2010年2月11日(木)「しんぶん赤旗」

主張

中小零細企業

「町工場の灯」守ると言うなら


 「町工場は『日本の宝』であることは間違いありません。この灯を消してはならない」―。鳩山由紀夫首相が8日の衆院予算委員会で、日本共産党の志位和夫委員長の質問に答えました。

 一昨年秋のリーマン・ショック以来の仕事の激減で、町工場の経営努力は限界を超えています。

 中小零細企業は経済を土台から支える日本の宝です。その灯を消さないと言うなら町工場を廃業の危機から守る緊急支援とともに、大企業と下請けの公正な取引ルールを確立する必要があります。

「固定費補助」緊急に

 高い技術に裏打ちされた町工場の集積で知られる東京・大田区でも、工場の5割近くは賃貸です。工場の家賃が払えずに機械ごと追い出されたり、リース代が払えずに機械を回収される事態が続発しています。

 雇用調整助成金で労働者の雇用を守ったとしても、工場や機械を取り上げられたら働く場がなくなります。ひとたび「町工場の灯」を消してしまったら取り返しが付きません。工場の家賃や機械のリース料など「固定費」への補助が緊急に求められます。鳩山内閣は実現を渋るべきではありません。

 公正な取引ルールの確立も急がれます。下請け中小企業は、大手製造業が過去最高益を更新していたときにも、下請け単価の「買いたたき」に苦しめられてきました。リーマン・ショック以降、親企業の「買いたたき」はいっそう激しくなっています。発注した仕事を一方的に打ち切る「下請け切り」も多発しています。

 「買いたたき」も「下請け切り」も下請代金法が禁止している違法行為です。しかし、公正取引委員会が「買いたたき」で是正勧告を出したのは、この5年間でたったの1件、「下請け切り」での勧告は皆無です。

 鳩山首相は「法律がしっかりと執行されていないんじゃないか」とのべ、「執行態勢を強化するということがまず求められている」と志位委員長に答弁しました。

 それなら、志位委員長が求めたように、下請け業者が申し立てた場合などだけ公正取引委員会が調査・検査に入る受け身のやり方を改めることです。下請代金法を生かすためには主導的に親企業に立ち入って、必要な抜き打ち検査もやる態勢に抜本強化すべきです。下請検査官の大幅増員も必要になります。

 下請けにかかわるもう一つの法律である下請振興法に基づく「振興基準」は、下請け単価について次のように定めています。

 「(取引対価は)下請中小企業の適正な利益を含み、労働時間短縮等労働条件の改善が可能となるよう、下請事業者及び親事業者が協議して決定するものとする」

経済危機打開の上でも

 利益も労働条件も改善どころかますます悪化しています。下請代金法を強化し、業界団体が親企業を相手に団体交渉する権利を保障した「公正取引確保法」を制定するなど、総合的な対策を講じるよう求めます。そのためにも、徹底した実態調査が必要です。

 中小零細企業は雇用の7割を支えています。大企業の下請けへのしわ寄せは7割もの労働者の賃金を抑え、その家計を痛めつけています。大企業と中小企業との公正な取引ルールの確立は経済危機を打開する上でも極めて重要です。



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