と制度に期待を込めます。

 同市の制度について、新潟民主商工会などは発注限度額の引き上げなどを求めて運動を続けてきました。昨年度から限度額が100万円まで引き上げられました。日本共産党市議団は限度額引き上げとともに、活発な制度の活用を働きかけています。

 新潟市の昨年度の同制度の発注件数は2449件、2億454万円になっています。


業者と共産党が運動

市区町村の4分の1に

 小規模工事登録制度は中小・零細業者でつくる全国商工団体連合会(全商連)、建設労働者らでつくる全国建設労働組合総連合(全建総連)が各地で連携して運動し全国的な普及に力を入れています。日本共産党の地方議員は各地で、議会で制度の創設や改善を求めています。

 実施している市区町村は449(表)になっています。全市区町村の約4分の1に到達。2004年の実施自治体262の1・7倍に広がっています。

 埼玉県は64市町村のうち60市町と9割を超える自治体が制度をもっています。


日本共産党の中小企業政策から

 日本共産党は中小企業政策で小規模工事登録制度などの促進を強調しています。4月22日に発表した中小企業政策から、その内容を紹介します。

 生活密着型公共事業への転換をすすめ、保育所・特別養護老人ホームの建設、学校・福祉施設の耐震補強、道路・橋梁(きょうりょう)の維持補修、個人宅の耐震補修・リフォームなどを支援し、中小企業の仕事と雇用の増加につなげます。

 国と自治体の中小企業向け官公需発注比率を引き上げます。中小企業への発注率を高めるために、分離・分割発注をすすめ、「小規模工事希望者登録制度」の活用をすすめます。

表:小規模工事登録を実施している市町村の数




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