2007年1月15日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

生活の足消さない

住民と党が市政動かす


 住民生活に欠かせないバスや電車。横浜市では昨夏突然、市バスの廃止計画が明らかになり、市民の怒りの声がわき起こり、年を越しました。札幌市では二度の市電廃止計画を乗り越えて装い新たな「生活の足」に変わろうとしています。市民と日本共産党が市政を動かした両市の取り組みを紹介します。

横浜の市営バス

廃止押し返し41路線存続

 横浜市の市営バスは、一日四十万人が利用する市民の大切な交通機関です。昨年夏、「非効率な路線は維持できない」と、全路線の約三分の一にあたる五十八路線の廃止計画が出されました。

 昨年九月に市が配布したお知らせチラシで計画を知った市民から短期間に約三千本の抗議電話があり、十月には説明会が急きょ九回行われ、二千百人の市民が参加しました。説明会場では、「高齢者の買い物や通院の交通手段はどうしてくれる」「赤字だからといって廃止は認められない」「市長が出てこい。廃止計画に賛成した議員はだれだ」など、厳しい意見が続出しました。

町内会から福祉団体など

 二〇〇二年に、中田宏市長の諮問機関「市営バスのあり方検討委員会」(座長はJR東日本・松田昌士会長)は経営形態を市営から民営へ移行することや赤字路線からの撤退を提言。これを受けて交通局は「改革プラン」を作成、職員定数の削減や給与カットを実施し、〇七年度からの任意補助金(十六億円)全廃に伴う五十八路線の統廃合計画を発表しました。

 この計画に対し、廃止予定沿線住民から「市民の足を守れ」と十三万人分を超える陳情、請願などが市議会に出されました。運動は、私学関係者、障害者の地域作業所、漁業や港の労働者や事業主、保育園、町内会・自治会、商店街などに広がりました。

宣伝や説明会 党が情報提供

 党市議団は、この計画が持ち上がった当初から、市政新聞やファクスニュース、街頭宣伝などで積極的に情報提供を行うとともに、説明会と運動交流会を四回開催。地域住民の方々と一緒に、市と県にたいする要請行動も六回行いました。街頭では「十六億円あれば一本の路線も切り捨てなくとも良い」「他の政令市に比べて今でも最低の補助金をゼロにするなど許されない」などと訴えました。市議会でも、本会議や各種委員会で撤回を迫りました。

 しかし、自民、民主、公明の三会派は、市民の請願を否決し、効率化と称する赤字路線の切り捨てを推進する発言をするなど、一貫して市営交通と市民の足を守る立場に背を向けています。

 私は、選出区の神奈川区で党支部と一緒に、八十におよぶ町内会長を訪問し、党支部主催の説明会を五カ所で開催し、地域の方々から感謝されています。

予算議会に向けさらに

 これらの運動に押され、横浜市は急きょ「生活交通バス路線維持事業」や「暫定運行」を打ち出し、補助金などで二、三年と期限をきっていますが四十一路線の維持・存続を決めました。

 新年に入り、廃止される十七路線のバス停や車内に、四月からの廃止のお知らせが掲示され始め、関係住民から新たな怒りが広がっています。

 党横浜市議団は、予算議会に向けて、さらに運動を広げ、市民の足を守るため、全力で頑張ります。(柴田豊勝市議)


札幌の市電

二度の危機越え延伸へ

地図

 札幌の市電は、二度の廃止計画を、市民の運動と日本共産党の議会での論戦ではね返してきた歴史があります。

他の会派はもう無理だ」

 最盛期には総延長二十五キロ、一日二十八万人が利用する中心的な乗りものでした。ところが、モータリゼーションの急激な進展と地下鉄建設とにより、一九七三年に市電全廃を含む「再建計画」が、日本共産党を除く全会派の賛成で決まってしまいました。次々と軌道がはずされるなか、沿線住民と商店街の人たちが、「他の会派には『もう無理だ』と言われたが、何とか残せないものか」と日本共産党市議団を訪れました。

 「みなさんの運動次第でまだ打開の可能性がある」と激励し、「市電を残す会」が発足します。短期間で五千人を超える署名が集まり、市議会で共産党も奮闘して請願が採択されるに至り、「西四丁目」から「すすきの」をつなぐ一路線八・五キロの存続が決まりました。

 その後、日本共産党市議団が「市電をいかした街づくり」を積極的に議会で取り上げ、「市電優先信号で、車より早く中心部に入れるしくみを取り入れるべきだ」などの主張もし、市電の復活・再配置が市の長期総合計画に盛り込まれました。

 ところが二〇〇一年に、赤字を理由に「市電の存続か廃止かを検討」という事態が生まれます。市民と共産党の新たな運動が始まりました。

乗車体験やビデオ上映も

 「中央区民の要求を実現する連絡会」を中心に、沿線や電停での宣伝署名活動、市電乗車体験フォーラム、世界各地の路面電車施策のビデオ上映会など積極的な運動が展開されました。電停前でのマイクの訴えをじっと聞いて「よし、署名しよう」と協力する男性、「市電なくなっちゃうんですか」と驚き顔で応じてくれる若者など、市民の期待が広がりました。

 市議会では、この分野で三十年の蓄積がある共産党が「市の交通計画の中に、人と環境にやさしい市電をしっかり位置づけることが札幌の発展につながる」と論戦をリードし、他党の議員からも「市電を存続すべきだ」との声が出され、〇五年二月の市長の「存続」表明に至ります。

 札幌市はその後、「路面電車検討会議」を設置し、昨年九月に党の主張と大筋で一致する最終提言が出されました。

札幌駅までと市長に要望

 十二月には、「中央区民の要求を実現する連絡会」が市長に要望書を手渡し、「西四丁目とすすきのの電停を結び、さらにJR札幌駅まで延伸を」などを要望し、意見交換。市長は「札幌駅周辺を基軸に具体化することを基本計画フレームに入れる必要がある」と明言しました。

 市民と日本共産党の共同で残った市電が、充実を検討される段階になりました。いっそうの運動で、市電をいかした美しい札幌の街並みを実現したいと思います。(小形かおり市議)


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